芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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【テーマ】

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【成均館 二次小説】抜き打ち検査 - 1  

成均館スキャンダル連載

ドヒョンが東斎の縁側をどしどしと進み、各房室の扉を叩きながら、大司成(テサソン)が来るぞと叫んだ。
ある者は眠りを妨げられて、またある者は真面目に読書に励んでいるところを邪魔されて、ドヒョンに怒鳴り返した。
「うるさいぞ」
「房室の検分だ。悠長に構えている場合じゃないぞ!」
「はあ?」
特に悪さをしなくても、抜き打ちで取り調べられると聞いて落ち着かないのは、いつの時代の学士も変わらない。
ジェシンを除く東斎の全ての儒生が縁側に出て、どういうことだと、ドヒョンを取り囲んだ。
聞けば、博士たちが房室を調べて回るという話をしているのが、たまたま耳に入ったらしい。
チョン博士やユ博士は、大司成が出て行くことはないと諌めた。
しかし、禁止されている贅沢品や風紀上よろしくない書物を今日こそは一掃すると、大司成は大張り切りなのだそうだ。
ドヒョンは、彼のとっておきの、東斎の前庭の隅、日差しを避けられ、かつ、そよ風がそよぐ絶好の昼寝場でうたた寝を楽しんでいる最中に、すぐそばで博士と大司成が押し問答を繰り広げたため、運良く聞きつけた。
「いつ来るんだ?」
「もうすぐだ。今頃、西斎に向かっているはずだ」
ソンジュンやユニも例外ではなく、ドヒョンの話に耳を傾けていた。
「ふーん。僕は見られて困る物も別にないし、ま、いいか」
ユニは、中二房に戻り、持ち物を確認する。
しかし、もともと貧乏暮らしだ。彼女の所持品は少ない。
ユニが女人だと知られては困るが、女人らしい物といえば、華やかな花模様が背面にあしらわれた手鏡ぐらいで、それは袂に隠し持てば問題ない。
それに、彼女愛用のさらしは、用途がわからなければ、ただの布切れだ。
「うるさい」
中二房の真ん中、床板の上で、布団も敷かずに惰眠を貪っていたジェシンが、のっそりと起き上がった。
「コロ先輩、出かけるんですか。大司成が検分に来るそうですよ」
「くだらない。勝手にやってろ」
彼も見られて困るような所持品はない。
騒ぎに巻き込まれるのは御免だとばかりに、さっさと靴を履いて成均館を出ていった。
ソンジュンは、ジェシンと入れ替わるように、一旦は中二房に戻った。
「みんな大騒ぎだね」
彼は呑気に笑うユニを一瞥すると、すぐに踵を返す。
「どこに行くの?」
ソンジュンこそ見られて困る物は持っていないはずなのに、随分と焦っているようだ。
彼は、うれしい時も辛い時も表情をあまり変えないように努めているから、付き合いが浅いと違いに気付かないが、何かあると拳を握りしめるのだ。
今も、両方の拳がきつく握られている。
「ヨリム先輩の部屋に行ってくる」
「なんで?」
彼は、彼女の問いかけには答えずに、中二房を出て行った。
ユニには、大司成による検分の前に、ソンジュンが急いでヨンハのところに赴かなければならない理由が、よくわからない。
一つだけ心あたりがあるとすれば。

あれかな?

彼女は、赤い装丁の本を思い浮かべた。
木を森に隠すように、ヨンハのところなら見つからないという算段なのだろうか。
けれど、ソンジュンは何も持たずに中二房を出て行った。
疑問は残るが、中二房が大司成の怒りに触れることはまずないだろう。
ユニは、持ち前の楽観主義を発揮し、読みかけの本を開いた。
一方のソンジュンは、へらへらと笑うユニを腹立たしく思いながら、ヨンハの部屋を目指した。

彼女の荷物に、男の手が触れるなんて、とんでもない。

大司成や博士をその辺の男呼ばわりするのは大変失礼なのだが、ソンジュンにとって、ユニが関わると、例え王だろうとその辺の男同然だ。
ユニが女人だと知っているのはソンジュンと彼女だけなのに、彼女には全く危機意識がない。
それに、持ち物をベタベタと触られることも、気に留めていないようだ。
万が一身体検分が行われたら、彼女はどう切り抜けるつもりなのだろうか。
この短時間ゆえ、良策を思いつかないことが残念だが、何もしないよりはましだ。
彼は、多少自身の名誉が傷ついても、構わなかった。
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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2014/05/09 Fri. 17:46  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】抜き打ち検査 - 2  

