芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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3days(スリーデイズ)読切 一覧

【スリーデイズ 二次小説】ボディーガード  

3days(スリーデイズ)読切

ドラマ最終話のネタバレを含んでいます。ドラマを未視聴の方は、ご注意下さい。

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ボウォンの携帯電話にテギョンから電話がかかってきたのは、シャワーを終えてドライヤーで髪を乾かしている最中だった。
彼は、まめに電話やメールをくれた。
一つ一つは短いし、まるで業務連絡の申し伝えのような口調ではあったが。
ボウォンはわかっている。
彼は、ボウォンの身の安全が気がかりなのだ。
彼女が、キム・ドジンは死に、彼が雇っていたテロ集団も一網打尽にしたから、もう安心だと笑ったら、まだ残党がいるかもしれない、と真面目な顔で言い放った。
少し過敏になっているのだろう。
大統領とキム・ドジンの直接対決でテロ事件が幕を閉じたあの日から、まだ日が浅い。
仲間の警護官が次々に命を落とし、その凄惨な場面全てに彼は立ち会っている。
大きな事件で皆が忘れがちだが、一連の事件が明るみに出たきっかけは、テギョンの父の死だった。
兄のように慕っていたハム・ボンス警護室長の暴走を食い止める為に引き金を引いたのは、テギョン自身だった。
彼は、前向きに未来を見据える視線の元で、鉄の仮面のように顔の皮膚をつっぱらせているその下で、まだ赤い口を大きく開けている心の傷に静かに耐えていた。
「もしもし」
「ハン・テギョンです」
知ってる。ボウォンは、声を出さずに微笑んだ。
「聞き忘れたことがあったので、電話をしました」
「なんですか?」
「今日は、ソジョに帰ったんですか?ソウルに泊まっているんですか?」
昼間、住む場所が決まったら連絡すると約束してから、彼は仕事に戻った。
もうすぐ日付を跨ぐとはいえ、家に帰れたのだろうか。
「テギョンさんは?」
「僕は青瓦台で警護中です。これから仮眠に入ります」
「じゃあ、早く寝ないと」
「だから早く答えて下さい。今どこですか?」
「ソウルです。今夜は女子寮に泊まらせてもらいました」
警察の女子寮ならテギョンも納得だろう、ボウォンは自信満々に答えた。
「女子寮か……」
「テギョンさん、明日は大変ですよね?もう寝て下さい」
明日はオーストラリアの首相が来韓する。
きっと、既に神経は張り詰めているだろうが、僅かな休憩時間は、しっかり休息をとって欲しい。
ボウォンは携帯電話を持っていない方の手で、中断していたドライヤーを掴み、おやすみなさいの形に殆ど口を開きかけた。
しかし、電話の向こうから、木刀、と聞こえて、思わず聞き返す。
「え?」
「昼間、僕の木刀を渡せばよかった」
「木刀?」
「女子寮は危険です。最近、痴漢事件がよく起こっていますから」
「ここは、警察組織ですよ?女しかいないけど、全員格闘技をやっているし、こんなところに入ったら一発で逮捕です。わざわざ警察に痴漢をしに来る人なんていません」
返事がないから、ボウォンは畳み掛けるように続けた。
「痴漢は、たくましい警察官より、可愛い女の子がいる場所に行きますよ」
これでぐうの音も出ないはずだ。
今度こそ、おやすみなさいを言って、電話を切ろう。
だが、テギョンの声が耳に届いた瞬間、心臓を撃ち抜かれた。
「君も可愛いから危険です」
彼の口から、肝心の愛の言葉は出て来ない。
自分たちは正式な恋人同士なのかも良くわからないし、互いによそよそしい敬語を使い続けている。
けれど、低く固い声のまま僕の家は駄目だと言ったり、名乗ればいいのに無記名で花を送ったり、突然放たれるストレートな甘い本音に遭遇するたびに、ボウォンはこの人を好きなのだと思う。
「あれから、他の男の人に笑いかけていないから、安心して下さい」
「おやすみなさい」
テギョンは、さっきまで文句ありげに電話を引き伸ばしていたくせに、ボウォンの挨拶を待たずに電話を切ってしまった。
「おやすみなさい」
彼女は、切れてしまった電話に返事をして、ドライヤーのスイッチを入れた。
髪が乾くと、テギョンのくれた花束の写真をとって、アプリでハートマークのスタンプをぺたりと貼り付けた。
ありがとう。と言葉を添え、テギョンに送信した。
十分ぐらい返信を待ったが、メールは来なかった。
ちゃんと眠れたのだろう。
警察官も体が資本だ。
彼女もベッドに潜り込み、携帯電話を枕元において、目を閉じた。




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【作品名】ボディーガード

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン 

2014/12/28 Sun. 18:11  tb: 0   コメント: 3

【スリーデイズ 二次小説】こっちに来るな!  

