芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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【テーマ】

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【成均館 二次小説】石ころ - 1  

成均館スキャンダル連載

講義を終えて、腰を上げたユニとソンジュンは、後ろの席の男の発言に、ぎょっとして振り返った。
「あーあ、成均館に祝英台はいないかなぁ」
後ろの席の男、ドヒョンが、立ち上がりながら大声でそう言ったからだ。
彼は「梁祝故事」という本を手にしていた
大方、この中に書かれている悲恋話に酔っているのだろう。
「そんな都合のいい話があるものか」
傍らのヘウォンは首を横に振る。
続けてウタクが論語の一節を持ちだそうと口を開いたが、ユニとソンジュンがドヒョンをいつまでも凝視しているために、ドヒョンが先に声を出し、ウタクのありがたい孔子のお言葉は遮られた。
「どうした?」
「そ、そんな人いないよ」
ユニは、あはは、と乾いた笑い声をあげた。
「カラン、梁祝故事を知っているか?」
「あ、あらすじ、ぐらいは……」
危機に瀕した時にこそ、完璧な論述で相手を圧倒するソンジュンも、碌に言葉が出ない。
「お前に、この情緒はわからんだろうな。愛する男に女と打ち明けられない男装の美少女、祝英台。男を愛してしまったと悩む梁山泊……」
「わかる必要もない」
ソンジュンは、背中に冷や汗が伝うのを感じた。
「お前みたいに、花嫁候補が行列を作っている人間には、奇跡の出会いなんざ必要ないもんな」
ヘウォンが、ふん、と鼻を鳴らす。
ドヒョンがユニに「梁祝故事」を渡した。
ヨンハが尊経閣で見つけて、儒生たちで回し読みしている。これで成均館がずいぶん盛り上がっているからお前も読め。と言う親切心らしい。
再び、ウタクが何やら言いかけたが、またもドヒョンが遮った。
「テムル、お前、祝英台っぽいな」
「な、な、な……」
「ただ、お前には、チョソンが夢中な“大物(テムル)”がついてるからなぁ。残念だ」
大声で笑いながら、ユニの背中を何度も叩く。
「そうだよ、僕はテムルだ」
ユニは、ドヒョンに合わせて、面白おかしく腰を反らせた。
「おお、見せてみろ!」
しかし、ドヒョンが悪乗りし、大物のあるべき部分に手を伸ばす。
「ちょっと!」
ユニは横に飛び退いた。ソンジュンが、ドヒョンの手首をつかむ。
「下品だ」
ソンジュンのこの一言で、この場はお開きになった。



中二房の扉を閉めるやいなや、ソンジュンとユニは床にへたり込んだ。
冷や汗はまだ止まらない。
王がユニを成均館に帰してくれてから、平穏無事な生活を送っていたというのに、またもヨンハの術中に嵌ってしまった。
彼の悪ふざけは、彼の想像以上に二人を疲弊させた。
二人は、半刻経っても言うべき言葉が見つからず、床に座り込んだままだった。
「ヨリム先輩も、よくこんな本を見つけたな」
少し落ち着きを取り戻したソンジュンの第一声は、力なかった。
「梁祝故事」とは、中国に伝わる昔話だ。
二人とも、あらすじ程度は知っている。
ヨンハも、知っていてわざと尊経閣で探したのだろう。
梁祝故事、または梁山伯と祝英台、という名前で知られているこの昔話は、男装をして学生になった美貌の祝英台と、学友である梁山伯が、同じ学び舎の下、友情とも恋ともつかない想いを育む悲恋物語で、悲恋であることを除けば、まさにソンジュンとユニのような話だった。
梁山伯の、己は男色なのかと悩む様や、祝英台が女と知った時の喜び様は、ヨンハに指摘されずとも、ソンジュン自身、身に覚えがある。
ユニも、恋する相手に女だと打ち明けられないもどかしさは、嫌というほど味わった。
ユニの手にこの本が渡ったのは、幸いだった。
ほとぼりが冷めるまで、この本は中二房に置いておけばいい。
ただ、この後もドヒョンたちのように、ユニをからかってくる輩が後を絶たないだろう。
チョソンとの一件のお陰で、誰もユニのことを疑ってはいないが、彼女が中性的な美貌を誇っていることは、否定出来ない事実だった。
女人禁制の環境で、色恋に飢えた年頃の男たちが、梁祝故事に夢中になるのも、その延長としてユニをからかうのも、容易に想像できた。
今回は不意打ちだったが、事情が飲み込めたから、次は上手く立ち回れるはずだ。
しかし、その度にユニは、ソンジュンの言うところの「下品」なやり取りをしなければならない。

