芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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また、大人小説(R18)の閲覧はご自身のご判断でお願い致します。

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成均館スキャンダル連載 一覧

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【テーマ】

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【成均館 二次小説】晴れの日(上)  

成均館スキャンダル連載

最終話、ユニが女性だと王にわかってしまった大騒動が解決し、成均館に帰ってきた後のお話です。

* -- * -- *


ユ博士は、うつらうつらと舟を漕ぐ儒生たちを眺めていた。
天気の良い昼下がり、寝るなと言うほうが無理というものだ。
自分も儒生だった頃は・・・。
いや、同情は禁物だ。
考えてみれば、だからと言って実際に眠りこけるなどありえない。
若かった頃も、その程度の自制心は持ち合わせていたはずだ。
ここでこうして今、教鞭を執るに至っているのだから。
イ・ソンジュンとキム・ユンシクにちらりと視線を移す。
この二人だけは相変わらず背筋を伸ばし、博士の次の言葉を待っていた。
さて、この怠け者の儒生たちを起こさねば。
ユ博士は、立ち上がった。そして口を開きかけた、その時

「きゃーーーー!!!」

甲高い声が講堂に響いた。
「むし・・・虫!」
「ユ・・・!」
舟を漕いでいた儒生たちは飛び跳ね、一斉に声の主を睨みつけた。
そこには、額をソンジュンの肩に押し当て、両手でソンジュンの左腕に抱きつくキム・ユンシクがいた。
しかし、一気に眠気が覚めたとは言え、大声の理由が飲み込めない。
一か所に集まった視線は、当然のようにソンジュンに移された。
ソンジュンは、咳払いをすると、机の上の蛾を右手で払う。
先ほどのだるい空気を引き摺るように、蛾はよたよたと外へ飛んでいった。
まだ自分の左腕にすがりついているユニの体を静かに押し、ソンジュンは声をかけた。
「キム・ユンシク」
「あ・・・」
その場にいる全員が自分たち二人に注視しているのに気付き、ユニは姿勢を正した。
「すみません」
俯き、小声で謝る。だが、後方から大声が飛んだ。
「おーい、キム・ユンシク!蛾が怖くて、女みたいに叫んだのか?」
同時にどっと笑いが起きる。
「イ・ソンジュン様、助けてー!」
別の場所では、隣の儒生にしなだれかかって色目を使う者が現れ、その冗談で更に笑いの声は大きくなる。
いつもなら啖呵を切るユニは、女みたい、の言葉に指一本動けないほど硬直してしまった。
以前の男色騒ぎの記憶も頭を掠める。
「キム・ユンシクは、虫のような小さい命も大切にしているだけです」
ソンジュンが前を見据えたまま言い返した。
「命を大切にするのと怖がるのは、全く違うだろう」
よほど気に入ったのか、儒生たちはあちこちで男色めいた真似事をして、収まる気配がない。
「それに!」
ソンジュンは彼らを睨みつけると、また前に向き直った。
「この騒ぎでユ博士の怒りに触れずに助かった人は、一人や二人じゃないでしょう。むしろ、彼に感謝をするべきだ」
ユ博士の怒り。
該当者は、もちろん一人や二人ではなく、ソンジュンとユニ以外全員だった。
この言葉で、講堂は水を打ったように静まり返った。



中二房に戻ると、ユニは扉を閉め、小声でソンジュンに謝った。
「ごめん。あと、ありがとう。僕、急に蛾が落ちてきたから、我を忘れてしまって」
「僕にも責任はある」
ソンジュンは立ったまま謝るユニを座らせると、その横に並んで座った。
「責任?」
「黄柑製のとき、成均館を辞めさせなかったのは、僕の責任だ」
「そういうことじゃなくて」
「そして、義務も権利もある」
またその話を蒸し返すのか。
今は殊勝に謝るべきなのだが、ユニは口を尖らせた。
「今度虫が来たら、僕の腕を握ればいい」
すっとソンジュンが左腕を上げる。
「抱きつくのは許可できないが」
見上げると、そこには優しく微笑むソンジュンがいた。
「握ってみて」
ユニは、右手でソンジュンの手首を握った。
「本当に怖かったら、両手で」
手首を握った右手の隣に左手を並べる。
「強く握ってもいいから、叫んだらダメだ」
「うん、ありがとう。でも強く握りすぎて、血が止まっちゃうかも」
「僕も虫は少し苦手だ」
「あ、そうだったね」
二人は、外に漏れないように気を使いながら、くすくすと笑いあった。



実際は、相当に危なかった。
ユニに急に抱きつかれて、ソンジュンも我を忘れそうになったのだ。
いつだって女性としてのユニと一緒にいたいのに、こうして中二房でふたりきりの今も、ユニは「僕」を崩さない。
もちろん、一時も油断せず男として居続けなければ、守りきれないことは重々承知だ。
しかし、だからと言って、女性としてのユニを望む自分を否定できるわけもない。
義務と権利と、時には孔子まで持ちだし自らに言い聞かせることによって、どうにかこうにか、やり過ごしているだけなのだ。
それなのに、あの時、自分にすがりついてきたユニは、紛れもない女人だった。
巻きつけられた細い腕も、肩に埋められた柔らかい頬も。
だから思わず「ユニ」と呼びそうになった。
「ユ」で正気に戻った自分を褒めてもいい。
それぐらい、危なかった。




「今夜は帰らないぞ」
日が暮れてしばらくすると、ジェシンはふらりと中二房を覗き、それだけ言ってまた出かけていった。
念の為ジェシンを待っていた二人は、「はい」と返事するまもなく閉じられた扉をなんとなく見つめた。
「もう寝よう」
手際よく寝支度を整え横になったソンジュンに続き、ユニも布団に潜り込む。
「今日は、僕を助けてくれてありがとう」
ユニに背中を向けていたソンジュンは、その言葉でユニと向かい合った。
「ユニに会いたい」
腕を伸ばしユニの腰を抱くと、一気に自分の布団にユニを引き寄せた。
「ここなら、誰も見てないから」
ジェシンが帰ってこないとわかっている夜、こうして一つの布団で眠ることが増えていた。
自然、口づけも交わす。
けれど、ここは中二房。
時折その口付けが深くなることはあっても、それ以上先に進むこともなかった。
世間話をして、互いのぬくもりを感じながら眠りにつく。
今夜もソンジュンはそのつもりだった。
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【作品名】晴れの日

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2013/12/23 Mon. 13:31  tb: 0   コメント: 6

【成均館 二次小説】晴れの日(下)  

成均館スキャンダル連載

若干、大人表現が含まれます。ご注意ください。




* -- * -- *


「まだ眠くはなさそうね?」
ユニはソンジュンの頬に手を当てると、ソンジュンをからかった。
「二度と女の格好をするなと言ったのは誰?」
「それは・・・お互い様だ」
ソンジュンは自分の額をユニの額に当てる。
「君は自分のことを男だと言っていた。男が女の格好をするのは道理に反する」
「今は?」
「着飾った君を見たい」
「卒業したら、ね?」
「ああ、卒業したら」
どちらからともなく唇を合わせる。
「こんな風に甘やかすの?」
「卒業したら、君は僕の妻になるんだから」
ユニの甘い香りがソンジュンの鼻孔をくすぐる。

そう、この香りのせいで、今日は危うく・・・。

ソンジュンは、ユニの腰を抱く腕に力を込めると、舌を差し入れた。
「ぅん・・・」
柔らかい唇を吸い、とろけるような舌を絡めとる。
ソンジュンに応えるように、ユニは、ソンジュンの首に腕を回す。
それを合図に、ソンジュンはユニの体を自分の下に組み敷いた。
ユニの唇は、先程までの刺激で、月明かりだけでもわかるぐらい赤く熟れていた。
熱で潤んだユニの瞳が、ソンジュンを見つめる。
「もっと?」
「・・・いじわる」
再びユニに唇を落とす。
しばらく舌を味わってから、ソンジュンの唇は顎から首へと下がっていった。
柔らかい皮膚をついばむと、ユニの口からは声にならないため息が漏れた。
崩れないようにしっかりと合わせられた単衣の合わせに手を差し入れる。
そのまま引っ張って緩めると、ユニがソンジュンの手を掴んだ。
「だめ・・・」