成均館スキャンダル連載

ソンジュンがヨンハの部屋に乗り込んだ時、彼はのんびりと茶を入れていた。
なるほど、彼はジェシンの親友、ク・ヨンハだ。
ジェシンとはやり方が違うが、彼もやはり東斎の喧騒を避けていた。
「先輩、艶本を貸してください」
「えっ!?これから検分があるのに?」
ソンジュンはこの部屋に乗り込んだ勢いのまま頼んだ。
理由も言わずに、貸してくれと繰り返す。
「どれでもいいから、貸してください」
「どれでも良くはないぞ。艶本も奥が深くて、それぞれ趣が異なるものだ。まずは、お前の好みを聞いてからでないと」
ソンジュンは、検分などどこ吹く風で悠長に艶本についての講義を始めたヨンハの脇をすり抜けて、屏風の裏に回る。
そこは、尊経閣と違い、女人が好む恋物語を編纂した書物を並べていると言われれば信じてしまうほど、艶やかだった。
無造作に本を積んでいるように見えるが、塵一つないのは、ヨンハがこまめに手入れをしている為か、はたまた借り手が多いからか。
ヨンハは顔だけ屏風の裏に突っ込んで、ソンジュンの様子を伺った。
「あ、それじゃなくって、そっちの本のほうがおすすめなんだけど」
一番手前の本にソンジュンが触れたので、ヨンハはその右隣に並べられている本を指さした。
しかし、ソンジュンははじめに触れた本と、そのすぐ下に重ねられた本を掴んで出てきた。
「ありがとうございます。すぐにお返しします」
ゆっくりで構わないんだけどなぁ。扇子で肩を叩きながら、ヨンハは呟いた。
ヨンハの申し出は、急いで中二房に戻るソンジュンに届かなかった。



東斎の縁側は、ソンジュンがヨンハの部屋に入る前よりも慌ただしくなっていた。
大司成が東斎に到着してしまったら、儒生は、点呼の時のように全員縁側に並ばなければならない。
その前に、秘密の宝物をうまく隠せる場所はないかと、彼らは右往左往しているのだ。
だから、ソンジュンは彼らを避けながら歩かねばならず、しかし、ソンジュンを構う余裕のない儒生たちと何度もぶつかった。
切羽詰まった儒生たちが、彼に嫌味を言ってしまっても、致し方ない。
「イ・ソンジュン、お前、ふらふらして余裕だな」
「馬鹿だなぁ。こいつが隠さなきゃならない物を持っているわけないさ」
切羽詰まっているのはソンジュンも同じだ。
前庭を挟んだ向かいの西斎からは、阿鼻叫喚とも形容できそうな、悲痛な叫びが聞こえてくる。
そろそろ、あちらの検分は終わるだろう。
彼は儒生の嫌味を無視して、先を急いだ。
そして向かいを一瞥してから中二房に入ると、ユニはまだ本を読んでいた。
「余裕だな」
さっき儒生に言われた嫌味を、彼はそのまま彼女に放った。
「だって、隠すもの、ある?」
「君は、博士たちに荷物をひっくり返されても平気なのか?」
「うーん、僕は貧乏だし、没収されるものはないと思うよ」
あっけらかんと笑う彼女は、本当に彼の焦燥の要因が思い当たらないらしい。
「没収は心配ないだろうな」
ソンジュンはユニに背を向けた。
彼の心配の種は、彼女の胸をきつく縛るさらしだ。
直接彼女の肌に触れているものが、大司成や博士たちの目に触れることは、どうしても避けたかった。
ましてや、もし、彼らがさらしを手に取ったら?
一見、それはただの布切れだろう。
しかし、実態は肌着だ。
恋人の肌着が男たちの目に触れて、手で触られて、平常心でいられる自信はない。
そこまで考えが至らないユニも、問題だ。
ソンジュンは、いつものように説教を始めそうになり、思い留まった。
検分が済んでからでも遅くない。
彼は、急いで棚に手を突っ込み、借りっぱなしのヨンハの艶本を取り出した。
これで、艶本は三冊だ。
文机を布巾で軽く拭い、この三冊の本を文机の上に綺麗に重ねた。