3days(スリーデイズ)読切

ドラマ最終話のネタバレを含んでいます。ドラマを未視聴の方は、ご注意下さい。

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警護官の同期、パク・サンギュ。
このお調子者は、ボウォンにも愛想笑いを振りまいて、彼女にアドバイスと称する無駄なご高説を垂れている。
素直なボウォンは、サンギュとこんな話をしたと事細かに教えてくれるから、今のところ被害は最小限に食い止められているのだが。
別チームに所属しているサンギュは、仕事帰りに青瓦台に寄ったボウォンと、よく遭遇するらしい。
こちらの警護が終わりカフェへ彼女を迎えに行くと、ボウォンではなく何故かサンギュが「待っていたわ」と女言葉で手を振ったりする。
彼の冗談でくすくすと笑うボウォンは可愛い。
が、面白くはない。
ここのところ、二人はどんどん打ち解けている。
「友人に彼女を紹介するのは、普通のことだろ?お前が紹介してくれないから、俺から話しかけてるんだよ」
確かにサンギュの言い分は間違ってはいない。
しかし、行き過ぎたホスピタリティの発揮は、正直遠慮願いたい。
特に、ありもしない話を彼女に吹きこむのは。



サンギュと別れ、テギョンの運転で部屋へ向かう車中で、助手席に座るボウォンが体をこちらに向けた。
「テギョンさん、吊り橋効果って知ってる?」
明日、テギョンは夕方からのシフトだ。
ボウォンも午後からの出勤だから、久しぶりにゆっくり二人で過ごせるのに、彼女はか細い声を出している。
「パク・サンギュが、また変なことを言った?」
テギョンはそう答えながら、ブレーキを踏んでハンドルを左に回した。
対向車を目で追いながら彼女の返事を待つが、ウインカーの規則正しい音が響くだけで、返事がない。
車の流れが切れたタイミングでアクセルを踏み込むと、ボウォンは口を開いた。
「そうじゃないんだけど……二人はお似合いですね。映画のスピードみたいですって言われた」
そう言えば、昼間、同じことを奴の口から聞いた。
男のくせに他人の恋愛に何故こうも興味を持てるのか。
冷ややかにうるさいと答えたら、彼は、お前はつまらない奴だと、頬を膨らませてむくれていた。
「ああ、僕も言われた」
「だから、テギョンさんは、吊り橋効果を知ってる?」
ボウォンの問いに頷きながらも、この話の流れには不自然な“だから”が引っかかった。
「あいつは、吊り橋効果の話もした?」
「ううん、スピードみたいって言っただけなんだけど」
「あいつなりの褒め言葉かと思った」
「そうなんだけど、ね」
吊り橋効果とは、男女が非日常的な緊張感を共有すると恋愛感情が生まれるという、些か説得力に欠ける心理学の説だろう。
小学生の頃に観た映画だからうろ覚えだが、確かに映画のスピードは、ド派手なアクション映画で、最後に二人は結ばれていた記憶がある。
吊り橋効果と言われれば、そうなのかも知れない。
映画に例えて褒められたところで嬉しくはないが、一方でこんな風に食いつくほど問題になることだろうか。
ちょうど信号が赤に変わり、隣を見やった。
ボウォンは、テギョンが右を向くと同時にシートに座りなおして、窓の外に視線を投げた。
「スピードではハッピーエンドだったけど、スピード2で二人は別れたの」
自分たちがスピードのカップルに似ているのなら、そのうち別れるんじゃないかと言いたいらしい。
――あいつ、また余計なことを言いやがって。
窓の外は、ボウォンにとっても見慣れたビルが並んでいる。
熱心に眺めるような景色でもないのに、彼女は、頭をシートに預けて、照明で光るビルを見つめていた。



信号が青に変わった。
再び動き出した前の車のテールランプを追ってアクセルを踏みながら、
「僕は、違う」
と告げた。
あの時、誰かを思いやる余裕がなかった。
誰かを愛するなんて、なおさら。
「君だけが、僕を信じてくれた」
自棄酒に走ることも、大声で喚くことも出来ないぐらい追い詰められていた心に、するっと入り込んだボウォン。
「だから、今度は僕が君を守りたい」
ボウォンは何も言わなかった。
だが、やたらと前髪に触る彼女を横目で確認して、テギョンは、ああ機嫌が直ったと安堵した。



テギョンは、笑顔でまな板に向かうボウォンをキッチンに残して自室に入り、サンギュに電話をかける。
悪意がない人間ほど、手に負えない。
折角ボウォンとゆっくり過ごせる時間が持てたというのに、彼の調子の良い一言で、台無しになるところだった。
「おい、パク・サンギュ」
サンギュは、電話の向こうで、明日の朝早いからこれから寝るんだけど、とぶつくさ文句を垂れている。
こちらとて、長話をするつもりはない。
「明日殺す」
途端に喚きだした声を無視して、停止ボタンをタップする。
すぐにけたたましく電話が鳴ったが、テギョンはベッドの上にそれを放り投げた。
これ以上こいつに邪魔をされるなど、冗談じゃない。
制服のネクタイに指をかけて、ふうと息を吐きだした。
キッチンから響く包丁のリズミカルな音が、警護の緊張で張り詰めていた体を緩めてくれた。


- - - - - - - -
パク・サンギュくん

ヨジャ?巡査?

