芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 1 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

中二房の三人との毎日は、楽しいことばかりだ。
ヨンハは、ハ・インスと過ごしてみたものの権力欲ばかりで退屈だった昨年と違い、充実した日々に満足していた。
何より、ハ・インスはいけ好かない奴だが、中二房の三人は違う。
真の友情を彼らと分かち合うことが出来る幸運に、ヨンハは感謝した。
その友人達に、日頃の恩返しをするのは、君子として当然の行いである。
ヨンハは今日も上機嫌で中二房に乗り込んだ。
「宴を用意した。出かけよう」
すると予想通り、三者三様の否定の言葉が返って来た。
「僕、これから尊経閣に行くんです」
「どういった理由で宴を催すのですか?」
「めんどくせぇ」
「あぁ、なんでお前たちの口からは、いつもつまらない言葉ばかり出てくるんだ」
ヨンハは強引に三人を部屋から引っ張りだし、今日は絶対に来い、と稀に見る気迫で迫る。
三人は思わず頷いてしまった。
「でもいつも『今日は絶対に来い』だよね」
ユニがソンジュンに耳打ちしたのを、ヨンハは聞き逃さなかった。
「なにか言ったか?テムル」
「・・・いえ、何も」
かくして三人は大人しくヨンハに続き、気づけば牡丹閣に到着していた。



「キム・ユンシク様!チョソンに会いにいらしたの?」
妓生が駆け寄り、ユニの手を取った。
「本当に、綺麗なお方でございますこと」
もう一人加わり、うっとりとユニを見つめた。
きまりの悪いユニは、ヨンハに助けを求める視線を送る。
すると、ソンジュンが妓生からユニの手を奪い返した・・・少なくともヨンハにはそう映った。

カラン、お前は、誰彼構わず嫉妬するのか?

これは増々おもしろくなりそうだ。
「今日は、四人だけで寛がせてもらうよ」
ヨンハは妓生たちを両腕に抱きながら、押さえておいた部屋に向かった。
「あら、でも、チョソンはユンシク様に会いたいはずよ」
「それはテムル次第だな。ところで、頼んだものは用意してあるのか?」
「ええ。でも、何に使うんですか?」
「ひ・み・つ」
得意の色気でふたりを煙に巻き、ヨンハは部屋の扉を閉めた。
「今日は俺のおごりだ。楽しんでくれ」
わざわざ牡丹閣までやって来て、美酒を楽しもう、などと平凡な計画で満足するヨンハではない。
ここまでの流れは、計画通りで申し分ない。
三人同時に喜ぶ策を考えてあるのだ。ヨンハは微笑んだ。
まず、イ・ソンジュン。
彼は近頃、ヨンハやジェシンがほんの少しユニに触れただけで、彼らに射るような視線を向ける。
しかしソンジュンにその自覚がないから、質が悪い。
彼は、君子らしく涼しい顔を保てていると思っているのだ。

まるで、自分の女気取りだな。

そして、ムン・ジェシン。
最近は、彼もおかしな行動を取る。
大した段差でもないのに手を差し伸べたり、たった一冊の本を持ってやったり、妙に過保護なのだ。

それで庇っているつもりか?逆に女って言って回っているぞ。

女のユニが気になるジェシンと、自分の感情を整理できずにいるソンジュン。
彼らは、同じ思いを持つ者同士の勘が働くのだろうか、しょっちゅう無言で牽制し合っている。
しかも、ふたりのお目当てのユニが、当人も恋をしているにもかかわらず鈍感だから、面白さも倍増だ。

ああ、こんな愉快な友人達をもてなさないなんて、ク・ヨンハの名が廃る!

「テムル、お前の服を隣の部屋に用意しておいたから、着替えてこい」
ヨンハは、ユニの背中を押して続き部屋に突っ込んだ。
「着替えなんて・・・・・・先輩、これはなんですか!」
壁の向こうで、ユニが叫んだ。
ソンジュンが乱暴に扉を開け、ジェシンも慌てて覗き込む。
「先輩!」
ヨンハの「三人同時に喜ぶ策」、それはユニが妓生になることだった。

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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/28 Tue. 19:11  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 2 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

