芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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キスしていいよ 一覧

【スリーデイズ 二次小説】キスしていいよ - 1  

3days(スリーデイズ)連載

ドラマ最終話のネタバレを含んでいます。ドラマを未視聴の方は、ご注意下さい。

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テギョンは、ボウォンの手料理をたらふく食べて、食後のコーヒーをソファーで楽しんでいる最中に寝てしまった。
彼がボウォンの部屋でゆっくり食事をとったのは、初めてだ。
食べられる時に食べておく、の言葉通り、ボウォンが用意した四人前は優に超える量の料理をぺろっと平らげた。
そして今、彼の頭は右へ左へと船を漕いでいる。
柔らかく緩んだ眉根や少しだけ開いた口が、いつもより彼の顔立ちを幼く見せていた。
テギョンの視線がプライベートでも刃のように鋭いのは、職業病だろうか。
口は常に一文字に結ばれて、時折顔の緊張が溶けて微笑らしきものが浮かぶが、それも口角が上がっているのかどうか疑わしいほど、僅かに唇を動かすだけだった。
まだ笑顔を見たことがないボウォンが、その一瞬を見逃さないように一挙手一投足を注視していることに、彼は気付いていないらしい。
彼がそんな仕草を見せる時はいつも、横へ視線を流してしまうのだ。
ゆっくりと揺れていたテギョンの頭は、やがて、かくんと右肩に落ちると、そのまま止まった。
ボウォンは、寝室でタオルケットを引っ張りだした。
日増しに気温が上がっているが、夜はまだ冷える。
警護官の体調不良は厳禁だ。
リビングに戻った彼女は、タオルケットを広げた。
けれど、もう少し彼の寝顔を眺めたくなって、タオルケットを掛けようとした手を止めた。
テギョンの足元にタオルケットを抱えてしゃがみ込む。
静かな寝顔は、下から見上げても、いつもより幼く見えた。
「ありがとう」
何度も命を救ってくれたこと。
ここで眠ってしまうほど、心を許してくれたこと。
彼女は、ソファーの肘掛けに手をつき、背中を伸ばして、無防備なテギョンの唇に、そっと自分の唇を重ねた。
胸の奥がきゅっと締め付けられて、数秒にも満たないほどの短い接触で、彼女は体を離す。
「二回目」
声は出さずに口だけ動かした。
これは、テギョンは知らない二回目のキスだ。
ところが、彼女が立ち上がる前に、テギョンはぱちりと目を開けた。
「ユン・ボウォン、警護官の隙を突くのか?命知らずだ」
「起きてたの?」
「今、起きた」
突然、テギョンの左手がボウォンの喉を捕えた。
「僕に気絶させられたこと、忘れた?」
ボウォンは、目を丸くしてテギョンを見返す。
彼は、微かに口角を上げた。



二人のファーストキスは、一ヶ月前だった。
ボウォンは、ソウルの部屋が見つかったら知らせるとテギョンに約束していた。
「私は警察官だから、危険な地区や犯罪を誘発しやすい建物の構造は、よく分かってます」
彼女が、こう文句を言いつつテギョンに部屋探しに同行することを許したのは、約束から一週間を過ぎた頃だ。
“安全に配慮するように”とのメール攻勢に根を上げた形になるが、本当は、こそばゆかった。
警察官である彼女を、か弱き存在として扱った男は、テギョンが初めてだ。
もともと、勝ち気な性格である上に警察官に必須の諸々の技術、つまり格闘技や射撃が加わったものだから、軍隊を経験したはずの男たちにも女として見てもらえなかった。
さすがに恋愛が皆無だったわけではないのだが、大抵「俺よりも逞しい」とか「君は一人でも生きていける」なんて言葉とともに、恋は儚く消えていった。
女だからって舐めないで、と言い返してしまう己も問題ではある。
だが、テギョンは、他の男とは一線を画していた。
はじめから、圧倒的に。
だから、あの生死の境に張られた絹糸の上を渡るような緊迫した日々の中、父や仲間の死、それにキム・ドジンとの戦いに苦しんでいて恋どころではなかったであろう彼を好きになってしまったのは、必然だった気がする。
彼には、舐めないで、なんて口答えする隙は一寸たりともなかった。
慣れない“守るべきか弱き存在”の立場に、ときめいてしまう。
部屋探しに同行する約束を取り付けた後のテギョンは、結局、ボウォンと非番のタイミングが合わず、焦れていた。
飾り気のない簡素な発言は苛立ちを隠していなかった。
ボウォンが最終候補を三つに絞り込み、今日はその内の一つと契約しなければ、という段階になってようやく非番が回って来てカフェで落ち合えた時は、大統領警護の真っ最中のような険のある目つきで席に座った。
「大丈夫そうですね」
候補の部屋の間取りをボウォンの携帯電話の画面で確認して、彼はやっと肩の力を抜いた。




