芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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また、大人小説(R18)の閲覧はご自身のご判断でお願い致します。

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【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 1(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

「こちらの女人は、婚前でも体を許すと聞いたのですが、姉上はどうなんですか?」
パク・ハがチナンから戻り、五人は穏やかな日々を送っていた。
そんなある日の夕食。チサンは無邪気にパク・ハに尋ねた。
「な……なっ…………!」
彼女は食べ物を喉に詰まらせ、水を手に取る。
普段であれば、場の空気を読んでチサンを諌めるマンボも、面白がって話に加わった。
「ト内官、それは本当ですか?」
「ミミとベッキーが言っていたから、確かだ」
チサンは得意満面でスプーンを振った。
「いやいや、こちらのおなごは積極的だな。でも婚姻に支障を来たさないのですか?」
「それが普通らしい。ウ翊賛も聞きましたよね?」
ヨンスルは所在なげに両手を合わせた。
イ・ガクが咳払いを始めたからだ。
「ヌナ!ヌナは普通だと思うんですか?」
甘えるときだけ、ヌナ、と呼びかけるのは、チサンのいつもの戦術だ。
「しっ知らない!」
「あぁ、姉上は男と縁がないゆえ、こういった事情に疎いのですね」
彼は、馬鹿にするように、にやけた。
「ごちそうさま!」
パク・ハは真っ赤になって立ち上がった。
イ・ガクを睨む。何故助け舟を出さないのかと責めているのだろう。
イ・ガクは腰を浮かしたが、パク・ハはそれを無視して、自室に入ってしまった。
チサンとマンボは面白そうに笑っている。
「チサン、マンボ、やり過ぎだぞ」
イ・ガクに咎められ、二人は形式上頭を下げた。
しかし彼らは、会話の最中に一喝すればよかったものを、特に強く制しなかったイ・ガクの本心を、よく理解していた。
王世子とて一人の男。この世界の「おなごの事情」が、気になったのだろう。
「パッカ姉上は言い出せないでしょうから、チョハからお誘いされてはいかがでしょうか」
チサンが、最後のひと押しをする。
「もうよい。休むとしよう」
イ・ガクもパク・ハ同様、うっすらと顔を赤くして、席を立った。



パク・ハが水を飲みにキッチンに入ると、イ・ガクもちょうど水を飲んでいるところだった。
「あ……喉が渇いちゃって」
「ああ、そうだな。私もだ」
「うん……」
夕食後、部屋に篭もっていた二人は、ここで初めて鉢合わせてしまい、気まずさを隠し切れない。
しかし、この手の話題がおおっぴらに二人の間に横たわっている以上、なかったことにするわけにもいかなかった。
二人とも、口の中でもごもごと話す。
「パッカ、そなたは、どう思っているのだ」
「……ど、どうって?」
「だから、その、男女の……」
「それは、愛し合っていれば、そういうことも……」
イ・ガクは俯いて、暫く黙り込んだ。
ふぅ、と息を吐き、グラスをカウンターに置く。
「いいのか?関係が深まれば、あとでそなたが苦しむ」
「後悔したくないの」
「しかし」
「あなたがいなくなった後、もっと愛しているって言えば良かったって、後悔したくないの」
怖いのは、あなたでしょ。アンポンタン。
彼女はまっすぐに彼を見返した。
「わかった」
彼は、両手を彼女の肩に乗せた。
顔をすっと近づける。

これって、ここで、これから!?

「い、今じゃないからっ」
パク・ハは、ぐいっとイ・ガクの右頬を両手で押した。
イ・ガクは不意打ちをくらい、目を丸くする。
「こんなところで、信じらんないっ!!!」
彼女は、彼を押しのけ、キッチンを出て行ってしまった。
「パッカ……」
パク・ハの肩をつもうとした彼の手は、虚しく宙を舞った。


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一ヶ月感謝企画のお題 「イ・ガク×パク・ハ 大人小説、初めての旅行」のお話です。
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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  臣下三人組  一ヶ月感謝企画 

2014/04/12 Sat. 19:54  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 2(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

仕事が終わり、部屋で休んでいるイ・ガクのところに、マンボがやって来て、小箱をイ・ガクに渡した。
「これは、何だ」
「こちらの世界では、使うんだそうです」
「だから、これは何なのだ」
マンボは顔を赤らめて、自らのスマートフォンをイ・ガクに押し付けた。
「使い方でございます」
「コン…ド……?」
ひと通り読み終えた後、と言っても時間にして数分程度だったのだが、イ・ガクの視線は宙を彷徨った。
「チョハ、忠臣として申し上げます。必ずお使いください」
居心地が悪いのは、マンボとて変わらない。
彼は、結論だけ述べると、そそくさと部屋を出た。
ドアの外で待機していたヨンスルとチサンが、にやけ顔でマンボの顔を凝視する。
「ト内官の得意分野じゃないですか!なんで、俺が……」
年下というのは、こういう時に分が悪い。
マンボは、Tシャツの胸元を掴んで、乱暴に扇いだ。
「練習して下さいって、ちゃんと言った?」
「言えません!」
チサンとマンボのやりとりは、部屋の中のイ・ガクにも筒抜けだった。
イ・ガクは、小箱を持ったまま、しばらく棒立ちになっていた。



結局、マンボがくれた小箱の中身を使う機会はやって来なかった。
一度、二人きりで家にいた時に、イ・ガクがソファーでパク・ハにキスをしたら、彼女は受け入れてくれた。
彼女をソファーに横たえても、抵抗しなかった。
しかし、パク・ハが甘い声を漏らし始めた頃、外出していた三人が帰って来てしまった。
玄関から家に入るとすぐにリビングだから、三人は、もちろんイ・ガクとパク・ハに気付いたが、彼らは慌てる様子もなく、何気ない風を装ってキッチンに入り、二人の様子を伺っている。
それでも、イ・ガクはそのまま続けようとした。
パク・ハはイ・ガクを突き飛ばした。
服を身につけていたのが、幸いだ。
「三人が帰ってきたのに!」
顔を真っ赤にして抗議するパク・ハに、イ・ガクは冷静に言った。
「朝鮮では問題ない」
曰く、いつ何時、我が身に危険が及ぶかわからないから、閨事の時も誰かが見張っているものだ。
だから、そなたも気にすることはない。と。
先日のキッチンでの彼の行動について、彼女はやっと理解できた。
しかし、当然、彼の説明は受け入れなかった。
だから、数日後、彼にそれとなく部屋に誘われても、臣下が四六時中聞き耳を立てている状況が「ありえない」という理由で、はっきり断った。
この状態を打破したのは、やはり、マンボだった。
次に打ち出す目玉商品を決める会議で、旅行のパッケージを提案したのだ。
「チナンの花見は、チョハの視察のおかげで、売れ筋商品になりました。今回も、行ってくださいませんか?」
「そうだな、他にもプロジェクトはあるし、テヨンだけでいいか」
チナンの花見パッケージが好調な売れ行きを見せていたので、テクスもすぐに許可を出した。
「そろそろ夏を視野に入れないと。……よし、釜山だ。釜山に行け」
マンボにとって、行き先はどこでも良かったから、彼は二つ返事で賛成し、仕事が終わると家に飛んで帰った。
「パク・ハさん、チョハとお二人で、釜山旅行に行ってくださいね」
返事も待たずに、マンボはさっさと彼女の釜山旅行も手配した。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  臣下三人組  一ヶ月感謝企画 