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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2014/05/10 Sat. 19:12  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】抜き打ち検査 - 3  

成均館スキャンダル連載

「自己申告?」
ユニは目を丸くした。
世界広しと言えど、検分の時に艶本を並べる学士がこの世にいるだろうか。
ソンジュンが融通がきかない性格なのは身に染みる程わかっているが、ここまで素直に検分に応じるとは驚きだ。
「大司成が東斎に来たみたいだ。出よう」
ソンジュンはユニの腕をとって、縁側に並んだ。
ちょうど二人が縁側に立った時に、一緒に検分に回っている書吏が、全員外に出るようにと叫んだ。
そわそわと落ち着かない儒生たちを立たせたまま、大司成は房室を順に確認していく。
盗難騒ぎの前に、高価な物品を没収した経緯があったからか、贅沢品は出てこなかった。
しかし、よろしくない書物が、続々と縁側に積み上げられていく。
「東斎も西斎と変わらない。すべての部屋から、如何わしい書物が出てくるではないか!」
大司成が大げさに嘆いでいる。
ヨンハの番が来ると、彼は親切に、屏風の裏が隠し場所だと教えてあげたから、博士や書吏たちは、数人がかりで艶本を運び出す羽目になった。
彼の部屋から持ち運ばれてた蔵書は、数も装丁の質も他の儒生たちの所有しているそれとは桁違いだった。
周りの儒生たちは、自分たちの愛読書が没収されていることを一瞬忘れて、羨望のため息を漏らす。
その後も事態は全く好転せぬまま、大司成は中二房のソンジュンとユニの前で立ち止まった。
「すまないが、形式上、検分しなければならない」
彼はソンジュンに言い訳をした。
彼にとって、ソンジュンは出世に繋がる大切な教え子だから、ソンジュンの気分を損ねることはしたくなかったし、中二房だけは潔白だという確信があった。
逆に、ソンジュンは、彼に向けられる期待こそが、必要だった。
ユニの荷物に何人たりとも触れさせないためには、ソンジュンが彼の期待を裏切ることが、最大の防御だ。
これまで非の打ち所がなかったソンジュンが艶本を、しかも三冊も所有しているとなったら、他は目に入らなくなるだろう。
案の定、中二房に入って即座に艶本を見つけた大司成は、顔を真っ赤にして縁側に戻ると、両手を振り上げた。
「これは、誰のものだ?」
「僕です」
ソンジュンは、静かに答えた。
「なんということだ!ムン・ジェシンやキム・ユンシクならともかく」
続けて、ジェシンが聞いたら、間違いなく殴りかかるであろう暴言を放った。
「イ・ソンジュン。君は中二房で虐められているのか?それで、こんな本を仕込まれたのではないか?」
「いいえ、僕が中二房で読んだ本です」
大司成は、虐められていると言え、としきりに目配せをする。
「三冊もか?違うだろう?」
「全て僕が読みました。同室生は関係ありません」
大司成は、左手を額に当てた。
東斎の儒生たちは、イ・ソンジュンもただの男じゃないか、と口角を上げ、二人の一挙手一投足に注目している。
これが大司成とソンジュンのふたりだけなら、内緒にして“あげる”ことも出来たのだが、こうも白日の下に晒されているとなっては、一般の儒生と同じように処理をしなくてはならない。
「ああ、左議政様に何とご報告すればよいのだ」
「僕が艶本を読んでいたのは事実ですから、そのままご報告下さい」
儒生たちの下卑た笑いが、ソンジュンの名誉が傷ついたことを示していた。
しかし、数はともかく艶本を読んだことは事実だから、ソンジュンはあまり気にならなかった。
思惑通り、大司成はユニのことが全く頭にないらしい。
彼の目的は大方達成されたようだ。
けれど、大司成が中二房に来てから、さして時間は経過していない。
大司成が何かの拍子に彼女のことを思い出してしまったら、せっかくの策が無に帰してしまう。
ソンジュンは、ユニを腕を引いて、自分の広い背中の後ろに隠した。
それに、今、大司成の手の中にある艶本は、ヨンハのものだ。
先ほど、ソンジュンは、それらをすぐに返すとヨンハに約束した。
没収されてしまっては、申し訳ない。
ソンジュンは、姿勢を正して咳払いをした。
そして、のちに儒生たちの間で、イ・ソンジュンは腐ってもイ・ソンジュン、と言わしめた弁論を繰り広げた。




