芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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また、大人小説(R18)の閲覧はご自身のご判断でお願い致します。

> 花の四人衆

テーマ: 花の四人衆 一覧

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【テーマ】

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【成均館 二次小説】俺はク・ヨンハだ  

成均館スキャンダル読切

王の怒りがとけユニが戻ってきたのが、今日の昼間。
ヨンハは舞うようにあちらこちらを練り歩き、礼と法を重んじるソンジュンは、ゆるむ頬を引き締めるつもりもないらしい。
事情を知らない儒生たちは、いきなり消えたユニが戻ってきたことを喜んだ。
頓挫していた紅壁書事件解決の祝宴を今夜にでも、と盛り上がっている。
成均館の誰も彼もが明るい、そんな中。
一人悶々とする男がいた。
その男は、ムン・ジェシン。
彼の悩みはただ一つ。


これから俺は、どこで寝ればいいんだ!?


愛し合っている男女と同室だとわかれば、誰だって同情するし、喜んで部屋に迎える者も出てくるだろう。
愛し合っている男女と同室だと、言えれば!
・・・とりあえず、今夜は博打でも打って夜を明かそうか。
ジェシンは、泮村に通じる門に向かって歩く。
しかし、そんなことはお見通しと言わんばかりのヨンハが、ジェシンを待っていた。
「中二房に戻るぞ」
「ほっとけ」
だが、なにか企んでいる時のヨンハに適う者はいない。
この細い腕のどこにそんな力が!?と不思議なぐらいの怪力で、ジェシンは引き摺られて行った。



「君が壁側で、僕が中央だ」
ソンジュンが冷静にユニに指示をする。
何か考えがあってヨンハがこの部屋に来たことはわかっていた。
変なことになる前に、決めてしまいたかったのだ。
しかし、悪巧みに関しては百戦錬磨のヨンハ。
そうは問屋が卸さなかった。
「いやいや、コロ、お前が真ん中だ」
ヨンハはご機嫌な様子で三人分の布団をひき始める。
「結婚前の男女に、間違いがあってはいけない」
枕を並べながら、頷く。
「ああ!カランに俺の秘蔵の艶本を渡したのも間違いだった。今や知識が命取りだ。あれは返してもらおう、どこだ?」
「それなら、毎晩熱心に読んでたよね?」
すこし不機嫌な声で、ユニが答えた。
ヨンハはユニの正面に立ち、両肩を掴むと、心底誠実そうに訴えた。
「テムル、カランは『男を好きになった』ってそれはそれは悩んで、泣きながら俺にすがって・・・。
だから、毎晩熱心に読んでいたことも許してやってほしい。男の性というも・・」
「ヨリム先輩!」
それ以上続けられるのは耐えられない。
ソンジュンは、ヨンハの肩を引っ張った。
「カラン、感動的だっただろ?俺の蔵書の中でも、あの本は一二を争う傑作だ」
今度は、ユニの横に並び肩を抱いた。
「・・・ん?あれはもしかすると、テムル、お前の写本か?」
ぎくり。
それはソンジュンの前で一番出してはならない話題。
ユニは焦りすぎて、「あ・・・」とか「え・・」とか、言葉にならない言葉を発した。
「違う本だったかな。でも、確かにお前は俺に艶本の写本を売った。2両追加して支払った記憶があるぞ」
ユニが黙っていることをいいことに、ヨンハは気持ちよく続ける。
そして、ユニの頭を撫でながら、最後の爆弾を投下した。
「テムル。お前は注解本も難なく暗記する賢い奴だ。艶本も全部覚えてるだろ?あれに書いてあった、あんなことやこんなことを、これから全部体験できるぞ」
「おい、やめろ!」
そんな話は初耳のジェシンが叫んだ。
ユニは耳まで真っ赤になって、硬直している。
ソンジュンに至っては、あまりの内容に、無言でユニを睨みつけた。
ヨリム先輩に艶本の写本を売っただって?
「でも、ここはだめだ。なんと言っても、孔子を祭る成均館だからな」
ヨンハは扇子を優雅に振った。
「コロは真ん中。カランが壁側」
用事は済んだとばかりに、ヨンハはしなを作って中二房から出て行った。
「今までと変わらないですね」
怒り冷めやらぬソンジュンが、ぼそりとつぶやく。
そう、現状維持だ。
ならば、この騒ぎは何の為に?
結局、ヨンハが楽しんだだけではないか。
「くそ!」
コロは枕を蹴飛ばすと中二房から出て行った。



しばしの沈黙の後、ソンジュンの詰問が始まった。
「君は3回やったと言った。そのうちヨリム先輩は何回なんだ?」
「・・・1回・・・かな?」
ユニは少し後退りしながら、答えた。
「それは確かなのか?」
「覚えてないよ!成均館に入る前のことだから」
買い手なんて誰でも良かったし、女とばれないように始終俯いていたし!
ユニは扉の方を向いて、むくれた。
と、絶妙の間で扉が開いた。
「まあまあ、終わったことだし、いいじゃないか」
中二房を散々ひっかきまわしたヨンハが、コロを連れて戻ってきたのだ。
「コロは絶対に中二房で寝ること。三人とも今夜はゆっくり休め。じゃ、おやすみ」
重い沈黙が流れる。
「寝る場所は、また明日、話し合いましょう」
ソンジュンの提案に、二人は無言で布団に入った。



ヨンハの言う通りに並んだものの、三者三様、消化不良の思いが巡る。
結局、空が白む頃になっても、互いの気配を感じながら息を潜めていた。
ジェシンは、重い溜息を吐いた。


結局、一番辛いのは俺じゃないか!


あの野朗、覚えておけ。
ジェシンは頭から布団を被り怒鳴った。


「お前ら、さっさと寝ろ!」




-- -- -- --
花の四人衆全員がユニは女子と認識し合った後、中二房の寝る場所はどうなったんでしょうかw
コロはコロなりの正義感で真ん中を陣取ってたわけですが、ユニとソンジュンが恋人同士ということが4人の秘密になってしまったら、「俺は真ん中!」も主張できないですよね。
というわけで、妄想してみました。


全国のク・ヨンハ派の皆様。
「俺はク・ヨンハだ」
回を追うごとに感動的になっていったこのセリフをこんなしょうもない話のタイトルに使ってしまい、スミマセン。
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【作品名】俺はク・ヨンハだ

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆 

2013/12/24 Tue. 16:16  tb: 0   コメント: 3

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 1 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

中二房の三人との毎日は、楽しいことばかりだ。
ヨンハは、ハ・インスと過ごしてみたものの権力欲ばかりで退屈だった昨年と違い、充実した日々に満足していた。
何より、ハ・インスはいけ好かない奴だが、中二房の三人は違う。
真の友情を彼らと分かち合うことが出来る幸運に、ヨンハは感謝した。
その友人達に、日頃の恩返しをするのは、君子として当然の行いである。
ヨンハは今日も上機嫌で中二房に乗り込んだ。
「宴を用意した。出かけよう」
すると予想通り、三者三様の否定の言葉が返って来た。
「僕、これから尊経閣に行くんです」
「どういった理由で宴を催すのですか?」
「めんどくせぇ」
「あぁ、なんでお前たちの口からは、いつもつまらない言葉ばかり出てくるんだ」
ヨンハは強引に三人を部屋から引っ張りだし、今日は絶対に来い、と稀に見る気迫で迫る。
三人は思わず頷いてしまった。
「でもいつも『今日は絶対に来い』だよね」
ユニがソンジュンに耳打ちしたのを、ヨンハは聞き逃さなかった。
「なにか言ったか?テムル」
「・・・いえ、何も」
かくして三人は大人しくヨンハに続き、気づけば牡丹閣に到着していた。



「キム・ユンシク様!チョソンに会いにいらしたの?」
妓生が駆け寄り、ユニの手を取った。
「本当に、綺麗なお方でございますこと」
もう一人加わり、うっとりとユニを見つめた。
きまりの悪いユニは、ヨンハに助けを求める視線を送る。
すると、ソンジュンが妓生からユニの手を奪い返した・・・少なくともヨンハにはそう映った。

カラン、お前は、誰彼構わず嫉妬するのか?

これは増々おもしろくなりそうだ。
「今日は、四人だけで寛がせてもらうよ」
ヨンハは妓生たちを両腕に抱きながら、押さえておいた部屋に向かった。
「あら、でも、チョソンはユンシク様に会いたいはずよ」
「それはテムル次第だな。ところで、頼んだものは用意してあるのか?」
「ええ。でも、何に使うんですか?」
「ひ・み・つ」
得意の色気でふたりを煙に巻き、ヨンハは部屋の扉を閉めた。
「今日は俺のおごりだ。楽しんでくれ」
わざわざ牡丹閣までやって来て、美酒を楽しもう、などと平凡な計画で満足するヨンハではない。
ここまでの流れは、計画通りで申し分ない。
三人同時に喜ぶ策を考えてあるのだ。ヨンハは微笑んだ。
まず、イ・ソンジュン。
彼は近頃、ヨンハやジェシンがほんの少しユニに触れただけで、彼らに射るような視線を向ける。
しかしソンジュンにその自覚がないから、質が悪い。
彼は、君子らしく涼しい顔を保てていると思っているのだ。

まるで、自分の女気取りだな。

そして、ムン・ジェシン。
最近は、彼もおかしな行動を取る。
大した段差でもないのに手を差し伸べたり、たった一冊の本を持ってやったり、妙に過保護なのだ。

それで庇っているつもりか?逆に女って言って回っているぞ。

女のユニが気になるジェシンと、自分の感情を整理できずにいるソンジュン。
彼らは、同じ思いを持つ者同士の勘が働くのだろうか、しょっちゅう無言で牽制し合っている。
しかも、ふたりのお目当てのユニが、当人も恋をしているにもかかわらず鈍感だから、面白さも倍増だ。

ああ、こんな愉快な友人達をもてなさないなんて、ク・ヨンハの名が廃る!