2014/04/13 Sun. 17:25  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 3(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

釜山は、快晴だった。
ホテルに荷物を預け、二人はまず、釜山タワーを目指す。
イ・ガクは現代の観光地は全くわからないから、パク・ハに任せきりだ。
南山タワーのように、タワーが付いているから高所なんだろうか?という不安がないでもないが、嬉しそうに彼の手を引っ張る彼女に、そのまま付いて行った。
しかし、釜山タワーを要する竜頭山公園に入ると、彼はぴたりと足を止めた。
残念ながら、予感はあたってしまったようだ。
「これに登るのか」
彼の前には、南山タワー程ではないが、十分に高い釜山タワーがそびえ立っている。
彼は彼女の手を離し、くるりと方向を変えた。
「私は登らぬ」
「絶景なの。ね、行こう」
イ・ガクは手を後ろで組んで、微動だにしない。
しかも、何か別のものを見つけて、すたすたと歩いて行ってしまった。
「あれは、トゥホ(投壺)ではないか」
「トゥホ?お正月の遊び?」
「宮中でよくやる遊びだ。あれを見物するとしよう」
タワーの入り口からさほど遠くない木陰で、ボランティアのおばあさんたちが、伝統的な遊びを披露していた。
彼女らは、壺に棒を投げ入れている。
「地味ね」
現代人にとって、残念ながら、トゥホのパフォーマンスは非常に地味だった。
小さい女の子が興味を示しているだけで、観光客は、皆、素通りして行く。
しかし、パク・ハの言葉を受けて、イ・ガクは舌打ちをしながら首を横に振った。
「そなたは、相変わらず無知だな」
おばあさんたちは、若い二人の見物客を喜んで迎え入れた。
輪投げみたいな遊びなのよ、とルールを説明し、棒を貸してくれる。
「パッカ、地味だと思うのなら、試してみよ」
「こんなの、簡単よ。壺に入れるだけでしょ?」
パク・ハは地面に引かれた白い線の上に立って、そこから少し離して置いてある壺に目掛けて、一本目の棒を投げた。
しかし、投げた棒は壺の縁にあたって地面に転がった。
おばあさんが、棒を投げる際の角度が重要だと、ポーズを取って教えてくれる。
イ・ガクは目を細めて、アドバイスに同意した。
「次は、入れるからね?」
イ・ガクは、何も返事をせずに笑った。出来るものか、と言いたいのだろう。
パク・ハの投げた棒は、しかし、二本目、三本目も壺に弾かれて地面に落ちた。
悔しそうに戻ってきたパク・ハに、イ・ガクは得意満面だ。
「トゥホの奥深さを理解できたか?」
「じゃあ、やってみてよ」
「私の実力を見るがよい」
宣言通り、三本の棒はすべて壺の中に入った。
たちまち、おばあさんたちのアイドルとなった彼は、「若いのに立派だ」と拍手喝采され、一人ひとりと握手をさせられた。
立派な上に男前ねぇ。とか、うちの孫の婿に欲しいわ。とか好き勝手に喋るおばあさんたちに、至る所を撫でられながら、渋い顔で嵐が去るのを待っている。
以前だったら「無礼者!」と一蹴する彼も、現代に随分馴染んだものだ。
パク・ハは、笑顔で彼を眺めた。
やっと開放された彼は、パク・ハのところに戻ると、腕組みをして顎を上げた。
「宮中では、負け知らずだ」
鼻の穴が膨らんでいる。
パク・ハは、くすりと笑った。
朝鮮では、皆、彼を前にすると萎縮したのだろうが、現代では、彼の態度はただ可愛らしいだけだ。
憎たらしいけど、許せてしまう。きっと、これは、惚れた弱みというものなのだろう。
「そんな顔をしていられるのも、今のうちよ」
パク・ハは、マンボが彼女に託したメモをイ・ガクに示す。
「ここに書いてあるところは、全部回らなきゃいけないの」
イ・ガクは、腰を曲げて、メモを読んだ。
「一番上に、釜山タワーって書いてあるでしょ?」
彼は、マンボが書いた釜山タワーという文字を認めて眉を顰め、体を起こすと、また、あらぬ方向に顔を向けてしまった。
「パッカ、私はここで待っているから、そなただけ行くのだ」
「これは、ホーム&ショッピングの仕事じゃない。私だけ行くなんて、おかしいわよ」
「……本当に行くのか?」
まだ、タワーの入り口に到着していないのに、彼は胸を押さえ、彼女のシャツの裾を握った。

- - - - - - - -
ご説明。
投壺(トゥホ)の遊び方です。
中国発祥で、正倉院に壺と矢が残っているそうですが、日本ではあまり広まりませんでした。
実際には、矢は12本投げるようです。
写真は台湾国立博物館のウェブサイトよりお借りしました。
投壺の遊び方





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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/04/20 Sun. 14:27  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 4(感謝企画)   

屋根部屋のプリンス連載

ソウルでセナとタワーに登った時は平気だった。
義務感とは恐ろしいもので、「セナと結婚しなければならない」と自らに課したら、恐怖心すら抑えこむことが出来たようだ。
逆に、パク・ハと乗ったチナンのケーブルカーでは足がすくむ思いをしたし、今も、展望台の高さを想像するだけで、心臓の鼓動が早くなる。
イ・ガクは、容赦なく上がって行くエレベーターの中で目をつぶりながら、深呼吸をした。
高度が上がるにつれ耳は圧迫され、耳鳴りのために心なしか頭の奥が痛い気もする。
彼は、エレベーターを降りてからもへっぴり腰でパク・ハの後に続くのが精一杯で、展望を楽しむ余裕などなかったのだが、彼女にうるさく目を開けるように言われて、恐る恐る薄目を開けると、目の前に広がる絶景に感嘆のため息を漏らした。
釜山港は最早彼の知っているものではなく、見たこともないような大型の船が係留されている。
さながら金属の塊が浮かんでいるようで、日光の照り返しで鈍く光る様には、恐ろしさすら覚えた。
テチョン山の頂が、彼の目線と同じ高さにあることにも驚いた。
彼が知っているテチョン山は、低めの山とはいえ、見上げなければ頂を望めない。
「テチョン山にあるのが民主公園で、あの大きい塔が忠魂塔。公園の中には図書館もあるんだって。あそこで本を読んだら、気持ちが良さそうね」
イ・ガクは、パク・ハのシャツの裾をぎゅっと握りしめたままだが、夢中になって眺めている。
「五六島だけは変わらぬな」
「遊覧船が出てるから、五六島まで行けるわよ。行く?」
「いや、ここから眺めれば十分だ」
いつの間にか、イ・ガクがパク・ハを引っ張り、丸い展望台を進んでいた。
「怖くないの?」
「怖いから、手は離すな」
パク・ハはイ・ガクの目を下から覗き込んだ。
「じゃあ、こっちのほうが怖くないわよ」
彼女は両腕でイ・ガクの左腕を抱きしめる。
「そうだな」
イ・ガクは、満更でもなさそうに微笑んだ。