やっぱりね~





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【作品名】こっちに来るな!

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン 

2015/03/01 Sun. 14:06  tb: 0   コメント: 13

【スリーデイズ 二次小説】5つのお題ったー ボウォン編  

3days(スリーデイズ)読切

5つのお題ったーというウェブサービスでボウォンの名前を入力しました。
結果↓

お題は『午後に君と飲む紅茶・あなたと・何も知らない酸素泥棒・笑いすぎ・爪先立ち』です



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朝から部屋に来たテギョンは、ソファーに寝転がって、雑誌を捲っている。
昼食を終えて、二人とも夜勤だから今のうちに寝ておこうかと話していたのだけれど、結局寝付けずに、二人してダラダラと過ごしているのだ。
「紅茶、飲む?」
「……んー」
昨日、久しぶりに、近くのお気に入りのカフェでダージリンティーを買った。
カフェの入口の黒板に書かれた「あなたと味わう夏のダージリン」に惹かれた。
たまには、のんびり二人で紅茶を楽しむ午後も悪くないと思って。



最近はコーヒーばかり飲んでいたから、ティーセットは奥に仕舞いこんでいる。
つま先立ちで、シンクの上の棚に指を伸ばしたら、テギョンがソファーから起き上がった。
「僕が取るよ」
テギョンは、すんなりとティーセットを棚から取り出して、キッチンカウンターに置いてくれた。
けれどその後、背後のこちらに気づかずによろめいて、床に尻餅をついた。
根っからの警護官が、人の気配に気付かないなんて。
おかしくて、涙が出るほど笑ってしまう。
「笑いすぎ」
「だって、テギョンさん、おかしいんだもん」
おなじみの、むっとした顔で、テギョンはソファーに戻っていった。
また寝転んで、腕を組んで、天井を睨んでいる。
「テギョンさん、ごめんね」
テギョンの傍にしゃがんで、皺が寄った眉根を人差し指でぐりぐりと押してみても、テギョンの不機嫌顔は変わらない。

――しょうがないなぁ。

尖っている口に、小さいごめんねのキスをした。
唇を離して体を起こそうとした瞬間、テギョンの手に頭を抱かれた。
「んっ」
すぐにテギョンの舌に口の中をかき混ぜられて、苦しくなる。
肩を抓ってテギョンを止めたけど、唇が離れて大きく息を吸いこんだ隙に、ソファーに押し倒された。
転んだくせに、こんな時には、警護官の早業を使うんだから。
「寝る?」
さっき話したのは、そっちの寝るじゃないんだけど。
「……紅茶」
「ああ、あとで」
今したら、仕事に行きたくなくなっちゃう。
何も知らない酸素泥棒に、また口をふさがれた。

* * *
5つのお題ったー ユニ編(こちら)もあります。




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【作品名】5つのお題ったー ボウォン編

【テーマ】 テギョン×ボウォン  3days(スリーデイズ)二次小説 

2015/07/30 Thu. 14:05  tb: 0   コメント: 6

【スリーデイズ 二次小説】Goodnight Tonight  

3days(スリーデイズ)読切

パク・サンギュ。
誇り高き大統領警護官。
そして、万年上位5パーセントの超人、ハン・テギョンの同期。
日々ストレスに晒され、死を覚悟し、でも正直「大統領警護官?格好いい!」と目で訴える女の子達の視線は気に入っているし、役得だと思っている。
テギョンの影に隠れがちだけど、これでも結構モテるんだ。
明日は非番。
だから、今夜は、大手を振るって酒を飲める。
おまけに、テギョンも非番。
ここは、男同士朝まで語り合おうと思ったら、ボウォンさんが来てた。
青瓦台を出たら、健気にテギョンを待ってるんだもんなぁ。
これは、仕方がない。
今夜はひとり酒かと、適当な居酒屋を思い浮かべてたら、ボウォンさんが一緒に夕食を食べましょう、だって。
で、乗っかったんだけど。
テギョンにおもいっきり睨まれた。
は?俺、悪くねぇよ。



俺にはわかるんだ。
テギョンが、ボウォンさんにデレッデレなのが。
顔はそんなに笑ってないんだけど、さ。
だから、他の人は気付かないと思うけど、目つきが、明らかに違うんだよ。
メニュー渡す時とか、こう、若干目が垂れるっていうか。
俺の顔見る時なんか、かっと目を見開いて、知らない人が目撃したら、俺、これからテギョンに殺されるんじゃないかって、ビビるだろうね。
まぁいいや。注文しなきゃ。
二人は、何を注文するのかな。
被らないほうが、シェア出来ていいよな。