「テムル、お前の服を隣の部屋に用意しておいたから、着替えてこい」
ヨンハは、ユニの背中を押して続き部屋に突っ込んだ。
「着替えなんて・・・・・・先輩、これはなんですか!」
壁の向こうで、ユニが叫んだ。
ソンジュンが乱暴に扉を開け、ジェシンも慌てて覗き込む。
「先輩!」
ヨンハの「三人同時に喜ぶ策」、それはユニが妓生になることだった。

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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/28 Tue. 19:11  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 2 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

「先日のテムルの妓生は、見事だった。でも、残念ながら、コロはテムルを見ていない。俺も、じっくり味わうには至らなかった」
妓生の衣装を床に叩きつけたユニに、ヨンハは今日の計画を打ち明けた。
「そこで、だ。今日は、妓生のテムルに、宴を盛り上げてもらおうと思う」
「お断りです!あの時は、あれしか方法がなくて、仕方なかったんです」
ユニは必死になった。
毎日懸命に隠しているのだ。こんな冗談で女人と気付かれたら堪らない。
「キム・ユンシクは立派な学士です。戯れに妓生の格好をさせるなんて、彼に失礼です」
ユニは大きく頷くと、ソンジュンに体を向けた。
「イ・ソンジュン!僕、もう女の格好はしないって、君と約束したよね?」
「約束した」
「友との約束を破ることは出来ません。信に背くことになります!」
「カラン、独り占めとはずるいじゃないか。さては、テムルに惚れたな?」
「何を言ってるんですか!悪ふざけが過ぎます!」
ソンジュンは、顔を赤くして応戦する。
「かわいそうだろ!」
ジェシンは今にもヨンハを殴りそうな勢いだ。
だが彼らの反応は想定内、事もなげにヨンハは続けた。
「信に背く、ね。先輩がこれを着ろと言ってるんだ。礼に背くことにならないのかな?」
「先輩、無茶を言わないで下さい」
ソンジュンがユニを背中でかばったのと、ジェシンがそのユニの肩を抱いたのは、ほぼ同時だった。
「テムル、帰ろう」
背を向けたジェシンの肩を、ソンジュンが掴む。
「帰らないのか?」
「・・・帰ります」
ソンジュンがユニを引っ張り、ユニは少しよろめいた。

また、始まった。

ユニが着替える前からこれだ。ヨンハはおどけて切り出した。
「わかった、わかった。お前が妓生になりたくないなら、妓生を呼ぼう!カラン、妓生遊びをしたことはあるか?」
ヨンハは、とりあえず宴を始め、場が盛り上がってきた時にユニに衣装を渡すのも悪くない、と軌道を修正した。
この臨機応変さは、ヨンハの自負するところだ。
しかし、この提案を聞いて、ソンジュンが反応するより先にユニが飛び上がった。
「だめ!ダメです!」
「ん?テムルはチョソンがいるのに、カランはだめなのか?」
「とにかく、ダメです!」
今度は、ユニがソンジュンの前で両手を広げる。
すると突然、ヨンハの背後にある扉が開いた。
入室するなり騒がしい四人を訝しがって、妓生のエンエンが様子を見に来たのだ。
「まぁ、大騒ぎして、何かありまして?」
彼女は、ヨンハの肩越しに部屋の中を窺う。
「あら、もしかして左議政様の御子息?」
「イ・ソンジュンだ。美しいだろう?」
「ぜひご一緒させていただきたいわ、イ・ソンジュン様」
エンエンがソンジュンに流し目を送ったのを見逃さず、ヨンハはソンジュンの首に腕を回した。
ソンジュンはその腕をどけようと試みたが、ヨンハはさらに力を込める。
結局、ユニがエンエンを部屋の外に促した。
「ごめん、エンエン。今日は四人だけで過ごさせてくれ」
ここに至ってヨンハは悟った。
ユニに着替えを承諾させる為に必要なことは、彼女を説得することではない。
「妓生のいない牡丹閣の宴なんて、俺は認めない」
ユニが絶対に首を縦に振る方法、それは、ソンジュンを人質に取ることだ。
「テムル、二択だ。妓生をやるか、妓生を呼ぶか」
ユニは、ソンジュンを見上げる。
ソンジュンを捕まえるヨンハの腕に、更に力がこもった。
「・・・着替えてきます」
ユニは消え入るような声で返事をすると、隣の部屋に入っていった。



続き間だから、壁は薄い。
生々しい衣擦れの音が、こちらまで聞こえる。
ソンジュンは、波打つ心臓を手のひらで押さえ、せり上がってくる唾も、ごくり、と飲み込んだ。
ジェシンも額に汗をかき、口元を手で覆っている。
ユニの着替えはなかなか終わらず、それが余計に二人の体温をじりじりと上昇させた。
もう限界だと言わんばかりにソンジュンが天井を仰ぎ見た頃、ユニは扉を開けた。
桃色で統一された衣装は、ユニの整った顔立ちに可憐さを添えている。
ジェシンもソンジュンも、己が男だということを、否応なしに意識せざるを得なくなった。
ユニの唇に目が行ってしまうのだ。
笠から垂らされた薄衣越しだが、紅をさしたであろう唇の柔らかさが、手に取るように感じられる。
「テムル、テムル~。見事だ!なぁ、コロ?」
「あ・・・うん・・・ひっく」
早くもしゃっくりが出てしまい、ジェシンは自らの襟元を掴んだ。
「カランも、何か言えば?」
ユニは笠の奥からソンジュンを見つめた。
ユニの黒目がちの瞳とソンジュンの視線がぶつかった途端、あの夜しっかりと抱きとめた細い腰を思い出し、ソンジュンは耳まで一気に真っ赤になった。

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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/29 Wed. 19:00  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 3 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

「笠は邪魔だ。綺麗な顔がよく見えない」
ヨンハはユニの笠を外し、座敷に促した。
「さ、酌をして回って」
片目を瞑り、自分の碗を上げる。
残りの二人も黙り込んだまま、席に着いた。
幸いしゃっくりは止まり、ジェシンは安堵した。
ユニは、まず、ヨンハに酒を注ぐ。
「先輩、どうぞ」
「妓生は先輩とは言わないが、・・・まぁ、いいか」
次はジェシンの番だ。ユニはジェシンの傍らに腰掛けた。
「汗をかいてますね。大丈夫ですか?」
額のあたりにユニが右手を寄せる。ジェシンは体を後ろに引いた。
「先輩?」
「・・・・・・ごめん」
幸いユニはあまり気にしていないようで、ジェシンにも酒を注いだ。
「コロ先輩、これもどうぞ」
ユニは、ジェシンが汗を拭けるようにと布巾を差し出した。
「あぁ、ありがとう」
冷や汗なのか、火照りなのか。彼女がそばにいる限り、汗が引く気がしない。
ジェシンは彼女の手から布巾を取った。否、取ろうとした。
布巾に指をかけたとき、ユニの細い指をも掠り、ジェシンは思わず握ってしまった。
それは一瞬だった。
ユニの手がびくっと揺れ、ジェシンも弾かれたように手を離す。
「テムルの妓生は完璧だ。女だと錯覚しちゃうよなぁ?コロ」
ヨンハの助け舟がなかったら、不自然な沈黙が訪れ、二人とも気まずい思いをしていただろう。
「何を言ってるんですか」
ユニは改めてジェシンに布巾を渡し、ヨンハを諌めた。
しかし、ヨンハはもう、ジェシンもユニも見ていない。
彼の視線の先には、卓子の上で両手を握りしめジェシンを睨むソンジュンがいた。
「ほら、テムル。カランの番だぞ」
ユニは、ジェシンとソンジュンの間に座り、ソンジュンの碗に手をかけた。
「僕の左側は食事の邪魔だ。右に来て」
「そんなにくっつかないよ」
ユニは文句を口にしつつも、素直に移動する。
移動した当人はわかっていないが、ソンジュンがユニとジェシンの間に入る形になった。
ヨンハはソンジュンの真意に気づき、楽しそうに酒を口に含んだ。
ユニは改めてソンジュンの碗を引き寄せる。
「君には注がないよ?」
ユニはいたずらっ子のように笑って、碗を手で覆った。
「テムル、もっと女らしい話し方をしなきゃ」
「そうですか?うーん・・・」
ユニは指で唇を摘んだ。何か考え事をするときの彼女の癖だ。
ただでさえ紅で艶が増しているのに、そんな風にいじられたら堪らない。
ジェシンは酒を煽った。
女人に慣れていないソンジュンは、動揺をごまかすことも出来ず、唇を凝視している。
「手始めに、『君』っていうのを直せ」
「じゃあ・・・イ・ソンジュン様、お酒はほどほどにね?」
返事がない。ユニはもう一度声をかけた。
「イ・ソンジュン様?」
ユニはきつく握られたままの拳に触れた。
「・・あ・・・」
唇を凝視していたソンジュンは、これで我に返った。
返事をしようとするが、喉の奥が張り付いて声が出ない。
きっと、喉が乾いているせいだ。ソンジュンは、自ら酒に手を伸ばした。
「もう!お酒はダメだってば!」
ソンジュンとユニのやり取りに、ジェシンは焦った。
ソンジュンの世話を焼こうとするユニは、男のふりをすることを忘れてしまったのだろうか。完全に女だ。
これ以上ソンジュンのそばにいたら、ヨンハにまで女であることが知れてしまう。
「・・・酒ぐらい、飲ませてやれ」
「でも・・・あ、先輩のお碗が空っぽですね」
ユニがジェシンに微笑んだ。
ソンジュンは、思わず目を背けた。