「先日のテムルの妓生は、見事だった。でも、残念ながら、コロはテムルを見ていない。俺も、じっくり味わうには至らなかった」
妓生の衣装を床に叩きつけたユニに、ヨンハは今日の計画を打ち明けた。
「そこで、だ。今日は、妓生のテムルに、宴を盛り上げてもらおうと思う」
「お断りです!あの時は、あれしか方法がなくて、仕方なかったんです」
ユニは必死になった。
毎日懸命に隠しているのだ。こんな冗談で女人と気付かれたら堪らない。
「キム・ユンシクは立派な学士です。戯れに妓生の格好をさせるなんて、彼に失礼です」
ユニは大きく頷くと、ソンジュンに体を向けた。
「イ・ソンジュン!僕、もう女の格好はしないって、君と約束したよね?」
「約束した」
「友との約束を破ることは出来ません。信に背くことになります!」
「カラン、独り占めとはずるいじゃないか。さては、テムルに惚れたな?」
「何を言ってるんですか!悪ふざけが過ぎます!」
ソンジュンは、顔を赤くして応戦する。
「かわいそうだろ!」
ジェシンは今にもヨンハを殴りそうな勢いだ。
だが彼らの反応は想定内、事もなげにヨンハは続けた。
「信に背く、ね。先輩がこれを着ろと言ってるんだ。礼に背くことにならないのかな?」
「先輩、無茶を言わないで下さい」
ソンジュンがユニを背中でかばったのと、ジェシンがそのユニの肩を抱いたのは、ほぼ同時だった。
「テムル、帰ろう」
背を向けたジェシンの肩を、ソンジュンが掴む。
「帰らないのか?」
「・・・帰ります」
ソンジュンがユニを引っ張り、ユニは少しよろめいた。

また、始まった。

ユニが着替える前からこれだ。ヨンハはおどけて切り出した。
「わかった、わかった。お前が妓生になりたくないなら、妓生を呼ぼう!カラン、妓生遊びをしたことはあるか?」
ヨンハは、とりあえず宴を始め、場が盛り上がってきた時にユニに衣装を渡すのも悪くない、と軌道を修正した。
この臨機応変さは、ヨンハの自負するところだ。
しかし、この提案を聞いて、ソンジュンが反応するより先にユニが飛び上がった。
「だめ!ダメです!」
「ん?テムルはチョソンがいるのに、カランはだめなのか?」
「とにかく、ダメです!」
今度は、ユニがソンジュンの前で両手を広げる。
すると突然、ヨンハの背後にある扉が開いた。
入室するなり騒がしい四人を訝しがって、妓生のエンエンが様子を見に来たのだ。
「まぁ、大騒ぎして、何かありまして?」
彼女は、ヨンハの肩越しに部屋の中を窺う。
「あら、もしかして左議政様の御子息?」
「イ・ソンジュンだ。美しいだろう?」
「ぜひご一緒させていただきたいわ、イ・ソンジュン様」
エンエンがソンジュンに流し目を送ったのを見逃さず、ヨンハはソンジュンの首に腕を回した。
ソンジュンはその腕をどけようと試みたが、ヨンハはさらに力を込める。
結局、ユニがエンエンを部屋の外に促した。
「ごめん、エンエン。今日は四人だけで過ごさせてくれ」
ここに至ってヨンハは悟った。
ユニに着替えを承諾させる為に必要なことは、彼女を説得することではない。
「妓生のいない牡丹閣の宴なんて、俺は認めない」
ユニが絶対に首を縦に振る方法、それは、ソンジュンを人質に取ることだ。
「テムル、二択だ。妓生をやるか、妓生を呼ぶか」
ユニは、ソンジュンを見上げる。
ソンジュンを捕まえるヨンハの腕に、更に力がこもった。
「・・・着替えてきます」
ユニは消え入るような声で返事をすると、隣の部屋に入っていった。



続き間だから、壁は薄い。
生々しい衣擦れの音が、こちらまで聞こえる。
ソンジュンは、波打つ心臓を手のひらで押さえ、せり上がってくる唾も、ごくり、と飲み込んだ。
ジェシンも額に汗をかき、口元を手で覆っている。
ユニの着替えはなかなか終わらず、それが余計に二人の体温をじりじりと上昇させた。
もう限界だと言わんばかりにソンジュンが天井を仰ぎ見た頃、ユニは扉を開けた。
桃色で統一された衣装は、ユニの整った顔立ちに可憐さを添えている。
ジェシンもソンジュンも、己が男だということを、否応なしに意識せざるを得なくなった。
ユニの唇に目が行ってしまうのだ。
笠から垂らされた薄衣越しだが、紅をさしたであろう唇の柔らかさが、手に取るように感じられる。
「テムル、テムル~。見事だ!なぁ、コロ?」
「あ・・・うん・・・ひっく」
早くもしゃっくりが出てしまい、ジェシンは自らの襟元を掴んだ。
「カランも、何か言えば?」
ユニは笠の奥からソンジュンを見つめた。
ユニの黒目がちの瞳とソンジュンの視線がぶつかった途端、あの夜しっかりと抱きとめた細い腰を思い出し、ソンジュンは耳まで一気に真っ赤になった。