あー、ボウォンさんの好物覚えてんのね、まぁ、付き合ってるからそうなるな。
あー、ノンアル、ね。まぁ、女の子だし?
いや、でも、お前、勝手に決める?
一応、ボウォンさんに確認しなくていいの?
ボウォンさん、ワイン飲みたそうじゃない?
「ワインなら家にある」
あー、今日、お持ち帰りコースね。ふーん。
そういうの、堂々とひけらかすの止めてもらえるかな。こっちが恥ずかしいわ。



ここのイタリアン、結構美味しい。
さすが、女の子は美味しいお店を知ってるもんだな。
ワインもうまい。ボウォンさんが飲ませてもらえなくて、ちょっと可愛そうだけど。
飲みたそうにしてるのになぁ。
「俺たちは、帰る」
え?え?お開き?
もうお開き?
まだ一時間しか経ってないぞ。
それに、微妙にいちゃついてるのを、見せつけられただけじゃないか。
「おやすみ」
おい、冷たい挨拶だな。ちょっと待てよ。夜はこれからだろ。
俺、今日は羽目を外すつもりで来たのに。
「しつこいな。俺たちは帰る。おやすみ」
ボウォンさんは、ちょっと申し訳なさそうに笑ってくれてるけど。
テギョンのやつ、ボウォンさんの背中押して、マジで、帰りやがった。
「……おやすみ」
結局、今夜もひとり酒か。



You know the party has begun, so...GOODNIGHT TONIGHT!






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【作品名】Goodnight Tonight

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン 

2015/11/05 Thu. 14:17  tb: 0   コメント: 4

【スリーデイズ 二次小説】ダメ。ゼッタイ。  

3days(スリーデイズ)読切

チャリティーという名のおぞましい企画を知った時には、もう、後の祭りだった。
何故、ボウォンは早く打ち明けてくれなかったのか。
既に印刷は終わり、コンビニに並ぶのを待つのみ、と言うではないか。
「外国の、消防士のカレンダー知ってる?売上は、寄付するんだけど。あれの警察バージョンを今度販売することになって、モデルをやったの。凄く嫌だったけど、断れなくって」
いつものカフェのお決まりのカフェラテのマグカップを両手で抱きながら、妙にたどたどしい口調なのは、こちらの怒りを買うのは織り込み済みということか。
『Firefighters calendarで検索すると、イメージが湧くと思う。』とボウォンからヒントを貰い、携帯電話で検索して出てきた写真は、どれもこれも、屈強な男が上半身を晒し、これでもかというほど筋肉を誇示していた。
正直、男の目には、この検索結果は気持ちのいいものではない。
明らかに、女性の購買目当てのチャリティだろう。
まぁ、他国のチャリティ事情はこの際どうでもいい。
ボウォンによると、彼らはモデルではなく現役の消防士だ。
その女性警察官版の企画がソウル地方警察庁で持ち上がり、ボウォンが被写体になった、と言うのだ。
恵まれない子供だかなんだか、こっちもどうでもいいが、ともかく売上は寄付に回るらしい。
「まさか、裸じゃないだろうな」
筋肉隆々の男が肢体を晒す理由は、ただ一つ。セックスアピールだ。
色気で販売部数を釣り上げているのである。
そして、かたやソウルは、婦警カレンダー。
下劣な思惑を持った男の視線がボウォンに集中するのは、想像に難くない。
一秒もかからず断定できる結論だ。
「そんなわけないでしょ。制服着てるってば」
「半袖?長袖?スカート?」
「半袖もスカートもあるけど」
「肌が出てるじゃないか」
「この仕事は、仕方がなかったの。私だって、やりたくてやったんじゃないし!」
消防士カレンダーのように、筋肉自慢の警察官がモデルをやれば丸く収まった。
もしくは、このカレンダー同様、複数の警察官の写真でも問題ないはずだ。
ボウォン一人がモデルになる必要など、どこにもない。
彼女が美人であることは、認める。
この自分が、他のどの男よりも彼女に嵌まり込んでいるし、知らぬ間にぼうっと見惚れていることもある。
だからこそ、嫌なのだ。
他の男の目に彼女が晒されることも、彼女の身の危険が増すことも。
「いつも、むすーっとしてくるせに、こういう時だけ饒舌なんだから」
カフェラテの泡をスプーンで掻き回しながら、ボウォンは、顔を覚えられたら捜査しにくくなる。と呟いた。
顔を広く認識されることによって、容疑者に容易に逆襲される危険は頭にないらしい。
だから困りものなのだ。
まったく、警察もどうかしている。