先輩に微笑む君は、見たくない。

蔵破りをして以来、この説明の付かない感情が度々巻き起こり、ソンジュンの心をかき乱す。
その度に、初めて得た友人を取られたくないのだ。幼稚な自分は友情に慣れていないのだ。と自らを納得させて来た。

キム・ユンシクは、同室生。
同室生なんだ、イ・ソンジュン。

「先輩、僕がお酌しますよ」

行かせない。

立ち上がりかけたユニの手首を、ソンジュンが捕まえた。

ああ、違う。今、キム・ユンシクは同室生だ。と言い聞かせたばかりなのに。

緩んだソンジュンの手から、ユニは手首を抜いた。
「君はお酒に弱いじゃないか」
ソンジュンが酒をねだっていると勘違いしたユニは、口を尖らせる。
「帰りに苦労するのは、僕なんだからね」
ユニは再び腰を上げた。酒を取ろうとしたユニの手を、ソンジュンは捉えた。

やっぱり、ダメだ。行かせない。

今度は握った手を緩めなかった。

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【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/30 Thu. 19:00  tb: 0   コメント: 2

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 4 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

明らかに不自然なソンジュンの行動に、ユニとヨンハは笑いだした。
ユニは、ソンジュンが酒をねだっていると思って。ヨンハは、ソンジュンの幼い態度に。
「そんなに飲みたいの?」
ユニはソンジュンの隣にもう一度腰をおろし、碗の半分まで酒を注いでやった。
「これだけだからね?」
「テムル、さっきから男に戻ってるぞ」
「そんなこと言ったって、無理ですよ。ね、コロ先輩?」
小首を傾げて応援を頼むユニは可憐な少女そのもので、止まっていたジェシンのしゃっくりが、再び始まってしまった。

コロ先輩に甘えるな。

ソンジュンは、酒を一気に飲み干し、大きな音を立てて碗を置いた。
「キム・ユンシク、僕との約束を忘れたのか?」
「女の格好をしない約束?」
「そうだ」
ソンジュンがユニの背中を強く押した。
「うわっ」
鼻先が床に付かんばかりの位置まで押し付けられ、ユニは抗議した。
「だって、僕は君が・・・」

君のそばに妓生が寄り添うなんて、我慢できなくて。
ユニは本音を飲み込む。

「僕がどうしたんだ?」
「・・・妓生は好きじゃないと思って」
「そんな心配はしなくていい」
ソンジュンの手に力が入った。

キム・ユンシクのこんな姿を誰にも見せたくない。
どうして、君は僕の心を掻き乱すんだ。
君の白いうなじは、本物の女人のもののようじゃないか。
声までなんだかいつもよりも可愛らしくて。
僕の手の下の背中も、柔らかくて・・・。
・・・ああ、そうではない。
キム・ユンシク、成均館の学士がこんなことでどうする。
僕は、君の友人として、友が道を誤らないように・・・

「・・・約束は守ってもらう。下を向いているんだ」

女人の姿をした学士が、他人の目に触れていいわけがない。
そうだ。それが道理だ。
だから、コロ先輩に微笑むキム・ユンシクに、腹を立ててしまうんだ。

「こんな姿勢、無理だよ!」
ユニは、ソンジュンの手を押しのけた。
ずれたチョゴリを直し、ソンジュンを睨む。
「今夜は、酔っ払っても絶対助けないからね!」
ヨンハは苦笑いで二人を見つめた。
ソンジュンの反応は予想以上だった。
ソンジュンがジェシンに対し、ここまで対抗心を丸出しにするとは思っていなかったのだ。
強く押さえつけられたユニは、蒸気した頬が赤く染まっている。
ジェシンのしゃっくりは、ますます止まらない。
息苦しくなり、ジェシンは立ち上がった。
「厠に行く」
どすどすと音を立てて、ジェシンは出て行った。
「じゃあ、俺も、馴染みの妓生に挨拶してこようかな」
片目をつぶり、意味深な笑顔を二人に振りまき、ヨンハも出て行ってしまった。

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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/01/31 Fri. 19:18  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 5 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

冷めてしまったが、目の前には豪華な食事が並んでいる。
急に静かになった空間を埋めるのに、食事は会話より手っ取り早いと、ユニは思った。
それに、少しばかりのいたずら心も頭をもたげている。

こうなったらいっそ、腹をくくろう。
ソンジュンに綺麗だと思われたい。
ヒョウンよりずっと、魅力的だと。

「少し食べたほうがいいんじゃない?」
「・・・そうだな」
ソンジュンが使おうとした匙をユニが奪った。
空きっ腹だとお酒が回りやすいし、君は本当に重たいんだよ。そんなことをブツブツ言いながら、ユニは汁物をすくう。
そして、にっこり笑うと、匙をソンジュンの口元に運んだ。
「イ・ソンジュン様、召し上がれ」
可憐な少女か、はたまた妖艶な妓生か。
男らしさを欠片も持ち合わせない、自分に体を寄せ微笑むこの人物が、果たして切磋琢磨しあう大切な友なのかどうかわからなくなってきて、ソンジュンは顔を背けた。
「キム・ユンシク、学士としての誇りはどこへ行ったんだ?」
「君って、冗談が通じないよね」
ユニは、ソンジュンに差し出していた匙を口に含んだ。
唇の端からこぼれた汁を舌で舐め取り、今度は、同じ匙で蛸の煮物をソンジュンの口元に運ぶ。

君が使った匙で、食べろというのか?
頭がおかしくなりそうだ。

ソンジュンは、自棄になって蛸を口に入れた。
その後に口の汚れをユニに拭われ、ソンジュンは、もう、何を言えばいいのかの判断もつかなくなった。



「お酒は足りてますか?」
扉の向こうで声がした。おそらく先ほどのエンエンだろう。
この状況をユニの言う「冗談」と捉える余裕などないソンジュンにとって、エンエンの声は天から降って来たも同然だった。
しかし、彼女をこの部屋に入れるわけにはいかない。
「十分ありますから、結構です」
ソンジュンはこれで済むと思ったが、残念ながら、先ほどの天の声は全くもって天の声ではなかった。
「ク・ヨンハ様から頼まれましたので、失礼しますね」
エンエンが酒を持って入ってきた。
ユニは、エンエンに背を向け俯いた。
牡丹閣でユニは有名人だ。こんな格好を見られたら、どんな騒ぎになるのか想像するだけで恐ろしい。
「妓生はいないと聞いてましたけど、お呼びになってたのね」
卓子に近づくエンエンに気付かれまいと、ユニは背中を丸めた。
「後は僕がやります」
ソンジュンの制止も無意味だった。
「イ・ソンジュン様にこんなこと頼めませんわ。ねぇ、手伝ってよ」
エンエンはユニに刺々しく声をかけた。
それでも硬くなって動かないユニを、彼女はまじまじと見つめた。
「・・・あなた、誰?」
振り向かせようと、エンエンがユニに手を伸ばす。

不味い!