静かに卒業したいのに。

二人とも、床から立ち上がって普段通りの生活に戻るには、もう少し時間が必要だった。


- - - - - - - -

梁祝故事について、詳しくは、以前の妄想つぶやきを御覧下さい。
↓↓
中国昔話でイ・ソンジュン(妄想つぶやき)
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【作品名】石ころ

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/04/11 Fri. 17:16  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】石ころ - 2  

成均館スキャンダル連載

なんとなく嫌な予感がして、ソンジュンは、ユニから「梁祝故事」を預かろうとした。
「せっかくだから、読んでみる」
ユニは喜々として本を開いた。
祝英台と言えば、美しい女人だ。冗談でも、彼女になぞらえられたことが、少し嬉しかったのだ。
そして、ソンジュンの嫌な予感は的中した。
ユニは、読後、さめざめと泣き出した。

だから、言ったのに。

ソンジュンは、梁山泊が可愛そうとか、祝英台は辛かっただろうとか、ユニが彼らに同情している間は、黙っていた。
しかし、梁山泊を語っていたはずがソンジュンに置き換わり、祝英台がいつの間にかユニになってしまうと、話の展開に悲壮感が漂い始め、ソンジュンも彼女を放っておくわけには行かなくなった。

実在したかどうかも怪しい男女の話から、何故、起こってもいない未来まで想像するんだ?

女人というのは、皆、こういう性質なのだろうか。
ソンジュンの身近にいる女人は母だけなので、彼は、ヨンハのように、達観めいた結論を出すことは出来ない。
ただ、彼の母親も、時折、過ぎた想像で気をもんでいた記憶はある。
まず、この想像を止めるには、ユニから本を取り上げることが先決だ。
辛いのならもう読まなければいいのに、彼女は、泣きながら、再び頁をめくり始めたから。
「キム・ユニ、その本を貸して」
泣き過ぎてまぶたを腫らしたユニは、本を差し出しながら、涙声で弱々しく言った。
「やっぱり、身分違いの結婚は、難しいんだよ」
「君と僕は、二人とも両班だ。身分は等しい」
「南人と老論は結婚できないよ」
「そんな法はない」
「冷たい言い方しないでよ。本気で悩んでるんだから」
「悩む必要がない」
「君には、僕の気持ちがわからないんだ!」
ユニは、拳でソンジュンの胸を打った。
こんな寂しい気持ちの時に、正論を持って来られて、余計に傷ついたのだ。
「わかるよ」
ソンジュンも苦悩している。彼は彼女を抱きしめた。

僕は梁山伯じゃないし、君も祝英台じゃない。
だから僕らは結婚する。
僕が考えるから、君は何も悩まなくていい。

「そもそも、結婚が叶わないからって臥せって死んでしまうような男と僕を、一緒にしないでくれ。心外だ」
ソンジュンが嫌そうな顔をしたので、ユニは鼻を啜りながら笑った。



