芙蓉の書-成均館スキャンダル屋根部屋のプリンス3days二次小説

JYJユチョン主演の韓国ドラマドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」「屋根部屋のプリンス」「スリーデイズ(3days)」の二次小説ブログです。
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テーマ: イ・ガク×パク・ハ 一覧

【屋根部屋 二次小説】君は僕のもの - 1  

屋根部屋のプリンス連載

* お買い物デート *

「パッカ、出かけるのか?」

君は僕のもの_001


「お母さんと食事をする約束なの。お昼は冷蔵庫に入れておいたから、勝手に食べて」
「そなたは、私とスー・・・、スー・・・」
「何?」
「スーパーでございます、チョハ」
「パッカ、そなたは、これから私とスーパーに行くのだ」
「もしかして、バナナ牛乳切れてる?わかった、帰りに買っておくわ」
「パッカ、もう決まったことだ。食事の予定は、次に回せ」
「はぁ?お母さんとの食事が先約よ」
「バナナ牛乳だけではない、ヨーグルトも切れておるのだぞ!!!」
「・・・ねぇ、そこの三人。テレビ見てないで、このアンポンタンの買い物に付き合ってあげてよ」
「「「そのような口をきいてはなりませぬぞ!」」」
「我らの教育が至らないばかりに、申し訳ございません。死罪に値します。チョハ」
「マンボ、わかれば良い」
「・・・大げさなのよ」
「パッカ姉上、大げさではありません!」
「・・・ともかく、欲しいものがあったら、今言ってくれる?買ってくるから」
「パッカや、何度言ったらわかるのだ。そなたは “私と” スーパーに行くのだ」
「そんなに行きたいなら、四人で行けばいいじゃない」
「私は、そなたとふたりで行くと決めたのだ」
「あーもう、話にならない」
「パク・ハ殿、買い物に一緒に行っていただけないか」
「ヨンスルさんまで、何よ?」
「パッカ姉上、我らには、チョハご所望の品がわからぬゆえ・・・」
「チサン、現代のものは何でも美味しいの。ブラックカードで、いーーーっぱい試し買いすればいいわ」
「しかし、チョハはパッカ姉上をご指名で有らせられる」
「ふーん・・・そうね・・・マンボ、今日の夕食は、オムライスにする?」

「「「 お ・ む ・ ら ・ い ・ す ~~~」」」

「・・・三人とも、なんだ!お・む・ら・い・す~に釣られおって」
「じゃ、でかけるから。あんたのお陰で、遅刻しそうよ」
「パ、パッカ・・・待つのだ!」
「行ってきまーす」

君は僕のもの_001_2


「皆の者、ここへ」
「「「申し訳ございません、チョハ」」」
「私が何を言いたいのかわかっておるな?」
「「「申し訳ございません、チョハ」」」
「お・む・ら・い・す~如きの欲に負けおって!」
「「「申し訳ございません、チョハ~」」」
「どいつもこいつも・・・!」
「「「「 チ ョ ハ ~ ~ ~ !!!」」」


-- -- -- --

出会った頃から、チョハはパク・ハに対して所有欲丸出しなので、タイトルを「君は僕のもの」にしてみました。
あんなにセナを追いかけまわしてたのに、7話冒頭、セナがパク・ハを泣かせたと知るや「僕のパッカに何をした!」と言わんばかりに、セナを睨んでますからねw
そんな恋愛未満な二人の関係を、軽いノリで書いていきたいと思います。




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【関連作品】

【作品名】君は僕のもの

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  臣下三人組 

2014/01/15 Wed. 07:00  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】君は僕のもの - 2  

屋根部屋のプリンス連載

* お買い物デート成功編 *

「食べ終わったら、みんなで本屋に行くわよ」
「本屋ですか?書物がたくさんあるのですね?」
「みんな、ハングルも読めるようになってきたけど、もっと沢山読んでスピードをつけないと」
「楽しみですね!」
「マンボは絶対に気に入るわ」
「うんん!」
「チサン、ファッション雑誌って知ってる?お洒落な服がたくさん載ってるわよー」
「う゛んん!」
「ヨンスルさんは、何が好きかな。格闘技の専門書なんか・・・」

「う゛ ん゛ ん゛ !!!」

「「「・・・これは、大変失礼いたしました、チョハ」」」
「そなたら三人は、ここで待つが良い。私が皆の好みの書物を見繕ってこよう」
「三人とも、楽しみにしてるじゃない。ね、行きたいよね?」
「「「・・・はい」」」
「本は重いの。あんたは運ばないんだから、三人も来なきゃ」
「車を出すゆえ、重たくはない」
「これは、三人のためでもあるの。好きな本のほうが、勉強が捗るわよね?」
「「「・・・はい」」」
「いや、ここで待て。それぞれに仕事を与えよう」
「仕事って何よ。今まで暇そうにしてたくせに。こんなヤツの言うことなんか気にしないで、行くわよ?」
「「「・・・・・・」」」
「マンボに書物は必要ない。すらすらと読めておる」
「チサンはまだ・・・」
「身なりについて書物から学ぶ必要はない。街に出れば、いくらでも観察できる」
「ヨンスルさんだって・・・」
「武術は鍛錬だ。ヨンスラ、励むが良い」
「もう、うるさい!みんな、一緒に行くわよ?」
「「「・・・・・・」」」
「行かないの?」
「我らは、留守を守ります」
「パク・ハ殿、チョハをよろしく頼みます」
「パッカ姉上、私には、ふぁっしょんざっし、なるものをお願いします」
「皆、楽しみに待つが良い」
「「「有り難き幸せにございます、チョハ~」」」
「・・・まったく!」



屋根部屋のプリンス二次小説、ヨンスル、チサン、マンボ


「近頃、チョハはパッカ姉上とお出かけになることが多いな」
「しかし、チョハには世子嬪媽媽がいらっしゃる」
「ト内官、ウ翊賛、ふたりとも鈍すぎる」
「というと?」
「パッカ姉上はチョハのお気に入りだ」
「お気に入り?」
「パッカ姉上に恋人でもできたら、その男は三族もろとも滅ぼされるに違いない」
「・・・・・・」
「ウ翊賛、顔が青いぞ?」
「もしかして、パッカ姉上のことを慕っているのか?」
「いや・・・そんなことは・・・・・・」
「チョハに知られたら大変だ。こう言ったらなんだが・・・チョハは・・・執念深くていらっしゃる」
「ウ翊賛、残念だが、パッカ姉上のことは忘れるんだ」
「しかし、チョハには世子嬪媽媽が・・・」

「「それとこれとは別!」」




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【作品名】君は僕のもの

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  臣下三人組 

2014/01/22 Wed. 10:24  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】君は僕のもの - 3  

屋根部屋のプリンス連載

* そういうお年頃 *


屋根部屋のプリンス二次小説、ユチョン、王世子、セジャ、チョハ

「見合い相手とは、どうなったのだ」
「連絡はとってないわ」
「気に入らなかったのか?」
「あんたは会ってないから知らないと思うけど、あんたなんかより、ずっと格好良いのよ。色白で、背も高くて、やさしくて・・・」
「この男が格好いいのか?」
「!!! ちょっと、なんであんたの携帯に彼の写真があるのよ!?」
「居候の無事を守るのは、私の役目だ」
「えらそーに」
「この男とは縁がなかったのだ。諦めるが良い」
「そうね。でも、服もたくさん買ってもらったし、お母さんに見合い話をお願いしようかなー」

