芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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【成均館 二次小説】恋は負け戦 - 上  

成均館スキャンダル連載

ソンジュンの毎日は、落ち着かない。
ユニに一方的に想いを寄せていた時も、心を許しあった後も、心のざわつきは収まるところを知らず、日々うるさく主張している。
彼女の一挙手一投足に反応して、くだらない焼きもちを焼いている自覚はある。
「一体なんだ、これは?」
しかし、今度こそは、許容しがたい凶行だ。

『あなたに焦がれています』

中二房のユニの棚からするりと落ちた紙を、何の気なしに拾い上げたら、何処の馬の骨ともわからぬ輩にあてた恋文だった。



ソンジュンは、ユニの棚の前に立ったまま、文に目を通した。
『あなたに焦がれています』
文が始まって早々、愛の告白だ。
達筆なユニの字はいつ見ても見惚れるが、普段の男らしさを意識した角ばった漢字は影を潜め、柔らかなハングルが流れるように紙の上を踊っていて、恋の昂揚が存分に表現されている。
『成均館の青い衣を纏ったあなたを、ただ待ちわびる毎日です』
次の一文で、成均館の儒生に宛てた文であることがはっきりした。
ソンジュンとユニは、待つも何も、中二房で寝食を共にする仲だ。
よって、これはソンジュン以外の誰かへの恋文である。
血が煮えたぎるとはこのことを言うのだろう、血がぽこぽこと気泡を発する音が聞こえると錯覚しそうになるほど、全身が熱い。
いつの間に彼女はソンジュン以外の男と仲良くなったのか。
まだユニと正式な結婚に至っていない。
しかし、右手の薬指に輝く銀の指輪こそが、二人の誓いの証だ。
この誓いを受け入てくれた彼女を信用して、他の男の存在に気付かなかった己は相当な間抜けだが、「だから男だらけの成均館でユニが学び続けることに反対だったんだ」と拳を握りしめたところで、時既に遅し。
書きかけの文は、あなたの背だの、愛しい指先だの、正視しがたい文字がこれ見よがしに散見された。
ソンジュンの手の中で文が、ぐしゃり、と皺くちゃにひしゃげた。



扉が開いた音にソンジュンは気づいたが、彼はユニの棚の前で微動だにしなかった。
「ただいまぁ」
彼の背中に届くユニの声は脳天気だ。
浮気を上手く隠し通せているとでも思っているのだろうか。
それとも、ソンジュンが間男でこの文の相手が本命だから、ソンジュンに知られたところで痛くも痒くもないのだろうか。
「イ・ソンジュン?ただいま」
ソンジュンは右肩を叩かれたのを合図に振り返り、勢い良く手の中の手紙を突き付けた。
「なんだ、これは」
「ちょっと!これ、代筆の仕事なんだけど!」
「代筆?この恋文が代筆なのか?」
「そうだよ。これは結構良い値で貰った仕事だから、丁寧に書いてたのに!こんなに皺くちゃにして」
ソンジュンは、呆気にとられて、ただ、文の皺を伸ばしているユニの手の動きを見つめた。
自分が間男なのか、もう一人が間男なのか。
それしか頭になかったから、突然降って湧いた“代筆”という単語を理解するのに時間がかかった。
だが、苛立ちは治まらない。
間男から代筆業に論点がすり替わったのだ。
「君は、僕がいながら、恋文の代筆を引き受けているのか?」
彼女は、ソンジュンがユニの仕事を駄目にしたと口を尖らせながら、何度か頷いた。
彼女の悪びれない様子が、益々ソンジュンの癇に障る。
頭の動きに合わせて揺れる黒い儒巾(ユゴン)ですら、憎たらしい。
ユニは、いまいち本人の自覚が足りないが、立派な両班の“未婚”の娘だ。
本来なら深窓で刺繍でも刺している身である。
それなのに、すでに三度も艶本を書き写したことをソンジュンに告白し――その時も釘をさしたはずであるが、反省しないどころか、恋文の代筆を引き受けているではないか。
ユニは、あの告白の時に、罪深い筆写を不問にしたばかりか逆に結婚の挨拶をしたいと申し出たこちらの寛大さを、少しぐらい理解すべきなのだ。
「僕じゃなかったら、破廉恥極まりないと、とっくに見捨てられているぞ」
「それなら言うけど。君だって、人のこと言えたもんじゃないよ」
反省していないユニの右手が、ソンジュンの左胸を押しやった。




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【作品名】恋は負け戦

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2015/01/28 Wed. 12:46  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】恋は負け戦 - 下  