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【作品名】キスしていいよ

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン 

2014/12/30 Tue. 14:01  tb: 0   コメント: 2

【スリーデイズ 二次小説】キスしていいよ - 2  

3days(スリーデイズ)連載

ドラマのネタバレを含んでいます。ドラマを未視聴の方は、ご注意下さい。

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不動産屋の案内人は、親切な女性だった。
うるさく動いているわけではないが、あちらこちらと鋭く視線を動かすテギョンに、嫌な顔をしない。
部屋の確認が終わってマンションの玄関へ向かう最中も、彼の目だけは忙しかった。
「もしかして、脱出ルートの確認をしていますか?」
「はい」
小声でボウォンが聞けば、即答だ。
「部屋で何か起こったら、一人で逃げなくてはなりません」
続けて大真面目に言うものだから、ボウォンは思わず人差し指を唇に当てた。
だが、テギョンの発言は案内の女性の耳にも届いてしまったらしい。
彼女は、優しく微笑みながら、ちょうどやって来たエレベーターの扉を手で押さえて二人が先に入るように促した。
「可愛らしい方ですもの。心配ですよね」
彼女が、部屋を契約するのはユン・ボウォン“巡査”だと知っていたら、こんな同意の仕方はしなかったはずである。
あとで、契約書に職業を書かなくてはならないのだ。過保護だ、と内心笑われるんじゃないかと思うと恥ずかしい。
しかも「心配ですよね」なんて、テギョンとボウォンが恋人同士なのも了承済みであるかのような言い様だ。
互いに好意はあるはずだが、まだどっちつかずの微妙な時期に、この扱いは少し気不味い。
何も言わずに真顔で立っているテギョンと、訳知り顔で笑みを浮かべる案内人に挟まれて、ボウォンは取り繕うように愛想笑いを浮かべた。
幸いなことに、最終候補の三つの部屋の内、ボウォンが気に入った部屋と、テギョンのお眼鏡に叶った部屋は、同じだった。
不動産屋に戻り、早々と契約を済ませる。
契約書の勤め先を見て、やはり案内の女性は驚いたようだ。
いたたまれなくなったボウォンは
「青瓦台に戻らなくていいんですか?ハン・テギョン警護官」
と、女性の意識がテギョンに向かうように仕向けた。
普通の人にとっては巡査は屈強な人間かもしれないけど、選ばれし警護官の目からみたら、巡査なんて赤子のようなものなんです、と。
案の定女性は、まあ!と高い声をあげてテギョンに釘付けになった。
「今日は非番だとお話したはずです。行きましょう」
途端に熱視線を送り始めた女性に会釈すると、彼は席を立ってしまった。