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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2014/05/11 Sun. 19:13  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】抜き打ち検査 - 4  

成均館スキャンダル連載

「そもそも孔子の教えに禁欲は含まれているのでしょうか」
大司成は目を見開いた。彼に反論できるわけがない。
ソンジュンの言う通り、孔子は色欲を否定していないのだ。
「我々が学ぶ朱子学(*1)は、確かに禁欲を是としています。しかし、朱子学が生まれる前、例えば、成均館に祀られている儒教の祖、孔子は色欲を否定していません。また、後の孟子(*2)はこう言っています」

王の如し色を好みて、百姓と之を同じうせば、王たるに於いて何か有らん
――王として好色であることを農民に示せば、好色は王の道を阻むものではない

「また、礼記(*3)は……」

飲食男女、人の大欲、焉(こ)こに存す
――食欲と男女の欲は、人間の最大の欲望である

「食欲と色欲を同等のものとして扱っています。さすれば、色欲を単純に否定することは、食欲も否定することに繋がりかねません。我々は飲食をせず、命を維持することが出来るのでしょうか」
実際は、孔子も孟子も礼記も“行き過ぎた色欲は望ましくない”と言っている。
ただ、否定していないだけだ。
チョン博士やユ博士なら、否定云々ではなく、この点をつついただろう。
何を以って“行き過ぎた色欲”とするかに議論が及ぶと、ソンジュンには些か分が悪いのだが、動揺している大司成は、そこまで頭がまわらないようだ。
大司成が黙っているので、ソンジュンはさらに続けた。
「孔子は、不品行な女人と会おうとして、子路(*4)に咎められたこともあるといいます」
「わかった、わかった……。今回は不問としよう」
ソンジュンは、大司成に突き返された艶本を受け取らなかった。
「僕だけ、受け取るわけには行きません」
「ああ、もういい!全員不問だ!!」
東斎が、一斉に沸いた。
チョン博士が何も言わずに笑っているのに気づき、大司成は彼をひと睨みすると、手を後ろで組んで一人で戻ってしまった。
ユ博士は、世も末だ、と言って天を仰いだ。
ソンジュンは、もちろん己の屁理屈が如何に愚かか理解しているので、二人の博士に黙礼をした。
これを持って検分は終了となり、儒生たちは、ソンジュンのもとに集まった。
「イ・ソンジュン!お前は、男の中の男だ!」
「最初は、お前も読んでるじゃないかって思ったけど、そうだよな!色欲は高尚なものだ!」
ソンジュンは、そこまで言っていないが、没収されると思っていた愛読書が戻ってきた喜びで、儒生たちは大興奮だ。
結局、ソンジュンの名誉は瞬く間に回復し、儒生たちは口々に礼を言って各々の房室に帰った。
彼は、大きく安堵の溜息を吐き、中二房の扉に触れた。
「見事だった」
後ろから声がしたので振り返ると、ほとぼりが冷めるのを待っていたヨンハが立っていた。
彼は、ソンジュンが本を渡そうするのを手で制して、中二房に入っていった。



ヨンハは彼の流儀で大司成を煙に巻く予定だった。
だから、素直に艶本の在処も白状した。
結局、ソンジュンの活躍で彼の出番はなかったのだが。
「お前の口から禁欲を批判する弁論が出て来るとは思わなかったよ。目的は何だ?」
先に中二房に戻っていたユニも、ソンジュンの返事を待った。
彼女は、堂々と色欲を肯定するソンジュンの言い分が面白くなかったのだ。
「僕は、疑問を投げただけです」
疑問も何も、朝鮮が朱子学を国教とし、ソンジュンが日々朱子学の教えを実践しているのは、誰の目にも明らかだ。
疑問があっても、それは朱子学的解釈で解決されるべきだと主張しそうな男が、ソンジュンなのだ。
ヨンハは愉快そうに口角を上げ、ユニは、全く納得がいかず、口を尖らせた。
「まあ、いいや。その本はすぐに返さなくていいぞ」
「いえ、僕は読みません」
「無理するな。読んでから感想を聞かせろ。お前の好みがわかれば、次から貸しやすくなる」
「結構です」
「そうか?テムル、なら、お前が読め」
ヨンハは、文机に艶本を置いた。
「え?」
「感想を聞かせろよ」
ユニは勢い良く首を横に振った。
しかし、ヨンハは片目を瞑り、扇子をはためかせて出て行った。