屋根部屋のプリンス二次小説、ユチョン、王世子、セジャ、チョハ

「・・・まだ見合いをするのか?」
「一度じゃ決まらないって言ったのは、あんたじゃない」
「何度やっても決まらぬ、という意味だ」
「私の実力をわかってないわね」
「そなたは乱暴でみだらゆえ、見合いをしても、この先縁を結ぶことはない」
「ふん!この前のお見合いで、可愛いって言われたの。映画だって誘われたし。私って、その気になればモテるのかも!」
「ありもしない想像を・・・ああ、見苦しい」
「炊事洗濯は問題ないし。いい奥さんになれるわ」
「そなたは全てが手荒く、また反抗的だ。夫に仕える心構えが足りていないではないか」
「ふーん、私の料理を気に入ってるくせに」
「それは、そなたしか料理をする者がいないゆえ・・・!」
「・・・ま、いいわ。お見合い、楽しみー!」

屋根部屋のプリンス二次小説、ユチョン、王世子、セジャ、チョハ

「・・・もう充分運動した。帰る」
「先帰って。私、もうちょっとウエストを引き締めてから・・・」
「無駄だと言っておるのだ!パッカ、帰るぞ!」




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【関連作品】

【作品名】君は僕のもの

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ 

2014/02/09 Sun. 14:12  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】薄荷飴 - 1  

屋根部屋のプリンス連載

パク・ハは五人分のオムライスをテーブルに並べた。
昨晩、まずイ・ガクが「明朝は"おむらいす"を用意するように」とパク・ハに注文し、彼女が難色を示すと、他の三人も「我らも食べたい」と加勢した。
それでも反論を試みたが、他の朝餉では仕事への意欲が湧かないだの、チョハの仰ることは絶対だの騒ぎ立てる四人に負ける形で、こうしてオムライスを並べている。
もう、正直オムライスは飽きたのよね。
パク・ハは腰に手を当て、食べる前からうんざりした気分で、テーブルを眺めた。
臣下の三人は既に席に着いている。
しかし、肝心のイ・ガクがいない。
「あいつが時間通りに起きないなんて、珍しいわね」
イ・ガクたっての希望でオムライスを作ったのにすっぽかされてしまい、文句が口をついて出る。
それに対し、三人は神妙な面持ちで、チョハは臥せっておられます、とパク・ハに告げた。
「具合悪いの?」
「高熱でございます。我らは薬の調合がわからぬゆえ、お助けすることが出来ないのです」
そう言えば、昨夜彼は頭痛を訴えていたが、何時ぞやの人差し指を切った時のように、大げさに言っているのだと思っていた。
無視しちゃって、可愛そうだったかも。
「私が診るわ」
パク・ハは、三人に朝食を済ませ出勤するように言い、トレーに体温計や食事を並べた。



イ・ガクの部屋に入ると、寒そうに布団の端を握る手が見えた。
首まですっぽりと布団を被り、小さく開いた口からは、少し荒く、また熱を伴った息が吐き出されている。

昨日のうちに、様子をみてあげれば良かったな。

パク・ハはイ・ガクのおでこに手をあてた。
想像していた以上に彼の額は熱い。パク・ハは頬をそっと撫でた。
「起きて。薬を飲んだら、また寝よう」
「・・・ん・・・パッカ?」
目をつぶったまま、イ・ガクが呟いた。
起き抜けの声は、少し幼く、いつものような威厳がない。
パク・ハは起きるように再度声をかけたが、イ・ガクは、まだ寝ると言って、目を開けなかった。
「頭痛い?」
「痛い」
目を閉じたままだが、彼の声は徐々にはっきりとしてきた。
早く解熱剤を飲ませたいパク・ハは、イ・ガクの肩に腕を差し入れる。
「起きて。オムライスも持ってきたわよ。それとも、おかゆ作る?」
「・・・おむらいす」
オムライスと言いながら、イ・ガクは頭まですっぽり布団を被ってしまった。
「チョハ!」
普段の、年齢の割に落ち着いた立ち居振る舞いと違い、今朝のイ・ガクは駄々をこねる子供のようだ。
パク・ハは、普段使わない「チョハ」で呼びかける。
「チョハ、子供じゃないんだから、起きてよ。薬を飲めないでしょ!」
「・・・その薬は苦いのか」
「水と一緒に飲めば、味はしないわよ」
「・・・そうか」
そうか、と言いつつ、布団の下のイ・ガクは一向に動く気がないらしい。
なんでこんなに世話が焼けるのか。しびれを切らしたパク・ハは、勢い良く布団を剥いだ。
いきなり外気にさらされ、イ・ガクはブルっと震えた。すぐさま布団を取り返す。
「起きなさい!はい、これで体温を測って!」
「寒い!それに、私はまだ寝る。邪魔をするな!」
「体温を測って、薬を飲んだら、好きなだけ寝て下さい」
パク・ハは、イ・ガクのシャツの首もとを広げ、体温計を脇の下に突っ込んだ。
「うわっ!何をする!」
体温計の冷たい感触に、またもイ・ガクは身震いした。
「それ、動かさないようにしてね。脈拍を計る代わりに、熱を計測してくれるから」
初めて触れる体温計に緊張しているのか、イ・ガクは素直に脇を閉め、不思議そうにパク・ハを見る。
偉そうな口をきいていても、やはり熱が辛いのだろう。パク・ハを見る目は、潤んでいた。




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【関連作品】

【作品名】薄荷飴《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ 

2014/02/20 Thu. 18:54  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】薄荷飴 - 2  