外へ出ると、すっかり日は落ちていた。
等間隔に並ぶ街灯が、車道も歩道もオレンジ色に照らしている。
「ソウルは、明るいですね」
高層ビルの屋上の看板までライトアップされているから、ボウォンはその中の一つを見上げて言った。
「危ない!」
いきなり手を引っ張られて、テギョンの胸が目前に迫る。
気付けば、彼の腕の中だった。
彼の背中の後ろを、すみません、と謝りながら自転車に乗った若者がすり抜けた。
「ソジョ行きのバスまで、まだ時間はありますよね?」
テギョンが腕時計を確認した。
ボウォンの頬は、まだ彼の胸に当たっている。
左手をテギョンの右手に強く引っ張られたままで、体を離せないのだ。
柔らかくて薄いニット越しの固い胸板から、胸の鼓動が聞こえる。
途端に緊張で胸が詰まって、声が出なくなった。
胸に顔が当たったまま二度頷くと、彼は一歩後ろに下がって、やっと体が離れた。
ボウォンは、あの、と繋がれたままの二人の手に視線を落とした。
彼の大きな右手が、左手を包むように握っていた。
「嫌ですか?」
「いいえ、でも」
テギョンは、黙って彼女の顔を見つめた。
彼は、良くこんな目をする。
初めてテギョンの部屋に行った日も、チャヨンの病室で別れの挨拶をした時も、ボウォンの本心を探るように、まじまじと彼女の顔を見た。
そうやって見つめられると、失言した気分になって焦燥感で鼓動が高まり、この会話を早く終わらせてしまいたくなる。
「いいえ、嫌じゃないです」
テギョンは、何も言わずに歩き出した。一歩後ろをボウォンが続く。
テギョンの肘がぐいと曲がって、彼女はつんのめるように隣に並んだ。
「警護官、あの」
綺羅びやかなソウルの街を、好きな人と手をつないで歩く。
夢の中のようにロマンチックだ。
黙々と進むテギョンの生真面目な横顔も、この近い距離でずっと見つめていたくなるほど、魅力的だった。
「私たち、付き合ってるんですか?」
ボウォンが、物事の白黒をはっきりさせたい自分の性格に嫌気が差すのは、こんな時だ。
このまま素直に彼に従っていれば、甘い時間は続くのに、聞かずにはいられない。
いい年をした男女が手を繋いでいるのだから、“そう言う”関係なんだと捉えるほうが自然である。
テギョンは、出来心で手を繋ぐような軽い男にはとても見えないし、他の男に微笑むな、と釘を刺すぐらいだ。ボウォンに好意を寄せてくれているのは明らかだ。
これだけ沢山の“証拠”があるのだから、あとはテギョンのリードに身を任せればいい、とわかってはいる。
でも、全部“状況”証拠だ。
“物的”証拠を確認するまで落ち着けないこの性格が、本当に嫌になる。
言ってしまってから、妙に尋問口調だったと気付いて、ボウォンは立ち止まった。
彼女に合わせて、テギョンも足を止めた。
ゆっくりとボウォンに向き直ると、いつもの抑揚のない声で彼女が欲しい答えをくれた。
「僕は、そうなりたいと思っています。ユン巡査は?」
「私もです。でも」
テギョンは、またあの目で、ボウォンをじっと見た。




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【作品名】キスしていいよ

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン 

2015/01/08 Thu. 03:05  tb: 0   コメント: 4

【スリーデイズ 二次小説】キスしていいよ - 3  

3days(スリーデイズ)連載

ドラマのネタバレを含んでいます。ドラマを未視聴の方は、ご注意下さい。

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「イ・チャヨン警護官とは」
どういう関係ですか。
後半は言えなかった。
ずっと気になっていたのだ。
テギョンとチャヨンの信頼関係は、ボウォンが割って入れるものではなかった。
テギョンは、チャヨンの裏切りを疑ったボウォンを真っ向から否定して「僕は誰よりもイ・チャヨンのことを良くわかっている」とはっきり告げたことすらある。
チャヨンの名を出したボウォンの意図を、テギョンは敏感に察知した。
「仲間です」
そして迷いもなく答えてくれた。
けれど、ボウォンの気持ちは晴れない。
今は仲間でも、昔は?テギョンが何も感じてなくても向こうは?

ああ、こんなところばかり女っぽい。

変なことを言い出しても、テギョンは変わらず手を握ってくれていた。
だが、本音を見透かすような彼の両目は、動かずにじっとボウォンを見据えている。
怒らせたかもしれない、とボウォンは笑顔を作った。
その笑顔も、我ながら引き攣った顔をしているんだろう。情けなくて俯いた。
「ユン巡査、こっちへ」
テギョンが、くるりと体の向きを変えて、彼女の手を強く引っ張った。
大通りを外れて街灯が一つもない小道へ入ってから、彼はボウォンに向き直る。