ソンジュンは、ユニを引き寄せ、腰を抱いた。
腕の中のユニが身じろいだが、ソンジュンは力を緩めない。
「今夜は、もう結構です」
「イ・ソンジュン様ったら、遊び慣れてらっしゃるのね」
世間の噂とは違うソンジュンの大胆な行動に、エンエンは驚いたようだ。
しかし興味が勝ったのだろう。卓上を整えてから下がります、と、新しい碗をゆっくり並べ出した。

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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/02/01 Sat. 19:08  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】その唇が誘うから - 最終話 (感謝企画)  

成均館スキャンダル連載

ユニはソンジュンを押し返そうとした。
ソンジュンは、少しでも距離を作ろうとするユニのうなじを左手で押さえて彼女の頭を自分の右肩に乗せると、ユニの耳に口を寄せ囁いた。
「このままで」
観念したのか、ユニはおとなしくなった。やり場のない両手をもぞもぞと動かしている。
エンエンは見慣れない妓生がいることに納得がいかず、遠慮もなく覗きこもうとした。
焦ったユニが、ソンジュンの首に抱きつく。
「エンエン、わかるでしょ?早く行って」
ユニは正体を知られないように小声を出したつもりだったが、その声は震え、艶かしい内容と相まって、本当にこの後の営みを待ち望んでいるかのように聞こえた。
ソンジュンの心臓が跳ね上がる。
首にかかるユニの吐息は、容易に行為を連想させた。
エンエンに見られまいと腰を抱く腕も、庇うようにうなじに乗せた手のひらも、まるで心臓になってしまったかのように、どくどくと波打つ。
ソンジュンは、エンエンが出ていくまで、息をこらしてユニを抱きしめた。



エンエンが退くと、ソンジュンはわざとらしい咳払いをして、ユニを開放した。
「あの、ありがとう」
「君も、蔵で僕を助けてくれたから」
「あ、あぁ、そうだったね」
ユニは、ソンジュンを押し倒したことが如何に大胆な行動であったかを、今更ながらに理解した。
二人とも、大して崩れてもいない服をしきりに直す。
「紅が・・・」
ソンジュンが襟元で手を止めた。
白い襟に赤い紅がべっとりと付いていた。
「ごめん!僕の不注意だ」
ユニは布巾で襟を押さえたが、紅は広がるばかりで、落ちる気配はない。
「大丈夫だ。もう、いい」
ソンジュンがユニの手を掴む。ユニの手をどけるだけ、ただそれだけのつもりだったのに、ソンジュンはユニの手を離せなくなった。
目の前に、翻弄され続けた唇が迫っていたから。
ソンジュンは、その唇に顔を寄せた。



君は甘い匂いがする。

それに、君の唇は、どうしてこんなに気持ちよさそうなんだろう。

さっき君がしたように、僕の舌で君の唇をなぞってしまいたい。

こんなに顔を近づけているのに、キム・ユンシク、君はなぜ逃げないんだ。

きっと僕たちは酔っ払ってるんだ。

だから、唇を合わせたくなって・・・あと少し近づけば君の・・・



「お邪魔かな?」
いつの間に戻ってきたのか、部屋の入口にヨンハが立っていた。
ソンジュンは勢い良く立ち上がる。
いつもなら色々と詮索してくるヨンハは、珍しくあっさりと帰り支度を始めた。
「コロはどこかに行っちゃったし、俺たちも帰ろうか」
ユニは、弾けるように続き部屋に逃げ込んだ。
ヨンハは扉がピシャリと閉められたのを確認して、扇子でソンジュンの襟をトントンと叩いた。
「お前のことを堅物だと思ってたけど、こういう色っぽいのも、案外似合うな」
ソンジュンに耳打ちする。
「こ、これは、理由があって!」
「根掘り葉掘り聞き出すほど、俺は悪趣味じゃない」
「先輩、そうではなくて」
「『そう』ってなんだ?俺は何も言ってないよ」
なんとか説明を聞いてもらおうとソンジュンが躍起になっている間に、ユニの着替えが終わり、三人は牡丹閣を後にした。
成均館までの道を歩きながら、ユニは上ずった声でソンジュンに話しかけた。
「すっかり遅くなっちゃったね。僕、勉強するつもりだったのに」
「そうだな。僕も『大学』を読んでいる途中だった」
「帰ったら勉強しようかな」
「僕も続きを読むつもりだ」
ソンジュンは、ユニと普段通りの会話をしている間に、なんとかいつもの調子を取り戻した。



成均館の門をくぐりヨンハの部屋の前まで来ると、今夜はヨンハに翻弄されたからお礼を言うのもおかしい気がしたが、二人とも謝意を述べた。
中二房では、ジェシンが寝転がっていた。
「帰っていたんですね」
ソンジュンが挨拶をする。ユニも一緒に頭を下げた。
しばらくの間、ジェシンは面倒そうに、文机を準備する二人の様子を眺めていたが、ソンジュンの襟の汚れに気付き勢い良く起き上がった。
ソンジュンの胸ぐらを掴む。
「これはなんだ?」
「あ、それ、僕が付けてしまったんです」
ユニが慌てて間に入り、弁解する。
「はぁぁ?カラン、お前まさか!!!」
ソンジュンはジェシンを無視した。
説明の付かない友人への欲求を、どう話せというのか。
「先輩、イ・ソンジュンは僕を助けて・・・うわぁ!」
ジェシンがソンジュンを投げ飛ばした。
ソンジュンは、投げ飛ばされた体勢のまま、なんとか場を収めようと懸命なユニを見つめた。
ユニは、牡丹閣での出来事などなかったかのように、いつもと変わりがない。

やっぱり、酒のせいだ。

ソンジュンはもう牡丹閣でのことは忘れることにして、ユニと一緒に、暴れるジェシンを押さえた。
この夜の中二房は、いつまでも騒がしかった。

-- -- -- --
本日で連載終了です。
お題「女人姿のユニに、魂を抜かれるソンジュン」「手を握ってしまうジェシンに嫉妬」「他の人に見せまい・渡すまいと嫉妬メラメラ」を盛り込めていたでしょうか。
6日間、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。




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【作品名】その唇が誘うから

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  花の四人衆  一ヶ月感謝企画  ソンジュン×ユニ 

2014/02/02 Sun. 18:48  tb: 0   コメント: 8

【成均館 二次小説】石ころ - 1  

成均館スキャンダル連載

講義を終えて、腰を上げたユニとソンジュンは、後ろの席の男の発言に、ぎょっとして振り返った。
「あーあ、成均館に祝英台はいないかなぁ」
後ろの席の男、ドヒョンが、立ち上がりながら大声でそう言ったからだ。
彼は「梁祝故事」という本を手にしていた
大方、この中に書かれている悲恋話に酔っているのだろう。
「そんな都合のいい話があるものか」
傍らのヘウォンは首を横に振る。
続けてウタクが論語の一節を持ちだそうと口を開いたが、ユニとソンジュンがドヒョンをいつまでも凝視しているために、ドヒョンが先に声を出し、ウタクのありがたい孔子のお言葉は遮られた。
「どうした?」
「そ、そんな人いないよ」
ユニは、あはは、と乾いた笑い声をあげた。
「カラン、梁祝故事を知っているか?」
「あ、あらすじ、ぐらいは……」
危機に瀕した時にこそ、完璧な論述で相手を圧倒するソンジュンも、碌に言葉が出ない。
「お前に、この情緒はわからんだろうな。愛する男に女と打ち明けられない男装の美少女、祝英台。男を愛してしまったと悩む梁山泊……」
「わかる必要もない」
ソンジュンは、背中に冷や汗が伝うのを感じた。
「お前みたいに、花嫁候補が行列を作っている人間には、奇跡の出会いなんざ必要ないもんな」
ヘウォンが、ふん、と鼻を鳴らす。
ドヒョンがユニに「梁祝故事」を渡した。
ヨンハが尊経閣で見つけて、儒生たちで回し読みしている。これで成均館がずいぶん盛り上がっているからお前も読め。と言う親切心らしい。
再び、ウタクが何やら言いかけたが、またもドヒョンが遮った。
「テムル、お前、祝英台っぽいな」
「な、な、な……」
「ただ、お前には、チョソンが夢中な“大物(テムル)”がついてるからなぁ。残念だ」
大声で笑いながら、ユニの背中を何度も叩く。
「そうだよ、僕はテムルだ」
ユニは、ドヒョンに合わせて、面白おかしく腰を反らせた。
「おお、見せてみろ!」
しかし、ドヒョンが悪乗りし、大物のあるべき部分に手を伸ばす。
「ちょっと!」
ユニは横に飛び退いた。ソンジュンが、ドヒョンの手首をつかむ。
「下品だ」
ソンジュンのこの一言で、この場はお開きになった。



中二房の扉を閉めるやいなや、ソンジュンとユニは床にへたり込んだ。
冷や汗はまだ止まらない。
王がユニを成均館に帰してくれてから、平穏無事な生活を送っていたというのに、またもヨンハの術中に嵌ってしまった。
彼の悪ふざけは、彼の想像以上に二人を疲弊させた。
二人は、半刻経っても言うべき言葉が見つからず、床に座り込んだままだった。
「ヨリム先輩も、よくこんな本を見つけたな」
少し落ち着きを取り戻したソンジュンの第一声は、力なかった。
「梁祝故事」とは、中国に伝わる昔話だ。
二人とも、あらすじ程度は知っている。
ヨンハも、知っていてわざと尊経閣で探したのだろう。
梁祝故事、または梁山伯と祝英台、という名前で知られているこの昔話は、男装をして学生になった美貌の祝英台と、学友である梁山伯が、同じ学び舎の下、友情とも恋ともつかない想いを育む悲恋物語で、悲恋であることを除けば、まさにソンジュンとユニのような話だった。
梁山伯の、己は男色なのかと悩む様や、祝英台が女と知った時の喜び様は、ヨンハに指摘されずとも、ソンジュン自身、身に覚えがある。
ユニも、恋する相手に女だと打ち明けられないもどかしさは、嫌というほど味わった。
ユニの手にこの本が渡ったのは、幸いだった。
ほとぼりが冷めるまで、この本は中二房に置いておけばいい。
ただ、この後もドヒョンたちのように、ユニをからかってくる輩が後を絶たないだろう。
チョソンとの一件のお陰で、誰もユニのことを疑ってはいないが、彼女が中性的な美貌を誇っていることは、否定出来ない事実だった。
女人禁制の環境で、色恋に飢えた年頃の男たちが、梁祝故事に夢中になるのも、その延長としてユニをからかうのも、容易に想像できた。
今回は不意打ちだったが、事情が飲み込めたから、次は上手く立ち回れるはずだ。
しかし、その度にユニは、ソンジュンの言うところの「下品」なやり取りをしなければならない。