怒りで眠れぬ夜を幾晩か過ごし、来週に控えた大統領の視察の下見でソウルの街中に繰り出せば、あっちのコンビニも、こっちのコンビニも、今日発売のボウォンのカレンダーが吊るされていた。
脇に貼られた『美人過ぎる警察官』と煽るポップが、ことさら苛立ちを刺激する。
どの店も、同じポップを貼っている。
あれも、警察が用意したものなんだろう。熱心なものだ。
「睨むなよ」
「買うなよ?」
「友達の彼女のカレンダーを買うほど、困ってない」
「全部焼き払いたい」
「やめてくれ。今のお前は、本当にやりそうだから怖い」
サンギュは、肩を竦めて、排水溝を覗き込んだ。
「ここ、死角だな。……おいテギョン、仕事しろよ」
「してる」
サンギュが指摘した死角なんか、とっくに押さえている。
このエリアの死角という死角は、全部頭に入れた。
そして、あたりに目を走らせる度に視線の端々にカレンダーが入り込んだ。
サンギュの丸まった背中も蹴り倒したいほど、怒りが収まらない。
「一発殴らせろ」
「そのエネルギーを警護に向けてくれ」
それで終わるなら、この怒りもとっくに消え去っている。
やはり、誰かを殴らなきゃ気が済まない。
まだ排水溝を覗いているサンギュの後頭部を小突いたら、サンギュは腑抜けた声を出してつんのめった。


- - - - - - - -
元ネタは、お話の中にもある通り、消防士のカレンダーです。
興味のある方は、Firefighters calendarで画像検索してください。




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【作品名】ダメ。ゼッタイ。

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説    テギョン×ボウォン 

2015/11/13 Fri. 08:12  tb: 0   コメント: 2

【スリーデイズ 二次小説】Sweet Caress The Ocean Blue  

3days(スリーデイズ)読切

頭の中を整理したくて、車を飛ばして海まで来て。
結局、頭の中は変わらない。
進展もなく、後退もない。
今夜は、風が気持ち良いんだ。
冬の海風だから、冷たいはずなのに、優しいんだ。
まるで、君みたいだよ。



君にこの気持ちを打ち明けるかどうか、これでも、それなりに悩んだんだ。
深夜のイタリアンレストランで、君に会いたいと言った時も、実はあまり期待していなかった。
君が僕を好きかどうかも、それにうまく行っても、僕達の仕事で恋愛が成り立つかどうかも、わからないんだから。
だから、君がソウルに転勤だって知った時も、心の何処かで怖気づいてた。
もしかしたら、レストランで君が見せてくれた笑顔は、気の迷いだったのかもって。



ああ、まとまらないな。
今まで、色んな人を見た。
こんな仕事だ。
悪党もいる。
尊敬できる素晴らしい人も。
だけど、誰かに強く心を動かされることは、なかったよ。



君に惹かれたんだ。
君だけに、惹かれたんだ。




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【作品名】Sweet Caress The Ocean Blue

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説    テギョン×ボウォン 

2016/02/03 Wed. 13:58  tb: 0   コメント: 6

【スリーデイズ 二次小説】本日も平和です  

3days(スリーデイズ)読切

大統領のデパート視察。
警護チームも総出で大統領を囲んでいる。
久しぶりにテギョンと並んで歩いている俺は、野次馬の女の子達の熱い視線に得意満面……だった。
デパートに酔っぱらいのチンピラが乱入して、今は大騒ぎだ。
テギョンは、足を引っ掛けて転ばせた後、うつ伏せのチンピラの手首を捻り上げたまま、周りに睨みを効かせている。
女の子の視線もテギョンに集中。
彼女達に笑顔の一つも見せればいいのに、テギョン、何であの子達まで睨むんだよ。
業務遂行の邪魔、ぐらいに思っているんだろうなぁ。
酔っ払ったチンピラは、状況を理解しないで、喚いているし。
おい、チンピラ、大統領の列に乱入した罪は重いぞ?
あーあ、早く警察来ないかなぁ。
「おい、パク・サンギュ。ちゃんと周りを見ろよ」
見てるよ!
なんだよ、テギョンのやつ。
いらいらしてるからって、俺に八つ当たりしやがって。



あ、警察がやっと来た。
あれ?ボウォンさんだ。
テギョンは、周りを睨んだまま……睨んだまま……まま、じゃない。
あーあ、でれっとしちゃって。
目尻が微妙に、でれっと。俺しか気づいてないんだけど。
ボウォンさんは、でれっとしたテギョンしか知らないから、もちろん、わからないんだけど、さ。
ボウォンさんがいると、途端に機嫌が良くなるんだもんなぁ。
ボウォンさん、警護チームに転職してくれないかな。
そしたら、俺、八つ当たりされなくて済むんだけどな。
よし、今度、スカウトしてみよう。




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【作品名】本日も平和です

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン   

2016/03/21 Mon. 12:55  tb: 0   コメント: 2

【スリーデイズ 二次小説】朧月  

3days(スリーデイズ)読切

テギョンはたぶん、家で過ごす夜が嫌いだ。
彼の父親が亡くなったのも、室長を撃ったのも、夜だった。
あの夜、月は出ていたのだろうか。星は瞬いていたのだろうか。
非業の死を遂げた二人が最後に見た景色に、一筋の光は降り注いだろうか。