怒らせちゃった。

大通りの灯りが辛うじて届き、テギョンの右頬をオレンジ色に照らしていた。
瞳は、やはり、あの静かな漆黒だ。
この目で見られると、幼い焼き餅でむくれている馬鹿な女だと言われているような気分になったが、でも、ここで可愛く文句を言えるほどの女らしさも持ち合わせていない。
「安心できませんか?」
抑揚はないけれど、穏やかな声だった。怒っているわけではないらしい。
こんな時、なんて答えればいいんだろう。
気分を害したいわけではないのだ。それだけは伝えたくて、テギョンの手を強く握り返した。
首筋に手の平を当てられて、促されるように彼を見上げると、唇に、温かい唇が落ちてきた。



ゆっくりと唇が離れ、首に当てられたテギョンの手も下がった。
心臓の中心が跳ね返って、でも、体は麻痺したように動かない。
「ユン巡査」
まるで操り人形のようにテギョンの声に導かれて、ボウォンは彼と視線を合わせた。
夜の海のように静かで深い彼の瞳に、吸い込まれそうになる。
彼女は、また、彼の手をぎゅっと握った。
「ユン・ボウォンさん」
低いけれど丸みを帯びた柔らかい声が名前を呼んでいる。頭の芯がぼうっとした。
彼は、小さく息を吐いた。
それすら、スローモーションで再生された映像のようで、見惚れてしまった。
「好きです」
早く言わなくちゃ。惚けた頭の片隅で、それだけが信号のように点滅した。
「私も、ハン・テギョンさんが、好きです」
素直に言えた。
さっき不安をぶつけた時は、喉につかえて言えなかった一言が、魔法にかかったように簡単に言えてしまった。
ボウォンは、照れくささを、前髪を押さえてごまかした。
テギョンは、ぷいと横を向いた。




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【作品名】キスしていいよ

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン 

2015/01/11 Sun. 16:44  tb: 0   コメント: 11

【スリーデイズ 二次小説】キスしていいよ - 4  

3days(スリーデイズ)連載

ドラマのネタバレを含んでいます。ドラマを未視聴の方は、ご注意下さい。

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まだ時間があるから食事をしようと言うテギョンに、ボウォンは首を左右に振った。
レストランに入ったら、向かい合って座らなければならない。
繋いでいる手を離したくなかった。
結局、ソジョ行きのバス停のベンチで、バスを何本も見送った。
無数に行き交うヘッドライトが煌めいていて、まるで街がイルミネーションで彩られているようだ。
左隣には、黙って前を見ているテギョンがいて、時々、ぎゅっと温かな手で繋いだ手を握り返してくれる。
だから、会話はないけれど、とろけそうなほど幸せだった。
二人の共通の話題は未だ生々しいあの事件の記憶だけだ。
テギョンが、内に抱えた暗然たる思いとなんとか折り合いをつけて日々を過ごしているのは、想像に難くない。
ボウォンでさえ、今も熱い爆風が夢に出る。
それを敢えて取り上げるのは嫌だった。
「テギョンさんが好きです」
言い足りなくて、前を見たまま言った。
一緒に戦っていた時はちゃんと彼の目を見れたのに、照れくさくて、隣を見れなかった。
「僕も好きです」
繋いだ手が一瞬揺れて、テギョンももう一度言ってくれた。
嬉しくなって隣をちらりと見やると、やっぱり、彼も前を向いていた。