釜山タワーの次にイ・ガクが気に入った場所は、宝水洞本屋通りだった。
古めかしい平屋に古本屋が並び、所狭しと積み上がった古本が、ここが長いこと市民に愛されている古本屋街だということを教えてくれる。
その文化的な役割を象徴するように、通りの一角の店の地下には、現代アートを展示するギャラリーがあった。
ハングルや漢字、アルファベットを織り交ぜ、まるで絵画のようにデザインされた書道の作品が展示されている。
イ・ガクは、壁に並べられている書を一枚ずつ熱心に見つめた。
書道が現代の芸術として昇華されていることが嬉しかったようで、作者を紹介したチラシを、臣下にも読ませると言って、三枚もかばんに入れた。
「いちごの収穫の時、お爺さんたちが、書の名手だって言ってたね」
「今頃思い出したのか?あの時は、私の書の腕がなければ、あんなにいちごを摘めなかったではないか」
「まったく。恩着せがましいんだから」
パク・ハはイ・ガクを睨んだが、彼は彼女を無視して、ギャラリーを出た。
その後、彼らはタクシーで竜頭山公園近くの光復路通りに戻り、カフェで遅めのランチを取った。
パク・ハはマンボに託されたデジカメに収めた写真をチェックしながら、この後の予定をイ・ガクに伝える。
「光復路通りを回ってから、釜山大学でしょ。海岸にも行かなきゃ。海雲台と広安里と……」
「明日にしよう」
イ・ガクは即座に却下した。
それなりに観光地を巡ることが出来たが、まだ午後三時を回ったばかりだ。
パク・ハは、せっかくの旅行なのにもったいない、と口を尖らせた。
「夏の旅行の企画でしょ?海岸はいっぱい回っておくべきよ。それに、釜山大学は……」
「学校に行ってどうするのだ?」
「釜山大学の周りが楽しいんだって。安くて可愛い洋服もいっぱい売ってるのよ」
「服はソウルで買えるだろう」
「でも、安くて可愛いの」
「では、ソウルで可愛い服をそなたに与えるから、釜山大学は忘れるがよい」
安い中で可愛い服を掘り当てる、という点に大きな価値があるのだが、残念ながらイ・ガクに女心が伝わらなかったようだ。
パク・ハは、テーブルに広げたマンボのメモの「釜山大学」と書かれた部分を、悔しそうに人差し指でトントンと叩く。
「そなたがホーム&ショッピングで働いているようだな」
「海だけでも行こうよ」
海雲台の海岸にそって立つ、夕日に照らされたタワーマンションや高級ホテルは、きっと見応えがあるはずだ。
日が落ちるとライトアップされる広安大橋も、ロマンチックだろう。
「駄目だ」
イ・ガクはメモを奪った。
彼は、光復路通りで買い物をしたそうな素振りを見せる彼女の腕を引っ張って、タクシーを拾った。
この旅行で、初めてイ・ガクが主導権を握った瞬間だった。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/05/03 Sat. 19:14  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 5(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

「まだホテルに行きたくない」
パク・ハは、行き先をロッテホテルと告げたイ・ガクに、抗議した。
狭い部屋に二人で閉じこもるより、海風を感じる方がずっと有意義だ。
海岸沿いのホテルに滞在するなら納得できる。
だが、ロッテホテルは市街地に立ち、加えてブランド志向を持たない彼女が興味を持つ要素は、あまりなかった。
イ・ガクは、窓側に顔を向け彼の方を見ないパク・ハの頬に、手のひらを当てた。
しかし、きつく結ばれた彼女の口元は、そのままだ。
「機嫌を直さないか」
「私が、海が好きなことを、知ってるでしょ?」
彼女は彼の手を払って、また外に顔を向けてしまった。
光復路通りからロッテホテルへの道のりは、さほど長くない。
これでは、彼女の機嫌が直らないまま、ホテルで過ごすことになりそうだ。
イ・ガクは首の後ろに手を当てて彼女を引き寄せると、唇を合わせた。
「これでもか?」
「誤魔化されないんだから」
彼女は相変わらず彼から顔を背けているが、薄っすらと赤らんだ耳を見れば、機嫌が直ったことは明らかだ。
イ・ガクは、満足そうに口角を上げた。



マンボが押さえていた部屋は、ロイヤルスイートという、パク・ハにとっては一生お目にかかれないような、豪奢な部屋だった。
部屋、いや寧ろ、家と言ってもいいだろう。
なにせ、サウナまで付いているのだから。
ヨン家の財力により、パク・ハの屋根部屋は立派に改築されたため、彼女は多少値の張るホテルでも驚かない自信があったが、このスイートの豪奢さは、彼女の予想を遥かに上回っていた。
「うわぁ……」
「秘書の方の控室は、こちらです」
「私?」
パクハが自分を指差すと、ボーイが頷いた。
案内された秘書用の控え室は、猫足のローテーブルとベルベットのソファーを要した、立派な部屋だった。
デスクと本棚が備えられている点が、オフィス仕様といったところか。
それらも、全てが厚く塗られたニスにより光沢を持ち、表面がなめらかなことは、触れずとも手に取るようにわかった。
ボーイは続けてマスタールームにイ・ガクを案内しようとしたが、イ・ガクは首を振り、ボーイに荷物だけ運ぶように言って、この場に残った。
「気に入ったか?」
「夢みたい!大統領クラスの人が泊まる部屋だよね?」
「そなたは、私が王世子だということを、忘れているようだな」
嫌味も気にならないぐらい上機嫌になったパク・ハは、ベッドに腰掛けると、その体制のまま、ぴょんぴょんと跳ねた。
イ・ガクは、腕組みをして、彼女に問う。
「何故、秘書と言われて、否定しなかったのだ」
「ちょっとびっくりしたけど、この部屋はすごく素敵だし、別にいいんじゃない?」
「構わないのか?私は気分を害した」
イ・ガクの話が耳に入っているのかいないのか、パク・ハは、ベッドからソファーに移り、ベルベットの感触を楽しんでいる。
指を広げてソファーを撫でると、指の間に入り込んだ逆だった毛が、肌をくすぐった。
「本当に、素敵!」
彼女は、秘書用の控室に満足してしまい、他のベッドルームがもっと豪華であることに、思い至っていないらしい。
それどころか、また仕事の心配をし始めた。
そこが、女一人で生きて来た彼女らしい、とも言えるのだが。
「けど、この部屋じゃ旅の参考にならないわよ。マンボだって、普通の旅行だって言ってたくせに、なんでスイートを予約したんだろう」
「心配には及ばない。仕事は終わらせる」
イ・ガクは、部屋の電話でホテルのスタッフを呼びつけた。
始めは要領を得ない返事をしていたスタッフは、彼がホーム&ショッピングの御曹司だと知ると、アポイントもないのに、快く商談に応じた。
彼は、パク・ハの額にキスをして、秘書部屋を出た。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/05/19 Mon. 22:08  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 6(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

イ・ガクが出て行った後、パク・ハは、サウナを楽しみ、バスルームで汗を流した。
泡風呂に入れば、お姫様みたい!とはしゃぎ、ふかふかのバスローブで身を包めば、私ったらセレブだわ、と一々うっとりした。
その後は、会議室以外の部屋を見て回った。
大理石のひんやりとした感触を裸足で楽しみながら、一つ一つドアを開けていく。
やはりどの部屋も夢の様な内装で、パク・ハの心は浮足立ったが、大きなベッドで明日を迎えることを想像すると、落ち着かない気分になった。
平凡な一市民の彼女には、最初に案内された部屋が丁度良かったようだ。
「ここが、マスタールームかな」
イ・ガクが泊まる部屋のドアも開けた。
ドアの隙間から顔をのぞかせる。
すると、ソファーセットの奥に、ベッドが二台、隙間なく並んでいるのが目に入った。

こんなの、無理!