テギョンはボウォンの頬を手の甲で撫ぜて、眠りに落ちているか否か確かめる。それから静かにベッドの端に腰掛け、闇を見つめる。
幾度、彼はこんな夜の過ごし方をしただろう。
そして自分は、幾度、そんな彼の背中を毛布の中から眺めただろう。

お酒を勧めたことはあるけれど、それ以上の器用な慰め方は知らない。
ドライブに誘ったり、ゲームセンターで発散したり、海で力の限り怒鳴ったり。
ドラマで主人公を励ます脇役は、首尾よく主人公を持ち上げる。
最後はいつも決まっていて、『嫌なことがあったら、思いっきり吐き出せばいい』と告げる笑顔に向かって、主人公も笑顔で明日への希望を口にするのだ。
軽薄なやり取りだ。少なくとも、テギョンとボウォンの間では。

陰謀の大きなうねりの中であがき命を奪われた父親を想い、そのうねりの中で刃を剥き出しにした男を想い、テギョンは闇を包む光を探す。

「起こした?」
「ううん」
「起きてた?」
「ううん」
「答えになってない」
「うん」

テギョンに続き隣に腰掛けたボウォンに、テギョンは少し驚いたようだった。
ボウォンは最後のテギョンの抗議を無視して、広い肩に頭を預ける。
慰めの言葉は言いたくない。
テギョンは、光を知っているから、闇に苦しんでいるのだ。
だからきっと、テギョンは大丈夫。大丈夫。

-- -- -- --

ネタ元は以前書いた日記です→こちら




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【作品名】朧月

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン 

2016/04/19 Tue. 17:24  tb: 0   コメント: 4

【スリーデイズ 二次小説】カスタードパイ  

3days(スリーデイズ)読切

I chew on a piece of your custard pie.

- Robert Plant

君のカスタードパイを、一切れ、齧るんだ。

- - - - - - - -

ボウォンが前から行きたがっていた、ケーキが美味しいと評判のカフェで、彼女はシンプルなカスタードパイを注文した。
テーブルに運ばれたパイの甘いバニラの香りが、カフェの窓から吹き込む秋風に乗って、テギョンの鼻孔に届いた。
カスタードクリームは苦手だ。
もともと、甘いものを積極的に食べるタイプではないが、カスタードクリームはことさら苦手なのだ。
クリームの癖に粘り気があるのがまず嫌いだし、飲み込んだのに喉にこびりつく感触が残っているのも嫌いだし、粘り気があるせいで、舌の上で全く溶けずに甘味を主張するのも嫌いだ。
「ホイップクリームは?」
「ホイップクリームは平気」
「これ、ホイップクリームも混ざってるから、食べてみて。ほら」
差し出されたフォークの上のパイを避けるべく、顔を後ろに引いたが、軽い後味のホイップクリームが混ざっているのだったら或いは、と思い直し、口の中に入れた。
パイを齧った途端に、パイ生地から飛び出したクリームに顔が歪む。
ホイップクリームが何とかしてくれるなんて思った自分が馬鹿だった。
カスタードクリームの確固たる主張は、ホイップクリームが太刀打ち出来るものではなく、ねっとりとした甘みが、十分過ぎる時間をかけて、喉を下がって行った。
「無理?」
「無理。グレープフルーツをもらうよ」
ボウォンの手からフォークを抜き取り、パイの付け合わせのグレープフルーツを口に放り込む。
ボウォンは、全部食べて、と皿ごとテギョンに押し付けた。
彼女は、甘くコーティングされた果物が好きではない。
食べられないわけではないけれど、そのままの果物のほうが美味しい。と、言うことらしい。
「ちょうどいいね」
「うん?」
「私が嫌いなものと、テギョンさんが嫌いなものが別々だから、ちょうどいい」


* * * 

食べられる物と嫌いな物が一致しないから、ちょうどいい。
そう言ってみたら、テギョンは、喉の奥で小さく笑った。
「分業みたいだ」
まだカスタードの感触に顔をしかめているテギョンは、冷めたブラックコーヒーを流し込んでいる。
そして、カップから口を外したら、まったくロマンチックじゃない表現で、ボウォンの発言を言い換えた。
確かに、カスタードパイをボウォンが食べて、果物をテギョンが食べるのは、分業と言えなくもないけれど。
この調子だと、テギョンが左利きでボウォンが右利きであることに、実はボウォンがときめいていることにも、気付いていなそうだ。
“ちょうどいい”ことに、ときめいてしまう女心に。