屋根部屋のプリンス連載

計測終了を告げる電子音が鳴り、イ・ガクはびくっと体を揺らした。
この現代的な効果音に、いい加減慣れても良さそうなものだが、不意打ちにはまだ弱いらしい。
「38.4度」
「それは、高いのか?」
「すごく高いわね」
かなりの高熱だと知ってしまうと、ぐったり横たわるイ・ガクを起こすのは気が引けた。
異国同然の地で倒れるのは、心細いに違いない。
パク・ハにも覚えがある。
アメリカで寝こんだ時、いつも求めていたのは、記憶にない韓国の父母だった。
「雙和茶(サンファ茶)飲む?」
パク・ハは、体を温めてくれるからと、以前母が屋根部屋に置いていったインスタントの雙和茶の存在を思い出した。
朝鮮時代と同じ処方かわからないが、少しは、彼の不安を取り除いてくれるかもしれない。
「この家にあるのか?」
「うん、持ってくるから、オムライス食べててね」
パク・ハは、イ・ガクが文机として使っているローテーブルをベッドに乗せて、その上にオムライスを置いた。
パク・ハが先ほどのように強く出ない限り、言うことを聞くつもりはないのだろう。イ・ガクは横たわったままだ。
彼女はイ・ガクを無理に起こさず、キッチンに降りた。
雙和茶の粉末にお湯を注ぐと、韓方独特の、木の根っ子のような少し苦味のある香りが広がった。
この香りが苦手で引き出しの奥に閉まったままにしていたのだが、こんな形で役に立つとは、よもやパク・ハの母親も想像していなかっただろう。
パク・ハが雙和茶を持って寝室のドアを開けると、イ・ガクはその香りに目を細め、重たそうに起き上がった。
「そなたが煎じたのか?」
「ううん、今は簡単に作れる粉末のものがあるのよ」
「それでも、美味だ。この香りを嗅ぐと、病も治る気がするな」
雙和茶が呼び水になったのか、イ・ガクはオムライスに手を付けた。
「そなたは食事を済ませたのか?」
「まだよ」
「ならば、そなたもここで食べよ」
「私はあとでいいわ」
「では、私も食べない」
せっかく食べ始めたのに、イ・ガクはスプーンを置いてしまった。
「もう、世話が焼けるんだから」
パク・ハはスプーンでオムライスをすくい、イ・ガクの口元に運んでやる。
イ・ガクはパクっと食いつくと、僅かに微笑んだ。
「チョハはちゃんと食べなきゃ」
「そなたも、食べるべきだ」
「だって、私は元気だし」
「私のせいでそなたが朝餉を取れないのは、忍びない」
今度はイ・ガクがパク・ハの手からスプーンを取り、オムライスを食べさせる。
パク・ハはオムライスを飲み込んでから、再びイ・ガクに、次の一口を運んでやった。
パク・ハが食べさせ、イ・ガクが食べさせ。
そうして交互に食べさせ合うと、オムライスはあっという間になくなった。
先ほどまで、やれ起きろ、やれ起きたくない、と揉めていたのに、随分あっさりと終わったものだ。
二人は、思わず吹き出してしまった。
「今日は、いっぱいお世話してあげようと思ったのに」
普段、二言目には、なんで私がやらなきゃいけないのよ。と口答えしている自分を揶揄するように、パク・ハは微笑む。
「けちゃっぷ」
パク・ハの唇の端を、イ・ガクが指差した。
パク・ハがケチャップを拭うために唇の端に指を持って行く前に、イ・ガクの唇が素早くケチャップを吸い取った。
不意打ちに、パク・ハは目を丸くする。
「ん?接吻して欲しいのか?」
「違うわよ・・・ちょっと、風邪がうつっちゃう」
「その時は私が診てやる」
パク・ハの頬を包み込んだイ・ガクの両手は、やはり焼けるほど熱かった。
彼女に心配をさせまいと、少し無理をしておどけているのだろう。
近づいてくる唇を手のひらで押しとどめ、パク・ハはその唇に錠剤をねじ込んだ。
舌の上に溶け出た薬の苦さに、イ・ガクは顔をしかめる。
続けて差し出されたコップを受け取ると、一気に水を飲み干した。
「この丸薬も苦いではないか」
「薄荷飴舐める?」
パク・ハがローテーブルを床に下ろすと、イ・ガクはぐったりとベッドに沈んだ。
暑い、と言ってパク・ハが掛けてくれた布団を押しのける。
初めは寒がっていたイ・ガクも、食事を取り、体が温まってきたのだろう。
「今、氷枕を持ってくるからね」
パク・ハが布団をかけ直すと、その手がイ・ガクの顎にあたった。
「パッカの手は冷たいな」
女性特有のひんやりと冷えた手が熱を吸い取っていくようで気持ちがよかった。
「薄荷飴も氷枕も必要ない」
イ・ガクはパク・ハを腕の中に引き入れた。
驚いてじたばたと動いていたパク・ハが、観念して大人しくなると、彼女の額に自分の頬を押し当てた。




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【作品名】薄荷飴《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ 

2014/02/22 Sat. 21:47  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】(大人小説)薄荷飴 - 3  

屋根部屋のプリンス連載

大人表現が含まれます。ご注意下さい。
* -- * -- *



「パッカ、そなたの体は薄荷飴のようにひんやりとして、心地が良い」
そっちが熱すぎるのよ。パク・ハはそう言い返しそうになったが、いちいち楯突いていても可愛げがない。
代わりにイ・ガクの頭をなでた。
「元気なふりなんか、しなくていいのに」
パク・ハの背中に回る腕の重みが、彼の怠さを正直に伝えている。
イ・ガクは体を下へずらし、パク・ハの首筋に顔を埋めた。
「・・・誰かに甘えるのは、初めてだ」
王世子として、常に気丈に振る舞わざるを得なかったのだろう。
イ・ガクはぽつりと呟いた。
しばらく、二人とも何も話さなかった。
規則正しく頭を撫でるパク・ハの手がつくる、髪の擦れる音と、イ・ガクの気怠い吐息だけが、静かな空間を埋めた。
イ・ガクの熱が蒸発して、湿度を含んだ空気が、二人に纏わりつく。
パク・ハは、彼の熱のせいで、彼女自身も発熱したような錯覚に襲われた。
そっと溜め息を吐き出し、熱を逃す。
イ・ガクは、子犬が飼い主に甘えるように、パク・ハに頬を擦りつけて、彼女をぎゅっと抱きしめた。



カーテンの隙間から漏れる陽の光にまどろみを邪魔され、イ・ガクは体を起こした。
両肘をついてパク・ハを見下ろし、静かにくちづけを落とす。
「風邪がうつると、言わないのか?」
「そうなんだけど・・・一緒にオムライス食べちゃったよね?」
イ・ガクはパク・ハの手首を掴み、内側に親指をあてる。
「まだ健康そうだな」
「こんなに早くうつったら、たまんないわよ」
はい、おしまい。パク・ハは、幼児をあやすようにイ・ガクのうなじに手のひらをのせ、自分の方に引き寄せようとした。
イ・ガクはその手を払いのけ、高熱のせいで潤んだ瞳でパク・ハを見下ろした。
「ね・・・ちょっと・・・・・・」
深く舌を絡められパク・ハは抗議の声を上げ、腰を撫でるイ・ガクの手を払おうとする。
それに答えるように、イ・ガクはパク・ハの太ももを掴み、自身の中心を押し付けた。
ショートパンツがめくれた素肌の部分に、それは当たった。
薄い寝間着の布越しのそれは、パク・ハの肌に直接触れたように、はっきりと形を伝えた。
「・・ぃや・・・・い・つ・・?」
「今」
イ・ガクの手は性急にパク・ハを求めた。
Tシャツの下に滑り込み、柔らかな膨らみを撫で上げる。
「なんで・・・」
「私にもわからぬ」
「ね、今日は止めて」
イ・ガクは上着を脱ぎ捨てた。

「無理だ。体が、熱くて」

パク・ハのTシャツをたくし上げ、胸の先端を舌でなぶると、細い体が跳ねた。
それでも二本の腕は、イ・ガクの肩を押し返す。
イ・ガクは抵抗をする彼女の腕をベッドに押し付け、脈打つ首筋を舌でなぞった。
パク・ハの口からは、溜め息ともつかぬ、か細い声がこぼれる。
体の奥に重く沈んでいく熱に耐え切れずに、イ・ガクは唸った。
その息が彼女の産毛を逆立てた瞬間、パク・ハは抵抗をやめた。
高熱に浮かされているのは、イ・ガクだけではない。
イ・ガクに求められ、認めざるを得なくなった。
二人で静かに体を寄せあっていたあの時に、彼女もまた、おかしくなっていた、と。
彼女の体から、力が抜ける。
イ・ガクは、性急にパク・ハのショートパンツと下着を下ろし、細い足を割った。
首筋と胸に赤い痕を幾つも付けながら、彼の手はいとも簡単にやわらかな部分を探りあて、指を埋めた。
交わる為の準備を必要としないほど、パク・ハの体は溶けきっていた。
けれど、イ・ガクの指は、ゆっくりと彼女の体をかき混ぜる。
もう片方の手は、パク・ハの額に張り付いた髪を、静かにはらった。
その優しさとは裏腹に、歯を食いしばり苦しそうに眉を寄せてパク・ハを見つめるその表情は、限界が近いことをはっきりと物語っている。
パク・ハは目の前の愛しい人の首に腕を絡め、囁いた。