ぐうとお腹が鳴って、ボウォンは慌てて空いている右手でお腹を押さえた。
「お腹が空きましたか?」
この至近距離だ。彼もしっかり空腹を訴える音を聞いてしまったらしい。
銃に撃たれたり爆風に飛ばされたり、今まで何度か、お腹の音よりもっと情けない姿を見られている。
そのはずだけれど、正気の時にこんな失態は、穴があったら入りたいほど恥ずかしかった。
「大丈夫です」
慌てて否定した自分の声は、酷く堅苦しい。せっかくの甘い雰囲気も台無しだ。
「あっ」
だが、その雰囲気を取り戻す策より先に、テギョンの習慣を思い出した。
彼は食べられる時に食べなければならないはずだ。
ここで自分に付き合っていたら、明日の仕事に支障が出てしまう。
「テギョンさんは今の内に食べなきゃ」
一直線に立ち上がった彼女は、ベンチに座っているテギョンを振り返った。
「僕は、こうしていたいです」
テギョンは、繋いでいる手を胸に引き寄せて、ボウォンをベンチに座らせた。
「でも」
「寝る前に食べますから、大丈夫です」
早口だった。
照れくさい時に、会話を切り上げて逃げようとするのは、この前知ったばかりの彼の癖だ。
その姿を見てしまうと、笑顔になるのを止められない。
ボウォンは、前に体を傾けてテギョンの顔を覗き込んだ。
「今日も、たくさん食べるんですか?」
「はい。何を食べようかな。ボウォンさんは?」
「冷蔵庫に野菜スープの作り置きがあるから、それを食べます。テギョンさんは、料理をするんですか?」
「父と、子供の頃によく作りました。大人になってからは、お互い忙しくて、ほとんど自炊してません」
確かに、何度か泊めてもらったテギョンの家の冷蔵庫は、飲み物とレトルト食品ばかり入っていた。
男所帯ならこんなものかと、微笑ましかった。
「今度、ボウォンさんが作った料理を食べたいです」
「じゃあ、今度」
「はい、今度」
テギョンが、真顔でリクエストをくれた。
近い将来に実現しそうな甘えを含んだ約束事は、如何にも恋人同士の甘酸っぱいそれで、ボウォンの胸をくすぐる。
きっと、テギョンも同じ気持ちだ。
頷いた彼の頬が、少しだけ緩んでいた。




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【作品名】キスしていいよ

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン 

2015/01/21 Wed. 10:50  tb: 0   コメント: 2

【スリーデイズ 二次小説】キスしていいよ - 5  

3days(スリーデイズ)連載

ドラマのネタバレを含んでいます。ドラマを未視聴の方は、ご注意下さい。

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ボウォンがソウルに越して来るまで、まめに連絡を取り合った。
互いに夜勤もある身で、自由になる時間はすれ違いばかりだったが、休み時間に携帯電話の着信を告げるランプが点滅しているのがふと目に入るだけで、どろどろに疲れた体から力が抜けた。
あの夜のたった一度のキスで、チャヨンの存在が気にならなくなったのだから、我ながら単純だ。
久しぶりの恋でいとも簡単に浮足立った足取りは、周りの署員のからかいの種になってしまった。
もっとも、田舎からソウルに栄転するお上りさんが浮かれてるとの誤解なのだけれど。
しかし、テギョンの警護官仲間には、すっかり関係が知られてしまっている。
あれだけテギョンと行動を共にしたから、青瓦台の警護官には、顔を覚えられていた。
彼らは、二人の微妙な距離にも何かしら思うところがあったのだろう。
その手の好奇の視線がテギョンに集中していた矢先に、ボウォンを警護してくれたあの彼が「テギョンが花を贈った」と他意なく青瓦台で触れ回ったらしい。
ここまで来るともうテギョンに逃げ場はなく、仲間たちは、青瓦台の緊張続きの毎日の格好のストレス解消の標的として、彼に照準を定めた。
辟易した彼は、相変わらず言葉少なだが、電話越しで青瓦台は居心地が悪いと消沈した。
二人とも、己の仕事に誇りを持っている。
故に、愚痴は少ない。
安易に外へ公務内容を公表するわけにもいかないから、仕事の話そのものが少なかった。
だが「愛国心が歩いている」とからかいたくなるほど忠誠心を燃やしているテギョンが、居心地の悪さ以外にも、仕事の愚痴めいた言葉をボウォンに漏らすことがあった。
愚痴と言っても、ふとした瞬間に疲れたと零す程度のことだが、ボウォンの胸はきゅんと高鳴る。
相当疲弊していたに違いない、本人は零している自覚すらないぐらい、小さな愚痴である。
だから舞い上がって
「もっと言って。あなたの疲れを癒やしたいの」
などと定番の発言をしようものなら、せっかくの恋人の特権を失うことになりかねないのだ。
彼は警護官のプライドにかけて、金輪際、愚痴を言わなくなるだろう。
口数が少ない彼との電話は、客観的に見れば、いまいち盛り上がりに欠けるぼそぼそとした会話だが、ボウォンの心臓は毎回壊れそうなぐらい音を立てていた。
少ない機会を利用した電話の逢瀬ではあったが、電話から離れた時間も、周囲からからかわれるほどに足取り軽く仕事をこなしてしまえるのだから、気恥ずかしいが、恋の威力に平伏すしかない。
電話の回数が重なると、互いに余所余所しい敬語も取れてくる。
そして、なんとなくテギョンの取扱説明書のようなものが頭の中に構築された頃、ボウォンはソウルに越した。