静かに卒業したいのに。

二人とも、床から立ち上がって普段通りの生活に戻るには、もう少し時間が必要だった。


- - - - - - - -

梁祝故事について、詳しくは、以前の妄想つぶやきを御覧下さい。
↓↓
中国昔話でイ・ソンジュン(妄想つぶやき)




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【作品名】石ころ

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/04/11 Fri. 17:16  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】石ころ - 2  

成均館スキャンダル連載

なんとなく嫌な予感がして、ソンジュンは、ユニから「梁祝故事」を預かろうとした。
「せっかくだから、読んでみる」
ユニは喜々として本を開いた。
祝英台と言えば、美しい女人だ。冗談でも、彼女になぞらえられたことが、少し嬉しかったのだ。
そして、ソンジュンの嫌な予感は的中した。
ユニは、読後、さめざめと泣き出した。

だから、言ったのに。

ソンジュンは、梁山泊が可愛そうとか、祝英台は辛かっただろうとか、ユニが彼らに同情している間は、黙っていた。
しかし、梁山泊を語っていたはずがソンジュンに置き換わり、祝英台がいつの間にかユニになってしまうと、話の展開に悲壮感が漂い始め、ソンジュンも彼女を放っておくわけには行かなくなった。

実在したかどうかも怪しい男女の話から、何故、起こってもいない未来まで想像するんだ?

女人というのは、皆、こういう性質なのだろうか。
ソンジュンの身近にいる女人は母だけなので、彼は、ヨンハのように、達観めいた結論を出すことは出来ない。
ただ、彼の母親も、時折、過ぎた想像で気をもんでいた記憶はある。
まず、この想像を止めるには、ユニから本を取り上げることが先決だ。
辛いのならもう読まなければいいのに、彼女は、泣きながら、再び頁をめくり始めたから。
「キム・ユニ、その本を貸して」
泣き過ぎてまぶたを腫らしたユニは、本を差し出しながら、涙声で弱々しく言った。
「やっぱり、身分違いの結婚は、難しいんだよ」
「君と僕は、二人とも両班だ。身分は等しい」
「南人と老論は結婚できないよ」
「そんな法はない」
「冷たい言い方しないでよ。本気で悩んでるんだから」
「悩む必要がない」
「君には、僕の気持ちがわからないんだ!」
ユニは、拳でソンジュンの胸を打った。
こんな寂しい気持ちの時に、正論を持って来られて、余計に傷ついたのだ。
「わかるよ」
ソンジュンも苦悩している。彼は彼女を抱きしめた。

僕は梁山伯じゃないし、君も祝英台じゃない。
だから僕らは結婚する。
僕が考えるから、君は何も悩まなくていい。

「そもそも、結婚が叶わないからって臥せって死んでしまうような男と僕を、一緒にしないでくれ。心外だ」
ソンジュンが嫌そうな顔をしたので、ユニは鼻を啜りながら笑った。



そんなことより、と言うとユニには怒られそうだが、ソンジュンは、ずっと引っかかっていることがあった。
ユニを想っていたソンジュン自身ですら気づかなかった、彼女が女人であるという事実を、ヨンハとジェシンは知っていた。
直接ユニに疑問を投げたが、彼女は彼らに打ち明けたことはないと言う。
振り返れば、なるほど女人だ、と思える言動は垣間見えていた。
しかし、男という先入観を持って接している限り、彼女は立派な男の学士だった。
現に、今日のドヒョンたちも、彼女をからかいつつ、本気で彼女が女だとは考えていない。
こんなにあからさまな物語を読んだ後ですら、そうなのだ。
ソンジュンは、彼女の胸を見て、初めて気が付いた。
だから、余計に、ヨンハとジェシンが何故知っていたのか、気になる。
ヨンハは、日頃から「白粉の匂いで下着の色を当てる」と豪語しているから、もしかしたら、彼特有の勘が働いたのかもしれない。
しかし、あの粗暴なジェシンが、そんなきめ細やかな観察眼を持っているとは、到底思えなかった。

まさか、彼女の裸体を見たのか?

考えたくはないが、大いに有り得る可能性だ。
悩めば悩むほど、ソンジュンの焦燥感は増していった。
ユニが帰ってきてから、ずっと心の隅っこで存在を主張していた小さなしこりは、小石のように、ころころと転がりはじめた。




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【作品名】石ころ

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/04/14 Mon. 19:35  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】石ころ - 3  

成均館スキャンダル連載

ソンジュンとユニにとって、現時点での不幸は、成均館の大方の儒生が「梁祝故事」を読んでしまっていたことだった。
「よう、祝英台」
「僕はテムルだぞ」
何度このやり取りをしただろうか。
ソンジュンとユニは、ヨンハが遠巻きに彼らを眺めて楽しんでいることにも、気付いていた。
その度に、ジェシンが、ヨンハの背中を小突いている。
ユニは、ジェシンの良心がありがたかった。ジェシンがいなければ、ヨンハは、更に二人をからかう策を高じたに違いない。
「これは、いつまで続くんだ」
ソンジュンは、大きな溜め息をついた。
唯でさえ、日々ユニが女人だと感付かれないように神経を尖らせているのに、ヨンハの戯れで、緊張を強いられる機会が増えている。
恐らく、ユニよりもソンジュンのほうが、胃が痛む思いをしているはずだ。
彼女は、ソンジュンに秘密を知られた月出山(ウォルチュルサン)での出来事以降も、まるで動じた様子がなかった。
王に捕えられた時に、二人でどんな約束を取り交わしたのかは知らないが、ソンジュンにとって、ユニの「今まで上手くやって来た」は、根拠の無い自信以外の何物でもない。
「ヨリム先輩の部屋に行ってくる」
ソンジュンが、ただならぬ気を発して大股で歩きだし、ユニは慌てて彼を追いかけた。
「イ・ソンジュン!僕なら、大丈夫だよ」
「君が良くても、僕は平気じゃない」
この間からささくれ立っているソンジュンの心は、何も知らない儒生たちのちょっかいで、さらに荒れていた。
この一件は、二人の警戒心を一層強めざるを得なくなった他に、ユニの将来についての不安をも助長している。
彼女は、必要のない想像で悲嘆に暮れ、彼は、そんな彼女を慰めなければならなかった。
しかも、ユニとソンジュンの二人だけで守っていたはずの秘密を、ジェシンとヨンハが知っていたという現実を、閃光のようにソンジュンに突きつけた。
「少しは……」
危機感を持ってくれ。
彼は、この言葉を飲み込んだ。我ながら嫉妬めいていて、君子として相応しくない気がしたから。
「君は来なくていい」
「僕にも関係のあることだろ」
ユニは、返事をせずに再び大股で歩き出したソンジュンの背中を、追いかけた。
ソンジュンの背は高く、彼が本気で歩くと、ユニは少し駆け足にならなければ追いつけない。
さながら、飼い主と飼い主に纏わりつく子犬のように、二人は進んだ。



「梁山伯、祝英台、ようこそ我が房室へ」
ヨンハは上機嫌で二人を部屋に向かい入れた。
笑みを振りまくヨンハと対照的に、ソンジュンはヨンハを目の当たりにして怒りを新たにしたのか、ますます目つきが険しくなっている。
ユニは、わざと明るく言った。
「先輩のお陰で、大変ですよ」
「まったくだ」
ソンジュンの予想通りヨンハの部屋で酒を飲んでいたジェシンが、相槌を打った。
「ヨリム先輩、コロ先輩、お話があります」
入り口に立ったまま、ソンジュンは切り出した。
ユニがソンジュンを肘で突付き、小声で口を挟む。
「コロ先輩は悪くないよ」
「君は黙っていろ」
ソンジュンは、等しく三人へ険悪な視線を投げた。
ユニの言う通り身に覚えがないジェシンは、しかし意味なく売られた喧嘩を買うほど分別のない男ではないから、ソンジュンに座るように促した。
「まあ、まずは一献」
ヨンハは、彼に向けられている険のある視線を無視して、酒瓶を手にした。
場を和ませようと、ユニはにこにこと碗を出す。
ヨンハはユニの碗に酒を注いでやると、ソンジュンの碗を取った。
「僕は結構です」
彼の伸びた背筋からは、納得するまで帰らないという決意が、ありありと見て取れた。




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【作品名】石ころ

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/04/16 Wed. 17:19  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】石ころ - 4  