この旅行の本来の目的を目の当たりにした彼女は、ドアをパタンと閉めると、秘書用の部屋に飛び戻った。
旅行自体がお膳立てされたもだということは、わかっている。
けれど、あの部屋で、ベッドが四六時中視界に入る状態で、イ・ガクといつも通りに言葉を交わすことが出来るとは思えなかった。
心臓の鼓動が早くなり、パク・ハは胸を押さえてソファーに腰掛けた。
視線を落とすと、目の前のローテーブルに置いていた携帯が、光っていた。
マンボからメールだった。
彼のメールは旅がつつが無く進行しているか問うものだったので、近況を報告すると、彼は、パク・ハが旅を楽しんでいることを、一緒に喜んでくれた。
メールのやり取りで少し落ち着いた彼女は、彼と他愛のない話を続けた。



一方商談を終えたイ・ガクは、マスタールームのソファーで疲れた体を伸ばして、パク・ハを待っていた。
パク・ハがこの部屋で彼を待っていると思っていたが、彼女はここに居ないどころか、いつまで経っても現れない。
彼は業を煮やし、パク・ハを探しにマスタールームを出た。
次々にドアを開けていくが、彼女は見当たらなかった。
サウナルームにも、バスルームにもいない。
まさかと思って秘書用の部屋を覗くと、彼女はソファーに座って携帯をいじっていた。
「何をしているのだ?」
パク・ハは笑顔で答えた。
「ちょうどよかった。マンボとメールしてるの。何か伝えることはある?」
イ・ガクは、片眉を上げた。
彼女が屋根部屋で体を重ねるのは嫌だと言うから、旅行の計画が持ち上がったのにも関わらず、マンボとメールをしていては、釜山まで来た意味がない。
現にイ・ガクそっちのけで、彼女はマンボと盛り上がってしまっている。
イ・ガクは、パク・ハの携帯を奪い取り、マンボに電話をした。
「もしもし、パク・ハさん?」
メールのやり取りの途中だっただけあって、マンボはワンコールもしない内に電話に答えた。
マンボの声の後ろからは、ヌナ!と呼ぶチサンの弾んだ声も聞こえる。
パク・ハと臣下たちの盛り上がり具合がイ・ガクの気に障り、彼の声は、自然と険のあるものになった。
「私だ。何が、ヌナ、だ」
「えっ?チョハ!?」
「私が帰るまで、パッカとのメールは禁止だ。電話もだ。皆に伝えよ」
彼はマンボの返事も待たずに、電話を切る。
そして、携帯をパク・ハに突き返し、彼女を睨んだ。
「まさか、ずっとこの部屋にいるつもりではあるまいな。パク秘書」
「根に持つわね。あの人だって、ちょっと間違えちゃっただけでしょ」
庶民は、誰が庶民かすぐわかるのよ。彼女はそう言って、ボーイを庇った。
彼女を睨むイ・ガクの眉間が、ますます深くなる。
彼は大きく息を吐くと、パク・ハの肩をベッドに押し付けた。
「なに?」
イ・ガクはパク・ハの問いかけには答えず、口を塞いだ。
何度も角度を変えて、彼女の舌を絡め取る。
彼女が息苦しくなって彼の背中を叩き、やっと彼女を開放した。
「では、そなたは、主君とこういうことを致す女(おなご)なのだな」
息が整わないパク・ハは、返事ができない。
イ・ガクは、口の端を上げて彼女から離れると、備え付けの電話で、彼女の荷物をマスタールームに運ぶようにと、先ほどのボーイを呼びつけた。
二人の関係を誤解していたことをそれとなく謝罪し、荷物に手を掛ける。
イ・ガクが、起き上がったパク・ハの腰に腕を回してあからさまに見せ付けたので、ボーイは居心地が悪そうに目を伏せた。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/05/21 Wed. 16:05  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 7(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

結局、パク・ハは、「無理」だと逃げていた部屋の寝椅子に座っている。
幸か不幸か、ボーイが去ってからもイ・ガクは彼女の背後から腰に腕を回して彼女を離さなかったから、当初心配していた気不味さを感じる隙はなかったのだが。
イ・ガクは、彼女から漂う石鹸の清潔な香りに誘われて、彼女の髪に顔をうずめた。
「あの……」
パク・ハが、彼の腕の中から逃げようと身じろいだ。
部屋は照明で照らされ、日は完全に落ちきっていない。
強引に求められるには、まだ、気恥ずかしい時間だった。
「ん?なんだ」
イ・ガクは彼女の髪に顔を埋めたまま、返事をした。
「えっと……仕事は、どうなったの?」
「終わった」
パク・ハの艶やかな髪の感触を頬で楽しみながら、彼の顔は徐々に下に降りていく。
彼の唇が、とうとう髪の下の、彼女のうなじに到達した時、パク・ハが体をひねって彼の肩を押した。
「ちょっと、待って」
イ・ガクは、しぶしぶ両腕を解いた。
「なんだ?」
「終わったって、嘘でしょ?」
彼女は俄かに信じられなかったのだが、実際は、本当に終わっていた。
イ・ガクが、高額な部屋の宿泊を含めた旅行のパッケージの企画を依頼し、販売力の高いホーム&ショッピングの提案にホテル側が乗ったのだ。
彼は、このスイートに到着した時、高価格帯の部屋なら、他社と差別化が図れると踏んだ。
唐突な思いつきだったが、ホテル側もこのアイディアが気に入ったらしく、彼が必死に営業をすることなく話は進んだ。
「今回は、ホテルが企画書を出す」
「じゃあ、マンボに頼まれた観光地の資料も、ホテルがまとめてくれるの?」
「ああ、そうなるな」
パク・ハは、口を尖らせた。
あくせく働く人生もそこまで悪くない、と彼女は思っているのだけれど。

やっぱり、王世子だ。

今回も、イ・ガクは、自ら仕事をするよりも誰かにさせることを選んだ。
人を使うということにかけては、右に出る者はいないのだ。
彼にとっては、これが自然な仕事の在り方なのかもしれないが。
一方のイ・ガクは、彼に向き合おうとしないパク・ハがじれったい。
話は終わり、と言わんばかりに、彼は彼女の尖った唇に、キスをした。