三人分は軽く平らげるテギョンの食事は、テーブルに、大皿がいくつも並ぶ。
大皿に箸を伸ばす時、ボウォンにとって右側にあるお皿のほうが、取りやすい。
だから、メインディッシュは右側にあって欲しいのだけれど、普通、向かい合う人は、ボウォンの左側に皿がある方が取りやすい。
でも、向かい合うテギョンは左利きだから、テギョンにとって、ボウォンの右側、要するにテギョンの左側が都合がいいのだ。
他にもある。
手をつなぐ時、ボウォンは必ずテギョンの右側に並ぶ。
テギョンの右手とボウォンの左手を繋げば、互いの利き手は自由だ。
だから、ちょっとしたこと――例えばポケットに入れた携帯電話を取りたいとか――をする時に、手を繋いだままでいられる。



「テギョンさんは、ケーキを頼まないの?」
「フルーツをもらったから、今日はいいや」
「分業だね」
テギョンは、互いのカップが空になったのを確かめて、立ち上がった。
「どこか行きたいところはある?」
「見たい映画があるの、いい?」
「いいよ、行こう」
レジで支払いをしているテギョンを、カフェの表で待つ間、ボウォンはほころぶ口元を隠すように、俯いた。
映画館まで手をつないで歩いて、映画館では、ポップコーンを買おう。
映画館での並び方は、手をつなぐ時と逆だ。
ボウォンがテギョンの左側。その方が、二人の間においたポップコーンを、利き手で食べやすいから。



ほら、やっぱり、二人はちょうどいい。




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【作品名】カスタードパイ

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説    テギョン×ボウォン 

2016/10/14 Fri. 17:03  tb: 0   コメント: 2

【スリーデイズ 二次小説】八つ当たり  

3days(スリーデイズ)読切

So buddy you better stay well far away,
'cause she's my baby,
you better hear what I say.

- She Just Satisfies By Jimmy Page

だから、お前は、ずっと遠くにいろ
彼女は、俺のものなんだから
俺の話を聞いておけよ



- - - - - - - - 

テギョンの説教が始まって、十分経過。
説教と言っても、こいつの場合は、無言なんだけど。
「お前、なんでうちに来たんだよ?」
これだけ。
昨日は、お前が「ボウォンは仕事で来ないから、勝手に入ってろ」って言ったんだったよな?
俺は、その言葉を信じて、家に入ったんだよ。
まさか、ボウォンさんがシャワー浴びてるなんて。俺の方こそびっくりだよ。
夜勤明けで、シャワー浴びて、寝ようとしていたんだって。
何ていうかさ、俺も、親友の彼女の風呂上がりなんて見たくない。
生々しいじゃないか。
そういう二人の生々しい部分を見せられた、俺の被害って言うの?
ナイーブな親友にも、配慮が欲しいんだよね、正直。
それなのに、自分の失言は棚に上げて、八つ当たりですか。
「だったら、マンションの暗証番号を変えればいいだろ」
「どうせ、そのうちお前に教えることになるから、意味ない」
あー、そうですか。
どうせ、悪いのは全部俺ですよ。
ほんっとに、こいつ、憎たらしい。




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【作品名】八つ当たり

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説  テギョン×ボウォン  サンギュ   

2016/10/19 Wed. 19:22  tb: 0   コメント: 1

【スリーデイズ 二次小説】ラブ アンド ピース  

3days(スリーデイズ)読切

「見守ってくれる人がいて、暖かい家があれば、あとは何とでもなるんだよな」
直球の、それでいてのんびりとした口調で、テギョンが呟いた。
酒が回ったせいもあるだろうが、親友だからこそ曝け出してくれた本音だとしたら嬉しい。
ステンレスの丸い食卓を並べた居酒屋は、隙間風が抜けるたびに窓が小さく揺れ、お世辞にも暖かいとは言えない。
窓の縁は雪が積もっていて、眺めているだけで寒くなる。
サンギュは、食べかけの鍋に視線を戻した。


神経の一本一本がひりつくような灼熱の陰謀の渦に飲み込まれた日々を抜けると、拍子抜けするほど、世界は平和だった。
だが、尽忠報国の見本のようなこの親友が、平和な世界に浸って油断しているようには見受けられない。
ただ一つ変わったのは、恐らくは、仕事とプライベートを分けて考えられるようになったことだろう。
そう、サンギュは思うのだ。



自分たちが生まれる前に流行ったラブ&ピースの精神は、理解不能だ。
警護官の職務を全うするにあたって、この世のありとあらゆる思想を叩き込まれた授業の中で、ヒッピー文化の無責任さが、一番嫌いだった。
世界が愛で繋がるなんて幻想も、それによって争いが消滅するなんて夢物語も、マリファナでも吸って、頭の中を、彼らが好んで身につけたシャツさながらのお花畑にしない限り、信じられない。
それどころか、こんな仕事をしていると、性悪説に引っ張られるぐらいだ。
それはテギョンも同様だろう。
けれどもこの現実の中で、テギョンは、愛に価値を見出している。