成均館スキャンダル連載

「梁祝故事を読んでいる気分だったよ」
後輩が怒っているぐらいで、遠慮をするヨンハではない。
話したいことを自由に話す。彼の流儀は常に一貫している。
「お前は、女人よりも、身近な男に情を感じると、この部屋で思い詰めていた。梁祝故事にもあったな、そういう描写が」
「だから、なんです?」
ヨンハは、ソンジュンの怒気を多分に含んだ声色に動じることなく、話し続ける。
「テムルは女だって言えないし、先輩の苦労も理解してくれ」
その割には、当事者のソンジュンから見ても楽しそうだったが、今日、ここに座っている理由は、そのことを論ずる為ではない。
ソンジュンは、反論しなかった。
「テムルは、ヒョウンが成均館に来る度に泣きそうな顔をしてたなぁ。慰める俺たちの身にもなってくれよ」
そう言いながら、ヨンハは、ジェシンの肩に腕を回す。
「だから、ちょっとからかったぐらいで、怒るな」
「そんなこと……」
ユニは、口を尖らせた。
成均館を巻き込んだ今回の騒動は、ちょっとからかった、どころではない。
それに彼女は、少なくとも、ヨンハに慰められた憶えはなかった。
「失恋して酔いつぶれたお前を介抱したのは、誰だ?」
ジェシンが、ヨンハの腕を邪魔そうに払いながら、呆れたように呟く。
「失恋?何の話ですか?」
ソンジュンにとって、「失恋」という単語は、初耳だった。
彼は常に彼女しか想っていなかったし、彼女を振った覚えもなかったからだ。
「お前っ!」
どん!
ジェシンが、手に持っていた碗を、勢い良く卓に叩きつけた。
「お前!あれだけテムルを泣かせておいて!」
膝立ちになったジェシンを、ヨンハは、まあまあ、となだめた。
ユニが、ソンジュンの膝にそっと触れて、申し訳なさそうに答える。
「入清斎の時に、酔っ払っちゃったんだ。あと、打杖(チャンチギ)で、ちょっと……」
「あ……」
ソンジュンは、固く握っていた拳を口元に当てた。
荒れに荒れて、最終的にはヒョウンに結婚を申し込むという大失態を演じたあの二日間は、当分忘れられそうにもない。
あの時、彼女が既に自分を慕っていたのなら、あれは彼女にとって失恋と言えなくもない気がする。
そして、卓の向こうの先輩二人は、梁祝故事を読んでいるようだったと言うぐらいだから、自分の気持ちも全てお見通しだったのだろう。
ソンジュンは、頭を抱えたくなった。
「君は、悪くないよ」
ユニが彼を慰めるように言う。
どうにも居心地が悪くて、ソンジュンは咳払いをした。
早く本題に入らなければ、ますます分が悪くなりそうだ。
「打杖の時は、彼女が女人だということをご存知だったんですか?」
「ああ、俺が一番初めに気付いて、次がコロ。お前が最後だ」
「いつから、ご存知だったんですか?」
待ってましたとばかりに、ヨンハが満面の笑みで答えた。
「俺?最初から。テムルが入学する前から」
「えっ!?」
これには、ソンジュンだけでなく、ユニも驚いた。
扇子をくるくると回して、ヨンハは得意そうに続ける。
「科挙の時、お前らが追いかけっこをして、テムルが俺にぶつかっただろう?」
そう言って、座ったままユニを抱きとめる体勢を再現した。
「……そうでしたっけ?」
ユニは気づいていないが、ソンジュンは会話に入る余裕もなく、唖然としてヨンハの話を聞いていた。
いつも、頭の先からつま先まで礼節で塗り固めている彼が、僅かに口を開けている。
「だからさ、確かめるために、何度も衣を脱がせようと企んだんだ。だけど、無理だったなぁ」
「は?」
ヨンハの口から、とんでもない言葉が出て来て、ソンジュンは、前に乗り出した。

衣を、脱がせる?

あまりの内容に、もう出し切ったと思っていた怒りが更に増し、彼の平常心は、ぐらぐらと崩れ落ちそうになった。
なんとか落ち着こうと、大きく息を吐く。
「泮水橋から落ちるはずだったのに、チョソンの下着を持って帰ってくるし、享官庁を教えてあげたのに、肝心の湯浴みは見れなかったし……」
しかし、彼の努力は、儚くも崩れ去った。
どん!
先ほどのジェシンよりも乱暴に、ソンジュンは拳を卓に叩きつけた。
「彼女が湯浴みしているところを、覗こうとしたんですか?」
「見てないんだから、怒るなよ」
「怒るに決まってるでしょう!」
ユニの両手が、ソンジュンの拳をそっと包む。
「でも、結果的には、見られてないんだし……」
「だから、君には、気をつけろと何度も言っているんだ」
彼女が良かれと思って言った気休めは、彼の怒りに油を注いでしまったようだ。
ソンジュンに睨まれて、ユニは、仕方なく俯いた。




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【作品名】石ころ

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/04/19 Sat. 21:28  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】石ころ - 最終話  

成均館スキャンダル連載

ソンジュンの人生の中で、こんなに怒りを露わにしたのは初めてだった。
彼の定義に照らし合わせると、我を忘れて卓を叩く行為は醜態だ。
だが、ヨンハが「衣を脱がそう」と奮闘していた時期は、まだユニと互いに心を通わせていなかったとわかっていても、頭に来るのだ。
彼は、醜態を晒した恥ずかしさも多少あり、前のめりになっていた姿勢を戻してジェシンを見た。
ジェシンの口からヨンハより酷い話が出てくることは、まずないだろう。
「コロ先輩は、いつから?」
「もう済んだことだ」
彼女を守る義務も権利もあると自負するソンジュンは、ジェシンの返事を取り合わなかった。
「いつからですか?」
「……俺が真ん中で寝た時だよ」
中二房で幾度となく揉めた寝場所が、まさかユニの秘密に関わっていたとは、思いもよらなかった。
しかし、ソンジュンとジェシンが入れ替わったところで、彼女の隣に男が寝るという問題が解決されたわけではない。
「女人だとわかったことと、寝る場所を変更することに、関連性があるとは思えません」
「婚前のテムルが、男にくっついて寝たら、まずいだろ」
「え!?」
「気付いてなかったのか?毎晩、毎晩、こいつはお前の背中に張り付いてたんだぞ」
ソンジュンがちらりとユニを見遣ると、彼女は、知らないよ、と言って大きく首を横に振った。
ユニの向かいに座るヨンハが、彼女の頬を扇子でつつく。
「積極的じゃないか。好きな男と一夜を共にしたかったんだな?」
「ち……違いますよ」
ソンジュンは、咳払いをした。
ジェシンに指摘された点は全く気づいていなかったが、そのことは、問題ではない。
結局二人の間には何も起こらなかったし、今は想いを寄せ合っているのだから、そういう意味でも取るに足らないことだ。
しかし、ジェシンとユニが並んで寝ている時に同じこと……ソンジュンにとっては言葉にするのもおぞましいが、つまり二人がくっついて眠った夜もあるという仮定が成り立ってしまうことは、大いに問題だ。

まさか、寝ている間に、先輩が彼女の胸に触れたのか?
それとも、単衣がずれて、胸が見えた?

ソンジュンの脳裏に、ヨンハの企みよりも恐ろしい可能性が次々と浮かび上がる。
彼は再度姿勢を正し、ゴクリと唾を飲み込むと、意を決して問いかけた。
「もしかして、体に触っ……」
「馬鹿を言うな!」
「ならば、どうしてわかったんですか?」
ジェシンは、湯浴み姿を見たのは俺だと言えるわけもなく、固く口を閉ざした。
卓の逆を向き膝に腕を乗せ、いらいらと体を揺らしている。
妙な緊張感が四人の間に走ったが、それでもジェシンは口を開かなかった。
「先輩、僕たちは知る権利があります」
「権利ってなんだ、面倒臭い」
ジェシンはソンジュンを睨み返した。しかし、彼はユニを見ない。
ヨンハが、ふぅん、と呟いた。
つまりはそういう事だと、彼は気付いたのだ。
「コロ、お前……」
ヨンハは、扇子で口元を隠した。そして、コロの耳に顔を寄せて囁く。
「俺よりお前の方が、悪い男じゃないか」
ジェシンも、彼がユニの湯浴み姿を見るに至った原因がヨンハの策略だと、先ほどのやり取りでわかったから、ヨンハが何を言わんとしているのか、すぐに理解した。
「うるさい」
「俺は、いつもお前の味方だ」
「ふん、そう願うよ」
ソンジュンに二人の会話は聞こえない。余計にいらいらとした口調で、彼はヨンハに問いかけた。
「ヨリム先輩、ご存知なんですか?」
「ああ、知ってる。こいつさぁ……」
ヨンハは、扇子を閉じて、ジェシンの肩に腕を回すと、満面の笑みを浮かべた。
彼が妙な間を作ったため、ソンジュンもユニも、体を強ばらせる。
「しゃっくり!女の近くにいるとしゃっくりが出ちゃうんだよ」
その子供だましな内容に、ソンジュンは眉を顰めた。
「僕は真剣です」
ヨンハは舌打ちをしながら立ち上がって、ユニをジェシンの隣に座らせた。
「カラン、お前のためにやるんだ。怒るなよ?」
そして、ぐいっとユニを押して、彼女をジェシンの腕の中に放り込む。

ひっく。

ジェシンは、すぐさま反応した。
「ほらね?」
ユニは、慌ててソンジュンの隣に戻り、ジェシンは、飲みに行くと言って部屋を出てしまった。
目の前で実演されてしまっては、ソンジュンも黙るしかない。
ヨンハは、もういいだろう?と言って、ソンジュンの碗に酒を注いだ。
ユニも、笑顔で肴を取り分けてやる。
ソンジュンは、二人に流されて酒を口にしてみたものの、ヨンハの説明は、どうにも腑に落ちなかった。
中二房に戻ってからも、ソンジュンは首を傾げている。
「大したことなかったし、良かったよね?」
ユニはそう言って布団を用意しているが、彼の悶々とした気分は全く晴れない。
彼を悩ます石ころは、まだこの先も、彼の心に住み続けるのだった。