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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/29 Wed. 19:00  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 3 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

「笠は邪魔だ。綺麗な顔がよく見えない」
ヨンハはユニの笠を外し、座敷に促した。
「さ、酌をして回って」
片目を瞑り、自分の碗を上げる。
残りの二人も黙り込んだまま、席に着いた。
幸いしゃっくりは止まり、ジェシンは安堵した。
ユニは、まず、ヨンハに酒を注ぐ。
「先輩、どうぞ」
「妓生は先輩とは言わないが、・・・まぁ、いいか」
次はジェシンの番だ。ユニはジェシンの傍らに腰掛けた。
「汗をかいてますね。大丈夫ですか?」
額のあたりにユニが右手を寄せる。ジェシンは体を後ろに引いた。
「先輩?」
「・・・・・・ごめん」
幸いユニはあまり気にしていないようで、ジェシンにも酒を注いだ。
「コロ先輩、これもどうぞ」
ユニは、ジェシンが汗を拭けるようにと布巾を差し出した。
「あぁ、ありがとう」
冷や汗なのか、火照りなのか。彼女がそばにいる限り、汗が引く気がしない。
ジェシンは彼女の手から布巾を取った。否、取ろうとした。
布巾に指をかけたとき、ユニの細い指をも掠り、ジェシンは思わず握ってしまった。
それは一瞬だった。
ユニの手がびくっと揺れ、ジェシンも弾かれたように手を離す。
「テムルの妓生は完璧だ。女だと錯覚しちゃうよなぁ?コロ」
ヨンハの助け舟がなかったら、不自然な沈黙が訪れ、二人とも気まずい思いをしていただろう。
「何を言ってるんですか」
ユニは改めてジェシンに布巾を渡し、ヨンハを諌めた。
しかし、ヨンハはもう、ジェシンもユニも見ていない。
彼の視線の先には、卓子の上で両手を握りしめジェシンを睨むソンジュンがいた。
「ほら、テムル。カランの番だぞ」
ユニは、ジェシンとソンジュンの間に座り、ソンジュンの碗に手をかけた。
「僕の左側は食事の邪魔だ。右に来て」
「そんなにくっつかないよ」
ユニは文句を口にしつつも、素直に移動する。
移動した当人はわかっていないが、ソンジュンがユニとジェシンの間に入る形になった。
ヨンハはソンジュンの真意に気づき、楽しそうに酒を口に含んだ。
ユニは改めてソンジュンの碗を引き寄せる。
「君には注がないよ?」
ユニはいたずらっ子のように笑って、碗を手で覆った。
「テムル、もっと女らしい話し方をしなきゃ」
「そうですか?うーん・・・」
ユニは指で唇を摘んだ。何か考え事をするときの彼女の癖だ。
ただでさえ紅で艶が増しているのに、そんな風にいじられたら堪らない。
ジェシンは酒を煽った。
女人に慣れていないソンジュンは、動揺をごまかすことも出来ず、唇を凝視している。
「手始めに、『君』っていうのを直せ」
「じゃあ・・・イ・ソンジュン様、お酒はほどほどにね?」
返事がない。ユニはもう一度声をかけた。
「イ・ソンジュン様?」
ユニはきつく握られたままの拳に触れた。
「・・あ・・・」
唇を凝視していたソンジュンは、これで我に返った。
返事をしようとするが、喉の奥が張り付いて声が出ない。
きっと、喉が乾いているせいだ。ソンジュンは、自ら酒に手を伸ばした。
「もう!お酒はダメだってば!」
ソンジュンとユニのやり取りに、ジェシンは焦った。
ソンジュンの世話を焼こうとするユニは、男のふりをすることを忘れてしまったのだろうか。完全に女だ。
これ以上ソンジュンのそばにいたら、ヨンハにまで女であることが知れてしまう。
「・・・酒ぐらい、飲ませてやれ」
「でも・・・あ、先輩のお碗が空っぽですね」
ユニがジェシンに微笑んだ。
ソンジュンは、思わず目を背けた。