(*1)朱子学……儒教の一体系
(*2)孟子……儒教家。儒教では孔子に次いで重要な人物
(*3)礼記……儒教の教科書である五経の一つ
(*4)子路……孔子の弟子




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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2014/05/13 Tue. 14:36  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】抜き打ち検査 - 最終話  

成均館スキャンダル連載

ソンジュンは、ここまで勢いだけで乗り切った。
だが、恋人と二人きりの空間に艶本が堂々と積んであるのは、我に返ってみると、とても居心地が悪い。
文机に積まれた書物は、色彩の少ない中二房の中では余計に赤々と目立ち、存在を主張した。
彼は、ユニを睨んだ。
「なんで断らなかったんだ」
「断ったよ!」
ユニも、なんとなく虫の居所が悪かった。
彼女の好きになったソンジュンは、信じた道に向かって絶え間なく努力する男だった。
多少の乱れ、例えば艶本を熱心に読むことがあっても、それを堂々と正当化するような思考の持ち主ではない。
「自分は読んだくせに」
ユニの刺々しい物言いは、ソンジュンの苛立ちを助長した。
売り言葉に買い言葉で、二人は互いに睨み合う。
「これは読んでない」
「ちぇっ」
読みたいと思ったわけではない。
ソンジュンに、この胸のつかえをとって欲しいのに、彼は彼女を責めるばかりだ。
それでユニは思わず、舌打ちをしてしまった。
「ちぇっ、ってなんだ?君は……」
ユニに迫ったソンジュンの頬を、爽やかな風が撫でた。
彼は、ヨンハが出て行った時のまま、扉が開けっ放しになっていることに気づいて、慌てて両手で閉めた。
そして、扉で体重を支えて、大きく息を吐いた。
彼の広い背中は、呼吸に合わせて上下する。
「君は女人だろう。そんなもの読むな」
ソンジュンは、ユニに背を向けたまま、小声で言った。
「君があんなことを言うなんて、思わなかった」
背中に投げつけられたユニの言葉は、声の鋭さも相まって、ソンジュンの心に突き刺さった。
君らしくない。
他の誰に言われても傷つかないが、ユニは別だ。
「あれは詭弁だ」
ソンジュンは、下唇を噛んだ。
とにかく考える時間がなくて、あんな幼稚な言い草になったが、振り返ると、馬鹿馬鹿しさが増してくる。
「じゃあ、理由を聞かせてよ」
ユニは彼の腕に触れたが、彼はこちらを向いてくれない。
暫くの沈黙の後、彼は口を開いた。
「僕は、その……君の服を大司成に見られるのが、嫌だったんだ」
「服?」
「君の……だから、体に直接触れている……」
「単衣?」
「……それもだけど、もう一つ」
「もしかして、さらし?」
「……うん」

君は、女人だから。

ソンジュンは、最後にぼそりと呟いた。
ユニは、鼻の奥がつんと痛むのを感じた。
彼女の人生で、女だからと守ってもらったことは、これまで一度もなかった。
もちろん、母や弟は、男装をして日銭を稼ぐ彼女を心配したが、世間に背く危険や“男女の別”を気に掛ける故のことだった。

彼が初めてだ。
単純に女として、庇ってくれたのは。

彼女は、なんとか涙をこらえて、ソンジュンの腰に両手を回した。
「ありがとう。らしくないことをさせて、ごめんね」
ユニは、彼の背中に頬を寄せた。
急に照れくさくなったソンジュンは、憎たらしい口調で、ユニに、いかがわしい本は読むな、と告げた。
「もう、読まないよ」
「約束する?」
好奇心旺盛な彼女を信じ切れずに、ソンジュンは顔だけ後ろのユニに向けた。
彼女は、彼に抱きついたまま、ぺろっと舌を出して、彼の喜ぶことを言った。
「うん、女人だからね?」
「わかれば、いいんだ」
これで目出度く仲直りと相成った。
しかし、この時のソンジュンは、ユニの「もう」に込められた真意に、もちろん気付かなかったし、ユニが三冊の艶本を写本したことを、この先知ることになろうとは、想像だにしていなかった。




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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2014/05/14 Wed. 20:34  tb: 0   コメント: 0

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