ひどくして、いいのに。

イ・ガクはズボンを脱ぎ捨て、一気に自身を彼女に埋めた。
パク・ハの両足が、イ・ガクの腰に絡みつく。
淫靡な動きに合わせて甘い声を上げるパク・ハの体に、イ・ガクは欲望をぶつける。
腰に絡んだ彼女の両足が彼を締め付けた瞬間、彼の血流が一気に跳ね上がった。
イ・ガクはパク・ハの体から自身を引き抜いた。
パク・ハの太ももに、イ・ガクの熱が滴り落ちた。



カーテンから零れる陽の光が、パク・ハの体を照らした。
彼女に放たれた白濁した液体は、やわらかな肌の上で広がり、めくれ上がったTシャツの下の、無数に付けられた痕は、光が当たりより赤々と浮き立っている。
パク・ハが視線を避けるように体をよじると、まだ硬さを失っていないイ・ガクのそれに触れてしまい、イ・ガクは呻いた。

「もっと、して」

パク・ハが体を起こし、イ・ガクの唇を吸った。
イ・ガクは、パク・ハのTシャツを脱がし、太ももの汚れをそのTシャツで拭きとると、彼女の肩を乱暴にベッドに押し付ける。
両足を開かれ、パク・ハは顔を背けた。
イ・ガクは彼女を貫き、押し寄せる欲望を打ち付けた。

「・・・んっ・・・・はぁっ」

イ・ガクに縋り付いていたパク・ハの体が、かくん、と落ちた。
イ・ガクは彼女から自身を引きぬく。
まだ熱を持ったままの塊に、パク・ハの細い指が絡みつく。
イ・ガクはパク・ハの手の上から、それを一気に擦りあげた。
低い唸り声と共に吐き出された精が、パク・ハの両手を汚した。





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【関連作品】

【作品名】薄荷飴《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  大人小説 

2014/02/24 Mon. 21:03  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】薄荷飴 - 4  

屋根部屋のプリンス連載

丸まったTシャツが目に飛び込んできて、パク・ハは、イ・ガクの大きな肩で視界を遮った。
先ほどまでの痴態を如実に物語るそれも、今、彼に拭われている両手も、とても正視できなかった。
恥ずかしくて居た堪れないのに、そうさせた本人に縋ってしまうのは何故だろう。
パク・ハは、イ・ガクの肩に額を擦り付ける。
泣きそうな顔をして自分に縋る彼女を、彼は広い胸の中にを迎え入れた。

ひどくして。

イ・ガクは、その言葉のまま、乱暴に彼女を抱いた。
霞がかった意識の中で、始終纏わりついた柔らかさと、甘く震える声だけは鮮明だった。
彼の理性を奪ったのは、熱だけではない。
無意識に媚びる肢体にもまた、煽られた。
「体、平気?」
「まだ、怠いな。しかし、そなたの方が辛いだろう?」
イ・ガクは赤ん坊を寝かしつけるように、パク・ハの背中をさする。
「平気。・・・シャワー浴びたい」
「共に浴びるか?」
少しの沈黙の後、パク・ハは小さく頷く。
「・・・うん」
イ・ガクは床の寝間着を拾い上げ、彼女を包んだ。
大きすぎるその上着は、彼女の太ももまで覆った。
イ・ガクがズボンを履くために立ち上がると、彼の滑らかな臀部が目の前に迫り、パク・ハは思わず顔を背けた。
「おいで」
イ・ガクはパク・ハの手を引いて、階段を降りて行った。



勢い良く滑り落ちる水滴がパク・ハの体の曲線を際立たせ、イ・ガクは堪らず彼女の腰を引き寄せた。
彼女は、午前中の日差しの下で交わった後にも関わらず、バスルームの明かりに照らされた自分の体を恥ずかしがったが、彼が深い接吻を仕掛けると、甘い声を漏らして素直に応じた。
唇を離したイ・ガクは、顔を傾けて、パク・ハの細い首を見つめる。
「家から出れない。三人にだって・・・」
服で隠せないような部分にまで刻まれた痕を擦る彼の手に、自分の手を重ね、パク・ハは抗議する。
「足りないぐらいだ」
イ・ガクは膝立ちになって、水を弾く滑らかな彼女の臍部を強く吸った。
赤く鬱血した痕が、点々と並ぶ。
見上げると、まだ泣きそうな顔をしているパク・ハと、目が合った。
「私の部屋に戻っておいで」
イ・ガクはパク・ハの額にくちづけて、バスルームを後にした。


-- -- -- --
お詫び
感謝企画アンケート4位の「イ・ガク×パク・ハ ラブラブ」小説と銘打っていましたが、テーマやタイトルから、「感謝企画」を外しました。
これはこれで、皆様にお楽しみいただいているようで大変ありがたいのですが、「イ・ガク×パク・ハ ラブラブ」から連想される、健康的(?)な雰囲気とは程遠く、投票してくださった方の意図とは違う方向に進んでいる、と判断した為です。
また別の形で必ず書きます。
申し訳ありません。




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【関連作品】

【作品名】薄荷飴《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  大人小説 

2014/02/26 Wed. 20:42  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】薄荷飴 - 5  

屋根部屋のプリンス連載

イ・ガクは、デニムだけを履いて、脱衣所を出た。
体の熱をヨーグルト飲料で下げようと、冷蔵庫を物色する。
「チョハ」
突然背後で声がし、驚いたイ・ガクは、お目当てのヨーグルトへ伸ばした手を引っ込めた。
「チョハ、起きていらっしゃったのですね」
イ・ガクはぎょっとして振り返った。
正午を過ぎたばかりのこの時間に、いるはずのない、いや、正確にはいて欲しくない人物の声が聞こえたからだ。
振り返った先には、こちらも濡れた髪に上半身裸の主君にぎょっとして棒立ちになっている、臣下三人がいた。
三人は、イ・ガクを心配して昼休みを利用して帰ってきた旨を伝えると、怪訝そうに彼の様子をうかがった。
「チョハ、治ったのですか?」
チサンが、両手を前で揃えて聞く。
「いや、まだあまり良くない」
「でしたら、そのような格好はお体に障ります。それに・・・」
隣のマンボを肘でつつく。教育係から言え、という合図だ。
マンボは、如何にも言いにくそうに頭を掻き、顔を伏せた。
「パク・ハさんは婚前の女人で御座います。いくらお二人のお心が結ばれていても、パク・ハさんのいる家の中で肌を晒すというのは・・・」
「・・・うん、まぁ、そうであるな」
その女人に対し、ついさっきまで肌を晒す以上のことをしていたイ・ガクは、もごもごと同意した。
事後であることを感付かれたはずもないのに、きまりが悪い。
「ところで、パッカ姉上はどこにいるのですか?」
「私の看病に疲れて、部屋で休んでいる」
まさか体を清めているなどと白状するわけにもいかず、適当に濁した返答だったが、なかなか説得力があったようで、三人は神妙な面持ちで頷いた。
イ・ガクは、パク・ハが三人に気付かずにバスルームから出てくるのではないかと、気が気でない。
早く彼らを追い出すべく、そしてなるべく遅く帰宅させるべく、彼は頭の中で必死に策を巡らす。
「皆の者、パッカは昼餉の用意ができないから、外で食べろ。夕餉も外で済ませてくるが良い。私とパク・ハの分を買うのを忘れるな」
「はい!では、ブラックカードをお借りしてもよろしいですか?」
「ああ、私の部屋にあるから持って行け」
そう返事すると同時に、イ・ガクの脳裏に、現在の部屋の惨状が鮮明に浮かんだ。
乱れた寝具、己が汚したパク・ハのTシャツ・・・。
「いや、待て!!」
イ・ガクはスタスタと歩くチサンを追いかけ、押し止めた。
「立て替えておくように。帰ってきたら、相応の額を渡そう」
「はぁ・・・」
イ・ガクが安堵のしたのも束の間、今度はヨンスルが歩き出した。
「どこへ行くのだ?」
「我らの声がしても出てこないので、パク・ハ殿も具合が悪くなっていないかと・・・」
ヨンスルはパク・ハの部屋を指さす。
イ・ガクは拳を握りしめた。
「いいか、私が良いと言うまで、そなたら全員! 私の部屋も、 パッカの部屋も! 勝手に入ってはならぬ!!!」
「はぁ・・・」
「まったく!」
三人は何が「まったく」なのかさっぱり理解出来ないのだが、イ・ガクに促され、玄関に向かう。
「しかし、チョハが朝よりもお元気になられて、安心いたしました」
「パッカ姉上が医術を心得ていたとは、意外だなぁ」
「我らも、病んだときにはパク・ハ殿に看病をお願いしよう」
パク・ハが彼らに“医術”を施すなど、とんでもない。イ・ガクは大きく咳払いした。
「そなたらが病を患ったら、私が責任をもって診てやるから、安心するが良い」
やはり、今日の主君はおかしい。
「はぁ・・・」
最後まで腑に落ちないまま、三人は会社に戻って行った。