虫なんかで抱きついてきた、君が悪い。

ソンジュンはユニの言葉を無視し、手を掴まれたまま結びを解き、ユニの右肩を露わにした。
「あっ・・・」
続けて左肩も露わにする。
ユニの上半身を覆っているものは、きつく巻かれたさらしだけになってしまった。
今やソンジュンの唇は、肩を這っている。
恥ずかしいのに、力が抜けて、押し返せない。
ユニはソンジュンの肩に爪を立てた。
ソンジュンの手は徐々に下に降り、さらしで抑えられた膨らみを撫で始めた。
きつく巻かれていても感じるのか、ユニの体は、ソンジュンの手の動きに合わせて、打ち震えた。
撫で続けると、さらしの下で突起が硬くなり、ソンジュンの指を押し返した。
「ね、もう・・・だめ・・・」
こんなに扇情的なユニを目の前にして、止まれるはずがない。
ひときわ硬くなった突起を指でこねると、感じすぎてしまうのか、ユニは手の甲を口に押し当て、声が出そうになるのを堪えた。
「ユニ、愛してる」
耳元でささやくと、ソンジュンはさらしを一気に下した。
イ・ソンジュンに愛してると言われて、拒める女人がいるだろうか。
ユニは恥ずかしさのあまり、両腕で顔を隠した。
ソンジュンはその腕を解くと、固く閉じられたまぶたに接吻を落とした。
「愛してる」
その言葉に、今度はユニからソンジュンの唇を求めた。
互いの唇を吸いながら、ソンジュンは、低いため息を吐く。
その気だるく熱い空気を感じ、ユニはより一層唇を求めた。
ソンジュンの手は、直接、柔らかい膨らみを撫ぜる。
ユニの体は、ぴくんと跳ねた。
「ぅん・・・」
深く舌を絡ませながら、感じている中心をいじってやる。
ソンジュンに組み敷かれたまま、ユニはびくびくと震えた。
手の動きは緩めずに、もっと深く舌を味わおうと、ソンジュンは一度唇を外す。
と、その時

「ぁん!!」

中二房に声が響いた。
次の瞬間、ユニはソンジュンを突き飛ばし布団を頭から被り、布団から放り出されたソンジュンはそのまま固まった。



「ごめん、キム・ユニ。悪かった」
布団ごとユニを抱きしめて、ソンジュンは謝った。
「だから、だめだって言ったんだ!」
「うん、ごめん。僕が軽率だった」
すっかり男言葉に戻ってしまった彼女をより強く抱きしめ、ソンジュンは言葉を続けた。
「ユニ。本当に悪かった」
「だいたい、僕だけ服を脱がされて」
「うん、悪か・・・え?」
「僕ばっかり・・・!」
「キム・ユニ?」
どうやら怒りの方向が変わりつつあるようだ。
ソンジュンは一緒に布団の下に潜り込むと、今度は直接ユニを腕に抱いた。
「ユニ、ごめん」
「僕が女人だって知られちゃったら・・・」
「うん、ごめん」
ソンジュンの肩に唇を押し当てたまま、ユニは続ける。
「僕だけ裸で・・・」
「うん、ごめん」
声が震えている。
ソンジュンは、ユニが泣き止むまで優しく背中をさすってやった。



「単衣を着直すから、向こうを見てて」
だいぶ落ち着きを取り戻して、ユニは言った。
「もう少し、このままがいいな」
「でも・・・」
「あと少しだけ」
わかった。ユニは小さく呟いて、ソンジュンに身を預けた。
「嫌だった?」
「・・・嫌じゃ、ない」
「本当に?さっき、泣いてたから」
「わかるだろ?恥ずかしかっただけだよ」
ソンジュンは、探るようにユニの瞳を覗きこむ。
「嫌じゃないけど、ここは・・・」
「そうだな。ごめん」
さっきから、彼は何度「ごめん」と言っているのだろう。
最初は混乱したけれど、別にソンジュンに対して怒っているわけじゃない。
本気で拒もうと思えば、拒めたのだ。
あの時流されたのは、自分だってソンジュンの与えてくれる温もりから離れたくなかったから。
「ふふ。左議政の一人息子は礼と法を重んじるんじゃなかった?」
「初めて君に好きだといった時、『常に原則に従って生きて来た僕が、君を好きになった』って言ったはずだ」
笑いを含んだ声でソンジュンが応える。
「あの時は、僕を男だと思ってたからだろ?」
「それが、君が女でも、時々道を踏み外してしまうらしいことが、今わかった」
つられて笑うユニの息がソンジュンの首筋にかかり、くすぐったい。
「着替えるよ、向こうむいて」
ユニは単衣で前を隠しながら体を起こした。
ソンジュンも一緒に起き上がると、後ろからユニを抱きしめる。
「これじゃ、着替えられない」
「今夜は、これを巻かないでくれないか?」
ユニの手に握られているさらしを抜き取りながらソンジュンは頼んだ。
「でも・・・」
「コロ先輩も帰ってこないし、明日身につければいい」
「だけど・・・」
「もう何もしないから、頼む。ユンシクじゃなくて、ユニと一緒にいたいんだ」
「・・・わかったよ」
「ありがとう」
ソンジュンは壁のほうを向いて布団をかぶった。



着替えが済むと、ユニは再びソンジュンの布団に潜り込んだ。
ソンジュンはユニの頭の下に、自分の腕を差し入れる。
「さっき」
ソンジュンが囁いた。
ちょっとやり過ぎたとは言え、彼女はまだ昼間の出来事の本質を理解していない。
だから、少しからかってやりたくなった。
「昼間の叫び声より、ずっと女人だった」
「---!!」
ユニは恥ずかしさのあまり、ソンジュンに背中を向けた。
「キム・ユニに戻った?」
「戻ってない!」
言葉はぶっきらぼうだが、声色は女人のそれだ。
今夜はユニと一緒に眠れる。
ソンジュンは後ろからユニを抱きしめた。
ユニはソンジュンの広い胸を背中に感じ、微笑む。
きっと彼は、予習のために早起きをするだろう。
眠れる時間はもうあまり残っていないが、そこで予習をせずに眠り続けるような男ではない。
一刻でも長く、眠らせてあげたい。
「おやすみ」
ソンジュンは抱きしめていた腕を少しだけ緩める。
「おやすみ」
互いの体温に身を委ねながら、二人はまぶたを閉じた。




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【作品名】晴れの日

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2014/01/03 Fri. 19:50  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】犬も食わない - 1  

成均館スキャンダル連載

花の四人衆は、酒屋で酒を酌み交わしていた。
今日の酒の席は、ユニの「今夜はやけ酒です」から始まった。
ずっと泣き続けていたユニが、中二房の前の縁側に腰掛けていたヨンハに、そう声をかけたのだ。
宴会好きのヨンハは、もちろん断らなかった。
ユニが心配で中二房に留まっていたジェシンも、二人の後を追いかけた。
「コロ先輩も、行きましょう!」
ユニは二人を両腕で引っ張ってどんどん進む。
ソンジュンも一歩後ろをついて行ったが、ユニが振り向くことはなかった。
「君も来たの?」
席に着くと、ユニはぶっきらぼうに言った。
「キム・ユンシク、ちゃんと話そう」
「酒の席で話って、君は無粋だな。それに、話なんか、僕にはないよ」
真っ赤に腫れたまぶたを気にしながら、ユニは呟いた。
「俺が貰冊房に連れて行ってやるから、もう、泣くな」
ジェシンがユニの肩に手をかける。
ソンジュンは卓子の下で右のこぶしを握り締めた。
ジェシンのやる事が一々引っかかる。
キム・ユンシクが、自分に対するのと違って、ジェシンにはいつも屈託のない笑顔を向けるからだろうか。
ソンジュンは、ジェシンのその手を苦々しげに見つめた。
そして、今、卓子の下で右手を動かせずにいる自分は意気地のない男のような気がして、よけいにジェシンが腹立たしかった。