二人が座っている寝椅子は、パク・ハを組み敷くには狭い。
イ・ガクは、軽々と彼女を抱き上げた。
「きゃっ」
驚いて声を上げる彼女に、彼は目を細めて告げる。
「そなたを待っていては、いつまで経ってもこのままだ」
腕の中の彼女は、すっかり大人しくなってしまった。
相変わらず口を尖らせているが、恥ずかしさで蒸気した肌と相まって、可愛らしい。
「下ろして」
彼女は、不安定な体勢を支えるために彼の首に両手を回し、その下の鎖骨に顔を埋めて呟いた。
しかしイ・ガクは、彼女の頼みを無視して進み、壁際のベッドに着くと、彼女をその上に横たえた。
彼女は、不安そうに彼の目を見つめた。
彼はそれも無視して、手を彼女のシャツの下に滑りこませる。
「待って、……お願い」
パク・ハは、泣きそうな顔で彼の手首を掴んだ。
「充分待った」
「だって、したことないのに」
イ・ガクは、驚いて体を離した。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/05/31 Sat. 09:09  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 8(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

二人が体を重ねることを、パク・ハは愛し合っていれば有り得ると言った。
イ・ガクは、彼女の想いを知った時、彼女が既に他の男に体を許したのだろうと思った。
だから、彼が深い口付けを仕掛けても、彼女は応じていたのだと。
チサンが聞いたというミミやベッキーの話からも、この時代の男女が、婚姻を軸に据えていないことが窺い知れた。
悔しさは混じる。
けれど、過去にパク・ハが誰かと情を交わしたことがあっても、それは責められない。
イ・ガクには、嬪宮がいた。
しかも、セナとの結婚も、彼女は文句ひとつ言わなかった。
「私を好きになってと、頼んだ覚えはない」
イ・ガクはパク・ハにそこまで言わせたのだ。
彼には、これ以上彼女を鞭打つような真似は出来なかった。
実際にそれは彼の勘違いで、パク・ハは戸惑いつつも、彼からの接吻に応えていたのだろう。
屋根部屋のソファーで彼女を組み敷いた時も、彼女は心細い思いをしていたのに、黙っていたのかもしれない。
どんな時も、彼女は彼女自身の気持ちよりも、彼の選択を優先するから。
「すまない。私が浅はかだった」
イ・ガクは、ベッドの縁に腰掛け、パク・ハも隣に座らせた。



暫く、二人とも黙りこくっていた。
部屋を囲む厚い壁は、外の音も遮断する。
二人は微塵も動かず、衣擦れの音すらしない空間は、水を打ったような静けさが支配していた。
沈黙を破ったのは、パク・ハだった。
「ずっと、生き別れたお父さんに会いたくて、王子様を夢見る余裕がなかったの」
彼女はいつもそうするように、今も、淡々と彼女の境遇を語っている。
本当の苦労を背負う人間は、あまり大袈裟に物を言わないことを、イ・ガクはパク・ハに出会って知った。
「韓国に帰ってきてからも、生活するのに精一杯だったし」
彼女が、慣れない韓国で生活を組み立るのが容易でなかったであろうことは、ソウルにやっと順応出来た今のイ・ガクには、想像ができた。
姉にそっぽを向かれて母親とも暮らせなかった彼女は、パク・ハという協力者を得たイ・ガクに比べて、辛かったに違いない。
「それなのに、本物の王世子が来ちゃった」
パク・ハは口元に微笑みをたたえて、眉根を寄せたイ・ガクを肘でつついた。
「深刻に受け止めないでよ。一人には慣れてるの」
「すまなかった。もう求めないから、許してくれ」
「……え?」
「将来、そなたは他の男と結ばれるかも知れぬ。私がそなたの体を奪う訳にはいかない」
イ・ガクは、彼女と心を通わせて以来、彼が朝鮮に帰った後に、パク・ハが一人で生きて行かねばならないことを、心配していた。
他の男を見つけてくれ、と言えるほど、出来た人間ではない。
だが、彼が去って彼女の傷が癒えた頃、彼女が誰かと恋に落ちるのを妨げるようなことは、したくなかった。
二人の関係が深いほど、傷も深くなるはずだ。
それに、新しい恋が始まった時に、相手の男がどう思うのか。
「そんなの、嫌」
パク・ハが、勢い良く立ち上がった。
「馬鹿なこと言わないで。私は、他の人となんかっ」
下唇を噛み、握りしめた両手は震えている。
彼女にとってイ・ガクは、心に決めた、たった一人の男だった。
二人の別れが如何ほどの喪失感をもたらすのか、今の彼女には想像がつかないが、女一人で生きて行くことが耐えられずに誰かに寄りかかるほど、彼女は柔な人間ではない。
「パッカ、聞き分けるのだ」
座ったまま、イ・ガクはきつく握られた彼女の手を解いた。
「ぜったい、嫌」
パク・ハは俯いた。けれど、首を縦には振らなかった。
イ・ガクは立ち上がり、彼女を抱きしめた。
「パッカ、我が儘を言うでない」
「私のことを愛してっていうのが、どうして我が儘なの?」
「しっかりと考えるのだ」
彼の胸に顔をうずめた彼女の声は、くぐもっていた。
彼のシャツがじんわりと濡れていき、彼は、彼女が泣いていることを知った。

「私が、何か頼んだこと、ある?」

彼女の言葉は、彼の心臓を射抜いた。
「これが、そなたの願いなのか?」
彼がやっとのことで絞り出した言葉は、尋ねる必要もない質問だった。
彼女の返事はない。
「わかった」
イ・ガクは、パク・ハを抱きしめたまま、呟いた。
これが、正解だとは思わない。
だが、今まで感情を押し殺してきた彼女が、初めて彼にぶつけた意志だった。
「私も行水へ」
イ・ガクがパク・ハの体に回していた腕を解くと、彼女は、彼の首に抱きついた。
「パッカ……」
「心変わりしちゃうでしょ」
「心変わりはせぬ」
彼は、彼女の腰を押して体を離そうとしたが、彼女は更に力を入れて、彼に抱きつく。
「行かないで」
耳元でなされた懇願は、イ・ガクの肌を泡立たせた。
女人を抱いたことはある。
だが、背中をぞくりとさせるような重苦しい熱の塊を体の奥に感じたのは、初めてだった。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/06/02 Mon. 13:28  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】(大人小説)うれしはずかし - 9(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

大人小説です。ご注意下さい。

- - - - - - - - 

再び彼女をベッドに横たえると、イ・ガクは体を離した。
「少し、待てるか?」
「だめ」
彼女は、彼の腕を掴んだ。
二人の顔が近づき、唇が自然と合わさる。
イ・ガクは、初めてだと告げたパク・ハを気遣って、彼女の口内を強くかき回さなかった。
それでも、互いの顔にかかる吐息は、湿度を上げていった。
彼女は、まだ泣きべそをかいている。
彼は、水滴を吸い取り体を起こした。
「少しだけだ」
「ライトも、消して」
「わかった」
照明が消えると、夕日が薄っすらと二人の体を照らした。
まだ明るさが残る室内に抵抗を感じ、パク・ハはブランケットの下に潜り込む。
帰ってきたイ・ガクの手の中には、小さな箱があった。
彼女にもその箱の中身の用途がすぐにわかり、顔を背けた。
「恥ずかしいのか?」
耳を甘咬みしながら低い声を吹きこまれて、彼女は甘い声を漏らした。
せっかく体を覆ったブランケットもすぐに剥ぎ取られた。