荷物の殆どは引っ越し業者が部屋に上げたが、細々としたものが、どうしても残ってしまう。
新しく購入した中古車に載せて来た残りの荷物は、自力でマンションに運び入れるつもりだった。
地下駐車場でトランクをあけて、一番重たいダンボールを抱えた。
部屋と駐車場を何往復もしなくてはいけないから、体力がある内に、重たい物から運び入れたい。
両手が塞がった状態でトランクのドアをどうやって閉めよう?とドアを見やったら、手伝いに来てくれたテギョンの二本の腕が、ダンボール箱を取り上げた。
「テギョンさん、大丈夫よ。私、腕力あるから」
ボウォンの口から大丈夫という言葉が自然に出た。
悲しいかなガッツポーズまで披露してしまったのは、染み付いてしまった警察官の性である。
市民のために何事も率先して手を上げて然るべき警察官として、また、ソジョでお爺さんやお婆さんの何でも屋として働いていたせいで、プライベートでも、可愛さより頼りがいをアピールしてしまうのだ。
テギョンは、すっと目を細めて、
「僕より?」
と言ったと思ったら、即座にボウォンに背を向けてエレベーターに向かった。
虚を突かれたボウォンの返事を待ちもしなかった。
有無を言わせない一言を開口一番繰り出すのは、彼の得意技だ。
ぐうの音も出ない正論や、女心を刺激する一言、例えば「自分の目で君を見ていれば落ち着く」など、本人は端的に結論を説明しているつもりのそれらは、刺激が強過ぎる。
今だって、僕より力があるわけないだろうと決め付けられてしまったら、年甲斐もなく乙女心全開でときめいてしまう。
テギョンは、どこまで自分を夢中にさせれば気が済むんだろう。
破裂寸前の心臓を押さえたボウォンは、片手で持てる軽い荷物をトランクから拾って、彼の後を追った。




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【作品名】キスしていいよ

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン 

2015/01/22 Thu. 09:26  tb: 0   コメント: 12

【スリーデイズ 二次小説】キスしていいよ - 6  

3days(スリーデイズ)連載

ドラマのネタバレを含んでいます。ドラマを未視聴の方は、ご注意下さい。

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車の荷物を運び終えると、テギョンは、持って来た木刀を全ての部屋に立て掛けた。
家主の了承を得ず、当然のことのように木刀を置いていく姿が、なんだかおかしい。
思わず吹き出したボウォンを、彼は非難めいた目で見る。
「玄関とベランダだけで充分よ」
それなりにインテリアを考えて雑貨や家具を選んだ部屋に、木刀は馴染まない。
女らしく白を多用したのに、真っ黒の木刀は、黒いというだけで強い存在感を放っていた。
警長だし、自分もその辺の男ならなぎ倒す自信はある。
あの事件の時は、それなりに体を張ったつもりだ。
だから、本来なら木刀は一本も必要ないと思うけれど、テギョンに免じて譲歩した。
「君は甘い」
「VIPじゃないから、誰も私のことなんか気にしてないわよ」
そもそも、テギョンが安全だと同意して決めた部屋だ。
彼が同意した根拠の一つが、自分のマンションと近いし警察が重点的に見回りをしているエリアだ、なのに、まだ足りないと言うのだから過保護にも程がある。
警察のステッカーを玄関ドアにでも貼れば満足かしら、と冗談を返したら、彼は真面目な顔でボウォンを諭そうとした。
「僕が一緒なら、木刀は持ってこない」
「やっぱり、テギョンさんの家に行けば良かった?」
「ユン・ボウォン!」
以前、カフェで「近頃は君を守れない」と言い訳をして慌てて席を立ったテギョンは、可愛かった。
今も一緒だ。
普段はじっとこちらを見るくせに、視線を落としてしきりに瞬きをしている。
「ピザを頼もう」
テギョンはパンツの後ろポケットから携帯電話を取り出して、やたらと指を動かしながらピザを選び始めた。
そして注文ボタンを押すやいなや、飲み物を買ってくると言って出て行ってしまった。
ピザと一緒に注文すればいいのに、敢えて頼まなかったに違いない。
暫くしてペットボトルが入ったビニール袋を下げて帰ってきた彼は、外の空気を吸って落ち着いたのか、何食わぬ顔でキッチンへ入ってコップを手に取った。