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【作品名】薄荷飴《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ 

2014/02/27 Thu. 19:26  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】薄荷飴 - 最終話  

屋根部屋のプリンス連載

パク・ハが部屋に戻ると、そこは綺麗に片付けられていた。
イ・ガクは、自らの不調を自覚しながら、上半身に何も身につけずにベッドに突っ伏している。
彼女は男らしい広い背中を目の当たりにし、情事の余韻に引き戻されそうになったが、頬を叩いて振り払った。
「髪が濡れたまま寝たら、治らないじゃない」
「んー・・・」
イ・ガクはうつ伏せのまま、顔だけパク・ハに向けた。
「・・・着替えたのか」
色気とは程遠い彼女の装いに、イ・ガクは憮然とした。
ショートパンツにTシャツ、おまけに首にはタオルが巻かれていた。
眉間に皺を寄せ、手招きする。
パク・ハがベッドの傍らにしゃがむと、イ・ガクは彼女の首からタオルを引き抜いた。
「ちょっと、返してよ」
「この部屋にいる間は、必要ない」
「嫌よ。恥ずかしいんだから」
「ダメだ」
パク・ハは譲らない性格だが、イ・ガクもその点では負けていない。タオルをベッドの反対側に放ってしまった。
パク・ハは大袈裟なほど大きくため息をついた。
「髪の毛を乾かそう」
彼女は、イ・ガクがろくに寝支度を整えていないことを見越して、ドライヤーを持って来ていた。
男という生き物がこの手のことに無頓着なのは、古今東西変わらないのだろう。
「今まで乾かさなくても問題はなかった」
「現代の技術は活用すべきよ」
イ・ガクは素直に起き上がり、ベッドの縁にちょこんと腰掛けた。
漆黒の髪をかき分ける彼女の手に合わせ、彼の頭は、右へ左へと揺れる。
パク・ハは、短い髪に触れながら、アメリカへ発つ彼女を追いかけてきた彼を、思い出した。
自分の許しを得ずに去ろうとしている、と怒っていた。
そんな彼が、今は子供のように頭を預けて、為すがままになっている。
そう、あの日、彼は髪を切った。
かつて、自分自身が「国」なのだと話した彼が、この時代に来て成し遂げようとしていることは、妻の死の謎を解くという単純なものではないはずだ。
国体を賭け戦う、という覚悟の断髪だったに違いない。
彼が独り背負う重圧は、如何ほどか。
きっと彼は知らない。
だから、こうして甘やかしてしまうことを。



「何か着なくちゃね」
髪が乾くと、パク・ハはクローゼットから柔らかそうなTシャツを選んで着せた。
頭、右腕、左腕、イ・ガクは彼女の手に合わせて素直に袖を通す。
そして終わると、待ってましたとばかりに、彼女を抱きしめた。
「薄荷飴のようだったのに、冷たくない」
誰のせいか、わかっているくせに。
パク・ハは指でイ・ガクのつむじを押した。
「ねぇ、お願いだから休んで」
「ああ、さすがに私も疲れた」
「ちゃんと寝る?」
「約束しよう」
イ・ガクは、ベッドに仰向けに横たわり、隣をポンポンと叩いた。
忠告されずとも、臣下の突然の襲来で、気が削がれていたのだ。
パク・ハはイ・ガクの隣に横たわり、伸ばされた腕に頭を乗せた。
「きっと私も風邪をひくよね?」
「私より酷くなるやも知れぬな」
「最悪」
イ・ガクは楽しそうに笑った。
「明日には発熱するから、このままずっと、ここにいればいい。そなたの面倒は私がみよう」
「病院に行くから、必要ないわよ」
イ・ガクは、パク・ハの尖った唇に、チュッと音を立てて、くちづけた。
「こっちのパッカ(薄荷)のほうが、甘いな」
「アンポンタン」
二人の会話は、徐々にゆっくりになり、小声になり。
やがて、まぶたが閉じられた。



すっかり日が落ちてから、二人は目覚めた。
イ・ガクは、軽くなった体を喜んで、自ら体温計を脇に挟んだ。
「36.2度」
「どうなんだ?」
「治ったわね」
しかし、パク・ハは違った。喉も痛いし、頭も痛い。
イ・ガクに続き、試しに測ってみた熱は、朝のイ・ガクよりも高温だった。
「薄荷飴ちょうだい。氷枕も欲しい」
「私と横になれば良いではないか」
「氷枕の方がいい。部屋に戻るわ」
「そなたのベッドは、二人で横たわるには、狭い。ここで寝るのだ」
風邪を治すには、一人でぐっすり寝るに限る。
言い合う気力ももはや失せ、パク・ハは黙って起き上がった。
いいのか?イ・ガクの指が、パク・ハの首をつついた。
自分の部屋で無防備に寝て、臣下にこの痕を見られてもいいのか?と。
昼間のぐったりした彼はどこへやら。いつもの尊大な、少しだけ目を細めた表情で、幾つも残った痕を順につついていく。
「・・・最悪」
果たして彼の予言通りに、パク・ハは風邪が治るまでの数日間をイ・ガクのベッドの上で過ごすことになった。
彼が、完璧なまでに人払いをし意気揚々と看病したのは、言うまでもない。




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【作品名】薄荷飴《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ 

2014/03/02 Sun. 01:15  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】君は僕のもの - 4  

屋根部屋のプリンス連載

* 漢江デート *

「本当のお母さんは見つけられなかったけど、私も前向きに生きようと思ってるの……聞いてる?」
「ん?聞いておるぞ」

屋根部屋のプリンスユチョン

「あー!私のバナナ味!!」
「……あっ!」
「あ、じゃないわよ!」
「いや、これはつい、その……」
「悩みを聞いてやるって言ったくせに。本当は興味なかったんでしょ」
「そんなことはない!」
「つまんなくて、私のバナナ味まで飲んじゃったんでしょ!?」
「いや、そうではなく、イチゴ味を飲み終えてしまったゆえ、つい」
「もう、いいわよ、ふん!」