先輩に微笑む君は、見たくない。

蔵破りをして以来、この説明の付かない感情が度々巻き起こり、ソンジュンの心をかき乱す。
その度に、初めて得た友人を取られたくないのだ。幼稚な自分は友情に慣れていないのだ。と自らを納得させて来た。

キム・ユンシクは、同室生。
同室生なんだ、イ・ソンジュン。

「先輩、僕がお酌しますよ」

行かせない。

立ち上がりかけたユニの手首を、ソンジュンが捕まえた。

ああ、違う。今、キム・ユンシクは同室生だ。と言い聞かせたばかりなのに。

緩んだソンジュンの手から、ユニは手首を抜いた。
「君はお酒に弱いじゃないか」
ソンジュンが酒をねだっていると勘違いしたユニは、口を尖らせる。
「帰りに苦労するのは、僕なんだからね」
ユニは再び腰を上げた。酒を取ろうとしたユニの手を、ソンジュンは捉えた。

やっぱり、ダメだ。行かせない。

今度は握った手を緩めなかった。

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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/30 Thu. 19:00  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 4 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

明らかに不自然なソンジュンの行動に、ユニとヨンハは笑いだした。
ユニは、ソンジュンが酒をねだっていると思って。ヨンハは、ソンジュンの幼い態度に。
「そんなに飲みたいの?」
ユニはソンジュンの隣にもう一度腰をおろし、碗の半分まで酒を注いでやった。
「これだけだからね?」
「テムル、さっきから男に戻ってるぞ」
「そんなこと言ったって、無理ですよ。ね、コロ先輩?」
小首を傾げて応援を頼むユニは可憐な少女そのもので、止まっていたジェシンのしゃっくりが、再び始まってしまった。

コロ先輩に甘えるな。

ソンジュンは、酒を一気に飲み干し、大きな音を立てて碗を置いた。
「キム・ユンシク、僕との約束を忘れたのか?」
「女の格好をしない約束?」
「そうだ」
ソンジュンがユニの背中を強く押した。
「うわっ」
鼻先が床に付かんばかりの位置まで押し付けられ、ユニは抗議した。
「だって、僕は君が・・・」

君のそばに妓生が寄り添うなんて、我慢できなくて。
ユニは本音を飲み込む。

「僕がどうしたんだ?」
「・・・妓生は好きじゃないと思って」
「そんな心配はしなくていい」
ソンジュンの手に力が入った。

キム・ユンシクのこんな姿を誰にも見せたくない。
どうして、君は僕の心を掻き乱すんだ。
君の白いうなじは、本物の女人のもののようじゃないか。
声までなんだかいつもよりも可愛らしくて。
僕の手の下の背中も、柔らかくて・・・。
・・・ああ、そうではない。
キム・ユンシク、成均館の学士がこんなことでどうする。
僕は、君の友人として、友が道を誤らないように・・・

「・・・約束は守ってもらう。下を向いているんだ」

女人の姿をした学士が、他人の目に触れていいわけがない。
そうだ。それが道理だ。
だから、コロ先輩に微笑むキム・ユンシクに、腹を立ててしまうんだ。

「こんな姿勢、無理だよ!」
ユニは、ソンジュンの手を押しのけた。
ずれたチョゴリを直し、ソンジュンを睨む。
「今夜は、酔っ払っても絶対助けないからね!」
ヨンハは苦笑いで二人を見つめた。
ソンジュンの反応は予想以上だった。
ソンジュンがジェシンに対し、ここまで対抗心を丸出しにするとは思っていなかったのだ。
強く押さえつけられたユニは、蒸気した頬が赤く染まっている。
ジェシンのしゃっくりは、ますます止まらない。
息苦しくなり、ジェシンは立ち上がった。
「厠に行く」
どすどすと音を立てて、ジェシンは出て行った。
「じゃあ、俺も、馴染みの妓生に挨拶してこようかな」
片目をつぶり、意味深な笑顔を二人に振りまき、ヨンハも出て行ってしまった。

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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/31 Fri. 19:18  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 5 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

冷めてしまったが、目の前には豪華な食事が並んでいる。
急に静かになった空間を埋めるのに、食事は会話より手っ取り早いと、ユニは思った。
それに、少しばかりのいたずら心も頭をもたげている。