午後の早い時間に授業が終わった今日、ソンジュンとユニは、貰冊房に行く約束をしていた。
二人は、禁書扱いになっている清国の書物を読みに出掛けるつもりだった。
一週間前に写本を納めに行った時、ユニは貰冊房の主人に「学士様好みの禁書が入りましたよ」と囁かれ、いても立ってもいられなくなったのだ。
ソンジュンを誘ってみると「君一人で禁書?危険だとわからないのか。僕も一緒でなくては」と、随分説教臭くはあったが、応じてくれた。
それからユニは、あと三日、あと二日、と毎日指折り数えてその日を待った。
貰冊房までの道を行きながら、飴を買って一緒に食べたり、女人の髪を飾る細布(テンギ)を見て回ったりしてみたい。
彼は男と出かけると思っているが、それでも、二人で連れ立って歩くことを考えるだけで、胸が弾んだ。
加えて今朝は、いつもよりも念入りに顔を洗った。
しかし、天はユニに味方しなかった。
ユニの想像通りに二人で連れ立って成均館の門をくぐったら、門外にヒョウンがいたのだ。
「イ・ソンジュン様!一か八かでお待ちしておりました。本当に出て来てくださるなんて!」
「こんなところで、何をしているのですか」
「だから、ソンジュン様をお待ちしていたんです」
「僕は、これから出掛けるところです。あなたの為に出て来たのではありません。それに、ここには来るべきではないと言ったはずです」
「でも、ひと目だけでもお会いしたかったんです・・・私、ソンジュン様に教えていただきたい詩を持ってきましたの」
ヒョウンは紙を差し出した。
ソンジュンは、一瞥するだけで受け取らなかった。
「あなたの兄上が適役です。とても優秀でいらっしゃる」
年頃の両班の男女が道端で会話をしているのは、それだけで目立つ。
二人を囲んで、人集りが出来始めていた。
「輿はどこですか?」
「大通りの向こうに待たせてあります」
「そこまで送ります。キム・ユンシク、ちょっと待っててくれ」
ソンジュンは、ユニが止める間もなく行ってしまった。
遠ざかって行く彼の背中と、それより一回り小さいヒョウンの背中を、ユニは見つめた。
ヒョウンは、鮮やかな桃色のチマで着飾っている。
念入りに化粧が施された彼女の笑顔は、ユニから見ても可愛らしかった。
無意識に手が頬に行く。

私は、顔を洗っただけ。

お金はないけれど、ソンジュンがどんな細布を選ぶのか、知りたかった。
卒業したら、思い出にソンジュン好みのもの一つ買いたいと、ここ数日は、そんなこともぼんやりと考えていた。
しかし、ヒョウンの登場で、寄り道をする時間はなくなってしまった。
ユニは、何もかもが嫌になった。
不躾なヒョウンに礼を尽くすソンジュンが。
ソンジュンに申し分なく釣り合うヒョウンが。
男だと思われている自分が。
気付いたら、涙がこぼれ落ちていた。
ユニは、とぼとぼと中二房に戻っていった。




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【作品名】犬も食わない

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2014/01/10 Fri. 20:00  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】犬も食わない - 2  

成均館スキャンダル連載

ソンジュンはヒョウンを送り届けると駆け足で戻った。
彼女の輿に着くまでに、ヒョウンは賑やかにソンジュンの気をひこうとしたが、ソンジュンは全く彼女の話を聞く気がなかったから、最後の挨拶まで黙々と歩を進めた。
ソンジュンもまた、ユニと出かけることを楽しみにしていた。
ふたりだけで成均館の外に出るなんて、滅多にない。
だから、駆け足で戻った。
しかしユニは中二房に閉じこもり、この酒屋でも泣きべそをかいている。
「明日、僕と一緒に行こう」
「君とは行かないよ。コロ先輩と行くから」
事の顛末は単純で、傍から見ると他愛のない言い合いだが、空気は重い。
この席で酒を美味しく飲めているのは、ヨンハぐらいなものだ。
「テムル、まぁ、飲め。男が泣き虫じゃいけない」
ヨンハの手酌で、ユニは酒を煽る。
連続して酒を入れたせいで多少酔ったのか、ユニは口を開いた。
「僕は・・・楽しみにしてたんだ」
ソンジュンが、身を乗り出した。
「その、君がそんなに楽しみにしてるって気づいてなくて。許してくれ」

そういうことじゃないだろう。

ジェシンは苦笑いで頬杖をつく。
ヨンハも、吹き出しそうになるのを必死に堪えた。
やってられないよ。笑っていることに気付かれないように、扇子で口元を隠す。
「女に言い寄られて嫌がる男はいないしなぁ」
あからさまにぼやいてみた。
ヨンハとしては、鈍感なソンジュンに仄めかしてやったつもりだったが、しかし、ユニの方により効いてしまったらしい。
卓子の上の両手がきつく握られた。
「泮村に女人が一人では危険だから、彼女を送っただけだ。その後、君と貰冊房に向かうつもりで・・・」
ソンジュンは、中二房で何度も繰り返した説明を、もう一度口にする。
「イ・ハンスの妹はそんな玉か?」
ヨンハの横槍に、ソンジュンは声を強めた。
「これは、僕とキム・ユンシクの問題です」
一旦泣き止んだと思われたユニは、また目に涙を溜めて、ソンジュンを睨んだ。
女人が一人?侍女もいたのに。
「彼女、ね。・・・ずいぶん親しいんだね」
「親しくない」
「君たち、とても似合ってると思うよ」
「僕はなんとも思ってない」
どうしてこうなるんだ。
僕はただ、早く君に笑って欲しいだけ。
ヒョウンなんて、君と僕の間に、何の関係もないじゃないか。
ヨンハが「カラン、全く飲んでないな」と酒を勧めてきたが、荒れているユニを前にそんな気が起きるはずもない。
ソンジュンは、自分の杯を手で覆った。




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【作品名】犬も食わない

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2014/01/17 Fri. 10:40  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】犬も食わない - 最終話  

成均館スキャンダル連載

その後は、ふたりとも言葉が続かなかった。
気まずい空気に耐え切れずに先に立ち上がったのは、ユニだった。
「申し訳ありませんが、僕は先に帰ります」
一人になりたい。
他の三人に何か言う隙を与えず、ユニは店を後にした。
「待て、俺も一緒に・・・」
立ち上がったジェシンを、ソンジュンが制した。
「僕が行きますから、コロ先輩はご心配なく」

キム・ユンシクは僕のものです。

そう言っているも同然だ。
こんな風に言い切れる強さに、負けたのだろうか。
「俺が帰るまでにどうにかしろ。うんざりだ」
ジェシンは、ソンジュンの手を乱暴に払った。



「行かないでくれ」
ソンジュンが傍にいることに気付いても、ユニは速度をゆるめない。
ユニの背中に呼びかけられたその声は、悲痛な空気をまとっていた。
ソンジュンから逃げているユニの両足を、いとも簡単にその場に縛り付けるぐらいに。
ユニは、弁明を続けるソンジュンから逃げたかった。
幼稚な感情で彼を責める自分からも逃げたかった。
「キム・ユンシク」
傷ついたのはこっち。なのに、なぜ、こんなに悲しげな声で自分を呼ぶのか。ユニは俯いた。
頑ななユニの正面に回り、ソンジュンは言葉を続ける。
「僕は、兵曹判書の令嬢より、君と語り合いたい」
兵曹判書の令嬢より。その言葉でユニは顔を上げた。
「その・・・僕も、君と出かけることを楽しみにしてたんだ」
ソンジュンは、ユニの肩に手をかけようと右手を上げたが、その手はユニの肩に触れることなく、下ろされた。
気安く触ってはいけない気がした。
しかし同時に、ジェシンがいとも簡単にユニに触れたことが思い出された。
彼がたやすくやってのけているのに、自分は躊躇していることが悔しかった。
「だから、一緒に行ってくれないか」
ソンジュンは、一歩前に進み、自分よりも一回り小さな左手を、肩に触れることが出来なかった右手で包みこんだ。
「うん」
ユニは、ぎゅっと握り返した。
友情でいい、ソンジュンの一番にして欲しい。
でも、ソンジュンがくれた言葉も、じゅうぶん贅沢。
月に照らされて出来たふたりの影は、ユニが思い描いたように、仲睦まじく並んだ。



酒屋では、ヨンハが先ほどから耐えていた笑いを一気に爆発させていた。
「あいつらは、自分たちが痴話喧嘩をしてるっていう自覚が皆無だ」
「男同士の喧嘩を痴話喧嘩とは言わないだろ」
ヨンハは、扇子でジェシンの顎を下から数回はたいた。
「テムルも切ないけど、お前も切ないな」
「何の話だ」
ヨンハはそれには答えず、ジェシンに酒を注いでやる。
「あいつら、仲直りしたかな」
「してくれないと、俺が困る」
「まぁまぁ、今夜は二人で存分に語り合おう!俺とコロの仲じゃないか」
「気色悪いことを言うな」
「えっ?俺たちの友情のどこが気色悪いんだよ」
ジェシンは、店を変えよう、と言って立ち上がった。
ヨンハも立ち上がり、そうこなくては、とジェシンの肩に腕を回した。

-- -- -- --

原作(成均館儒生たちの日々・上 /楽天ブックス)に、「ユニがソンジュンの家を訪れる約束だったのに、芙蓉花の登場で約束が果たされなかった」というエピソードがあります。
このエピソードをヒントに、ドラマの二人だったらどんなストーリーになるだろう、と想像しながら書きました。
ちなみに、原作の二人の態度は、もう少し理性的です。少なくとも、表面上は。
ドラマのソンジュンとユニは、感情に振り回されてグダグダになっていることが多いので、こんなお話になりました。