イ・ガクは、パク・ハの細い首を見つめた。
トラは、獲物を捕えたらまず腹に牙を突き刺す、と言う。
腹は骨で守られておらず、柔らかいからだと、幼い時分に教わったことを思い出した。
腹まで下りなくても、彼女の首は、充分柔らかそうに見える。
とくに、血管が透けている側面が。
彼は、青い脈に沿って舌を這わせた。
続けて同じ場所を唇でたどりながら上へ戻ると、顎の付け根がもっと柔らかそうに見えた。
唇で噛むようにそこを味わう。
パク・ハは、彼の肩をぎゅっと掴んだ。
彼女は固く目を瞑っていた。下唇も噛んでいる。
イ・ガクの指が、彼女の唇をほぐす。
彼がもう一度顎の付け根を吸うと、彼女は小さい声で、いや、と言った。
先ほど、彼女が怖がって彼の手首を掴んだのは、彼が彼女の服の下に手を滑り込ませた時だった。
今度は裾をたくし上げ、腹部を円を描くように撫でる。
彼を拒む手は、降りて来なかった。
幼いころ教わった通り、彼女の腹部は柔らかい。
彼の手が皮膚を押すとやんわりと沈み、離すと跳ね返った。
イ・ガクは体の中心に血液が集まるのを感じ、たまらず吸い付いた。
夢中になって彼女の腹部に吸いながら、彼は思う。

今までの房事は、義務だったのだ。
女の腹に興奮を覚えたことなど、一度もなかった。と。

彼の舌は、へそをこじ開けた。
その行為は、後で味わうはずの彼女の奥を開いているようだった。
胸で息をする彼女が、また甘い声を漏らした。
彼の髪をかき混ぜる彼女の指が、彼女がこの刺激を好んでいることを知らせてくれた。
だが、彼が息を吸うために顔を離すと、彼女はくるりとうつ伏せになってしまった。
イ・ガクは、彼女のシャツを上まで引き上げて、両手でブラのホックを外す。
胸の締め付けがなくなったのを感じ、パク・ハはまた、いや、と言った。
イ・ガクが彼女の顔をのぞき込むと、もう、涙は乾いていた。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  大人小説  一ヶ月感謝企画 

2014/06/03 Tue. 17:58  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】(大人小説)うれしはずかし - 10(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

大人小説です。ご注意下さい。

- - - - - - - - 

イ・ガクは、パク・ハを仰向けにした。
胸を見せまいと抵抗する両腕を解き、ブラも取り去る。
いや、を繰り返す彼女をあやすことはしなかった。
「早く、そなたの体が見たい」
彼は、両足の間に彼女の体を挟んだまま、膝立ちになった。
逸る気持ちそのままに、乱暴にシャツを脱ぎ捨てる。
パク・ハは小声で呟いた。
「もう、見てる」
彼の体が離れている隙に、彼女は枕で胸を隠す。
彼は、枕を簡単に取り去り、両肘をついて彼女を見下ろした。
彼女は、今度は、枕に顔を押し付けた。
恥ずかしいの、と言う声は枕に妨げられて曇っている。
弱々しい彼女の返事に、彼は手を止めた。
彼は、無理に枕を取り上げることはぜずに、彼女の横に仰向けになった。
恐る恐る枕をどけた彼女を胸に抱き、髪を撫でてやる。
「ずっと、そなたの体を欲しておったのだ」
彼女は頷いて、彼の首にしがみついた。その体は、硬くなっていた。
「私には、余裕がないな」
彼は、いつ朝鮮に引き戻されるともわからない我が身が、憎らしかった。
だが今は、目の前のパク・ハだけを感じるべきだと思い直して、再び彼女の体に唇を這わせる。
唇に伝わる彼女の火照った体温は、すぐに彼の頭から余計な考えを拭い去った。



――人肌がこんなに気持ちがいいなんて、知らなかった。
パク・ハは、イ・ガクの背中に爪を立てた。
彼の唇が触れた箇所は、溶けるのではないかと錯覚してしまうほど、柔らかくなってしまう。
彼が体を下に滑らせる度に肌の摩擦が生じて、それが彼に対する恋しさを助長する。
彼の肌が離れてしまった場所が、寂しいと泡立った。
彼女は人から触られたことのない部分を撫でられて、羞恥で身を捩ったが、執拗に追いかけられた。
彼の追尾を甘い声で受け入れてしまい、まるで彼の愛撫を誘い込むために身を捩っているかのようだった。
彼が彼女の脚を割って奥に触れる。
彼女は、ぎゅっと脚を閉じた。
彼の手も一緒に挟み込んでしまったから、その手はもう一度彼女の脚を開いた。
「大丈夫だ。濡れているから」
耳元で囁かれて、彼女は彼の肩に顔を埋めた。
一見配慮とも取れる彼の丁寧な囁きは、とても意地悪だ。
「いや」
彼女は、奥をかき回されて、呼吸の代わりにこの言葉を繰り返した。
けれど次第に、唇が言葉を作るのも難しくなり、艶めいた音だけがその唇を通り抜けた。
それから後は、イ・ガクの成すがままだった。
彼の舌が体中をなぞり、彼女の声が一段と高くなったのを合図に、彼は彼女から体を離す。
傍でビニールを破く音がして、彼女は目を瞑った。
「力を抜いて」
彼女は、体が裂けるような痛みと圧迫感に耐えようと無意識に呼吸を止めた。
彼が囁きながら舌で彼女の歯列を割る。
彼女の唇に隙間ができて、彼女は吐息と共に痛みを逃がすことが出来た。
「すまない」
熱い摩擦が始まった。
彼女は薄っすらと目を開けた。
イ・ガクの苦しそうに寄せられた眉。
荒い息を吐き出すために、薄く開かれた唇。
そこから漏れる、彼の切羽詰まった声。
そして、彼女を貫く痛みも。

「好き」

彼女は愛の言葉を吐き出した。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画  大人小説 

2014/07/02 Wed. 21:23  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】(大人小説)うれしはずかし - 11(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

大人小説です。ご注意下さい。

- - - - - - - - 

イ・ガクは、パク・ハの肌の上の滲んでいる血をふき取ってやり、ぐったりとした彼女を暫く抱きしめていた。
彼女がイ・ガクの腕の中で身じろいでも、彼は腕の力を緩めない。
「もう少しだけ、このままで」
あと何度、彼女を抱けるだろうか。
そう考えると、辛そうな彼女を開放する気になれなかった。
再び彼女の体にそろそろと舌を這わせて彼女の甘い声を導き出し、その後は「いや」と言われても、彼女への愛撫を止めることはなかった。
ただ、さっき彼を受け入れた場所を再び攻め立てるのは憚られ、唇で味わうだけに留めていたら、彼女の方から強請ってきた。
「早く慣れたい」
健気な彼女の要求に応えて彼女の体を押し開けば、案の定彼女は辛そうに眉を寄せる。
退こうとする彼を、彼女は首を振って止めた。
「止まれなくなる」
彼女は体を固くして、僅かに頷いた。