こうなったらいっそ、腹をくくろう。
ソンジュンに綺麗だと思われたい。
ヒョウンよりずっと、魅力的だと。

「少し食べたほうがいいんじゃない?」
「・・・そうだな」
ソンジュンが使おうとした匙をユニが奪った。
空きっ腹だとお酒が回りやすいし、君は本当に重たいんだよ。そんなことをブツブツ言いながら、ユニは汁物をすくう。
そして、にっこり笑うと、匙をソンジュンの口元に運んだ。
「イ・ソンジュン様、召し上がれ」
可憐な少女か、はたまた妖艶な妓生か。
男らしさを欠片も持ち合わせない、自分に体を寄せ微笑むこの人物が、果たして切磋琢磨しあう大切な友なのかどうかわからなくなってきて、ソンジュンは顔を背けた。
「キム・ユンシク、学士としての誇りはどこへ行ったんだ?」
「君って、冗談が通じないよね」
ユニは、ソンジュンに差し出していた匙を口に含んだ。
唇の端からこぼれた汁を舌で舐め取り、今度は、同じ匙で蛸の煮物をソンジュンの口元に運ぶ。

君が使った匙で、食べろというのか?
頭がおかしくなりそうだ。

ソンジュンは、自棄になって蛸を口に入れた。
その後に口の汚れをユニに拭われ、ソンジュンは、もう、何を言えばいいのかの判断もつかなくなった。



「お酒は足りてますか?」
扉の向こうで声がした。おそらく先ほどのエンエンだろう。
この状況をユニの言う「冗談」と捉える余裕などないソンジュンにとって、エンエンの声は天から降って来たも同然だった。
しかし、彼女をこの部屋に入れるわけにはいかない。
「十分ありますから、結構です」
ソンジュンはこれで済むと思ったが、残念ながら、先ほどの天の声は全くもって天の声ではなかった。
「ク・ヨンハ様から頼まれましたので、失礼しますね」
エンエンが酒を持って入ってきた。
ユニは、エンエンに背を向け俯いた。
牡丹閣でユニは有名人だ。こんな格好を見られたら、どんな騒ぎになるのか想像するだけで恐ろしい。
「妓生はいないと聞いてましたけど、お呼びになってたのね」
卓子に近づくエンエンに気付かれまいと、ユニは背中を丸めた。
「後は僕がやります」
ソンジュンの制止も無意味だった。
「イ・ソンジュン様にこんなこと頼めませんわ。ねぇ、手伝ってよ」
エンエンはユニに刺々しく声をかけた。
それでも硬くなって動かないユニを、彼女はまじまじと見つめた。
「・・・あなた、誰?」
振り向かせようと、エンエンがユニに手を伸ばす。

不味い!

ソンジュンは、ユニを引き寄せ、腰を抱いた。
腕の中のユニが身じろいだが、ソンジュンは力を緩めない。
「今夜は、もう結構です」
「イ・ソンジュン様ったら、遊び慣れてらっしゃるのね」
世間の噂とは違うソンジュンの大胆な行動に、エンエンは驚いたようだ。
しかし興味が勝ったのだろう。卓上を整えてから下がります、と、新しい碗をゆっくり並べ出した。

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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/02/01 Sat. 19:08  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 最終話 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

ユニはソンジュンを押し返そうとした。
ソンジュンは、少しでも距離を作ろうとするユニのうなじを左手で押さえて彼女の頭を自分の右肩に乗せると、ユニの耳に口を寄せ囁いた。
「このままで」
観念したのか、ユニはおとなしくなった。やり場のない両手をもぞもぞと動かしている。
エンエンは見慣れない妓生がいることに納得がいかず、遠慮もなく覗きこもうとした。
焦ったユニが、ソンジュンの首に抱きつく。
「エンエン、わかるでしょ?早く行って」
ユニは正体を知られないように小声を出したつもりだったが、その声は震え、艶かしい内容と相まって、本当にこの後の営みを待ち望んでいるかのように聞こえた。
ソンジュンの心臓が跳ね上がる。
首にかかるユニの吐息は、容易に行為を連想させた。
エンエンに見られまいと腰を抱く腕も、庇うようにうなじに乗せた手のひらも、まるで心臓になってしまったかのように、どくどくと波打つ。
ソンジュンは、エンエンが出ていくまで、息をこらしてユニを抱きしめた。