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【作品名】犬も食わない

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2014/01/23 Thu. 21:25  tb: 0   コメント: 4

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 1 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

中二房の三人との毎日は、楽しいことばかりだ。
ヨンハは、ハ・インスと過ごしてみたものの権力欲ばかりで退屈だった昨年と違い、充実した日々に満足していた。
何より、ハ・インスはいけ好かない奴だが、中二房の三人は違う。
真の友情を彼らと分かち合うことが出来る幸運に、ヨンハは感謝した。
その友人達に、日頃の恩返しをするのは、君子として当然の行いである。
ヨンハは今日も上機嫌で中二房に乗り込んだ。
「宴を用意した。出かけよう」
すると予想通り、三者三様の否定の言葉が返って来た。
「僕、これから尊経閣に行くんです」
「どういった理由で宴を催すのですか?」
「めんどくせぇ」
「あぁ、なんでお前たちの口からは、いつもつまらない言葉ばかり出てくるんだ」
ヨンハは強引に三人を部屋から引っ張りだし、今日は絶対に来い、と稀に見る気迫で迫る。
三人は思わず頷いてしまった。
「でもいつも『今日は絶対に来い』だよね」
ユニがソンジュンに耳打ちしたのを、ヨンハは聞き逃さなかった。
「なにか言ったか?テムル」
「・・・いえ、何も」
かくして三人は大人しくヨンハに続き、気づけば牡丹閣に到着していた。



「キム・ユンシク様!チョソンに会いにいらしたの?」
妓生が駆け寄り、ユニの手を取った。
「本当に、綺麗なお方でございますこと」
もう一人加わり、うっとりとユニを見つめた。
きまりの悪いユニは、ヨンハに助けを求める視線を送る。
すると、ソンジュンが妓生からユニの手を奪い返した・・・少なくともヨンハにはそう映った。

カラン、お前は、誰彼構わず嫉妬するのか?

これは増々おもしろくなりそうだ。
「今日は、四人だけで寛がせてもらうよ」
ヨンハは妓生たちを両腕に抱きながら、押さえておいた部屋に向かった。
「あら、でも、チョソンはユンシク様に会いたいはずよ」
「それはテムル次第だな。ところで、頼んだものは用意してあるのか?」
「ええ。でも、何に使うんですか?」
「ひ・み・つ」
得意の色気でふたりを煙に巻き、ヨンハは部屋の扉を閉めた。
「今日は俺のおごりだ。楽しんでくれ」
わざわざ牡丹閣までやって来て、美酒を楽しもう、などと平凡な計画で満足するヨンハではない。
ここまでの流れは、計画通りで申し分ない。
三人同時に喜ぶ策を考えてあるのだ。ヨンハは微笑んだ。
まず、イ・ソンジュン。
彼は近頃、ヨンハやジェシンがほんの少しユニに触れただけで、彼らに射るような視線を向ける。
しかしソンジュンにその自覚がないから、質が悪い。
彼は、君子らしく涼しい顔を保てていると思っているのだ。

まるで、自分の女気取りだな。

そして、ムン・ジェシン。
最近は、彼もおかしな行動を取る。
大した段差でもないのに手を差し伸べたり、たった一冊の本を持ってやったり、妙に過保護なのだ。

それで庇っているつもりか?逆に女って言って回っているぞ。

女のユニが気になるジェシンと、自分の感情を整理できずにいるソンジュン。
彼らは、同じ思いを持つ者同士の勘が働くのだろうか、しょっちゅう無言で牽制し合っている。
しかも、ふたりのお目当てのユニが、当人も恋をしているにもかかわらず鈍感だから、面白さも倍増だ。

ああ、こんな愉快な友人達をもてなさないなんて、ク・ヨンハの名が廃る!

「テムル、お前の服を隣の部屋に用意しておいたから、着替えてこい」
ヨンハは、ユニの背中を押して続き部屋に突っ込んだ。
「着替えなんて・・・・・・先輩、これはなんですか!」
壁の向こうで、ユニが叫んだ。
ソンジュンが乱暴に扉を開け、ジェシンも慌てて覗き込む。
「先輩!」
ヨンハの「三人同時に喜ぶ策」、それはユニが妓生になることだった。

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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/28 Tue. 19:11  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 2 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

「先日のテムルの妓生は、見事だった。でも、残念ながら、コロはテムルを見ていない。俺も、じっくり味わうには至らなかった」
妓生の衣装を床に叩きつけたユニに、ヨンハは今日の計画を打ち明けた。
「そこで、だ。今日は、妓生のテムルに、宴を盛り上げてもらおうと思う」
「お断りです!あの時は、あれしか方法がなくて、仕方なかったんです」
ユニは必死になった。
毎日懸命に隠しているのだ。こんな冗談で女人と気付かれたら堪らない。
「キム・ユンシクは立派な学士です。戯れに妓生の格好をさせるなんて、彼に失礼です」
ユニは大きく頷くと、ソンジュンに体を向けた。
「イ・ソンジュン!僕、もう女の格好はしないって、君と約束したよね?」
「約束した」
「友との約束を破ることは出来ません。信に背くことになります!」
「カラン、独り占めとはずるいじゃないか。さては、テムルに惚れたな?」
「何を言ってるんですか!悪ふざけが過ぎます!」
ソンジュンは、顔を赤くして応戦する。
「かわいそうだろ!」
ジェシンは今にもヨンハを殴りそうな勢いだ。
だが彼らの反応は想定内、事もなげにヨンハは続けた。
「信に背く、ね。先輩がこれを着ろと言ってるんだ。礼に背くことにならないのかな?」
「先輩、無茶を言わないで下さい」
ソンジュンがユニを背中でかばったのと、ジェシンがそのユニの肩を抱いたのは、ほぼ同時だった。
「テムル、帰ろう」
背を向けたジェシンの肩を、ソンジュンが掴む。
「帰らないのか?」
「・・・帰ります」
ソンジュンがユニを引っ張り、ユニは少しよろめいた。

また、始まった。

ユニが着替える前からこれだ。ヨンハはおどけて切り出した。
「わかった、わかった。お前が妓生になりたくないなら、妓生を呼ぼう!カラン、妓生遊びをしたことはあるか?」
ヨンハは、とりあえず宴を始め、場が盛り上がってきた時にユニに衣装を渡すのも悪くない、と軌道を修正した。
この臨機応変さは、ヨンハの自負するところだ。
しかし、この提案を聞いて、ソンジュンが反応するより先にユニが飛び上がった。
「だめ!ダメです!」
「ん?テムルはチョソンがいるのに、カランはだめなのか?」
「とにかく、ダメです!」
今度は、ユニがソンジュンの前で両手を広げる。
すると突然、ヨンハの背後にある扉が開いた。
入室するなり騒がしい四人を訝しがって、妓生のエンエンが様子を見に来たのだ。
「まぁ、大騒ぎして、何かありまして?」
彼女は、ヨンハの肩越しに部屋の中を窺う。
「あら、もしかして左議政様の御子息?」
「イ・ソンジュンだ。美しいだろう?」
「ぜひご一緒させていただきたいわ、イ・ソンジュン様」
エンエンがソンジュンに流し目を送ったのを見逃さず、ヨンハはソンジュンの首に腕を回した。
ソンジュンはその腕をどけようと試みたが、ヨンハはさらに力を込める。
結局、ユニがエンエンを部屋の外に促した。
「ごめん、エンエン。今日は四人だけで過ごさせてくれ」
ここに至ってヨンハは悟った。
ユニに着替えを承諾させる為に必要なことは、彼女を説得することではない。
「妓生のいない牡丹閣の宴なんて、俺は認めない」
ユニが絶対に首を縦に振る方法、それは、ソンジュンを人質に取ることだ。
「テムル、二択だ。妓生をやるか、妓生を呼ぶか」
ユニは、ソンジュンを見上げる。
ソンジュンを捕まえるヨンハの腕に、更に力がこもった。
「・・・着替えてきます」
ユニは消え入るような声で返事をすると、隣の部屋に入っていった。