屋根部屋のプリンスユチョン


「パッカ、待つのだ」
「どうせ、私は居候よ」
「そ、そのように思ってはいない」
「じゃあ、何なのよ?」
「えーっと、それは……あ、待て!」
「ほら、居候じゃない。もういい、ついて来ないで!」
「そなたが我らにしてくれたことは、みんなわかっている。三人とも感謝しておるのだ」
「で、あんたは?」
「私は、その……」
「居候なのね。サイッテーなやつ!」

屋根部屋のプリンスユチョン

「パッカや、ヨーグルトを一緒に買いに行こう」
「もう飲みたくないもん」
「じゃあ、何を怒っておるのだ?」
「知らない!一人で飲んでれば?」
「……うんん!そなたは、居候ではない」
「じゃあ、召使い?」
「そうではない。そなたは、だから……」
「もったいつけないで、早く言いなさいよ!」
「だから、その……」
「本当に、もう知らない。帰る!」
「パッカやぁ……」




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【作品名】君は僕のもの

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ 

2014/03/31 Mon. 00:31  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 1(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

「こちらの女人は、婚前でも体を許すと聞いたのですが、姉上はどうなんですか?」
パク・ハがチナンから戻り、五人は穏やかな日々を送っていた。
そんなある日の夕食。チサンは無邪気にパク・ハに尋ねた。
「な……なっ…………!」
彼女は食べ物を喉に詰まらせ、水を手に取る。
普段であれば、場の空気を読んでチサンを諌めるマンボも、面白がって話に加わった。
「ト内官、それは本当ですか?」
「ミミとベッキーが言っていたから、確かだ」
チサンは得意満面でスプーンを振った。
「いやいや、こちらのおなごは積極的だな。でも婚姻に支障を来たさないのですか?」
「それが普通らしい。ウ翊賛も聞きましたよね?」
ヨンスルは所在なげに両手を合わせた。
イ・ガクが咳払いを始めたからだ。
「ヌナ!ヌナは普通だと思うんですか?」
甘えるときだけ、ヌナ、と呼びかけるのは、チサンのいつもの戦術だ。
「しっ知らない!」
「あぁ、姉上は男と縁がないゆえ、こういった事情に疎いのですね」
彼は、馬鹿にするように、にやけた。
「ごちそうさま!」
パク・ハは真っ赤になって立ち上がった。
イ・ガクを睨む。何故助け舟を出さないのかと責めているのだろう。
イ・ガクは腰を浮かしたが、パク・ハはそれを無視して、自室に入ってしまった。
チサンとマンボは面白そうに笑っている。
「チサン、マンボ、やり過ぎだぞ」
イ・ガクに咎められ、二人は形式上頭を下げた。
しかし彼らは、会話の最中に一喝すればよかったものを、特に強く制しなかったイ・ガクの本心を、よく理解していた。
王世子とて一人の男。この世界の「おなごの事情」が、気になったのだろう。
「パッカ姉上は言い出せないでしょうから、チョハからお誘いされてはいかがでしょうか」
チサンが、最後のひと押しをする。
「もうよい。休むとしよう」
イ・ガクもパク・ハ同様、うっすらと顔を赤くして、席を立った。



パク・ハが水を飲みにキッチンに入ると、イ・ガクもちょうど水を飲んでいるところだった。
「あ……喉が渇いちゃって」
「ああ、そうだな。私もだ」
「うん……」
夕食後、部屋に篭もっていた二人は、ここで初めて鉢合わせてしまい、気まずさを隠し切れない。
しかし、この手の話題がおおっぴらに二人の間に横たわっている以上、なかったことにするわけにもいかなかった。
二人とも、口の中でもごもごと話す。
「パッカ、そなたは、どう思っているのだ」
「……ど、どうって?」
「だから、その、男女の……」
「それは、愛し合っていれば、そういうことも……」
イ・ガクは俯いて、暫く黙り込んだ。
ふぅ、と息を吐き、グラスをカウンターに置く。
「いいのか?関係が深まれば、あとでそなたが苦しむ」
「後悔したくないの」
「しかし」
「あなたがいなくなった後、もっと愛しているって言えば良かったって、後悔したくないの」
怖いのは、あなたでしょ。アンポンタン。
彼女はまっすぐに彼を見返した。
「わかった」
彼は、両手を彼女の肩に乗せた。
顔をすっと近づける。

これって、ここで、これから!?

「い、今じゃないからっ」
パク・ハは、ぐいっとイ・ガクの右頬を両手で押した。
イ・ガクは不意打ちをくらい、目を丸くする。
「こんなところで、信じらんないっ!!!」
彼女は、彼を押しのけ、キッチンを出て行ってしまった。
「パッカ……」
パク・ハの肩をつもうとした彼の手は、虚しく宙を舞った。


- - - - - - - -
一ヶ月感謝企画のお題 「イ・ガク×パク・ハ 大人小説、初めての旅行」のお話です。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  臣下三人組  一ヶ月感謝企画 

2014/04/12 Sat. 19:54  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 2(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

仕事が終わり、部屋で休んでいるイ・ガクのところに、マンボがやって来て、小箱をイ・ガクに渡した。
「これは、何だ」
「こちらの世界では、使うんだそうです」
「だから、これは何なのだ」
マンボは顔を赤らめて、自らのスマートフォンをイ・ガクに押し付けた。
「使い方でございます」
「コン…ド……?」
ひと通り読み終えた後、と言っても時間にして数分程度だったのだが、イ・ガクの視線は宙を彷徨った。
「チョハ、忠臣として申し上げます。必ずお使いください」
居心地が悪いのは、マンボとて変わらない。
彼は、結論だけ述べると、そそくさと部屋を出た。
ドアの外で待機していたヨンスルとチサンが、にやけ顔でマンボの顔を凝視する。
「ト内官の得意分野じゃないですか!なんで、俺が……」
年下というのは、こういう時に分が悪い。
マンボは、Tシャツの胸元を掴んで、乱暴に扇いだ。
「練習して下さいって、ちゃんと言った?」
「言えません!」
チサンとマンボのやりとりは、部屋の中のイ・ガクにも筒抜けだった。
イ・ガクは、小箱を持ったまま、しばらく棒立ちになっていた。



結局、マンボがくれた小箱の中身を使う機会はやって来なかった。
一度、二人きりで家にいた時に、イ・ガクがソファーでパク・ハにキスをしたら、彼女は受け入れてくれた。
彼女をソファーに横たえても、抵抗しなかった。
しかし、パク・ハが甘い声を漏らし始めた頃、外出していた三人が帰って来てしまった。
玄関から家に入るとすぐにリビングだから、三人は、もちろんイ・ガクとパク・ハに気付いたが、彼らは慌てる様子もなく、何気ない風を装ってキッチンに入り、二人の様子を伺っている。
それでも、イ・ガクはそのまま続けようとした。
パク・ハはイ・ガクを突き飛ばした。
服を身につけていたのが、幸いだ。
「三人が帰ってきたのに!」
顔を真っ赤にして抗議するパク・ハに、イ・ガクは冷静に言った。
「朝鮮では問題ない」
曰く、いつ何時、我が身に危険が及ぶかわからないから、閨事の時も誰かが見張っているものだ。
だから、そなたも気にすることはない。と。
先日のキッチンでの彼の行動について、彼女はやっと理解できた。
しかし、当然、彼の説明は受け入れなかった。
だから、数日後、彼にそれとなく部屋に誘われても、臣下が四六時中聞き耳を立てている状況が「ありえない」という理由で、はっきり断った。
この状態を打破したのは、やはり、マンボだった。
次に打ち出す目玉商品を決める会議で、旅行のパッケージを提案したのだ。
「チナンの花見は、チョハの視察のおかげで、売れ筋商品になりました。今回も、行ってくださいませんか?」
「そうだな、他にもプロジェクトはあるし、テヨンだけでいいか」
チナンの花見パッケージが好調な売れ行きを見せていたので、テクスもすぐに許可を出した。
「そろそろ夏を視野に入れないと。……よし、釜山だ。釜山に行け」
マンボにとって、行き先はどこでも良かったから、彼は二つ返事で賛成し、仕事が終わると家に飛んで帰った。
「パク・ハさん、チョハとお二人で、釜山旅行に行ってくださいね」
返事も待たずに、マンボはさっさと彼女の釜山旅行も手配した。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  臣下三人組  一ヶ月感謝企画 