ソジョのパトロールルートでは、下校中の高校生カップルが手を繋いで、また時折人目を忍んで、軽いキスをしていた。
ボウォンが、自分とテギョンを彼らに重ね合わたのは、テギョンには言えない秘密だ。
好きだと告げられた夜のことは、何度も反芻している。
思い出すたびに舞い上がってしまうが、客観的に考えると、横道でキスしたり、バス停で手をつないだり、いい年をして高校生と変わらない青臭さで、一人で赤面した。
それがまた恋の醍醐味だとも思うから、青臭さも甘受しているけれど。

またキスするのかな。

越して来る前は、ぼうっとそんな想像をして、顔を熱くした。
これも絶対にテギョンには言えないが、実は、それ以上、も頭を掠めた。
大人なのだし、そういうことも時と場合によっては有り得る。
「時と場合って、何?」
引っ越し準備で訪れた家具屋のベッドの前で、テギョンに押し倒される様が浮かんでしまって、一人慌てた。
時と場合を想定する前に全身が爆発寸前になり、最終的に恋愛の初期段階に戻って、キスするのかな、に落ち着いたのだ。
すると今度は、いつどこでキスするんだろう、とあらゆる情景が頭を巡る。
この前のように暗い所でされるのかな?と顔を手で扇いだり、外だと職場の人に見られてしまうかもと心配したり、忙しいことこの上ない。
いざ見られた時に備えて、言い訳まで考えてしまう始末だ。
しかし、ボウォンのそんな淡い期待は、今のところ現実になっていない。
ソウルに越してからも、二人の時間が取れない状況はあまり変わらなかった。
やっと会えても、食事を早々と済ませて、ソウルの街を歩きながら近況報告をするのがせいぜいである。
手は繋ぐのだが、気付いたら、何も起こらないままボウォンのマンションの前に到着している。
キスして?過去の自分は言えた。
逞しい経歴としっかり者の性格が、自分の壁も相手の壁も取り払っていた。
だが、人生で初めて、実の親も敵わないほど過保護なまでに徹底的にお姫様扱いされて、どんな顔を向ければ良いのかわからない。
心配されてつい反論しても、最終的にこの扱いに収まるのは、嬉しいからだ。
居心地だっていい。
だけど、調子が狂う。
結局いつも、良い子の顔で別れの挨拶をしてデートは終わった。




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【作品名】キスしていいよ

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン 

2015/01/25 Sun. 02:54  tb: 0   コメント: 8

【スリーデイズ 二次小説】キスしていいよ - 最終話  

3days(スリーデイズ)連載

ドラマのネタバレを含んでいます。ドラマを未視聴の方は、ご注意下さい。

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二人とも明日は休みだった。
テギョンより早く仕事から上がったボウォンは、休む間もなく料理に取り掛かる。
お洒落なメニューより韓国料理の方が喜んでくれるような気がして、定番料理を沢山作った。
あの食べっぷりである。
テギョンの食欲を満たすために、スーパーのビニール袋二袋分の食材が全てテーブルに並んだ。
彼がボウォンの部屋を訪れるのは、引っ越し以来だ。
玄関で迎え入れた時は、二人とも照れてしまって、もぞもぞと挨拶をした。
美味しい。シンプルな絶賛と相変わらずの食べっぷりで、テーブルの料理は米粒一つ残らずテギョンの胃に収まった。