続き間だから、壁は薄い。
生々しい衣擦れの音が、こちらまで聞こえる。
ソンジュンは、波打つ心臓を手のひらで押さえ、せり上がってくる唾も、ごくり、と飲み込んだ。
ジェシンも額に汗をかき、口元を手で覆っている。
ユニの着替えはなかなか終わらず、それが余計に二人の体温をじりじりと上昇させた。
もう限界だと言わんばかりにソンジュンが天井を仰ぎ見た頃、ユニは扉を開けた。
桃色で統一された衣装は、ユニの整った顔立ちに可憐さを添えている。
ジェシンもソンジュンも、己が男だということを、否応なしに意識せざるを得なくなった。
ユニの唇に目が行ってしまうのだ。
笠から垂らされた薄衣越しだが、紅をさしたであろう唇の柔らかさが、手に取るように感じられる。
「テムル、テムル~。見事だ!なぁ、コロ?」
「あ・・・うん・・・ひっく」
早くもしゃっくりが出てしまい、ジェシンは自らの襟元を掴んだ。
「カランも、何か言えば?」
ユニは笠の奥からソンジュンを見つめた。
ユニの黒目がちの瞳とソンジュンの視線がぶつかった途端、あの夜しっかりと抱きとめた細い腰を思い出し、ソンジュンは耳まで一気に真っ赤になった。

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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/29 Wed. 19:00  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 3 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

「笠は邪魔だ。綺麗な顔がよく見えない」
ヨンハはユニの笠を外し、座敷に促した。
「さ、酌をして回って」
片目を瞑り、自分の碗を上げる。
残りの二人も黙り込んだまま、席に着いた。
幸いしゃっくりは止まり、ジェシンは安堵した。
ユニは、まず、ヨンハに酒を注ぐ。
「先輩、どうぞ」
「妓生は先輩とは言わないが、・・・まぁ、いいか」
次はジェシンの番だ。ユニはジェシンの傍らに腰掛けた。
「汗をかいてますね。大丈夫ですか?」
額のあたりにユニが右手を寄せる。ジェシンは体を後ろに引いた。
「先輩?」
「・・・・・・ごめん」
幸いユニはあまり気にしていないようで、ジェシンにも酒を注いだ。
「コロ先輩、これもどうぞ」
ユニは、ジェシンが汗を拭けるようにと布巾を差し出した。
「あぁ、ありがとう」
冷や汗なのか、火照りなのか。彼女がそばにいる限り、汗が引く気がしない。
ジェシンは彼女の手から布巾を取った。否、取ろうとした。
布巾に指をかけたとき、ユニの細い指をも掠り、ジェシンは思わず握ってしまった。
それは一瞬だった。
ユニの手がびくっと揺れ、ジェシンも弾かれたように手を離す。
「テムルの妓生は完璧だ。女だと錯覚しちゃうよなぁ?コロ」
ヨンハの助け舟がなかったら、不自然な沈黙が訪れ、二人とも気まずい思いをしていただろう。
「何を言ってるんですか」
ユニは改めてジェシンに布巾を渡し、ヨンハを諌めた。
しかし、ヨンハはもう、ジェシンもユニも見ていない。
彼の視線の先には、卓子の上で両手を握りしめジェシンを睨むソンジュンがいた。
「ほら、テムル。カランの番だぞ」
ユニは、ジェシンとソンジュンの間に座り、ソンジュンの碗に手をかけた。
「僕の左側は食事の邪魔だ。右に来て」
「そんなにくっつかないよ」
ユニは文句を口にしつつも、素直に移動する。
移動した当人はわかっていないが、ソンジュンがユニとジェシンの間に入る形になった。
ヨンハはソンジュンの真意に気づき、楽しそうに酒を口に含んだ。
ユニは改めてソンジュンの碗を引き寄せる。
「君には注がないよ?」
ユニはいたずらっ子のように笑って、碗を手で覆った。
「テムル、もっと女らしい話し方をしなきゃ」
「そうですか?うーん・・・」
ユニは指で唇を摘んだ。何か考え事をするときの彼女の癖だ。
ただでさえ紅で艶が増しているのに、そんな風にいじられたら堪らない。
ジェシンは酒を煽った。
女人に慣れていないソンジュンは、動揺をごまかすことも出来ず、唇を凝視している。
「手始めに、『君』っていうのを直せ」
「じゃあ・・・イ・ソンジュン様、お酒はほどほどにね?」
返事がない。ユニはもう一度声をかけた。
「イ・ソンジュン様?」
ユニはきつく握られたままの拳に触れた。
「・・あ・・・」
唇を凝視していたソンジュンは、これで我に返った。
返事をしようとするが、喉の奥が張り付いて声が出ない。
きっと、喉が乾いているせいだ。ソンジュンは、自ら酒に手を伸ばした。
「もう!お酒はダメだってば!」
ソンジュンとユニのやり取りに、ジェシンは焦った。
ソンジュンの世話を焼こうとするユニは、男のふりをすることを忘れてしまったのだろうか。完全に女だ。
これ以上ソンジュンのそばにいたら、ヨンハにまで女であることが知れてしまう。
「・・・酒ぐらい、飲ませてやれ」
「でも・・・あ、先輩のお碗が空っぽですね」
ユニがジェシンに微笑んだ。
ソンジュンは、思わず目を背けた。

先輩に微笑む君は、見たくない。

蔵破りをして以来、この説明の付かない感情が度々巻き起こり、ソンジュンの心をかき乱す。
その度に、初めて得た友人を取られたくないのだ。幼稚な自分は友情に慣れていないのだ。と自らを納得させて来た。

キム・ユンシクは、同室生。
同室生なんだ、イ・ソンジュン。

「先輩、僕がお酌しますよ」

行かせない。

立ち上がりかけたユニの手首を、ソンジュンが捕まえた。

ああ、違う。今、キム・ユンシクは同室生だ。と言い聞かせたばかりなのに。

緩んだソンジュンの手から、ユニは手首を抜いた。
「君はお酒に弱いじゃないか」
ソンジュンが酒をねだっていると勘違いしたユニは、口を尖らせる。
「帰りに苦労するのは、僕なんだからね」
ユニは再び腰を上げた。酒を取ろうとしたユニの手を、ソンジュンは捉えた。

やっぱり、ダメだ。行かせない。

今度は握った手を緩めなかった。

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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/30 Thu. 19:00  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 4 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

明らかに不自然なソンジュンの行動に、ユニとヨンハは笑いだした。
ユニは、ソンジュンが酒をねだっていると思って。ヨンハは、ソンジュンの幼い態度に。
「そんなに飲みたいの?」
ユニはソンジュンの隣にもう一度腰をおろし、碗の半分まで酒を注いでやった。
「これだけだからね?」
「テムル、さっきから男に戻ってるぞ」
「そんなこと言ったって、無理ですよ。ね、コロ先輩?」
小首を傾げて応援を頼むユニは可憐な少女そのもので、止まっていたジェシンのしゃっくりが、再び始まってしまった。

コロ先輩に甘えるな。

ソンジュンは、酒を一気に飲み干し、大きな音を立てて碗を置いた。
「キム・ユンシク、僕との約束を忘れたのか?」
「女の格好をしない約束?」
「そうだ」
ソンジュンがユニの背中を強く押した。
「うわっ」
鼻先が床に付かんばかりの位置まで押し付けられ、ユニは抗議した。
「だって、僕は君が・・・」

君のそばに妓生が寄り添うなんて、我慢できなくて。
ユニは本音を飲み込む。

「僕がどうしたんだ?」
「・・・妓生は好きじゃないと思って」
「そんな心配はしなくていい」
ソンジュンの手に力が入った。

キム・ユンシクのこんな姿を誰にも見せたくない。
どうして、君は僕の心を掻き乱すんだ。
君の白いうなじは、本物の女人のもののようじゃないか。
声までなんだかいつもよりも可愛らしくて。
僕の手の下の背中も、柔らかくて・・・。
・・・ああ、そうではない。
キム・ユンシク、成均館の学士がこんなことでどうする。
僕は、君の友人として、友が道を誤らないように・・・

「・・・約束は守ってもらう。下を向いているんだ」

女人の姿をした学士が、他人の目に触れていいわけがない。
そうだ。それが道理だ。
だから、コロ先輩に微笑むキム・ユンシクに、腹を立ててしまうんだ。

「こんな姿勢、無理だよ!」
ユニは、ソンジュンの手を押しのけた。
ずれたチョゴリを直し、ソンジュンを睨む。
「今夜は、酔っ払っても絶対助けないからね!」
ヨンハは苦笑いで二人を見つめた。
ソンジュンの反応は予想以上だった。
ソンジュンがジェシンに対し、ここまで対抗心を丸出しにするとは思っていなかったのだ。
強く押さえつけられたユニは、蒸気した頬が赤く染まっている。
ジェシンのしゃっくりは、ますます止まらない。
息苦しくなり、ジェシンは立ち上がった。
「厠に行く」
どすどすと音を立てて、ジェシンは出て行った。
「じゃあ、俺も、馴染みの妓生に挨拶してこようかな」
片目をつぶり、意味深な笑顔を二人に振りまき、ヨンハも出て行ってしまった。