そんなことより、と言うとユニには怒られそうだが、ソンジュンは、ずっと引っかかっていることがあった。
ユニを想っていたソンジュン自身ですら気づかなかった、彼女が女人であるという事実を、ヨンハとジェシンは知っていた。
直接ユニに疑問を投げたが、彼女は彼らに打ち明けたことはないと言う。
振り返れば、なるほど女人だ、と思える言動は垣間見えていた。
しかし、男という先入観を持って接している限り、彼女は立派な男の学士だった。
現に、今日のドヒョンたちも、彼女をからかいつつ、本気で彼女が女だとは考えていない。
こんなにあからさまな物語を読んだ後ですら、そうなのだ。
ソンジュンは、彼女の胸を見て、初めて気が付いた。
だから、余計に、ヨンハとジェシンが何故知っていたのか、気になる。
ヨンハは、日頃から「白粉の匂いで下着の色を当てる」と豪語しているから、もしかしたら、彼特有の勘が働いたのかもしれない。
しかし、あの粗暴なジェシンが、そんなきめ細やかな観察眼を持っているとは、到底思えなかった。

まさか、彼女の裸体を見たのか?

考えたくはないが、大いに有り得る可能性だ。
悩めば悩むほど、ソンジュンの焦燥感は増していった。
ユニが帰ってきてから、ずっと心の隅っこで存在を主張していた小さなしこりは、小石のように、ころころと転がりはじめた。




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【作品名】石ころ

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/04/14 Mon. 19:35  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】石ころ - 3  

成均館スキャンダル連載

ソンジュンとユニにとって、現時点での不幸は、成均館の大方の儒生が「梁祝故事」を読んでしまっていたことだった。
「よう、祝英台」
「僕はテムルだぞ」
何度このやり取りをしただろうか。
ソンジュンとユニは、ヨンハが遠巻きに彼らを眺めて楽しんでいることにも、気付いていた。
その度に、ジェシンが、ヨンハの背中を小突いている。
ユニは、ジェシンの良心がありがたかった。ジェシンがいなければ、ヨンハは、更に二人をからかう策を高じたに違いない。
「これは、いつまで続くんだ」
ソンジュンは、大きな溜め息をついた。
唯でさえ、日々ユニが女人だと感付かれないように神経を尖らせているのに、ヨンハの戯れで、緊張を強いられる機会が増えている。
恐らく、ユニよりもソンジュンのほうが、胃が痛む思いをしているはずだ。
彼女は、ソンジュンに秘密を知られた月出山(ウォルチュルサン)での出来事以降も、まるで動じた様子がなかった。
王に捕えられた時に、二人でどんな約束を取り交わしたのかは知らないが、ソンジュンにとって、ユニの「今まで上手くやって来た」は、根拠の無い自信以外の何物でもない。
「ヨリム先輩の部屋に行ってくる」
ソンジュンが、ただならぬ気を発して大股で歩きだし、ユニは慌てて彼を追いかけた。
「イ・ソンジュン!僕なら、大丈夫だよ」
「君が良くても、僕は平気じゃない」
この間からささくれ立っているソンジュンの心は、何も知らない儒生たちのちょっかいで、さらに荒れていた。
この一件は、二人の警戒心を一層強めざるを得なくなった他に、ユニの将来についての不安をも助長している。
彼女は、必要のない想像で悲嘆に暮れ、彼は、そんな彼女を慰めなければならなかった。
しかも、ユニとソンジュンの二人だけで守っていたはずの秘密を、ジェシンとヨンハが知っていたという現実を、閃光のようにソンジュンに突きつけた。
「少しは……」
危機感を持ってくれ。
彼は、この言葉を飲み込んだ。我ながら嫉妬めいていて、君子として相応しくない気がしたから。
「君は来なくていい」
「僕にも関係のあることだろ」
ユニは、返事をせずに再び大股で歩き出したソンジュンの背中を、追いかけた。
ソンジュンの背は高く、彼が本気で歩くと、ユニは少し駆け足にならなければ追いつけない。
さながら、飼い主と飼い主に纏わりつく子犬のように、二人は進んだ。