2014/04/13 Sun. 17:25  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 3(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

釜山は、快晴だった。
ホテルに荷物を預け、二人はまず、釜山タワーを目指す。
イ・ガクは現代の観光地は全くわからないから、パク・ハに任せきりだ。
南山タワーのように、タワーが付いているから高所なんだろうか?という不安がないでもないが、嬉しそうに彼の手を引っ張る彼女に、そのまま付いて行った。
しかし、釜山タワーを要する竜頭山公園に入ると、彼はぴたりと足を止めた。
残念ながら、予感はあたってしまったようだ。
「これに登るのか」
彼の前には、南山タワー程ではないが、十分に高い釜山タワーがそびえ立っている。
彼は彼女の手を離し、くるりと方向を変えた。
「私は登らぬ」
「絶景なの。ね、行こう」
イ・ガクは手を後ろで組んで、微動だにしない。
しかも、何か別のものを見つけて、すたすたと歩いて行ってしまった。
「あれは、トゥホ(投壺)ではないか」
「トゥホ?お正月の遊び?」
「宮中でよくやる遊びだ。あれを見物するとしよう」
タワーの入り口からさほど遠くない木陰で、ボランティアのおばあさんたちが、伝統的な遊びを披露していた。
彼女らは、壺に棒を投げ入れている。
「地味ね」
現代人にとって、残念ながら、トゥホのパフォーマンスは非常に地味だった。
小さい女の子が興味を示しているだけで、観光客は、皆、素通りして行く。
しかし、パク・ハの言葉を受けて、イ・ガクは舌打ちをしながら首を横に振った。
「そなたは、相変わらず無知だな」
おばあさんたちは、若い二人の見物客を喜んで迎え入れた。
輪投げみたいな遊びなのよ、とルールを説明し、棒を貸してくれる。
「パッカ、地味だと思うのなら、試してみよ」
「こんなの、簡単よ。壺に入れるだけでしょ?」
パク・ハは地面に引かれた白い線の上に立って、そこから少し離して置いてある壺に目掛けて、一本目の棒を投げた。
しかし、投げた棒は壺の縁にあたって地面に転がった。
おばあさんが、棒を投げる際の角度が重要だと、ポーズを取って教えてくれる。
イ・ガクは目を細めて、アドバイスに同意した。
「次は、入れるからね?」
イ・ガクは、何も返事をせずに笑った。出来るものか、と言いたいのだろう。
パク・ハの投げた棒は、しかし、二本目、三本目も壺に弾かれて地面に落ちた。
悔しそうに戻ってきたパク・ハに、イ・ガクは得意満面だ。
「トゥホの奥深さを理解できたか?」
「じゃあ、やってみてよ」
「私の実力を見るがよい」
宣言通り、三本の棒はすべて壺の中に入った。
たちまち、おばあさんたちのアイドルとなった彼は、「若いのに立派だ」と拍手喝采され、一人ひとりと握手をさせられた。
立派な上に男前ねぇ。とか、うちの孫の婿に欲しいわ。とか好き勝手に喋るおばあさんたちに、至る所を撫でられながら、渋い顔で嵐が去るのを待っている。
以前だったら「無礼者!」と一蹴する彼も、現代に随分馴染んだものだ。
パク・ハは、笑顔で彼を眺めた。
やっと開放された彼は、パク・ハのところに戻ると、腕組みをして顎を上げた。
「宮中では、負け知らずだ」
鼻の穴が膨らんでいる。
パク・ハは、くすりと笑った。
朝鮮では、皆、彼を前にすると萎縮したのだろうが、現代では、彼の態度はただ可愛らしいだけだ。
憎たらしいけど、許せてしまう。きっと、これは、惚れた弱みというものなのだろう。
「そんな顔をしていられるのも、今のうちよ」
パク・ハは、マンボが彼女に託したメモをイ・ガクに示す。
「ここに書いてあるところは、全部回らなきゃいけないの」
イ・ガクは、腰を曲げて、メモを読んだ。
「一番上に、釜山タワーって書いてあるでしょ?」
彼は、マンボが書いた釜山タワーという文字を認めて眉を顰め、体を起こすと、また、あらぬ方向に顔を向けてしまった。
「パッカ、私はここで待っているから、そなただけ行くのだ」
「これは、ホーム&ショッピングの仕事じゃない。私だけ行くなんて、おかしいわよ」
「……本当に行くのか?」
まだ、タワーの入り口に到着していないのに、彼は胸を押さえ、彼女のシャツの裾を握った。

- - - - - - - -
ご説明。
投壺(トゥホ)の遊び方です。
中国発祥で、正倉院に壺と矢が残っているそうですが、日本ではあまり広まりませんでした。
実際には、矢は12本投げるようです。
写真は台湾国立博物館のウェブサイトよりお借りしました。
投壺の遊び方





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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/04/20 Sun. 14:27  tb: 0   コメント: 0

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 4(感謝企画)   

屋根部屋のプリンス連載

ソウルでセナとタワーに登った時は平気だった。
義務感とは恐ろしいもので、「セナと結婚しなければならない」と自らに課したら、恐怖心すら抑えこむことが出来たようだ。
逆に、パク・ハと乗ったチナンのケーブルカーでは足がすくむ思いをしたし、今も、展望台の高さを想像するだけで、心臓の鼓動が早くなる。
イ・ガクは、容赦なく上がって行くエレベーターの中で目をつぶりながら、深呼吸をした。
高度が上がるにつれ耳は圧迫され、耳鳴りのために心なしか頭の奥が痛い気もする。
彼は、エレベーターを降りてからもへっぴり腰でパク・ハの後に続くのが精一杯で、展望を楽しむ余裕などなかったのだが、彼女にうるさく目を開けるように言われて、恐る恐る薄目を開けると、目の前に広がる絶景に感嘆のため息を漏らした。
釜山港は最早彼の知っているものではなく、見たこともないような大型の船が係留されている。
さながら金属の塊が浮かんでいるようで、日光の照り返しで鈍く光る様には、恐ろしさすら覚えた。
テチョン山の頂が、彼の目線と同じ高さにあることにも驚いた。
彼が知っているテチョン山は、低めの山とはいえ、見上げなければ頂を望めない。
「テチョン山にあるのが民主公園で、あの大きい塔が忠魂塔。公園の中には図書館もあるんだって。あそこで本を読んだら、気持ちが良さそうね」
イ・ガクは、パク・ハのシャツの裾をぎゅっと握りしめたままだが、夢中になって眺めている。
「五六島だけは変わらぬな」
「遊覧船が出てるから、五六島まで行けるわよ。行く?」
「いや、ここから眺めれば十分だ」
いつの間にか、イ・ガクがパク・ハを引っ張り、丸い展望台を進んでいた。
「怖くないの?」
「怖いから、手は離すな」
パク・ハはイ・ガクの目を下から覗き込んだ。
「じゃあ、こっちのほうが怖くないわよ」
彼女は両腕でイ・ガクの左腕を抱きしめる。
「そうだな」
イ・ガクは、満更でもなさそうに微笑んだ。