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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/31 Fri. 19:18  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 5 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

冷めてしまったが、目の前には豪華な食事が並んでいる。
急に静かになった空間を埋めるのに、食事は会話より手っ取り早いと、ユニは思った。
それに、少しばかりのいたずら心も頭をもたげている。

こうなったらいっそ、腹をくくろう。
ソンジュンに綺麗だと思われたい。
ヒョウンよりずっと、魅力的だと。

「少し食べたほうがいいんじゃない?」
「・・・そうだな」
ソンジュンが使おうとした匙をユニが奪った。
空きっ腹だとお酒が回りやすいし、君は本当に重たいんだよ。そんなことをブツブツ言いながら、ユニは汁物をすくう。
そして、にっこり笑うと、匙をソンジュンの口元に運んだ。
「イ・ソンジュン様、召し上がれ」
可憐な少女か、はたまた妖艶な妓生か。
男らしさを欠片も持ち合わせない、自分に体を寄せ微笑むこの人物が、果たして切磋琢磨しあう大切な友なのかどうかわからなくなってきて、ソンジュンは顔を背けた。
「キム・ユンシク、学士としての誇りはどこへ行ったんだ?」
「君って、冗談が通じないよね」
ユニは、ソンジュンに差し出していた匙を口に含んだ。
唇の端からこぼれた汁を舌で舐め取り、今度は、同じ匙で蛸の煮物をソンジュンの口元に運ぶ。

君が使った匙で、食べろというのか?
頭がおかしくなりそうだ。

ソンジュンは、自棄になって蛸を口に入れた。
その後に口の汚れをユニに拭われ、ソンジュンは、もう、何を言えばいいのかの判断もつかなくなった。



「お酒は足りてますか?」
扉の向こうで声がした。おそらく先ほどのエンエンだろう。
この状況をユニの言う「冗談」と捉える余裕などないソンジュンにとって、エンエンの声は天から降って来たも同然だった。
しかし、彼女をこの部屋に入れるわけにはいかない。
「十分ありますから、結構です」
ソンジュンはこれで済むと思ったが、残念ながら、先ほどの天の声は全くもって天の声ではなかった。
「ク・ヨンハ様から頼まれましたので、失礼しますね」
エンエンが酒を持って入ってきた。
ユニは、エンエンに背を向け俯いた。
牡丹閣でユニは有名人だ。こんな格好を見られたら、どんな騒ぎになるのか想像するだけで恐ろしい。
「妓生はいないと聞いてましたけど、お呼びになってたのね」
卓子に近づくエンエンに気付かれまいと、ユニは背中を丸めた。
「後は僕がやります」
ソンジュンの制止も無意味だった。
「イ・ソンジュン様にこんなこと頼めませんわ。ねぇ、手伝ってよ」
エンエンはユニに刺々しく声をかけた。
それでも硬くなって動かないユニを、彼女はまじまじと見つめた。
「・・・あなた、誰?」
振り向かせようと、エンエンがユニに手を伸ばす。

不味い!

ソンジュンは、ユニを引き寄せ、腰を抱いた。
腕の中のユニが身じろいだが、ソンジュンは力を緩めない。
「今夜は、もう結構です」
「イ・ソンジュン様ったら、遊び慣れてらっしゃるのね」
世間の噂とは違うソンジュンの大胆な行動に、エンエンは驚いたようだ。
しかし興味が勝ったのだろう。卓上を整えてから下がります、と、新しい碗をゆっくり並べ出した。

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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/02/01 Sat. 19:08  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 最終話 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

ユニはソンジュンを押し返そうとした。
ソンジュンは、少しでも距離を作ろうとするユニのうなじを左手で押さえて彼女の頭を自分の右肩に乗せると、ユニの耳に口を寄せ囁いた。
「このままで」
観念したのか、ユニはおとなしくなった。やり場のない両手をもぞもぞと動かしている。
エンエンは見慣れない妓生がいることに納得がいかず、遠慮もなく覗きこもうとした。
焦ったユニが、ソンジュンの首に抱きつく。
「エンエン、わかるでしょ?早く行って」
ユニは正体を知られないように小声を出したつもりだったが、その声は震え、艶かしい内容と相まって、本当にこの後の営みを待ち望んでいるかのように聞こえた。
ソンジュンの心臓が跳ね上がる。
首にかかるユニの吐息は、容易に行為を連想させた。
エンエンに見られまいと腰を抱く腕も、庇うようにうなじに乗せた手のひらも、まるで心臓になってしまったかのように、どくどくと波打つ。
ソンジュンは、エンエンが出ていくまで、息をこらしてユニを抱きしめた。



エンエンが退くと、ソンジュンはわざとらしい咳払いをして、ユニを開放した。
「あの、ありがとう」
「君も、蔵で僕を助けてくれたから」
「あ、あぁ、そうだったね」
ユニは、ソンジュンを押し倒したことが如何に大胆な行動であったかを、今更ながらに理解した。
二人とも、大して崩れてもいない服をしきりに直す。
「紅が・・・」
ソンジュンが襟元で手を止めた。
白い襟に赤い紅がべっとりと付いていた。
「ごめん!僕の不注意だ」
ユニは布巾で襟を押さえたが、紅は広がるばかりで、落ちる気配はない。
「大丈夫だ。もう、いい」
ソンジュンがユニの手を掴む。ユニの手をどけるだけ、ただそれだけのつもりだったのに、ソンジュンはユニの手を離せなくなった。
目の前に、翻弄され続けた唇が迫っていたから。
ソンジュンは、その唇に顔を寄せた。



君は甘い匂いがする。

それに、君の唇は、どうしてこんなに気持ちよさそうなんだろう。

さっき君がしたように、僕の舌で君の唇をなぞってしまいたい。

こんなに顔を近づけているのに、キム・ユンシク、君はなぜ逃げないんだ。

きっと僕たちは酔っ払ってるんだ。

だから、唇を合わせたくなって・・・あと少し近づけば君の・・・



「お邪魔かな?」
いつの間に戻ってきたのか、部屋の入口にヨンハが立っていた。
ソンジュンは勢い良く立ち上がる。
いつもなら色々と詮索してくるヨンハは、珍しくあっさりと帰り支度を始めた。
「コロはどこかに行っちゃったし、俺たちも帰ろうか」
ユニは、弾けるように続き部屋に逃げ込んだ。
ヨンハは扉がピシャリと閉められたのを確認して、扇子でソンジュンの襟をトントンと叩いた。
「お前のことを堅物だと思ってたけど、こういう色っぽいのも、案外似合うな」
ソンジュンに耳打ちする。
「こ、これは、理由があって!」
「根掘り葉掘り聞き出すほど、俺は悪趣味じゃない」
「先輩、そうではなくて」
「『そう』ってなんだ?俺は何も言ってないよ」
なんとか説明を聞いてもらおうとソンジュンが躍起になっている間に、ユニの着替えが終わり、三人は牡丹閣を後にした。
成均館までの道を歩きながら、ユニは上ずった声でソンジュンに話しかけた。
「すっかり遅くなっちゃったね。僕、勉強するつもりだったのに」
「そうだな。僕も『大学』を読んでいる途中だった」
「帰ったら勉強しようかな」
「僕も続きを読むつもりだ」
ソンジュンは、ユニと普段通りの会話をしている間に、なんとかいつもの調子を取り戻した。



成均館の門をくぐりヨンハの部屋の前まで来ると、今夜はヨンハに翻弄されたからお礼を言うのもおかしい気がしたが、二人とも謝意を述べた。
中二房では、ジェシンが寝転がっていた。
「帰っていたんですね」
ソンジュンが挨拶をする。ユニも一緒に頭を下げた。
しばらくの間、ジェシンは面倒そうに、文机を準備する二人の様子を眺めていたが、ソンジュンの襟の汚れに気付き勢い良く起き上がった。
ソンジュンの胸ぐらを掴む。
「これはなんだ?」
「あ、それ、僕が付けてしまったんです」
ユニが慌てて間に入り、弁解する。
「はぁぁ?カラン、お前まさか!!!」
ソンジュンはジェシンを無視した。
説明の付かない友人への欲求を、どう話せというのか。
「先輩、イ・ソンジュンは僕を助けて・・・うわぁ!」
ジェシンがソンジュンを投げ飛ばした。
ソンジュンは、投げ飛ばされた体勢のまま、なんとか場を収めようと懸命なユニを見つめた。
ユニは、牡丹閣での出来事などなかったかのように、いつもと変わりがない。