「梁山伯、祝英台、ようこそ我が房室へ」
ヨンハは上機嫌で二人を部屋に向かい入れた。
笑みを振りまくヨンハと対照的に、ソンジュンはヨンハを目の当たりにして怒りを新たにしたのか、ますます目つきが険しくなっている。
ユニは、わざと明るく言った。
「先輩のお陰で、大変ですよ」
「まったくだ」
ソンジュンの予想通りヨンハの部屋で酒を飲んでいたジェシンが、相槌を打った。
「ヨリム先輩、コロ先輩、お話があります」
入り口に立ったまま、ソンジュンは切り出した。
ユニがソンジュンを肘で突付き、小声で口を挟む。
「コロ先輩は悪くないよ」
「君は黙っていろ」
ソンジュンは、等しく三人へ険悪な視線を投げた。
ユニの言う通り身に覚えがないジェシンは、しかし意味なく売られた喧嘩を買うほど分別のない男ではないから、ソンジュンに座るように促した。
「まあ、まずは一献」
ヨンハは、彼に向けられている険のある視線を無視して、酒瓶を手にした。
場を和ませようと、ユニはにこにこと碗を出す。
ヨンハはユニの碗に酒を注いでやると、ソンジュンの碗を取った。
「僕は結構です」
彼の伸びた背筋からは、納得するまで帰らないという決意が、ありありと見て取れた。




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【作品名】石ころ

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/04/16 Wed. 17:19  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】石ころ - 4  

成均館スキャンダル連載

「梁祝故事を読んでいる気分だったよ」
後輩が怒っているぐらいで、遠慮をするヨンハではない。
話したいことを自由に話す。彼の流儀は常に一貫している。
「お前は、女人よりも、身近な男に情を感じると、この部屋で思い詰めていた。梁祝故事にもあったな、そういう描写が」
「だから、なんです?」
ヨンハは、ソンジュンの怒気を多分に含んだ声色に動じることなく、話し続ける。
「テムルは女だって言えないし、先輩の苦労も理解してくれ」
その割には、当事者のソンジュンから見ても楽しそうだったが、今日、ここに座っている理由は、そのことを論ずる為ではない。
ソンジュンは、反論しなかった。
「テムルは、ヒョウンが成均館に来る度に泣きそうな顔をしてたなぁ。慰める俺たちの身にもなってくれよ」
そう言いながら、ヨンハは、ジェシンの肩に腕を回す。
「だから、ちょっとからかったぐらいで、怒るな」
「そんなこと……」
ユニは、口を尖らせた。
成均館を巻き込んだ今回の騒動は、ちょっとからかった、どころではない。
それに彼女は、少なくとも、ヨンハに慰められた憶えはなかった。
「失恋して酔いつぶれたお前を介抱したのは、誰だ?」
ジェシンが、ヨンハの腕を邪魔そうに払いながら、呆れたように呟く。
「失恋?何の話ですか?」
ソンジュンにとって、「失恋」という単語は、初耳だった。
彼は常に彼女しか想っていなかったし、彼女を振った覚えもなかったからだ。
「お前っ!」
どん!
ジェシンが、手に持っていた碗を、勢い良く卓に叩きつけた。
「お前!あれだけテムルを泣かせておいて!」
膝立ちになったジェシンを、ヨンハは、まあまあ、となだめた。
ユニが、ソンジュンの膝にそっと触れて、申し訳なさそうに答える。
「入清斎の時に、酔っ払っちゃったんだ。あと、打杖(チャンチギ)で、ちょっと……」
「あ……」
ソンジュンは、固く握っていた拳を口元に当てた。
荒れに荒れて、最終的にはヒョウンに結婚を申し込むという大失態を演じたあの二日間は、当分忘れられそうにもない。
あの時、彼女が既に自分を慕っていたのなら、あれは彼女にとって失恋と言えなくもない気がする。
そして、卓の向こうの先輩二人は、梁祝故事を読んでいるようだったと言うぐらいだから、自分の気持ちも全てお見通しだったのだろう。
ソンジュンは、頭を抱えたくなった。
「君は、悪くないよ」
ユニが彼を慰めるように言う。
どうにも居心地が悪くて、ソンジュンは咳払いをした。
早く本題に入らなければ、ますます分が悪くなりそうだ。
「打杖の時は、彼女が女人だということをご存知だったんですか?」
「ああ、俺が一番初めに気付いて、次がコロ。お前が最後だ」
「いつから、ご存知だったんですか?」
待ってましたとばかりに、ヨンハが満面の笑みで答えた。
「俺?最初から。テムルが入学する前から」
「えっ!?」
これには、ソンジュンだけでなく、ユニも驚いた。
扇子をくるくると回して、ヨンハは得意そうに続ける。
「科挙の時、お前らが追いかけっこをして、テムルが俺にぶつかっただろう?」
そう言って、座ったままユニを抱きとめる体勢を再現した。
「……そうでしたっけ?」
ユニは気づいていないが、ソンジュンは会話に入る余裕もなく、唖然としてヨンハの話を聞いていた。
いつも、頭の先からつま先まで礼節で塗り固めている彼が、僅かに口を開けている。
「だからさ、確かめるために、何度も衣を脱がせようと企んだんだ。だけど、無理だったなぁ」
「は?」
ヨンハの口から、とんでもない言葉が出て来て、ソンジュンは、前に乗り出した。