あの事件の後、警護官、いや青瓦台の人間は、一人残らず人生観がひっくり返った。
犯罪者共の思考の断片は理解できるのだ。もちろん、共感なんかしない。理論上、説明がつくだけだ。
だが、それぞれの断片が一つのベクトルに乗って突き進んだ時、人間の想像の枠を超えるほどの悪となって恐怖が襲いかかることも、それを止めうる手段が命の交換しかないことも、考えたことがなかった。
最初から、大統領を守ってさえいれば我が国は安全だ、とは誰も思っていなかったけれど、それでも頭の片隅に転がっていた安全神話は、消え去った。
データを消去したときのように。
上書きとか、更新じゃなくて、完全消去だ。
結局のところ、驕り高ぶらず与えられた役割をこなすぐらいしか、自分たちが出来ることはない。
テギョンが言う『愛してくれる人と安心な寝床』の一式セットは、21世紀型のラブ&ピースなのかも知れない。



「珍しくクサいことを言うね」
目尻の縁を赤くしたテギョンは、こちらの言葉に鼻を鳴らして、携帯電話を取り出した。
「ボウォンさんの惚気を聞くよりましだけど」
そろそろ日付が変わる時間にテギョンの親指を忙しくさせる人は、ボウォンしかいない。
感情という主観的で危うい意識を、テギョンの人生の拠り所にさせてしまうのも。
テギョンから視線を外すと、レジの向こうでこちらを伺うお婆さんと目が合った。
お婆さんの愛想笑いは、店仕舞いだと訴えている。
「俺の家で飲み直す?」
「んー、そうする」
テギョンは、携帯電話の画面に視線を落としたまま、同意した。
この後テギョンの家に移動したら、朝方、夜勤明けの彼女がやって来そうだから、テギョンの家は却下だ。
ボウォンには悪いが、たまには、男同士で過ごしたいのだ。
「俺の惚気を聞いてもらおうかな」
「お前、彼女いるの?」
「今、微妙な立ち位置」
「それ、惚気じゃなくて恋愛相談だろう」
「そうとも言う」
店の扉を抜けながら、だらだらと中身の無い言葉を投げ合う。
テギョンは、冷気に身を縮みこませて、歩道の縁石の隅に固まった雪を蹴っ飛ばした。




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【作品名】ラブ アンド ピース

【テーマ】

2017/02/07 Tue. 09:56  tb: 0   コメント: 0

【スリーデイズ 二次小説】Spoonin'  

3days(スリーデイズ)読切

「おはよう」
腰に回っていたテギョンの腕に引き寄せられて、ボウォンの背中はテギョンの胸にぴたりとくっついた。
久しぶりに迎えた、夜に寝て朝起きる“普通”の目覚めは、恋愛小説のように甘くあって欲しいけど、現実は、物語のように素敵な笑顔を作れるほど、爽やかではない。
不規則な毎日のせいで、寝起きはいつも頭がはっきりしない。
笑顔で挨拶を返したいのに、眉間に皺が寄ってしまう。
ボウォンは、飾り気がない白いキャミソールでは透けてしまう胸を隠すために、下にずれた羽布団を手繰り寄せた。
昨夜は、行為の後に、ベッドの隅で丸まっていたキャミソールを手に取った。
横着せずに、床に落ちたシャツを着ればよかった。薄い綿は、肌の色も形も隠してくれていないはずだから。
それが理由というわけではないけれど、ボウォンは、振り向かずに
「おはよう」
と返した。
「まだ眠い」
テギョンは、ボウォンの髪に顔を埋めて大きく息を吸った。
「テギョンさんは、何時に家を出るの?」
「九時」
「私は八時に出なくちゃ」
ベッドサイドの目覚まし時計は六時二十九分を表示している。
三十一分後に煩く鳴るようにセットされたそれは、今のところ、寡黙だ。



カーテンを通った弱い朝日は、まだ少し目に厳しいものの、テギョンの腕の中は、毛布に包まれているように暖かくて柔らかくて、抜け出せない。
でも、テギョンは決まって、言う。
「こっち向いて」
だからボウォンは、決まってこう返す。
「この姿勢がいいの」
襟足にかかる息も、耳に直接響く低い声も、筋張った腕の重みも、全ての感触で愛されていると実感するのだと言ったら、大げさだと笑われてしまうのだろうか。
「起きたくない」
愚痴を言いながら、目覚まし時計に手を伸ばす。
まだ時計は静かなままだけれど、頭に響く音を、今朝は聞きたくない。
目覚まし時計のボタンに指が触れる前に、体ごとテギョンの腕に戻された。
「あと五分だけ」
いつまでも朝の支度に取り掛かれない自分自身の駄目さ加減の言い訳はテギョンだ。
あと少し。あと、五分したら、起きるから。




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【作品名】Spoonin'

【テーマ】 3days(スリーデイズ)二次小説    テギョン×ボウォン 

2017/03/09 Thu. 06:26  tb: 0   コメント: 2

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