やっぱり、酒のせいだ。

ソンジュンはもう牡丹閣でのことは忘れることにして、ユニと一緒に、暴れるジェシンを押さえた。
この夜の中二房は、いつまでも騒がしかった。

-- -- -- --
本日で連載終了です。
お題「女人姿のユニに、魂を抜かれるソンジュン」「手を握ってしまうジェシンに嫉妬」「他の人に見せまい・渡すまいと嫉妬メラメラ」を盛り込めていたでしょうか。
6日間、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。




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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/02/02 Sun. 18:48  tb: 0   コメント: 8

【成均館 二次小説】手をつないで - 1(感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

ソンジュンとユニは、大科に一発合格し、成均館を卒業した。
もちろんソンジュンは、大方の予想を裏切らず、壮元(首席)だった。
彼は、大科の前に、僕だって皆と同じで怖い、と珍しく青白い顔で漏らしていた。
しかし、ユニ以外誰もこの発言を取り合わなかったというのが、実際のところだ。
目出度く二人とも合格すると、続いてキム家の悩ましい事情に直面する必要に迫れれたのだが、合格の知らせを待ち構えていた王が、あっさりと権力で解決してしまった。
彼はまず、ユニの弟ユンシクに、キム・ユニョン(金允賢)という新しい名前を与え、キム家の戸籍を書き換えさせ、知り合いがいない土地のほうが煩わしくない、と新しい住居まで用意した。
処理を一任されたチョン博士が、ソンジュンとユニを成均館に呼び出し「ユニ、君の家の子供は、ユニ、ユンシク、ユニョンの三人になった」と伝えたのは、戸籍の書き換えが完了した後で、二人はあんぐりと口を開ける以外、すべき事は皆無だった。
かくして、ソンジュンは長女のユニと結婚し、ユニ扮するユンシクは、ソンジュンと共に成均館で後継者の育成に努め、ユンシク扮するユニョンは、新しい家で勉学に励んでいる。



実は、戸籍の書き換えよりも、夫婦が成均館で官職を得るという決定に至るまでが、一騒動だった。
正式に出仕する前に、まず、研修期間がある。
分館と言って成均館、承文院、校書館、三つのどこかに権知(研修生)として配属されるのだ。
ユニの分館は馴染みのある成均館で。
これは満場一致の意見だったので、つつが無く処理された。
その後もしばらく成均館で過ごすことを見越しての決定だった。
ソンジュンも成均館を割り当てられたので、権知の間は、平和だった。
問題は、分館が終わり、正式に官職に就く段階で起こった。
ソンジュンが成均館に行くと言い張ったのだ。
この若さで壮元で一発合格するなど、朝鮮王朝の歴史の中で、殆ど聞いたことがない。
それほどの秀才が、教育者として日々のんびり過ごすなんてことになれば、王やイ家だけの問題ではなく、両班を巻き込む大騒動になりかねない。
科挙の存在意義までもが疑われる、というものだ。
当然、王も、成均館ではなく、自身に近い奎章閣(*)に配属させるように、手を回した。
にも関わらず、ソンジュンは、周りの雑音を一切無視し堂々と固辞した。
傍にチョン博士がいるから奎章閣に行ってくれ、とユニが取り成したのに「君の大丈夫ほど当てにならないものはない」と取り付く島がない。
代わりにチョン博士が諌めれば、「僕は妻の安全に責任があります」と、まるでチョン博士では力不足だと言わんばかりに頑なだった。
「どこに出仕したって、男だらけだよ」
「だから、僕は君の行くところに行くと言っているんだ」
「これは命令だよ?希望なんて出せるわけないじゃないか。君に断る権利なんかないよ!」
ソンジュンは、相変わらず男言葉を話すユニを憎々しげに睨み「壮元なんか、ならなければ良かった」と吐き捨てた。



ソンジュンは、壮元を勝ち取るために、血の滲むような努力をした。
誰も取り合わなかった「僕だって怖い」も、押し寄せる不安の中で、やっと絞り出せた本音だった。
父、イ・ジョンムとの約束でユニを娶ることは決まっていたものの、父は、ユニが男装を解き、妻としてイ家を取り仕切ることを条件にしていた。
ユニはその条件を静かに受け入れて、朗らかに花嫁修業に入った。
ソンジュンが何度問うても、あなたの妻として生きる以上に幸せなことはこの世にない、と微笑むだけだ。
彼女が外に出れば、他の男の目が気になってやきもきするのは必至・・・寧ろ経験済みであるが、一日中彼女を閉じ込めるなど、ソンジュンには想像もできなかった。
男たちに混ざり、生き生きと論を戦わせる彼女しか、知らないからではないか。
そう自問もしたが、その姿を愛したのは、他でもない自分自身だ。

壮元で合格したら、好きにさせて欲しい。

いくら自慢の息子でも、初めての大科で壮元を勝ち取ることは不可能だ、そう判断した父は、快く承諾した。
我が子の華々しい快挙を祝福され、苦虫を噛み潰したように渋い顔で礼をして回った親は、こちらも、長い歴史の中で、この父ぐらいだろう。



ソンジュンは、最終的に王のもとに乗り込み直訴した。
「坊ちゃまが、お一人で宮殿に向かわれました」
スンドリから報告を受け、イ・ジョンムが肝を冷やす思いで駆けつけた時、王は大声で笑っていた。
ソンジュンが、成均館の配属でなければユニも出仕させない、と言い切ったからだ。
「イ・ソンジュンは、私を脅すのか」
イ・ジョンムは、あまりの出来事に言葉にならない声を漏らし、我が子の無礼を許してくれ、両班の説得は自分が責任をもって請け負うから、と平身低頭した。
「左議政、心配するな。そなたの息子を悪いようにはしない」
王は、彼を帰すと、ソンジュンに向き合った。

一年間だけだ。

それだけ告げて、ソンジュンが成均館の官職を得ることを、許してくれた。

*奎章閣・・・国王が信任する文官を集めて文献研究や政策立案などを行った官庁


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一ヶ月感謝企画アンケート 3位 「ソンジュン×ユニ 卒業後」の小説です。




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【作品名】手をつないで

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  一ヶ月感謝企画 

2014/03/04 Tue. 19:49  tb: 1   コメント: 7

【成均館 二次小説】手をつないで 短歌  

成均館スキャンダル連載

二次の先輩、阿波の局様が、現在連載中の「手をつないで - 1」に、素敵な短歌を寄せてくださいました。
↓↓皆様、ぜひぜひご訪問を。
その姿を愛したのは、僕

ネタバレになるので詳細は避けますが、私の力量では至らなかった、ソンジュンの心を深く表現されていて、素晴らしすぎます。
阿波の局様、ありがとうございました。
soytea、嬉しすぎて興奮状態です。




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【作品名】手をつないで

【テーマ】 一ヶ月感謝企画  成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ 

2014/03/05 Wed. 20:36  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】手をつないで - 2(感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

博士として成均館に通いだしてから二ヶ月がたったある日の夕方、ソンジュンの父イ・ジョンムが、ユニだけを屋敷に呼びつけた。
ソンジュンは普段、彼女と共に帰途につくのだが、今日はやり残した仕事を処理するために、彼女だけ先に帰していた。

その隙に。

ジョンムにそんなつもりは毛頭ない。
嫁を呼び出すのに、息子の顔色を窺う親がどこにいるだろうか。
しかし、こうも頃合い良くユニを呼び出されては、「その隙に」という言葉が口をついて出てきても、致し方あるまい。
ソンジュンは帰宅するや否や、博士の服装、鶴氅衣(ハクチャンウィ)のまま、ユニの部屋に向かった。
「僕も一緒に行く」
「私だけ呼ばれてるの」
「父上は、納得していないんだ。何を言われるかわからない」
「一人で平気よ」
ソンジュンが部屋に入った時、ユニは彼の剣幕には目もくれず、少し伸びた髪を飾る細布(テンギ)を選んでいた。
若草色の細布にするか、桜色に刺繍の入ったものにするか、真剣に悩んでいる。
以前、チマ姿の彼女が、短い髪を恥ずかしがっていたことを、ソンジュンはよく憶えている。
博士の幞巾は、儒生時代の儒巾(ユゴン)のように透けないため、髷(サントゥ)が大きくなっても誰もわからない。
だから、伸ばし始めたのだろう。
そうと打ち明けられたわけではないが、満更でもなさそうな彼女が可愛らしくて、彼は彼女に接吻をした。
「気をつけて」
「まるで、お義父様が恐ろしい怪物みたいな言い様ね」
高潔な鶴氅衣が白粉で汚れてしまいそうで、ユニはソンジュンの腕からするりと抜け出した。