釜山タワーの次にイ・ガクが気に入った場所は、宝水洞本屋通りだった。
古めかしい平屋に古本屋が並び、所狭しと積み上がった古本が、ここが長いこと市民に愛されている古本屋街だということを教えてくれる。
その文化的な役割を象徴するように、通りの一角の店の地下には、現代アートを展示するギャラリーがあった。
ハングルや漢字、アルファベットを織り交ぜ、まるで絵画のようにデザインされた書道の作品が展示されている。
イ・ガクは、壁に並べられている書を一枚ずつ熱心に見つめた。
書道が現代の芸術として昇華されていることが嬉しかったようで、作者を紹介したチラシを、臣下にも読ませると言って、三枚もかばんに入れた。
「いちごの収穫の時、お爺さんたちが、書の名手だって言ってたね」
「今頃思い出したのか?あの時は、私の書の腕がなければ、あんなにいちごを摘めなかったではないか」
「まったく。恩着せがましいんだから」
パク・ハはイ・ガクを睨んだが、彼は彼女を無視して、ギャラリーを出た。
その後、彼らはタクシーで竜頭山公園近くの光復路通りに戻り、カフェで遅めのランチを取った。
パク・ハはマンボに託されたデジカメに収めた写真をチェックしながら、この後の予定をイ・ガクに伝える。
「光復路通りを回ってから、釜山大学でしょ。海岸にも行かなきゃ。海雲台と広安里と……」
「明日にしよう」
イ・ガクは即座に却下した。
それなりに観光地を巡ることが出来たが、まだ午後三時を回ったばかりだ。
パク・ハは、せっかくの旅行なのにもったいない、と口を尖らせた。
「夏の旅行の企画でしょ?海岸はいっぱい回っておくべきよ。それに、釜山大学は……」
「学校に行ってどうするのだ?」
「釜山大学の周りが楽しいんだって。安くて可愛い洋服もいっぱい売ってるのよ」
「服はソウルで買えるだろう」
「でも、安くて可愛いの」
「では、ソウルで可愛い服をそなたに与えるから、釜山大学は忘れるがよい」
安い中で可愛い服を掘り当てる、という点に大きな価値があるのだが、残念ながらイ・ガクに女心が伝わらなかったようだ。
パク・ハは、テーブルに広げたマンボのメモの「釜山大学」と書かれた部分を、悔しそうに人差し指でトントンと叩く。
「そなたがホーム&ショッピングで働いているようだな」
「海だけでも行こうよ」
海雲台の海岸にそって立つ、夕日に照らされたタワーマンションや高級ホテルは、きっと見応えがあるはずだ。
日が落ちるとライトアップされる広安大橋も、ロマンチックだろう。
「駄目だ」
イ・ガクはメモを奪った。
彼は、光復路通りで買い物をしたそうな素振りを見せる彼女の腕を引っ張って、タクシーを拾った。
この旅行で、初めてイ・ガクが主導権を握った瞬間だった。




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【作品名】うれしはずかし《大人》

【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/05/03 Sat. 19:14  tb: 0   コメント: 2

【屋根部屋 二次小説】うれしはずかし - 5(感謝企画)  

屋根部屋のプリンス連載

「まだホテルに行きたくない」
パク・ハは、行き先をロッテホテルと告げたイ・ガクに、抗議した。
狭い部屋に二人で閉じこもるより、海風を感じる方がずっと有意義だ。
海岸沿いのホテルに滞在するなら納得できる。
だが、ロッテホテルは市街地に立ち、加えてブランド志向を持たない彼女が興味を持つ要素は、あまりなかった。
イ・ガクは、窓側に顔を向け彼の方を見ないパク・ハの頬に、手のひらを当てた。
しかし、きつく結ばれた彼女の口元は、そのままだ。
「機嫌を直さないか」
「私が、海が好きなことを、知ってるでしょ?」
彼女は彼の手を払って、また外に顔を向けてしまった。
光復路通りからロッテホテルへの道のりは、さほど長くない。
これでは、彼女の機嫌が直らないまま、ホテルで過ごすことになりそうだ。
イ・ガクは首の後ろに手を当てて彼女を引き寄せると、唇を合わせた。
「これでもか?」
「誤魔化されないんだから」
彼女は相変わらず彼から顔を背けているが、薄っすらと赤らんだ耳を見れば、機嫌が直ったことは明らかだ。
イ・ガクは、満足そうに口角を上げた。



マンボが押さえていた部屋は、ロイヤルスイートという、パク・ハにとっては一生お目にかかれないような、豪奢な部屋だった。
部屋、いや寧ろ、家と言ってもいいだろう。
なにせ、サウナまで付いているのだから。
ヨン家の財力により、パク・ハの屋根部屋は立派に改築されたため、彼女は多少値の張るホテルでも驚かない自信があったが、このスイートの豪奢さは、彼女の予想を遥かに上回っていた。
「うわぁ……」
「秘書の方の控室は、こちらです」
「私?」
パクハが自分を指差すと、ボーイが頷いた。
案内された秘書用の控え室は、猫足のローテーブルとベルベットのソファーを要した、立派な部屋だった。
デスクと本棚が備えられている点が、オフィス仕様といったところか。
それらも、全てが厚く塗られたニスにより光沢を持ち、表面がなめらかなことは、触れずとも手に取るようにわかった。
ボーイは続けてマスタールームにイ・ガクを案内しようとしたが、イ・ガクは首を振り、ボーイに荷物だけ運ぶように言って、この場に残った。
「気に入ったか?」
「夢みたい!大統領クラスの人が泊まる部屋だよね?」
「そなたは、私が王世子だということを、忘れているようだな」
嫌味も気にならないぐらい上機嫌になったパク・ハは、ベッドに腰掛けると、その体制のまま、ぴょんぴょんと跳ねた。
イ・ガクは、腕組みをして、彼女に問う。
「何故、秘書と言われて、否定しなかったのだ」
「ちょっとびっくりしたけど、この部屋はすごく素敵だし、別にいいんじゃない?」
「構わないのか?私は気分を害した」
イ・ガクの話が耳に入っているのかいないのか、パク・ハは、ベッドからソファーに移り、ベルベットの感触を楽しんでいる。
指を広げてソファーを撫でると、指の間に入り込んだ逆だった毛が、肌をくすぐった。
「本当に、素敵!」
彼女は、秘書用の控室に満足してしまい、他のベッドルームがもっと豪華であることに、思い至っていないらしい。
それどころか、また仕事の心配をし始めた。
そこが、女一人で生きて来た彼女らしい、とも言えるのだが。
「けど、この部屋じゃ旅の参考にならないわよ。マンボだって、普通の旅行だって言ってたくせに、なんでスイートを予約したんだろう」
「心配には及ばない。仕事は終わらせる」
イ・ガクは、部屋の電話でホテルのスタッフを呼びつけた。
始めは要領を得ない返事をしていたスタッフは、彼がホーム&ショッピングの御曹司だと知ると、アポイントもないのに、快く商談に応じた。
彼は、パク・ハの額にキスをして、秘書部屋を出た。




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【テーマ】 屋根部屋のプリンス二次小説  イ・ガク×パク・ハ  一ヶ月感謝企画 

2014/05/19 Mon. 22:08  tb: 0   コメント: 0

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