芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
『目次』、『小説のテーマ』または『ランキング』からお進み下さい。
また、大人小説(R18)の閲覧はご自身のご判断でお願い致します。

> ラブ アンド ピース

ラブ アンド ピース 一覧

【スリーデイズ 二次小説】ラブ アンド ピース  

3days(スリーデイズ)読切

「見守ってくれる人がいて、暖かい家があれば、あとは何とでもなるんだよな」
直球の、それでいてのんびりとした口調で、テギョンが呟いた。
酒が回ったせいもあるだろうが、親友だからこそ曝け出してくれた本音だとしたら嬉しい。
ステンレスの丸い食卓を並べた居酒屋は、隙間風が抜けるたびに窓が小さく揺れ、お世辞にも暖かいとは言えない。
窓の縁は雪が積もっていて、眺めているだけで寒くなる。
サンギュは、食べかけの鍋に視線を戻した。


神経の一本一本がひりつくような灼熱の陰謀の渦に飲み込まれた日々を抜けると、拍子抜けするほど、世界は平和だった。
だが、尽忠報国の見本のようなこの親友が、平和な世界に浸って油断しているようには見受けられない。
ただ一つ変わったのは、恐らくは、仕事とプライベートを分けて考えられるようになったことだろう。
そう、サンギュは思うのだ。



自分たちが生まれる前に流行ったラブ&ピースの精神は、理解不能だ。
警護官の職務を全うするにあたって、この世のありとあらゆる思想を叩き込まれた授業の中で、ヒッピー文化の無責任さが、一番嫌いだった。
世界が愛で繋がるなんて幻想も、それによって争いが消滅するなんて夢物語も、マリファナでも吸って、頭の中を、彼らが好んで身につけたシャツさながらのお花畑にしない限り、信じられない。
それどころか、こんな仕事をしていると、性悪説に引っ張られるぐらいだ。
それはテギョンも同様だろう。
けれどもこの現実の中で、テギョンは、愛に価値を見出している。



あの事件の後、警護官、いや青瓦台の人間は、一人残らず人生観がひっくり返った。
犯罪者共の思考の断片は理解できるのだ。もちろん、共感なんかしない。理論上、説明がつくだけだ。
だが、それぞれの断片が一つのベクトルに乗って突き進んだ時、人間の想像の枠を超えるほどの悪となって恐怖が襲いかかることも、それを止めうる手段が命の交換しかないことも、考えたことがなかった。
最初から、大統領を守ってさえいれば我が国は安全だ、とは誰も思っていなかったけれど、それでも頭の片隅に転がっていた安全神話は、消え去った。
データを消去したときのように。
上書きとか、更新じゃなくて、完全消去だ。
結局のところ、驕り高ぶらず与えられた役割をこなすぐらいしか、自分たちが出来ることはない。
テギョンが言う『愛してくれる人と安心な寝床』の一式セットは、21世紀型のラブ&ピースなのかも知れない。



「珍しくクサいことを言うね」
目尻の縁を赤くしたテギョンは、こちらの言葉に鼻を鳴らして、携帯電話を取り出した。
「ボウォンさんの惚気を聞くよりましだけど」
そろそろ日付が変わる時間にテギョンの親指を忙しくさせる人は、ボウォンしかいない。
感情という主観的で危うい意識を、テギョンの人生の拠り所にさせてしまうのも。
テギョンから視線を外すと、レジの向こうでこちらを伺うお婆さんと目が合った。
お婆さんの愛想笑いは、店仕舞いだと訴えている。
「俺の家で飲み直す?」
「んー、そうする」
テギョンは、携帯電話の画面に視線を落としたまま、同意した。
この後テギョンの家に移動したら、朝方、夜勤明けの彼女がやって来そうだから、テギョンの家は却下だ。
ボウォンには悪いが、たまには、男同士で過ごしたいのだ。
「俺の惚気を聞いてもらおうかな」
「お前、彼女いるの?」
「今、微妙な立ち位置」
「それ、惚気じゃなくて恋愛相談だろう」
「そうとも言う」
店の扉を抜けながら、だらだらと中身の無い言葉を投げ合う。
テギョンは、冷気に身を縮みこませて、歩道の縁石の隅に固まった雪を蹴っ飛ばした。




↓ランキング参戦中です。画像をポチっと応援宜しくお願いします
にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
拍手するLINEで送る


【作品名】ラブ アンド ピース

【テーマ】

2017/02/07 Tue. 09:56  tb: 0   コメント: 0

最新記事

目次

テーマ一覧

更新情報 配信中

プロフィール