衣を、脱がせる?

あまりの内容に、もう出し切ったと思っていた怒りが更に増し、彼の平常心は、ぐらぐらと崩れ落ちそうになった。
なんとか落ち着こうと、大きく息を吐く。
「泮水橋から落ちるはずだったのに、チョソンの下着を持って帰ってくるし、享官庁を教えてあげたのに、肝心の湯浴みは見れなかったし……」
しかし、彼の努力は、儚くも崩れ去った。
どん!
先ほどのジェシンよりも乱暴に、ソンジュンは拳を卓に叩きつけた。
「彼女が湯浴みしているところを、覗こうとしたんですか?」
「見てないんだから、怒るなよ」
「怒るに決まってるでしょう!」
ユニの両手が、ソンジュンの拳をそっと包む。
「でも、結果的には、見られてないんだし……」
「だから、君には、気をつけろと何度も言っているんだ」
彼女が良かれと思って言った気休めは、彼の怒りに油を注いでしまったようだ。
ソンジュンに睨まれて、ユニは、仕方なく俯いた。




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【作品名】石ころ

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/04/19 Sat. 21:28  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】石ころ - 最終話  

成均館スキャンダル連載

ソンジュンの人生の中で、こんなに怒りを露わにしたのは初めてだった。
彼の定義に照らし合わせると、我を忘れて卓を叩く行為は醜態だ。
だが、ヨンハが「衣を脱がそう」と奮闘していた時期は、まだユニと互いに心を通わせていなかったとわかっていても、頭に来るのだ。
彼は、醜態を晒した恥ずかしさも多少あり、前のめりになっていた姿勢を戻してジェシンを見た。
ジェシンの口からヨンハより酷い話が出てくることは、まずないだろう。
「コロ先輩は、いつから?」
「もう済んだことだ」
彼女を守る義務も権利もあると自負するソンジュンは、ジェシンの返事を取り合わなかった。
「いつからですか?」
「……俺が真ん中で寝た時だよ」
中二房で幾度となく揉めた寝場所が、まさかユニの秘密に関わっていたとは、思いもよらなかった。
しかし、ソンジュンとジェシンが入れ替わったところで、彼女の隣に男が寝るという問題が解決されたわけではない。
「女人だとわかったことと、寝る場所を変更することに、関連性があるとは思えません」
「婚前のテムルが、男にくっついて寝たら、まずいだろ」
「え!?」
「気付いてなかったのか?毎晩、毎晩、こいつはお前の背中に張り付いてたんだぞ」
ソンジュンがちらりとユニを見遣ると、彼女は、知らないよ、と言って大きく首を横に振った。
ユニの向かいに座るヨンハが、彼女の頬を扇子でつつく。
「積極的じゃないか。好きな男と一夜を共にしたかったんだな?」
「ち……違いますよ」
ソンジュンは、咳払いをした。
ジェシンに指摘された点は全く気づいていなかったが、そのことは、問題ではない。
結局二人の間には何も起こらなかったし、今は想いを寄せ合っているのだから、そういう意味でも取るに足らないことだ。
しかし、ジェシンとユニが並んで寝ている時に同じこと……ソンジュンにとっては言葉にするのもおぞましいが、つまり二人がくっついて眠った夜もあるという仮定が成り立ってしまうことは、大いに問題だ。