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【作品名】石ころ

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/04/27 Sun. 21:50  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】俺はク・ヨンハだ 2 - 上  

成均館スキャンダル連載

花の四人衆は、久しぶりに酒を酌み交わしていた。
場所は、儒生たちが始終集っている泮村(パンチョン)の学士酒店を避け、泮村を抜けた先にある、ヨンハの馴染みの居酒屋だ。
学士酒店を避けたのは、ヨンハの選択だった。
黙って彼に付いて行った他の三人は、学士酒店ではないことを特段不思議に思わなかった。
今日は俺の奢りだと言って酒を注ぐ彼に礼を言って、酒に舌鼓を打っている。
ユニに止められて、殆ど酒を口にしていないソンジュン以外は。
しかしソンジュンも酒が好きなわけではないから、肴をつまみながら、やはりヨンハに礼を言った。
「なあ、お前らさぁ。その指輪は何?」
ヨンハが顎をしゃくって、ソンジュンとユニの薬指に光る指輪を指した。
彼は、二人が恋仲であることにもちろん気付いている。
ソンジュンが獄から帰ってきた夜に、皆で中二房で雑魚寝をしたら、翌朝、ソンジュンが不機嫌ここに極まれりといった様子で黙りこくっていたのは、とても愉快だった。

水くさいじゃないか。

二人が打ち明けられない理由もよくわかるが、先輩としては、少々寂しい。
だから、あくまで無二の親友の振りをするソンジュンとユニを、少しからかってやりたくなったのだ。
彼がいつもの居酒屋を選ばなかったのも、そのためだった。



ソンジュンとユニは、顔を見合わせた。
ヨンハは、畳み掛けるように
「その指輪、西国風だよなぁ」
と話しかける。
ソンジュンは、ヨリム先輩は関係ない、と即答したが、ヨンハはしつこい。
「なんで二人でお揃いの指輪をしているんだ。俺たちも誘ってくれよ」
彼は隣に座るジェシンの肩を抱いた。
後輩たちが恋仲だと知っているのは、肩を抱かれたジェシンも同様だ。
だから、ヨンハよりも良識を備えている彼は、ヨンハの腕を振り払った。
「その西国風の指輪はどこで買ったんだ?あまり見ないぞ」
雲従街で育ったヨンハは、単純に指輪にも興味をそそられているらしい。

俺も買ってくるから、店を教えろ。あ、その前に、理由をまだ聞いてない。なんでだ?しかし、本当に珍しい指輪だな。

話題を変える気配のないヨンハに、ユニは、焦った。
「えっと、その……」
何か言わなければ、と彼女は頭を回転させる。
友情に関する言葉を必死に思い出していたら、義兄弟という単語が浮かんだ。
男の友情の最上級の表現が、義兄弟の契りだ。
「そう、義兄弟!義兄弟の契りです!」
ソンジュンがユニを睨んだ。
彼にしてみれば、愛をこめて送った指輪を義兄弟の契り呼ばわりされたのだから、堪ったものではないのだろう。
「義兄弟、ね。テムル、義兄弟もいいけど、チョソンにも何か贈ったら?チョソンがカランに嫉妬しかねないぞ」
「それは、その……」
ソンジュンに睨まれながら小さくなっているユニが、もごもごと返事を誤魔化した。
ヨンハは扇子をぱしりと開いて、三国志か、と呟いた。
貂蝉(チョソン)と言えば、三国志の武将、呂布の妾だ。
「貂蝉……。それなら、テムルは呂布か?いや、違うな。お前らは義兄弟だから、張飛と関羽だな」
彼は、三国志になぞらえて、二人の仲を揶揄した。
「待てよ?それなら、劉備がいなくちゃ。よし、俺が劉備だ!桃園の誓いをしよう!コロ、お前、どうする?趙雲?……違うなぁ」
「僕はそもそも武将ではありません」
今は何を言われても不機嫌になるソンジュンが、むっとした顔で口を挟んだ。
関羽と張飛といえば、三国志を代表する武将だ。
二人は、三国志の主役の一人、劉備の臣下で、この劉備、関羽、張飛の三人は、桃園で義兄弟の契りを交わした。
長兄が劉備、次兄が関羽、末っ子が張飛だ。
ヨンハは、関羽と張飛をソンジュンとユニに当てはめて、自らを劉備とした。
すると、花の四人衆は四人なのに、劉備、関羽、張飛は三人なので、ジェシンが余ってしまう。
ジェシンには、劉備の別の腹臣、趙雲を当てはめてみたがしっくり行かないと首を傾げていたところで、ソンジュンが「僕たちは武将じゃない」と文句を言ったのだ。
関羽はそれなりに教養があったと伝えられているが、張飛は、無教養で粗暴と相場が決まっている。
ソンジュンにとっては、余計に我慢がならなかったのだろう。
「それもそうだな。張飛と関羽は、お前たちより暑苦しい」
ヨンハは、自らの杯に酒を注ぎながら、他の例えを模索した。
「お!管鮑の交わりってあったな。こっちは文官だぞ」
「それは、三国志じゃない」
ジェシンが静かに指摘する。
あ、そうか。とヨンハはうなずき、腕を組んで、真剣に考え始めた。
「そうだ!水魚の交わり!」
ヨンハは、ぱんっと扇子を閉じて、それをまっすぐに二人に向けた。
ソンジュンとユニは、途端に真っ赤になって俯いた。
「指輪までしてるのに、照れるなよ。自慢の“義兄弟”なんだろ?」
ヨンハは、内心してやったりと舌を出しながら、義兄弟、を強調した。
水魚の交わりとは、魚と水のように、離れることが出来ない親しい友情を表す。
これも三国志から出た言葉で、劉備が、彼の臣下である諸葛亮と自らの関係を、魚と水に例えたとされている。
ある時、あまりに劉備と親密な諸葛亮に、関羽と張飛は嫉妬した。
劉備は、劉備に詰め寄る二人に、水魚の例えを用いて、三人の義兄弟の絆は変わらないと説得した。
この説明で、関羽と張飛は納得したのだが、それには理由がある。
水魚の交わりとは、古来より、男女の仲睦まじい様子や夫婦の愛情の強さを表す言葉なのだ。
劉備と諸葛亮が夫婦で、劉備と関羽、張飛は義兄弟。
互いに干渉しない間柄だからこそ、関羽と張飛は納得した。
劉備と諸葛亮は男同士ゆえ、水魚の交わりは、友情の強さも表す。
要するに、男女の仲も、友情も、どちらにも使える言葉なのだ。
「俺たちが、関羽と張飛だな。それで、お前たちの仲に嫉妬するんだ」
ヨンハは、ジェシンの肩を抱いて、楽しそうに笑った。




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【関連作品】

【作品名】俺はク・ヨンハだ 2

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/08/21 Thu. 17:32  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】俺はク・ヨンハだ 2 - 下  

成均館スキャンダル連載

ソンジュンは、顔を赤らめながらも、苛立ちを抑えきれずにいた。
“水魚の交わり”という形容は、的確だった。
諸葛亮を得た後の劉備は、それまでのやや燻っていた状況を脱して、飛躍的な活躍を見せるのだ。
ユニと知り合った後のソンジュンも、ソンジュンと知り合った後のユニも、まさに諸葛亮を得た劉備の如く、相手に助けられながら自らの世界を広げて行った。
ヨンハはそんなつもりはないだろうが、男女の仲の“水魚”と解釈しても、的確だ。
ソンジュンは、魚が水の中でしか生きられないように、ユニのそばを離れない。
己の執着を指摘されたようで顔が火照るが、ヨンハが本来の二人の関係を知っていて“水魚の交わり”と言ってくれたのなら、喜んでいたはずだ。
しかし、今前提にあるものは“義兄弟”だ。

義兄弟?冗談じゃない。

「僕たちは、先に帰ります」
ソンジュンは、ユニの了解を得ずに、二人で帰ると言った。
彼の怒りの元である彼女は、大人しく彼に従う。
ヨンハは、二人をからかうと言う目的が達成されたから、文句も言わずにひらひらと手を振って二人を見送った。
二人に同情していたジェシンは、言わずもがなだ。
ソンジュンは、黙々と歩く。
泮村に差し掛かり、泮村を通りぬけ、成均館の門をくぐっても、黙っていた。
ついには中二房に到着して、恐る恐るユニが後に続いて入室しても、沈黙を守っている。
ユニは、小さな声で、ごめんなさいと謝った。
「義兄弟の契り?君は酷いな」
「ごめんなさい」
「君の嘘のせいで、危うく桃園の誓いに付き合わされるところだった」
人数が合わなかったことでその危険は回避できた。
だが、三国志の桃園の誓いが、三人ではなく四人で行われたものだったら?
ヨンハなら、桃園の代わりに成均館の銀杏の木の下で誓い合おう、と言って実行しかねない。
愛するユニと義兄弟の杯を交わすなど、まっぴらだ。
彼は彼女をひと睨みすると、文机の前に座り、書を広げた。
それから彼は、またむっつりと黙りこんでしまった。