ソファーでうたた寝をするテギョンを眺めていたら、思いが溢れて、自分からキスをしてしまった。
キスして欲しいなんてぐずぐず考えていた記憶は、消えていた。自然に顔を近づけたのだ。
「僕に気絶させられたこと、忘れた?」
テギョンに急所を捉えられて、体が硬直する。
大胆不敵な男が仕事中と同じ目で冗談を言うのだから、本当に質が悪い。
微かに口角が上がっていなければ、この首を押さえる左手に息の根を止められると勘違いしてしまうほど、凄みがある。
「私だって、警長だけど」
別の意味で心臓が止まりそうになりながら、ボウォンは言い返した。
テギョンの距離が近いのだ。

息がかかっちゃいそう。

中途半端に倒した体を起こそうとしたら、テギョンの右腕に、ぐっと腰を引き寄せられた。
膝が落ちて、床に立膝になる。抱いていたタオルケットがテギョンの膝に落ちた。
首に当てられていたテギョンの左手が、額を隠す前髪を上げる。
拳銃を握り人を撃つことを宿命付けられた長い指が、柔らかく額を撫でた。
「まだ痕が残ってる。女の子のなのに。僕のせいだ」
血が滲んでいた肌は滑らかになって絆創膏も取れたが、鈍い紫色の痣が残ってなかなか消えなかった。
けれど警察官にとって、この程度の傷は日常に過ぎない。
「私が自分からやったことだから、そんなふうに考えないで。テギョンさんだって、ここ、まだ痛いでしょ?」
ボウォンが銃弾が掠めたテギョンの左腕に手の平をあてると、彼は、これぐらい何でもないと言って、またボウォンの額を撫でた。



キム・ドジンとの最後の決戦の日、青瓦台から銃撃戦や爆発の状況、殉職者の数の連絡が入る度に、動転する頭をなんとか落ち着かせて容疑者の言葉に集中していた。
だが、キム・ドジンが死んで、テギョンが大統領と共にヤンジン里から帰ってきた時、血の滲んだ左腕をみて、背筋が凍った。
帰ってきた彼は、言葉だけで認識していた現実をボウォンのもとに運んできた。
だから安堵よりも、現場の凄惨さに、戦慄したのだ。
気持ちが落ち着いたら、今度はテギョンの腕が動かなくなったらどうしようと、気を揉んだ。
彼にとって、左腕は命だ。
命と同じぐらい大切な警護官の仕事を奪われたら、彼は立ち直れなくなる。
それで、思い知ったのだ。
テギョンが命を奪われるぐらいなら、何度でも、火の中に飛び込めるんだってことを。



「するなら、僕が起きている時に」
何の話かとテギョンの瞳を見返したら優しく唇を奪われて、慌てて目を閉じる。

あ、三回目。

想像と全く違うシチュエーションにどぎまぎしている間に、テギョンの唇は離れた。
「気付かなかったら、意味がない」
ボウォンがこっそりキスをしたことを言っているのだと思い当たって、それ以上彼の瞳を見られなかった。
テギョンの左腕に置いた右手も落ち着かなくなり、その手を額に持って行く。
私って髪の毛を触って誤魔化してばっかり。と、手櫛で前髪を流しながら何と返事すべきか困っていたら、テギョンの左手が頭を包んだ。
そのまま押されて彼の肩口にぽすんと額が乗り、あっという間に、大きな胸の中に収まった。

素直に甘えちゃって、いいのかな。

腕の中は居心地が良くて、肩に頭を乗せたまま
「うん。そうする」
と答えた。
「これが邪魔だ」
テギョンは、二人の間で中途半端に丸まったタオルケットを引っ張りだして、体を起こしたボウォンをもう一度腕の中に迎え入れた。
テギョンの表情はいつも厳しい。なのに、腕の中は温かい。
そろそろ彼は帰らなくてはならない。でもあと五分だけ、この腕の中にいたい。
ボウォンの初めての我が儘は、何も言わなくても、テギョンに伝わったらしい。
彼は、もう少しここにいる、と言ってくれた。




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【作品名】キスしていいよ

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説    テギョン×ボウォン 

2015/02/02 Mon. 15:42  tb: 0   コメント: 12

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