イ・ガクは、動けないパク・ハのために、バスタブに湯をはってやった。
バスタブの淵にアメニティの入浴剤が並べられている。
パッケージの文字がアルファベットばかりで首をひねる彼の脇から、細い指がその中の一つをさっと取った。
「もう大丈夫なのか?」
「うん」
厚手のバスローブで体を包んだ彼女は、いつもより一段と小さく見える。
彼女が入浴剤をバスタブに垂らすと、甘いバニラの香りがバスルームいっぱいに広がり、湯は白く濁った。
「こういう香り、好きでしょ?」
「美味な香りだ」
イ・ガクは、パク・ハのバスローブの腰紐を解いた。
彼女はもう、裸体を見られても恥ずかしがらなかった。
彼の脇をするり抜けて、バスタブに滑りこむ。
彼は気持ちよさそうにバスタブに身を委ねた彼女の体に、後ろから腕を回した。
時折、互いの唇を合わせる。
ただその程度でそれ以上先へ進まなかったが、しかし彼は、腕の中の彼女を離してやる気はなかった。
パク・ハも、片時も彼女を離さないイ・ガクを拒まなかった。
それは、彼女も彼と同じ気持ちだからだろう。
彼女の柔らかな髪の先が、お湯に浮かんで揺れている。
彼は人差し指でくるくると髪を絡めとって、愛らしいつむじに接吻を落とした。
「私、どうして恋人同士が抱き合うのか、わかった」
「何故だ?」
二人とも、少しでも体を離してしまうと聞こえないような小さな声で、囁き合う。
彼女は、照れくさそうな笑みを僅かに浮かべて、答えた。

普段、二人きりでいても、いろんなことを考えちゃうでしょ?
でも、抱き合っている間は、チョハのことしか考えられないの。
だから、すごく幸せ。

「そうだな」
パク・ハが自らの頭を指さしたので、イ・ガクはそこを撫でてやる。
あまり甘えない彼女の、躊躇せずに甘えてくる姿が、愛おしかった。
「お腹空いた」
頭を撫でられながら、彼女は呟いた。
「出掛けられるか?」
「ううん、無理」
イ・ガクがバスタブから出て、彼女を引き上げてやる。
先ほどのバスローブを着せると、やはり、彼女はいつもより小さく見えた。
「部屋に夕餉を運ばせよう」
「やっぱり、スイートルームのルームサービスって豪華かな?」
「当たり前だ」
二人は、もう一度ゆっくりと接吻をした。
「チョハも何か着て?」
彼は頷くと、女性用のアメニティを指さして、ゆっくりしておいで、と告げてバスルームを出て行った。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画  大人小説 

2014/07/14 Mon. 21:38  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 12(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

パク・ハがマスタールームに戻ると、イ・ガクはソファーに座ってメニューを開いていた。
彼も彼女のようにバスローブを羽織っている。
「向こうで着替えくる」
「そのままでいいだろう」
「ホテルの人が、来るでしょ?」
食事を運ぶボーイにこの姿を見せるのは、あまりにも生々しい。
ドアノブに手をかけたパク・ハの背中に、イ・ガクは声をかけた。
「また脱ぐではないか」
彼女は顔を赤くして、俯いた。
そんな彼女に、彼は事も無げに近づき、メニュを差し出す。
「そなたが食べたいものを選べ」
「私のお金じゃないから、選べないよ」
誰が払うの?と聞いたところで、あのブラックカードが登場するのはわかりきっている。
彼女は、差し出されたメニューを押し戻した。
「私はそなたの頼み事を聞いたのだ。そなたも私の頼み事を聞くべきだ」
「なんか頼んだっけ?」
「もう忘れたのか?私に抱いてと迫ったではないか」
「な、な……」
いよいよ全身を真っ赤にさせた彼女は、勝ち誇った表情で笑みを浮かべる彼を睨んだ。
「向こうの部屋で待ってるから、食事が来たら呼んで」
「着替えるでないぞ。あとで脱がすのは面倒だ」
イ・ガクは、いつもの意地悪な調子で、面白そうに彼女をからかった。



マスタールームを出たパク・ハは、イ・ガクが気を悪くした秘書用の部屋に逃げ込……みたかったのだが、そんなに機敏に体を動かせるはずもなく、とろとろと進んだ。
彼との口喧嘩で言い返せなかったことはないから、調子が狂う。
喧嘩どころか単なるからかいなのに、あんなことを言われたら、何も返せなくなってしまう。
「初めてなんだから、気を使ってよね」
本人がいなければ、こうして文句を言えることが、ますます悔しい。
だから彼女は、突然後ろから彼に抱きしめられて、驚きで体を固くした。
「そうだな。すまなかった」
いたの?と問うパク・ハに、イ・ガクは気づかなかったのか?と笑う。
そして早くも首筋に顔をうずめた彼に、抗議の声があがる。
体力が持たないと体を縮こませる彼女に、彼は無理強いをしなかった。
夜はまだこれからだ、とこれを口に出したらまた彼女の機嫌を損ねるから、心の中で思うに留めた。



結局、パク・ハはイ・ガクの言う通りにバスローブのままでいたが、食事が運ばれている間は、身を潜めていた。
この広いスイートルームはいくらでも身を隠す場所があるから、身を潜める、は語弊があるかもしれない。
ともかく、“生々しい”姿を晒すことを回避して、ダイニングルームで食事を楽しんだ。
イ・ガクは、そんな彼女に、肉や野菜を取り分けてやりながら、自らの食事もそこそこに、彼女を見つめた。
取り分けてやった野菜を美味しそうに頬張る彼女に、後悔の色は見えない。
当初、彼は彼女を抱くことを、躊躇した。
最中は彼女の体に溺れたし、そうでなくては彼女を傷つけるだけだが、終わった後はやはり、これで良かったのだろうかと、迷った。
バスルームで彼女が幸せだと言ってくれて、彼は随分救われたのだ。
そんな彼女に何か言ってやりたかったが、適切な言葉が思い浮かばず、彼女を撫でてやることしか出来なかった。
だからこそ、沢山愛してやりたいと思う。
彼は、彼女がごちそうさまと箸を置くやいなや席を立って、椅子に座ったままの彼女を、後ろから抱きしめた。
「甘い匂いに誘われるのだ」
互いの体には、入浴剤の香りが残っていた。
バニラの香りは、あたかも彼女の体が菓子であるかのように、彼の食欲を誘った。
「でも……」
やんわりと抵抗する彼女の声を無視して、彼は、バスローブの隙間から手を入れた。
彼の手が彼女の柔らかな腰を探ると、彼女は吐息混じりの甘い声を出して、大人しくなった。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/07/16 Wed. 17:01  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 13(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

イ・ガクは、パク・ハがもう本当に無理だと根を上げるまで、繰り返し彼女のことを抱いた。
仕方がないのだ。
この先、彼女を抱くことが出来るのか、わからないのだから。
「ここで寝てもいい?」
マスタールームは、シングルベッドが二つ並んでいるが、彼女は、このまま一つのベッドで眠ることを望んだ。
「私がそなたを離さない」
たくさん体を重ねてもなお互いの肌が恋しくて、二人とも裸のまま眠った。