一方のヨンハとジェシンも、店を出ていた。
ソンジュンとユニに一足遅れて、泮村を進んでいる。
「あいつら、喧嘩してるかな?」
「お前のせいで、してるだろうな」
「テムルが焦って義兄弟って言った時の、カランの顔見た?傑作だよ」
「ほんとに、お前ってやつは」
「だって、寂しいじゃないか。コロ、お前は俺に隠し事をしてないよな?」
返事はなかったが、ヨンハはジェシンのことなら全て把握している。
自信満々に笑顔を向けられて、ジェシンは、ふん、とそっぽを向いた。
「中二房の縁側で、二人の喧嘩を盗み聞きしよう」
ヨンハは、扇子を振って、体を弾ませながら進む。
「やめろ」
言っても聞かないことを承知で、ジェシンはやめろと繰り返した。



ユニは、ソンジュンに向かい合う形で腰を下ろした。
二人とも外出着のまま座っている。
彼女の肩にのしかかる道袍(トポ)の重さが、そのままソンジュンの作り出す空気の重さのようだった。
「この指輪の本当の意味を、軽々しく教えたくなかったの」
彼女は、義兄弟だと嘘をついた本当の理由を告げた。
まだ二人の恋が始まったばかりだった頃、ソンジュンは彼女に指輪を贈った。
彼は、二人の将来を真剣に考えていると言ってくれた。
二人を取り巻く環境が、簡単に二人を婚姻に走らせてはくれない。
だが、あの時、たしかに二人は誓い合った。
まだ誰にも邪魔をされたくない、二人だけの大切な秘密だった。
「ただの贈り物じゃないもの。そうでしょ?」
ソンジュンは相変わらずユニの顔から目をそらしているが、彼の纏う空気が緩んだ。
ユニは、笠(カツ)を外して、ソンジュンの笠の紐に指を伸ばす。
指輪をくれた時に、彼がそうしたように。
「機嫌を直して?」
彼女の指は、するりと笠の紐を解いた。
そっと彼の笠を持ち上げて、床に置く。
彼女は、文机に両手をついた。
そして、体を伸ばして、こちらを向いてくれない彼の唇に彼女の唇を乗せた。
「許してくれる?」
ソンジュンは、彼女の方を向かなかった。
しかし、彼の頬はもう強張っていない。
「もう一回」
彼はそっぽを向いたまま、呟いた。
「もう一回接吻してくれたら」
彼女は、もう一度彼の唇に彼女の唇を合わせる。
彼女の唇が離れた後、ソンジュンは、許すのは今回だけだと言って、今度は彼からユニに接吻を落とした。



中二房の前で、ヨンハはがっくりと肩を落としていた。
「なぁ、コロ。静かだな」
「仲直りしたんだろ」
「つまらない。つまらないぞ!」
「俺たちも、部屋に戻ろう」
「お前、俺の部屋に来るの?」
「今、この部屋に入るのは、絶対に御免だ」
「なんだよ、仕方なく来るのかよ」
「俺は飲み足りないんだ。付き合え」
ジェシンが歩き出し、ヨンハも続いて隣を歩く。
月明かりに照らされた二人の先輩の背中は、義兄弟の契りで互いを縛り付ける必要がないほど、仲睦まじく並んでいた。




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【関連作品】

【作品名】俺はク・ヨンハだ 2

【テーマ】 成均館スキャンダル二次小説  ソンジュン×ユニ  花の四人衆 

2014/08/22 Fri. 17:59  tb: 0   コメント: 0

【成均館 二次小説】入れてくれない  

成均館スキャンダル読切

中二房に入れてくれない。ぜんっぜん入れてくれない。いつもさぁ、みんなでおやつ食べてるじゃん。コロが一人で出掛けて、俺の相手してくれない時。なんで入れてくれんの。なんで?なんで入れてくれんの。

あれかー。え?昨日のあれか?「お前ら、夜中に、こそこそ享官庁(ヒャンガンチョン)に行くよねー」って俺が言ったから?
いやだってあれはホントじゃん。点呼終わってるのに、中二房出て行ってるし。
正直、享官庁は霊が出るからね?知らないからね、お化けに捕まっても。
点呼といえばさあ、結構前に、カランが酔っ払って門限に間に合わなかったときは、泣きそうな顔してたでしょ。
なんだ。親か俺は。助けるけどね?おやつ食べたいからね。テムルのお母さんの秘伝の、大豆の粉がかかったおやつ、超うまいしね。あれ何?超うまい。
あれか。あれきつく言ったからか。テムルってさあ、女じゃん。
成均館にいるの、犯罪だかんね。で、この前かまかけたんだよね。そしたら、バレてないみたいな態度とったじゃないですか。
あれホントなんだろ、がっかりしたわ。がっかりした。一週間待って手に入れた艶本に、接吻の場面しかなかった時ぐらいがっかりした。
先輩面してるわけじゃないよ。でも、ホント大目に見てる方だと思うよ、俺はね。

いや。あれか。あの事件か。なんだろ、せっかく無人島で二人きりにしてやったのに、凄く重苦しい空気で帰ってきたじゃん。あれホントやめてほしい。
微妙な距離感でお互いを意識してる場に居合わせたら、何て言っていいか分からん。
「あっ……お、おう!」ってなる。まあでもそれは仕方ないんだけど、カランが「男が好きかもしれない」みたいなこと言い出したじゃん。死にそうな顔して。罪悪感いっぱいで。
こっちの身にもなって欲しい。男女の恋愛って普通だからね。お前らだけじゃないからね。結婚もできるし。
だから、艶本あげちゃったのね。
ついあげちゃったのね。そしたら、テムルが俺に「イ・ソンジュンが赤い本ばっかり読んでる」って愚痴を言いに来たじゃん。ホントにやりたい放題だな、お前ら。
でも、それについても何も言わなかったじゃん。言わなかったじゃない。カランに渡せる艶本もまだ有るよ。でも、お前ら二人は、今は付き合ってるじゃん?

なんだよ。どういうことだよ。結構お前らのために尽くしてる感はあるよ。入れろよ。
俺、実際問題お前らのこと嫌いじゃないの。恋愛になると、すげえアホだけど、なんか憎めないわけ。あとテムルのお母さんの秘伝の大豆の粉?あれ何?超うまいんですけど。

入れてくれない。

- - - - - - - -

好きなコピペネタの改変を、勢いで書きました。秘伝の大豆の粉は創作です。
元ネタを貼り付けます。
本物の面白さには、敵いません。

* * *

遣唐使来ないじゃん。ぜんっぜん来ない。毎年貢ぎ物持ってさぁ、来てたじゃん。この時期。なんで来んの。なんで?なんで来んの。

あれかー。え?去年のあれか?「お前らの船さあ、毎回違うとこ着くよねー」って俺が言ったから?
いやだってあれはホントじゃん。都目指して船出してくるのに、毎回よくわかんないとこに流れ着くし。
あの、お前らがよく着く南の方とか、正直うちの領土なのかどうなのか微妙だかんね?知らんからね、変な人に捕まっても。
でさあ、着いたら着いたで、「迎えに来てー、貢ぎ物多くて運べない」みたいなこと言ってくるでしょ。
なんだ。彼氏か俺は。行くけどね?貢ぎ物欲しいからね。ハッピーターン超うまいしね。あれ何?超うまい。
あれか。あれきつく言ったからか。お前らさあ、結構勝手にお経書き写すじゃん。
あれ犯罪だかんね。で、去年ちょっときつく注意したんだよね、そしたら、お金払えばいいんでしょ、みたいな態度とったじゃないですか。
あれホントなんだろ、がっかりしたわ。がっかりした。万里の長城あんまり意味ないことに気づいた時くらいがっかりした。
お金とかじゃないよ。でも、ホント大目に見てる方だと思うよ、うちはね。

いや。あれか。あの事件か。なんだろ、さんざん都で遊んで「さよならー」って言ったと思ったら流されてまた帰ってきたじゃん。あれほんとやめてほしい。
再見再見ってホントに再見したとき何て言っていいか分からん。
「あっ……お、おう!」ってなる。まあでもそれは仕方ないんだけど、「船が直るまであと3ヶ月居ます」みたいなこと言うじゃん。平気で。悪びれずに。
こっちの身にもなって欲しい。宿とか無いからね。お前らだけの宿じゃないからね。布団もさあ、全部干しちゃうし、シーツとか洗うし。
だから、カッとなって「お前らを泊めるところは無いよ!」って言ったのね。
つい言っちゃったのね。そしたら、なんか勝手に変な家建てたじゃん。ホントにやりたい放題だな、おたくら。
でも、それについても何も言わなかったじゃん。言わなかったじゃない。あの変な家もまだ有るよ。でも最近あの周りで人が消えるんですけど。あの家何?

なんだよ。どういうことだよ。結構お前らのために尽くしてる感はあるよ。来いよ。
俺、実際問題お前らのこと嫌いじゃないの。すげえアホだけど、なんか憎めないわけ。あとハッピーターン?あれ何?超うまいんですけど。

来ない。




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【テーマ】 花の四人衆 

2014/09/09 Tue. 14:13  tb: 0   コメント: 0

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