ユニがジョンムの部屋に到着すると、彼は息子の様子を聞き出したりせず、即座に要件を切り出した。
質実なところは、ソンジュンとそっくりだ。
何度も嫁としてジョンムと接しているうちに、彼に対するユニの警戒心は薄れていた。
我が父のことを思うと、無邪気に義父を慕う気にもなれない。しかし、ソンジュンがこの世に存在するのもまた、この義父に起因する。
こんな風に、こっそり夫に似ている部分を探るのは、愉快だった。

巻き毛のようにくるりと上を向いた睫毛も、そっくり。

ジョンムは、僅かに笑みを浮かべるユニを咎めて、話を続けた。
曰く、
『私が息子の成均館務めに協力したのは、奎章閣入りを阻止したかったからだ。
私が奎章閣撤廃のために動いていたのは、知っているだろう?
あの王は蕩平などと張り切っているが、私は認めていない。
それは、息子にも既に話してある。
相避制度(*1)があるから、お前は奎章閣入りにならないだろう。
だが、今上は何をしでかすかわからない。万が一辞令が来ても、決して受けるな。』



「それだけ?」
門の前で、ユニの帰宅を今か今かと待ち構えていたソンジュンは、ユニが輿から降りるなり、如何に責められたのか問い詰めたのだが、報告を聞いて拍子抜けしてしまった。
ユニが『あの王』のくだりは随分憎々しげだったと加えると、彼は珍しく声を出して笑った。
屋敷に向かって歩きながら、ユニは改めて礼を言った。
「ありがとう。本当は私が出仕したいって、わかってたんでしょう?」
「その話は何度も聞いた」
「正式な官職についてからは、まだ、ありがとうって言ってなかったから」
ユニは、ソンジュンの言う通り、何度も彼に感謝の言葉を尽くしてきたが、それでもまだ伝え足りなかった。
彼の英断がなければ、ユニは、一生家の中に閉じこもっていただろう。
一度知ってしまった新しい世界から去らねばならない、と聞かされた時、足が竦んだ。
その道・・・女人としての人生、に自分自身を乗せるという決断を下すことは、途方も無い勇気を要した。
左議政の息子に嫁ぎ、何不自由ない生活を約束され、何と言えば周囲を説き伏せられただろう。
成均館入学の時は、家族を養うという大義名分があった。
けれど、今は違う。
毎夜、それこそ『頭が割れるほど』考えたが、女が官職を得るべき理由なぞ、思い浮かばなかった。
いつか機会を見て、外に出よう。
そう誓ってみたものの、来るかもわからない「いつか」に期待すること自体、絶望的だった。
ユニは、内訓(ネフン)(*2)の文字を辿りながら、人知れず、すすり泣いた。
ソンジュンに導かれて入ったこの世界は、魅力的過ぎた。
初めは不本意だと彼に怒りをぶつけたが、すぐに虜になった。
一人で読書をしていた頃、書物はユニの好奇心を大いに刺激してくれたが、由緒正しい畏まった書物を敬う形で、読み進めているだけだった。
ところが、成均館で書を開くと、堅苦しい漢字の羅列すら、一字一字が春の野のように色を纏って踊りだし、彼女の思考は、渡り鳥の如く、自由にどこまでも遠く羽ばたいた。
官職を得たい。亡き父の夢見た朝鮮を作りたい。
それは、男たちの野望とは異なるものだ。
何故なら、この叡智に満ち溢れた世界が、彼女の命だったから。
去ることになれば、成長が止まってしまう。
世の中から置き去りにされる。
これほどの恐怖があるだろうか。
ソンジュンは、二度も彼女を恐怖の縁から救ってくれたのだ。
兵曹判書の妾にされそうだった時。そして、今。
「私のせいで、あんなに辛い大科になっちゃったじゃない」
「壮元を狙ったのは、僕の将来のためだ」
「嘘ばっかり」
嘘じゃない。ソンジュンは、照れくさそうにそっぽを向いた。

*1 相避制度・・・姻戚関係にある場合、同じ官庁に所属させない制度
*2 内訓・・・身分の高い女性の礼儀作法を教える書物





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【作品名】手をつないで

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  一ヶ月感謝企画 

2014/03/06 Thu. 19:02  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】手をつないで - 3(感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

ユニの指摘通り「将来のための壮元」は全くのでまかせだった。
壮元を勝ち取るという賭けは、当たれば相当な説得力を持ち得るが、確実性という面では、甚だ心許ない。
だから、万一に備え他の切り札も用意していた。
あの父のことだ。
先陣を切って蕩平組の仲間を募る、とでも言えば、折れただろう。
ソンジュンにとって、僻派(ピョクパ)(*)を牽引するなど論外で、現在の僻派の巨頭である父は、そのことを嫌というほど知っていた。
さりとて、王の本腰の蕩平策に組み入れられて、彼の手先になるつもりも皆無だった。
民に仕えたい。
人は高尚過ぎると笑うが、嘘偽りない、ソンジュンの信じる道だ。
「私に合わせて、成均館に来ちゃったわね。この先が心配だわ」
大司成(テサソン)が、いつになったら中央に帰れるのか!と事あるごとに嘆いているのを鑑みても、成均館の博士が出世から程遠い官職であることがわかる。
「僕は、成均館の博士に甘んじるつもりはないよ」
ソンジュンにも野心はあった。
それは、一般的な自己顕示欲とか権力欲とか、それらとは性質を異にするが、己の理想とする朝鮮を作るには、やはり、然るべき地位と力が必要だ。
漢城では、相避制度のことを忘れているのか、次の辞令で花の四人組が奎章閣に行くともっぱらの噂で、さながら規定事項のように、人々の口から口へ語られていた。
奎章閣は、今上が作った官庁で、その成り立ちから伺えるように、王に直結している。
そこで、選りすぐりの秀才たちが王の頭脳と成り代わり、文献研究や政策立案を行っていた。
だからこそ、イ・ジョンムは撤廃に躍起になっていたのだが。
彼は、絶対に奎章閣は許さないと息巻いている。
しかし、噂通りなら、ソンジュンだけでなく、ジェシンやヨンハにも同時期に辞令が飛ぶだろう。
ソンジュンは、父がなんと言おうと、相避制度という煩わしい法律を乗り越えて、二人で奎章閣に行くつもりだった。
権力の頂点に近いところで、政治に携わる。
これは、願ってもない機会だ。
「それに、成均館の博士も悪くない」

僕らが力をつけた時、今の儒生たちも出仕している。
彼らは出世頭だ。
彼らに慕われれば、将来、彼らは僕らの力になるだろう。
上と懇意になるばかりが政治じゃない。
だから、君も、成均館で君の理想を説くんだ。

ソンジュンは、ユニのために自分を犠牲にしたわけではないと、慎重に言葉を紡いだ。
因習や周りの思惑に押され、二人の人生がなんとなく過ぎていくのを、指を咥えて眺めるのは嫌だった。

僕は、諦めない。

「旦那様、奥様」
長話に音を上げたスンドリが、手を揉みながら、声をかけた。
二人は、ユニが輿を降りた時、すぐに夕餉を取るよう彼に言われてことを思い出し、話に夢中になりすぎて止まっていた足を、再び前へ動かした。



ソンジュンの妻となって半年経つが、ユニは未だに豪華な食事に慣れていなかった。
もっとも、この屋敷の主は誰もが認める廉潔な男だったから、両班としては随分質素な食事なのだが、慎ましい生活をしていた彼女には、目の前に並べられた数々の皿は十分豪華だった。
食事毎に、膳を運ぶ侍女に、今日もとても美味しいわ、と礼を言っている。
「そうだ。ユンシクに話があるんだ」
「それなら、明日、ここに呼ぶわね」
「いや、お義母上も心配だし、明日ふたりで出向こう。それより、今日一緒に読んだ『中庸章句』だけど・・・」
傍らで控えていたスンドリが、口を挟んだ。
「またですか!食事中に小難しい話はやめて下さい。もっと楽しく召し上がってくださいよ」
「僕らはこれが楽しいんだ」
スンドリが、やれやれと首を振った。
「博士様のお世話は退屈だ」
* 僻派・・・老論中心の派閥




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【作品名】手をつないで

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  一ヶ月感謝企画 

2014/03/07 Fri. 17:45  tb: 0   コメント: 2

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