成均館スキャンダル連載

「僕のもとに、君宛ての恋文の依頼が来ていることを、知らないでしょ?」
「僕にそんな相手はいない」
「……ヒョウンのことが、あったでしょ?」
「終わった話だ」
「それが終わってないんだよ」
ヒョウンの話は、未だに胸をちくりと刺激する。
ユニも同じなのだろう。彼女は薬指の指輪をくるくると回した。
「今はね、破談になった左議政の一人息子の気を引きたくて、両班から妓生から、貰冊房(セチェクパン)にひっきりなしに頼みに来るんだ。みんな、僕を名指しするんだから、嫌になっちゃう。雲従街(ウンジョンガ)で直接呼び止められることもあるんだからね」
ソンジュンにとって、それは初耳だった。
渦中の自分自身の興味の薄さと裏腹に、ヒョウンとの一件で、イ家の家柄が婚姻において大きな魅力であることは身に沁みているし、ユニとの結婚を公にできないから、他の老論の家から打診があることも、父親から聞いて知っている。
だが、それは家同士の話で、まさか女たちが、ソンジュンの与り知らぬ所で騒いでいるとは想像もしていなかったのだ。
けれど、結局のところ、自分たち二人には、関係ない。
勝手に騒いでいるだけだし、その女たちの顔すら知らないのだから。
「僕は文を貰ったことはない」
「僕が、ぜーんぶ、断ってるから、文は存在しないよ」
「欲しくもない。代筆を頼むような女人はこちらから御免だ」
「知ってる。だから、君も僕を信用するべきだ」
「僕は、女人の嗜みの話をしているんだ」
「そんなの、僕に求めても無駄だって、わかってるでしょ?」
「ああ、わかってる」
ソンジュンは、大げさにため息を吐いて、じっとユニを見つめた。
わかってはいるが、彼女に慎みを求めてはならないという謂われはない。
彼女は、何度か大きく瞬きをして、両手を打った。
「そうだ!君にも書こうか?特別に無料でいいよ」
予想外の申し出だった。
ソンジュンの心の内は、他の男に向けて愛の言葉を綴ることへの焼きもちが、女人の嗜みに欠ける彼女への不満よりも勝っている。
ユニは、全てお見通しなんだろう。
ところが彼女は、ソンジュンがこくりと頷くと、
「その代わり、下書きを書いてよ。僕はそれを清書する」
と、棚から新しい紙を取り出してひらひらと振った。
「僕宛ての恋文を僕が考えるのか?おかしいだろう?」
「これだって、冊儈(チェクケ)(*)と綿密に打ち合わせしたんだ。こういう風にね。僕に内容まで考えさせるなら、別料金をもらわなくちゃ」
ユニは、手早く文机を床におろし、しわくちゃの紙を広げた。
打ち合わせた文言を筆軸の尻でひとつ残らず示していく。
さも、これぐらい細かく指定してもらわなきゃ書けないよ、と言わんばかりだ。
ソンジュンは文机に向かったユニの前に陣取って、腕を組んだ。
「君が考えろ」
ソンジュン宛ての文なら、前準備なんて必要ない。
思いの丈をぶつけてくれればいいだけだ。
大体、日頃から不満に思っているのだが、ユニは愛情表現が希薄だ。
文の一通ぐらい、偶には書いてくれたっていいではないか。
「君は名文家だ。僕への想いを文にすることなんて、容易いはずだ」
「一緒にいるのに、そんなの、まどろっこしいよ」
ユニは、他人事のように瞳をくるりと回した。
「まどろっこしいとは、なんだ、その言い草は!」
ソンジュンは上半身を前にせり出して、ユニに迫った。
勢い良く文机に両手をついた拍子に、文机がぐらりと揺れた。
ユニは、硯に筆を置いて、うーん、とソンジュンの目を覗きこむ。
と思ったら、ユニの両手がソンジュンの項を引き寄せた。
あっという間もなく、ユニの唇がソンジュンの唇に重なった。



「これじゃ駄目?」
「駄目じゃない」
「納得してもらったから、僕は仕事をするよ」
ユニは、文机に新しい紙を広げながら、君のせいで初めからやり直しだ、と口を尖らせた。
頬がだらしなく緩みそうになるのを努めて引き締めながら、ソンジュンは再び腕を組んだ。
「それは、誰宛ての文なんだ?」
「秘密。この仕事は信用で成り立ってるから、お客様の秘密は話せません」
「内容が恋文ならば、僕には知る権利がある」
ユニはうるさそうにソンジュンを見やり、それから何も言わずに視線を紙に戻した。
ソンジュンは、だが、ここで負けるつもりはない。
この文を受け取るのは成均館の儒生だから、ユニも知っている相手だ。
たとえ代筆でも、相識の男を思い浮かべながら愛の言葉を綴るユニを目の前で眺めて、黙って了承するほど、寛容である必要はないと思うのだ。
「ええっと?……愛しいあなたの……」
聞いているそばから、“愛しい”と来たものだ。
ソンジュンは、ユニが筆を落とそうとした紙に、手のひらを叩きつけた。
「誰なんだ?」
「もう!」
頬に筆軸の尻をぐいと押し付けられた。
ソンジュンが痛いと顔を顰めても、ユニの力は弱まらない。
「邪魔するなら、二度としないからね?いい?」
「はい」
思わず、犬がお手をするように、即座に返事をしてしまった。
そして、おとなしく立ち上がってしまった。
接吻を二度としないと言われてすごすごと退散し、今は自分の文机を用意しているのだから、君子が聞いて呆れると、イ家の先祖が草葉の陰で泣いているに違いない。
だが、ユニの「二度としない」の威力は絶大だ。
以前も、そう言い切った彼女の機嫌を直すために一計を案じ、危うくミョンシクを巻き込むところだった。
そんな過去も内包する威力絶大の一言で覇気も萎み、手持ち無沙汰になって無意識に起こした行動が文机を用意する、だ。
己にはこれしかないのかと情けなくなったが、しかし、他に為す術がないのだから仕方がない。
適当に棚から取った本を開きながら、集中すべく文机の前で姿勢を正した。
「ねえ」
呼びかけられて顔を上げると、彼女は文に視線を落としたままだった。
「終わるまで待てたら、もう一回してあげる」
「はい」
また、素直に返事をしてしまった。やはり、情けない。
だが、ユニがそう言うなら、黙って待とうではないか。
ソンジュンは、唇の両端が上がっては引き締める、を繰り返しながら、おとなしく文机に向かって本の頁をめくり続けた。
*冊儈(チェクケ)……貰冊房の主人

二度としないからね!
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【作品名】恋は負け戦

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2015/01/29 Thu. 11:20  tb: 0   コメント: 4

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