エンエンが退くと、ソンジュンはわざとらしい咳払いをして、ユニを開放した。
「あの、ありがとう」
「君も、蔵で僕を助けてくれたから」
「あ、あぁ、そうだったね」
ユニは、ソンジュンを押し倒したことが如何に大胆な行動であったかを、今更ながらに理解した。
二人とも、大して崩れてもいない服をしきりに直す。
「紅が・・・」
ソンジュンが襟元で手を止めた。
白い襟に赤い紅がべっとりと付いていた。
「ごめん!僕の不注意だ」
ユニは布巾で襟を押さえたが、紅は広がるばかりで、落ちる気配はない。
「大丈夫だ。もう、いい」
ソンジュンがユニの手を掴む。ユニの手をどけるだけ、ただそれだけのつもりだったのに、ソンジュンはユニの手を離せなくなった。
目の前に、翻弄され続けた唇が迫っていたから。
ソンジュンは、その唇に顔を寄せた。



君は甘い匂いがする。

それに、君の唇は、どうしてこんなに気持ちよさそうなんだろう。

さっき君がしたように、僕の舌で君の唇をなぞってしまいたい。

こんなに顔を近づけているのに、キム・ユンシク、君はなぜ逃げないんだ。

きっと僕たちは酔っ払ってるんだ。

だから、唇を合わせたくなって・・・あと少し近づけば君の・・・



「お邪魔かな?」
いつの間に戻ってきたのか、部屋の入口にヨンハが立っていた。
ソンジュンは勢い良く立ち上がる。
いつもなら色々と詮索してくるヨンハは、珍しくあっさりと帰り支度を始めた。
「コロはどこかに行っちゃったし、俺たちも帰ろうか」
ユニは、弾けるように続き部屋に逃げ込んだ。
ヨンハは扉がピシャリと閉められたのを確認して、扇子でソンジュンの襟をトントンと叩いた。
「お前のことを堅物だと思ってたけど、こういう色っぽいのも、案外似合うな」
ソンジュンに耳打ちする。
「こ、これは、理由があって!」
「根掘り葉掘り聞き出すほど、俺は悪趣味じゃない」
「先輩、そうではなくて」
「『そう』ってなんだ?俺は何も言ってないよ」
なんとか説明を聞いてもらおうとソンジュンが躍起になっている間に、ユニの着替えが終わり、三人は牡丹閣を後にした。
成均館までの道を歩きながら、ユニは上ずった声でソンジュンに話しかけた。
「すっかり遅くなっちゃったね。僕、勉強するつもりだったのに」
「そうだな。僕も『大学』を読んでいる途中だった」
「帰ったら勉強しようかな」
「僕も続きを読むつもりだ」
ソンジュンは、ユニと普段通りの会話をしている間に、なんとかいつもの調子を取り戻した。



成均館の門をくぐりヨンハの部屋の前まで来ると、今夜はヨンハに翻弄されたからお礼を言うのもおかしい気がしたが、二人とも謝意を述べた。
中二房では、ジェシンが寝転がっていた。
「帰っていたんですね」
ソンジュンが挨拶をする。ユニも一緒に頭を下げた。
しばらくの間、ジェシンは面倒そうに、文机を準備する二人の様子を眺めていたが、ソンジュンの襟の汚れに気付き勢い良く起き上がった。
ソンジュンの胸ぐらを掴む。
「これはなんだ?」
「あ、それ、僕が付けてしまったんです」
ユニが慌てて間に入り、弁解する。
「はぁぁ?カラン、お前まさか!!!」
ソンジュンはジェシンを無視した。
説明の付かない友人への欲求を、どう話せというのか。
「先輩、イ・ソンジュンは僕を助けて・・・うわぁ!」
ジェシンがソンジュンを投げ飛ばした。
ソンジュンは、投げ飛ばされた体勢のまま、なんとか場を収めようと懸命なユニを見つめた。
ユニは、牡丹閣での出来事などなかったかのように、いつもと変わりがない。

やっぱり、酒のせいだ。

ソンジュンはもう牡丹閣でのことは忘れることにして、ユニと一緒に、暴れるジェシンを押さえた。
この夜の中二房は、いつまでも騒がしかった。

-- -- -- --
本日で連載終了です。
お題「女人姿のユニに、魂を抜かれるソンジュン」「手を握ってしまうジェシンに嫉妬」「他の人に見せまい・渡すまいと嫉妬メラメラ」を盛り込めていたでしょうか。
6日間、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。




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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/02/02 Sun. 18:48  tb: 0   コメント: 8

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