まさか、寝ている間に、先輩が彼女の胸に触れたのか?
それとも、単衣がずれて、胸が見えた?

ソンジュンの脳裏に、ヨンハの企みよりも恐ろしい可能性が次々と浮かび上がる。
彼は再度姿勢を正し、ゴクリと唾を飲み込むと、意を決して問いかけた。
「もしかして、体に触っ……」
「馬鹿を言うな!」
「ならば、どうしてわかったんですか?」
ジェシンは、湯浴み姿を見たのは俺だと言えるわけもなく、固く口を閉ざした。
卓の逆を向き膝に腕を乗せ、いらいらと体を揺らしている。
妙な緊張感が四人の間に走ったが、それでもジェシンは口を開かなかった。
「先輩、僕たちは知る権利があります」
「権利ってなんだ、面倒臭い」
ジェシンはソンジュンを睨み返した。しかし、彼はユニを見ない。
ヨンハが、ふぅん、と呟いた。
つまりはそういう事だと、彼は気付いたのだ。
「コロ、お前……」
ヨンハは、扇子で口元を隠した。そして、コロの耳に顔を寄せて囁く。
「俺よりお前の方が、悪い男じゃないか」
ジェシンも、彼がユニの湯浴み姿を見るに至った原因がヨンハの策略だと、先ほどのやり取りでわかったから、ヨンハが何を言わんとしているのか、すぐに理解した。
「うるさい」
「俺は、いつもお前の味方だ」
「ふん、そう願うよ」
ソンジュンに二人の会話は聞こえない。余計にいらいらとした口調で、彼はヨンハに問いかけた。
「ヨリム先輩、ご存知なんですか?」
「ああ、知ってる。こいつさぁ……」
ヨンハは、扇子を閉じて、ジェシンの肩に腕を回すと、満面の笑みを浮かべた。
彼が妙な間を作ったため、ソンジュンもユニも、体を強ばらせる。
「しゃっくり!女の近くにいるとしゃっくりが出ちゃうんだよ」
その子供だましな内容に、ソンジュンは眉を顰めた。
「僕は真剣です」
ヨンハは舌打ちをしながら立ち上がって、ユニをジェシンの隣に座らせた。
「カラン、お前のためにやるんだ。怒るなよ?」
そして、ぐいっとユニを押して、彼女をジェシンの腕の中に放り込む。

ひっく。

ジェシンは、すぐさま反応した。
「ほらね?」
ユニは、慌ててソンジュンの隣に戻り、ジェシンは、飲みに行くと言って部屋を出てしまった。
目の前で実演されてしまっては、ソンジュンも黙るしかない。
ヨンハは、もういいだろう?と言って、ソンジュンの碗に酒を注いだ。
ユニも、笑顔で肴を取り分けてやる。
ソンジュンは、二人に流されて酒を口にしてみたものの、ヨンハの説明は、どうにも腑に落ちなかった。
中二房に戻ってからも、ソンジュンは首を傾げている。
「大したことなかったし、良かったよね?」
ユニはそう言って布団を用意しているが、彼の悶々とした気分は全く晴れない。
彼を悩ます石ころは、まだこの先も、彼の心に住み続けるのだった。




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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/04/27 Sun. 21:50  tb: 0   コメント: 0

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