芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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【成均館 二次小説】ソンジュンの憤懣  

成均館スキャンダル読切

毎日の勉学で縮こまった体を動かそうと、多くの儒生たちが丕闡堂に集まっていた。
ピシッ、ピシッと小気味良い矢の音が空高く響く。
ソンジュンも空いている的を見つけ、弓を構えた。
彼の手を勢い良く離れた矢は、次々と的の中央に突き刺さった。
「没技(モルギ)だ!!さすがイ・ソンジュンだなぁ」
隣の的を使っていた儒生が、敵わないと言った調子で手を打った。
「左手はどうだ?まだ出来るか?」
「どうかな。あれから左手を使ってないから」
「じゃあ、やって見せてくれよ。没技は無理でも、的には当てられるんじゃないか?」
「いや、やめておく。もう必要のないことだ」
「相変わらず堅い男だな。あぁ、つまらん、つまらん」
話しかけてきた男が他の儒生たちの和に加わるためにその場を離れたが、ソンジュンは気にせず矢を打ち続けた。
ソンジュンにとっての大射礼は、周りの皆が考えるほど、良い思い出ではない。
弓の持ち方さえわからなかったユニがハ・インスを打ち負かしたとか、党派を超えた蕩平組が美しい友情で優勝したとか、大射礼は成均館で未だに語られている。
ユニも例外ではなく、その話題になるといつも誇らしげで、「僕はテムルだ」と胸を張った。
もちろん、彼女に言った「君を誇りに思う」は、ソンジュンの本心だ。
今も誇りに思っている。
しかし。

僕が彼女に施した練習法は、あまりに酷い。

憤懣やるかたない、とはまさにこのことだ。
大射礼の話題が出るたびに、自分を殴りたくなる。

僕は何故、ユニが女人だということに気づけなかったのか。

ソンジュンの矢は次第に勢いを失い、四方八方に飛んでいった。



「調子が悪いね」
いつの間にかソンジュンの傍らにユニが立っていた。
「考え事をしてたんだ」
ソンジュンはユニの顔を見ずに答えた。
「君子固より窮す。小人窮すればここに濫す」
そう言って、ユニが笑う。
君子は行き詰まってもみだれることはない。だから、その先に道がある。小人はみだれるから、その先に道はない。
正しき学士たる君が、乱れているの?
「別に行き詰まってるわけじゃない」
わかっていてからかってくるユニが憎たらしい。

君のことで、乱れているのに。

ユニは、憮然としたソンジュンの手から弓矢を奪うと、それらを構え、矢を放った。
しかしその矢は、初めて弓を握ったあの頃のように、頼りなく地面に転がった。
「もう的まで届かなくなっちゃった。練習が必要だね?」
「それは・・・しなくていい」
「でも、君にあんなに頑張ってもらったのに、悪いよ。せめて、的に届くようにしなきゃ。ね、ちょっと見てて。構えは、こう?」
「大射礼は終わった。必要ない」
「もう、わからず屋!いいから、お願い!」
ユニは両手で弓を抱きしめると、ソンジュンににじり寄った。
見上げてくる大きな瞳に、どきりと胸が波打った。
彼女が時折見せる女らしい仕草は、こんなにも可愛らしく、魅力的だ。
だからこそ、弓なんか教えたくないのに。
「・・・わからず屋は君だ。しかし、僕に申し訳ないというのが理由なら、少しだけなら、教えないということもない」
結局、真っ直ぐに見つめられて、ソンジュンは折れた。
ユニは再び弓を構え、ソンジュンは彼女の肩に手を置く。
「もっと胸を開いて」
か細い肩が、引いた弦をそのままためることに耐えられず、震えた。
大射礼の時も、そうだった。
「肩は華奢で狭く、弓を引く力も弱い。呼吸は乱れ、足の踏ん張りもきかない」と口にさえした。
あの時感じた違和感を、何故、追求しなかったのか。

ユニは、こんなにも、女だ。

「やっぱり、やめよう」
ソンジュンはそれだけ言うと、ユニから弓を取り上げた。
「僕は部屋に戻る」
「まだ何も教えてもらってないのに・・・」
後ろでユニが文句を言っているが、ソンジュンは構わず丕闡堂を後にした。
正直、彼女を構う余裕がなかった。
あの時の、肩で息をし必死に自分に食らいついて来たユニが、ちらつく。
自分がしでかした数々の仕打ちを思うと、とても彼女の前に立っていられなかった。

野山を全速力で走らせた。
手から出血をしても、休ませなかった。

彼女を、木に吊るした・・・!

気が付くと、ユニが居眠りをしソンジュンの肩に頭を預けてきた、あの木の前に立っていた。
ユニに寄りかかられて、ソンジュンはそれが至極自然なことのように思えた。
しかし男同士の友情ならば、友を起こして部屋に戻るほうが自然だ。

あの時、多分、僕は君が好きだった。

それなのに。
大射礼だけではない。
杖打大会の時は、もっと乱暴だった。
そう言えば、コロ先輩に襟元を掴まれて、余計に頭に血が上って・・・。
今思うと、あれは全面的に彼が正しい。
あの小さな体を二度も三度も突き飛ばすなんて。
息を吐きだしてみても、心に沈んだ重苦しい塊が出て行くわけもなく。
ソンジュンは、後悔にさいなまれたまま中二房に入った。
ユニが「先に帰ったのに遅かったね」と声をかけてきたが、「すまない」とだけ答えて本を数冊手にとると、それらに没頭した。
否、没頭するふりをした。



点呼の時間が近づいてきた。
各々の部屋に戻る儒生たちの声で、あたりは俄に賑やかになる。
「まだ本を読む気?」
ユニはソンジュンに声をかけた。
しかし彼は、頑なに机の前から動かない。
「何を怒ってるの?」
「君には関係のないことだ」
「関係あるよ。ずーっと僕にあたってるくせに」
「当たってない」
「そうやって無言でイライラしてることが、当たってるってことだよ!」
ユニはソンジュンの手から本を取り上げた。
「ちゃんとこっちを見て!」
観念して正面からユニを見返すと、彼女は心配そうにこちらを覗きこんでいる。
「・・・すまない、君は何も悪くない」
「昼間から変だよ。何かあったの?」
ソンジュンは、小首を傾げるユニを見つめ、今日何度目かのため息をついた。
この後悔と憤りをどこに持って行ったらいいのだろう。



君子固より窮す。小人窮すればここに濫す。
この先も僕が乱れることがあるとしたら、ユニ、それはきっと君のせいだ。





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【作品名】ソンジュンの憤懣

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  イ・ソンジュン 

2013/12/28 Sat. 22:18  tb: 0   コメント: 4

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