パク・ハが目を覚ますと、太陽は既に高く上がっていた。
隣で寝ていたイ・ガクもいない。
彼女の体から入浴剤の甘いの香りはすっかり消え、代わりにイ・ガクの残り香が強く漂っていた。

シャワー浴びちゃうの、もったいないな。

彼女は、ブランケットの下にズルズルと潜り込む。
チェックアウトの時間が迫っているのはわかっているが、彼が残した痕跡を消してしまうのは、寂しかった。
「ずっと、こうしていたい」
彼は、昨夜、彼女の体を抱きながらこの言葉を繰り返した。
彼に与えられる刺激に翻弄されながら、彼女も、うん、と繰り返した。

この体から、チョハの匂いが消えなければいいのに。

彼女は体を丸めた。
こうしてじっとしていると、まだ彼がベッド中で、彼女を抱きしめてくれているようだった。
「パッカ、起きたか?」
彼女は、ブランケットから顔を出した。
この部屋に戻ってきたイ・ガクは、石鹸の香りがした。
彼女の目には、彼が着ている白いバスローブが、まるで二人が交わった事実などなかったかのように、清潔そのものに映った。
彼は、彼女の痕跡が名残惜しくないのだろうか。
「シャワーを浴びたの?」
パク・ハはふてくされた顔をした。
「一人で寂しかったのか?」
イ・ガクは、彼が彼女が起きるのを待たなかったことでふてくされていると受け取って、頭を撫でてやる。
「そんなことないけど」
再びブランケットに下に潜り込んだ彼女を、彼は追いかけた。
バスローブの下は、下着以外何も身に纏っていなかった。
彼は、すぐに彼女を捕まえて、腕の中に抱き込む。
「シャワー浴びたんでしょ?」
また裸で抱き合ってしまったら、シャワーを浴びた意味がない気がして、彼女はそう聞いた。
「私が湯浴みをしたから、怒っているのか?」
「怒ってない」
「怒っているではないか」
彼女の可愛らしい我が儘がおかしくて、彼はくすくすと笑う。
パク・ハも、つられて笑った。
「帰る準備をしなきゃ」
チェックアウトの時間はもうすぐだ。
彼の首に腕を絡ませて、彼女は言った。
帰らなきゃ、と言いながら、彼女の行動はまるで逆だ。
彼の腕の中から出てしまうのが、嫌だった。
「帰りたくないな」
「帰りたくないのか?」
「帰りたいの?」
「まさか」
イ・ガクは、部屋の予約をもう一泊延ばしたと彼女に告げた。
今日中に屋根部屋に戻らなければならないが、ここを発つぎりぎりの時間まで、一秒でも長く二人きりでいたかった。
二人のバスローブは、床に散らばっている。
入り混じったそれらの上に、イ・ガクの下着がぱさりと落ちた。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/07/31 Thu. 17:02  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 最終話(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

イ・ガクは、立つだけでやっとのパク・ハのために、ハイヤーを手配した。
「贅沢過ぎる」
彼女は、やはり、躊躇した。
「そなたが疲れたのは、私がそなたを抱いたせいだ」
昨夜と違い、からかっても、彼女はもう恥ずかしがらなかった。
そんな彼女は、今、後部座席で彼の広い肩に頭を預けて、ぐっすりと眠っている。
彼は、時折肩から落ちそうになる彼女の頭を手のひらで押さえた。
そろそろ日付を跨ぎそうだが、運転手は、車の流れが悪いからあと何時間も掛かるだろうと言っている。
イ・ガクは、屋根部屋で二人の帰りを待つ臣下に先に休むようにと、電話を入れた。
礼儀正しく彼の電話に応じたのは、チサンだ。
彼は、イ・ガクからのひと通りの指示が終わると、急に声色を変えた。
「ところで、私どもが贈った肌着は、ご覧になりましたか?妖艶だと思うのですが」
「何の話だ?」
臣下たちは、初任給を手渡された日に、パク・ハと食事を楽しみ、彼女にランジェリーも贈った。
イ・ガクの『パッカは陰凶だ』という言葉を頼りに買ったランジェリーは、買った本人たちも陰凶、要するになかなか妖艶だと自画自賛できるものだった。
「そのような報告を受けた覚えはないぞ」
怒気を含んだイ・ガクの返答に、チサンはか細い声を出す。
「報告と言いましても、チョハはその頃は、ホン・セナ秘書と言いますか、世子嬪媽媽と、ええと」
「馬鹿を申すな。そなたらの行動を逐一私に報告するのは、そなたらの義務であろう」
「申し訳ありません、チョハ」
「それで、その肌着を、パッカは受け取ったのか?」
「はい、チョ」
ぶちっ!
イ・ガクは、チサンがチョハと言い終わる前に、電話を切った。

パッカが妖艶な肌着をもらった?

彼は、さっきまで優しく彼女の頭を支えていた手のひらで、彼女を叩き起こす。
「パッカ、起きろ。起きるのだ!」
気持よく寝ていたパク・ハは、目をこすり、大きく伸びをした。
着いたの?とまだ開ききってない目で、窓の外を伺う。
まだ着いてないんだ。と呟いて再び目を閉じた彼女を寝かせまいと、彼は身を乗り出した。
「チサンたちから、肌着を受け取ったな?」
「肌着?あー、うん」
「どんな肌着だ。チサンは妖艶だと申していたぞ」
彼女は、鬼気迫る顔で彼女に詰め寄る彼に押されて、少しだけ体を後ろに引いた。
「どんな肌着なのだ?妖艶なのか?」
「ええと、妖艶といえば、妖艶?」
「何色だ」
「赤?ピンクだったかな?」
「着たことはあるのか」
「ない!」
イ・ガクは、鋭く短い息を吐き出した。
暫く黙っていたが、先ほどからの不機嫌な声を更に低くして、パク・ハに命令する。
「捨てろ」
「みんなが初任給で買ったものなのに」
「だからなんだ。あの者たちも男なのだ。そなたは、男にもらった肌着を大事にするというのか!」
「着ないで持っているだけだし。みんなの気持ちなのよ?」
「では、帰ったら私が預かる」
「もっと嫌よ!」
身に付けたことがないとは言え、自分の下着を恋人が預かるなど、恥ずかしいにも程がある。
彼女は、詰め寄る彼の肩を押しやった。
「なぜだ。あの三人は肌着を見ていて、私は見たことがないと言うのに!必ず出すのだ」
「知らない、寝る!」
「パ、パッカ。パッカや。無視をするな」
腕組みをして彼に背を向けた彼女は、彼がいくら肩を揺らしても、彼の方を向かない。
彼女が無視を決め込んだので、彼も仕方なしに黙った。
暫くすると、彼女の寝息が聞こえてきた。
ゆらゆらと揺れる頭を自分の肩に乗せてやり、彼は微笑む。
彼の手のひらは、また、やさしく彼女の頭を包んだ。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/08/01 Fri. 20:15  tb: 0   コメント: 2

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